Spelunker's 2

CHABO

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Lift&thrust

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【前回までのあらすじ】
アペプを憑依させ、情報共有を済ませウォーリアン砂漠から脱出しようとした時、空から獣人リーゼロッテが襲ってきた。
マチルダ、ななこをかばい、3人で神話級である彼女に立ち向かうが...。

ターニャ「グッちゃん、バフを!!」

グディオン「は~~い」

3人にバフがかかる。。

ターニャ「これは!? 2人とも注意してくださいまし。彼女は獣人で近接メインですがどうやら魔法もかなり使うようですわ!!」

リーゼロッテ「はぁ!? 何でいきなりバレてんだ?? 奥の手だったのによぉ」

アスタロト「このバフ。。バックファイアー反射魔法に近い効果も入ってる。つまりグッちゃんは無意識で魔法への警戒をしてたってことか...」

マチルダ「グッちゃんのあのバフ。ななの直感にひけを取らない正確性みたいね」

ターニャ「わたくしから行きます!!」

ターニャが突進する。

リーゼロッテ「!! 思ったより速い!!」

ただ、ターニャの拳打は空を切る。。

リーゼロッテ(ガキの短い腕で助かったぜ...でも何で右足を前に、んっ!?)

ターニャはそこからつま先で器用に高速回転し、能力を発動する。。

ターニャ『マインゴーシュ!!』

リーゼロッテ「ぐおっ、何だと!!」

マインゴーシュは相手に刃物で一刀両断されたと錯覚させる能力である、錯覚なので当然外傷も痛みもない。。

ななこ「すごい!! マインゴーシュを当てるために初めから踏み込みを右足にして回転した!!」

ターニャ「今です!! アスタロト、魔法を!!」

アスタロト「任せて!!『グングニル氷貫魔法』」

無数の氷の矢がリーゼロッテに向かっていく。。

リーゼロッテ『トル・ネルタ!!』

風魔法で自身の眼前に風のバリアを張り、グングニルを散らす。。

ターニャ(感性の鋭い獣人族にやはりマインゴーシュは効果薄いですか...)

リーゼロッテ「ビックリしたぜ。何か刃物で斬られた感覚だ、面白い能力だな。それにお前。その動きは何だ?」

ターニャ「異世界にはバレエダンスという芸術があります。その動きを取り入れたまでですわ」

リーゼロッテ「...柔軟だ、頭も動きも。今のだけで分かるぜ、全ての情報を取り入れ吸収しようとする工夫を常にしてる。数年後には俺を越えてるかもな。今日は俺が勝つだろうがまた戦ってくれよな」

ターニャ「今日も勝ちますわよ、グッちゃんデバフを!!」

グディオン「オッケー『バランスウェイト!!』」

リーゼロッテの体が重くなる。。

リーゼロッテ「はっ、バランスウェイトだと? スピードは確かに落ちるが力は逆に増しちまってんぞ??」

バランスウェイトというデバフは相手を重くする代わりに力を増やしてしまう。

ターニャ「もちろん承知の上。獣人族の速度はまともに付き合えません。リスクリワード損益比率的に最適解のデバフですわ。これで注意すべきは魔法のみです」

リーゼロッテ「リスク...何だって??w お前頭もいいんだな。ますます気に入ったぜ、来いよ!!」

バフデバフを成功させ、計画は順調に見えるがターニャは何かが引っ掛かっていた。
しかし、ターニャである時はティターニアの時ほどの頭の冴えはなく、違和感に気付く事は出来なかった。。
その時…。

マチルダ「迂闊に飛びこんじゃダメ!! 何かおかしい…情報を一旦分析すべきよ!!」

ターニャ「…アスタロト。出の早い魔法で弾幕を張って彼女を近付けないようにして下さい。少し時間を稼いで…」

アスタロト「了解!!」

グディオン「私も手伝うよ」

2人はターニャの考えがまとまるまで時間稼ぎを試みる。。

ななこ「マチ。何が引っかかってるの??」

マチルダ「...分からない。。でも間違いなく何かを見落としているわ。多分、ターニャもそれが気になって時間稼がせてるのよ」

アスタロトとグディオンの魔法攻撃が続く。。

リーゼロッテ「チッ!! あの悪魔族、思ったより使う...」

牽制の魔法とは思えない威力と速度で微小だがじわじわとリーゼロッテにダメージが蓄積していく。

ななこ「アスタロトさん、訓練の時より凄く強くなってない??」

マチルダ「こっち来てだいぶ分かってきたけど、あいつの言う『ジャンマーで私に勝ちたい』って私達からするとすっごいしょうもない理由付けじゃない? でもあいつにとっては命を賭す価値のある理由なのよ。悪魔族ってそういうものみたいね」

他種族にはなかなか理解し難い価値観だが、悪魔族とはそういうものなのだ。。

リーゼロッテ「ふぅ、オッケー。どうせ食らうならこっちも攻めなきゃな!!」

リーゼロッテは手を後ろに向ける。。
その瞬間マチルダとターニャはずっと感じていた違和感に気付く。

ターニャ「!! 分かりましたわ、あいつは風を操って移動を...」

ターニャが注意を言い終わる前にリーゼロッテは自身の後方に風魔法を放ち、とてつもないスピードでアスタロトに飛んでいく。

アスタロト「!! フレイマ!!」

最接近直前に魔法が間に合うが、リーゼロッテは更に左手で風魔法を放ち、直角に移動する。。

アスタロト「!!! グッちゃ...」

アスタロトの真横にいたグディオンの鳩尾みぞおちにリーゼロッテ渾身のパンチが入るが...

リーゼロッテ「ダメージなしだと!!」

マチルダの仲間全員に及ぶパッシブ能力ウンブジッグバー無敵によって一撃目は無傷で済むが...

グディオン「うっ!!」

リーゼロッテの素早い機転で左ボディブローが続けざまに入る。。
グディオンはその場にうずくまってしまった。。

リーゼロッテ「初撃が感触ゼロだったんで焦ったぜ、一発分無敵なだけか。まぁ、利き腕じゃない方のパンチだ、暫く動けはしないが放っといても死にゃしねぇぜ」

マチルダ「グッちゃん!! あのクソアマァ~~!!」

激高したマチルダをななこが後ろから羽交い絞めして抑え込む。

ななこ「落ち着いてマチ!! 今出て行ったら3人の意に反するわ!!」

ターニャ「そうですわ!! 冷静に...冷静に見ててくださいまし」

マチルダ「くっ!! そうね、悪かったわ...」

スピードを殺したはずだったが想定外の方法で距離を詰めて来るリーゼロッテ。
2人はここからどうするのか??
何故グディオンは痛がりながらもニヤニヤしているのか??w

.....................
【補足コーナー】
・この世界のデバフは何かしらのメリットとデメリットが同時に起こってしまう事が殆ど。だが、魔王護衛軍のマァナのようにダンカー(銃撃手)の使用するデバフ用弾丸はそういったデメリットが一切ないので非常に強力かつ有用。だが当然ながら銃と弾丸と技術が必要である
・マチルダとターニャはリーゼロッテが空から落ちて来た事が頭の中でずっと引っかかっていたという事を、リーゼロッテが手を後ろに向けた瞬間に気付いた、が時すでに遅しだった(羽もないのに空から降ってこられたのは風魔法で自らを浮かせていたため)
・力が強化されたリーゼロッテの右手ボディブローがまともに入ったらグディオンは一撃で意識を失っていた
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