7 / 20
第7話 彼女を連れ去られた日
しおりを挟む
それから特に何の進展もなく夏が過ぎ、秋が過ぎた。
季節は冬を迎え、かなり寒くなってきている。まだ雪は降っていないが、ちらついてくるのも時間の問題だろう。
そんな寒空の下、チーズの配達をしていたヘイカーは声を掛けられる。振り向くと、そこにはリゼットの姿があった。
「リゼット。仕事終わったのか?」
「ええ。ヘイカーはまだ配達が残っているの?」
「うん。後二時間は掛かりそうだな」
「そう。じゃあ無理でしょうね……」
「何が?」
ヘイカーが首を傾げると、リゼットは首をすくめて言った。
「こんな寒い日は、あなたの作ったグラタンを食べたくなってね」
リゼットの方から誘ってくれる。こんなチャンスは二度とないかもしれない。ヘイカーは二つ返事で了承した。
「分かった! 後二時間……いや、一時間半でいい! 待っててくれるか!? 配達終えたら、ソッコーリゼットん家に行く!!」
「え? いえ……」
「何? 待てねー?!」
「待つのは一向に構わないんだけど、あなたはいいの?」
「いいに決まってるって! じゃ、すぐ終わらせてくっから!!」
ヘイカーは次の配達先までダッシュで向かった。冬だというのにゼェゼェ汗だくになりながら、全ての配達を終わらせる。そしてまたもダッシュでクルーゼ家に向かった。
「ういーーーーっす! 北水チーズ店ーーす!」
ついいつもの様に叫び、ドアノッカーを叩く。クージェンドが開けてくれ、ヘイカーは上がらせてもらった。
「それではリゼット様、私は失礼します」
「ええ、ご苦労だったわね」
クージェンドは本日の仕事を終えたようで、家へと帰って行く。
つまりこの屋敷には、リゼットとヘイカー、二人きりだ。
「クージェンドさんってこんな帰るの早かったっけ?」
「今日はあなたが夕飯を作ってくれるというし、早目に帰らせたのよ。いつも遅くまで働かせてしまっているからね」
何にせよ、二人きりなのは有難い。
ヘイカーは早速、リゼットのリクエスト通りにグラタンを作った。他にもいくつかサイドメニューを作り、リゼットと共に食べ進める。
「やっぱりあなたの料理は絶品ね。どこの店で食べるよりも美味しい。フェリーチェの女主人が、あなたに味見をさせるのも頷けるわ」
「リゼット、あれからフェリーチェ行ったの?」
「ええ、数回、一人でね」
一人で。それはまだ、恋人がいない証拠だろう。ついでに友達も。
「こ、今度、オレと、一緒に……」
「ヘイカーは絶対味覚というものを持ってるってフィオさんに聞いたけれど、それはどういうものなの? 人が作った料理を再現できる?」
リゼットの興味はヘイカーの舌にあるようで、身を乗り出して聞いてくる。
「完全な再現は無理だよ。オレは料理人じゃねーし。でも使ってる材料なら、出汁に至るまで当てられる」
「すごいわね。全くもって羨ましい……」
「リゼットは自分の記憶に頼って作んない方が良いよ。料理本とか買ってきて、それに忠実に作ることをお勧めするね」
「成程、料理本ね」
リゼットの目からはウロコがぽろぽろと落ちている。この頭の良い人間が、そんな事にも気付かなかったのだろうか。
「今度、料理本を見ながら作ってみるわ」
「作ったら教えてよ。オレ、味見に来てやっから」
「い、いいの? また不味い物を食べさせられるかもしれないわよ?」
「オレ、リゼットの料理を不味いなんて言ったことあったっけ?」
そう問うと、リゼットは申し訳無さげに、しかしどこか嬉しそうに「じゃあお願いするわ」とヘイカーに依頼してくれた。
それからは二週間に一度のペースで、クルーゼ家へ足を踏み入れる事となる。
ヘイカーの睨んだ通り、料理本を見たリゼットの料理は、劇的に美味しくなった。と言っても味が濃すぎたり薄すぎたり焦げたり、という事はあったが、それでも人間らしい食べ物になったのは確かだ。
何度も味見を続けるうち、リゼットとの距離も近くなったように思える。今告白をすれば、オーケーを貰える気さえした。
「ふう、ようやく出来上がったわ! 食べてみて!」
この日、リゼットはファレンテイン料理のフルコースにチャレンジしていた。丁寧に作るのはいいが、作り終えた時にはもう三時になろうとしている。これでは昼ご飯でなく、三時のおやつの時間だ。
お腹はペコペコだったが、ヘイカーは文句を言わずに待っていた。
「すごいな、リゼット。この短期間でこんなに作れるようになったのか」
「褒めるのは、食べてからにして」
「そうだな、いただきま……」
「待って!」
正に食べようとした瞬間、リゼットにストップを掛けられてしまい、ヘイカーはフォークを持った手を下げる。
「なんだよ?」
「その……結構、上手く出来たと思うのよ」
「……うん、食べてねーけど、そんな感じだな。だから?」
「だから、その……他に食べて貰いたい人がいて……」
リゼットはモジモジと少し顔を赤らめて、言い淀んでいる。ヘイカーは、とてつもなく嫌な予感がした。
「……誰」
「ロ」
「あーー、分かったよ!呼んでこいよ!」
最初の口の開きを見ただけで、誰を呼びたいかなど明瞭だ。ヘイカーが投げ捨てるように言うと、リゼットは「ありがとう」と嬉しそうに顔をほころばせながら玄関に向かって行ってしまう。
何だよ……
料理を食べさせたかったのは、オレじゃなくてロレンツォかよ……
ヘイカーはフォークをポイと投げた。置いてあったスプーンに当たってカシャンと行儀悪く鳴る。
ヘイカーは深く息を吐き出すと、おもむろに席を立った。リゼットとロレンツォ、三人で食事なんて我慢出来そうにない。せっかくのリゼットの料理だったが、フェリーチェか何処かでご飯を食べて帰った方が良さそうだ。
玄関に向かうと、靴を履き終えたリゼットがこちらを見て「ヘイカーも一緒に行く?」と微笑んでくる。
「いや、オレは……」
と言いかけた時だった。今まさにリゼットが呼びに行こうとした人物が、ノックとほぼ同時に扉を開けて飛び込んで来たのは。
「リゼット! 来てくれ!!」
「ロレンツォ!?」
いきなり現れたロレンツォが、目を丸くするリゼットの手を強引に引っ張る。その姿を見ただけで、ヘイカーはカッと熱くなった。
「ロレンツォ! 何すんだよ、手を離せ!」
しかしロレンツォはヘイカーの存在など気にも留めず、リゼットを連れ去ってしまった。
「な……なんだよ……」
開け放たれたままの玄関。手を繋いで去っていく、リゼットとロレンツォの後ろ姿。これ程惨めな事は無い。二人が消え行く姿を、ヘイカーはただただ見送るしかなかった。
ヘイカーはトボトボと部屋に戻り、リゼットの作ったファレンテイン料理のフルコースを見る。食べちまおうか、と思った。が、これはリゼットがロレンツォの為に作った料理である。帰ってきた時、食い散らかされていては、リゼットが可哀想だ。
結局ヘイカーは料理には手をつけずに、クルーゼ家を出た。リゼットがいつ帰ってくるのか分からないため、隣に行きカールに言うと合鍵を出して閉めてくれた。
「で、リゼットはどうしたんだ?」
鍵を閉めたカールは、少し難しい顔をしてヘイカーに問う。その問いに、ヘイカーはそっぽを向きながら答える。
「しらね。ロレンツォが連れてった」
「追いかけなかったのか?」
「あの二人のスピードに、オレが付いて行けるわけないだろっ」
八つ当たりの如く語尾を荒げて言うと、カールは厳しい顔をして言う。
「お前、ボーッとしてたら他の奴にリゼットを取られっちまうぞ!」
「オレだって、努力してんだよ!!」
ヘイカーがそう言うと、カールに鼻で笑われた。
「はんっ! 努力? お前のは努力じゃねーよ。告白も出来ないヘタレ小僧が」
「リゼットがロレンツォの事を諦めてねーのに、告白しても無駄じゃないかよ!」
「だからってチマチマお料理教室か? 馬鹿か、お前は!! リゼットの恋路を開かせてどーすんだよ!自分を磨いて振り向かせるくらいの事をしろ! それが努力ってもんだろうが!」
リゼットを振り向かせるくらいに強くなれという事だろうか。そんな努力は無駄だ。無意味だ。あの女に惚れられるほど強くなんてなれっこない。カールは、自分が強いからそういう事を言えるのだ。
こっちは雷の魔法が使えるだけの、チーズ店の息子である。中学から剣を習ってはいるが、強くなれる気がしない。騎士職が向いていない事など、百も承知だ。
「努力って、何だよ! 頑張ってもちっとも剣の腕が上がらねーオレの気持ち、カールに分かんねーよな!」
「ああん?! 俺は何も強くなれなんて……オイッ!!」
ヘイカーはカールの言葉を最後まで聞かずに、その場を逃げ出した。
季節は冬を迎え、かなり寒くなってきている。まだ雪は降っていないが、ちらついてくるのも時間の問題だろう。
そんな寒空の下、チーズの配達をしていたヘイカーは声を掛けられる。振り向くと、そこにはリゼットの姿があった。
「リゼット。仕事終わったのか?」
「ええ。ヘイカーはまだ配達が残っているの?」
「うん。後二時間は掛かりそうだな」
「そう。じゃあ無理でしょうね……」
「何が?」
ヘイカーが首を傾げると、リゼットは首をすくめて言った。
「こんな寒い日は、あなたの作ったグラタンを食べたくなってね」
リゼットの方から誘ってくれる。こんなチャンスは二度とないかもしれない。ヘイカーは二つ返事で了承した。
「分かった! 後二時間……いや、一時間半でいい! 待っててくれるか!? 配達終えたら、ソッコーリゼットん家に行く!!」
「え? いえ……」
「何? 待てねー?!」
「待つのは一向に構わないんだけど、あなたはいいの?」
「いいに決まってるって! じゃ、すぐ終わらせてくっから!!」
ヘイカーは次の配達先までダッシュで向かった。冬だというのにゼェゼェ汗だくになりながら、全ての配達を終わらせる。そしてまたもダッシュでクルーゼ家に向かった。
「ういーーーーっす! 北水チーズ店ーーす!」
ついいつもの様に叫び、ドアノッカーを叩く。クージェンドが開けてくれ、ヘイカーは上がらせてもらった。
「それではリゼット様、私は失礼します」
「ええ、ご苦労だったわね」
クージェンドは本日の仕事を終えたようで、家へと帰って行く。
つまりこの屋敷には、リゼットとヘイカー、二人きりだ。
「クージェンドさんってこんな帰るの早かったっけ?」
「今日はあなたが夕飯を作ってくれるというし、早目に帰らせたのよ。いつも遅くまで働かせてしまっているからね」
何にせよ、二人きりなのは有難い。
ヘイカーは早速、リゼットのリクエスト通りにグラタンを作った。他にもいくつかサイドメニューを作り、リゼットと共に食べ進める。
「やっぱりあなたの料理は絶品ね。どこの店で食べるよりも美味しい。フェリーチェの女主人が、あなたに味見をさせるのも頷けるわ」
「リゼット、あれからフェリーチェ行ったの?」
「ええ、数回、一人でね」
一人で。それはまだ、恋人がいない証拠だろう。ついでに友達も。
「こ、今度、オレと、一緒に……」
「ヘイカーは絶対味覚というものを持ってるってフィオさんに聞いたけれど、それはどういうものなの? 人が作った料理を再現できる?」
リゼットの興味はヘイカーの舌にあるようで、身を乗り出して聞いてくる。
「完全な再現は無理だよ。オレは料理人じゃねーし。でも使ってる材料なら、出汁に至るまで当てられる」
「すごいわね。全くもって羨ましい……」
「リゼットは自分の記憶に頼って作んない方が良いよ。料理本とか買ってきて、それに忠実に作ることをお勧めするね」
「成程、料理本ね」
リゼットの目からはウロコがぽろぽろと落ちている。この頭の良い人間が、そんな事にも気付かなかったのだろうか。
「今度、料理本を見ながら作ってみるわ」
「作ったら教えてよ。オレ、味見に来てやっから」
「い、いいの? また不味い物を食べさせられるかもしれないわよ?」
「オレ、リゼットの料理を不味いなんて言ったことあったっけ?」
そう問うと、リゼットは申し訳無さげに、しかしどこか嬉しそうに「じゃあお願いするわ」とヘイカーに依頼してくれた。
それからは二週間に一度のペースで、クルーゼ家へ足を踏み入れる事となる。
ヘイカーの睨んだ通り、料理本を見たリゼットの料理は、劇的に美味しくなった。と言っても味が濃すぎたり薄すぎたり焦げたり、という事はあったが、それでも人間らしい食べ物になったのは確かだ。
何度も味見を続けるうち、リゼットとの距離も近くなったように思える。今告白をすれば、オーケーを貰える気さえした。
「ふう、ようやく出来上がったわ! 食べてみて!」
この日、リゼットはファレンテイン料理のフルコースにチャレンジしていた。丁寧に作るのはいいが、作り終えた時にはもう三時になろうとしている。これでは昼ご飯でなく、三時のおやつの時間だ。
お腹はペコペコだったが、ヘイカーは文句を言わずに待っていた。
「すごいな、リゼット。この短期間でこんなに作れるようになったのか」
「褒めるのは、食べてからにして」
「そうだな、いただきま……」
「待って!」
正に食べようとした瞬間、リゼットにストップを掛けられてしまい、ヘイカーはフォークを持った手を下げる。
「なんだよ?」
「その……結構、上手く出来たと思うのよ」
「……うん、食べてねーけど、そんな感じだな。だから?」
「だから、その……他に食べて貰いたい人がいて……」
リゼットはモジモジと少し顔を赤らめて、言い淀んでいる。ヘイカーは、とてつもなく嫌な予感がした。
「……誰」
「ロ」
「あーー、分かったよ!呼んでこいよ!」
最初の口の開きを見ただけで、誰を呼びたいかなど明瞭だ。ヘイカーが投げ捨てるように言うと、リゼットは「ありがとう」と嬉しそうに顔をほころばせながら玄関に向かって行ってしまう。
何だよ……
料理を食べさせたかったのは、オレじゃなくてロレンツォかよ……
ヘイカーはフォークをポイと投げた。置いてあったスプーンに当たってカシャンと行儀悪く鳴る。
ヘイカーは深く息を吐き出すと、おもむろに席を立った。リゼットとロレンツォ、三人で食事なんて我慢出来そうにない。せっかくのリゼットの料理だったが、フェリーチェか何処かでご飯を食べて帰った方が良さそうだ。
玄関に向かうと、靴を履き終えたリゼットがこちらを見て「ヘイカーも一緒に行く?」と微笑んでくる。
「いや、オレは……」
と言いかけた時だった。今まさにリゼットが呼びに行こうとした人物が、ノックとほぼ同時に扉を開けて飛び込んで来たのは。
「リゼット! 来てくれ!!」
「ロレンツォ!?」
いきなり現れたロレンツォが、目を丸くするリゼットの手を強引に引っ張る。その姿を見ただけで、ヘイカーはカッと熱くなった。
「ロレンツォ! 何すんだよ、手を離せ!」
しかしロレンツォはヘイカーの存在など気にも留めず、リゼットを連れ去ってしまった。
「な……なんだよ……」
開け放たれたままの玄関。手を繋いで去っていく、リゼットとロレンツォの後ろ姿。これ程惨めな事は無い。二人が消え行く姿を、ヘイカーはただただ見送るしかなかった。
ヘイカーはトボトボと部屋に戻り、リゼットの作ったファレンテイン料理のフルコースを見る。食べちまおうか、と思った。が、これはリゼットがロレンツォの為に作った料理である。帰ってきた時、食い散らかされていては、リゼットが可哀想だ。
結局ヘイカーは料理には手をつけずに、クルーゼ家を出た。リゼットがいつ帰ってくるのか分からないため、隣に行きカールに言うと合鍵を出して閉めてくれた。
「で、リゼットはどうしたんだ?」
鍵を閉めたカールは、少し難しい顔をしてヘイカーに問う。その問いに、ヘイカーはそっぽを向きながら答える。
「しらね。ロレンツォが連れてった」
「追いかけなかったのか?」
「あの二人のスピードに、オレが付いて行けるわけないだろっ」
八つ当たりの如く語尾を荒げて言うと、カールは厳しい顔をして言う。
「お前、ボーッとしてたら他の奴にリゼットを取られっちまうぞ!」
「オレだって、努力してんだよ!!」
ヘイカーがそう言うと、カールに鼻で笑われた。
「はんっ! 努力? お前のは努力じゃねーよ。告白も出来ないヘタレ小僧が」
「リゼットがロレンツォの事を諦めてねーのに、告白しても無駄じゃないかよ!」
「だからってチマチマお料理教室か? 馬鹿か、お前は!! リゼットの恋路を開かせてどーすんだよ!自分を磨いて振り向かせるくらいの事をしろ! それが努力ってもんだろうが!」
リゼットを振り向かせるくらいに強くなれという事だろうか。そんな努力は無駄だ。無意味だ。あの女に惚れられるほど強くなんてなれっこない。カールは、自分が強いからそういう事を言えるのだ。
こっちは雷の魔法が使えるだけの、チーズ店の息子である。中学から剣を習ってはいるが、強くなれる気がしない。騎士職が向いていない事など、百も承知だ。
「努力って、何だよ! 頑張ってもちっとも剣の腕が上がらねーオレの気持ち、カールに分かんねーよな!」
「ああん?! 俺は何も強くなれなんて……オイッ!!」
ヘイカーはカールの言葉を最後まで聞かずに、その場を逃げ出した。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
娼館で元夫と再会しました
無味無臭(不定期更新)
恋愛
公爵家に嫁いですぐ、寡黙な夫と厳格な義父母との関係に悩みホームシックにもなった私は、ついに耐えきれず離縁状を机に置いて嫁ぎ先から逃げ出した。
しかし実家に帰っても、そこに私の居場所はない。
連れ戻されてしまうと危惧した私は、自らの体を売って生計を立てることにした。
「シーク様…」
どうして貴方がここに?
元夫と娼館で再会してしまうなんて、なんという不運なの!
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
義兄のために私ができること
しゃーりん
恋愛
姉が亡くなった。出産時の失血が原因だった。
しかも、子供は義兄の子ではないと罪の告白をして。
入り婿である義兄はどこまで知っている?
姉の子を跡継ぎにすべきか、自分が跡継ぎになるべきか、義兄を解放すべきか。
伯爵家のために、義兄のために最善の道を考え悩む令嬢のお話です。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
王子を身籠りました
青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。
王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。
再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる