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学院高等部 青学年生
冬期休暇
無事に執行部員のプレ社交会も決まり、大きなトラブルもなく、冬期休暇を迎えた。大きなトラブルはなかったけれど、小さなトラブルはあった。執行部員にパートナーになってほしいと、生徒会執行部室に突撃されたりとか、婚約者がいるのに他の人にパートナーを申し込んで、婚約者と険悪になったとか。ハーレム、逆ハーレム状態を狙った人は居なかったけれど、それなりに対応に追われた。
冬期休暇になると、サミュエル先生から「プレ社交会のパートナーの了解をもらいに行くからね」といわれて、タウンハウスに一緒に行く事になった。
本当は行きたくないのよね。カティさんはまだ居るだろうし。それに寒い時期に妊婦を移動させるのは、良くないと思うし。
「その辺の方針も聞いておかないとだね。キャシーちゃんがタウンハウスに帰れなくなるし」
「お子様がお生まれになってからでしょうか?あちらにお移りになられるのは」
「それが妥当だと思うよ」
一応婚約者なので、同じ馬車に乗っている。馭者のトマスがサミュエル先生を見て、なぜかウンウンと頷いた後ニッコリと丁寧に礼をしていた。
「婚約者同士の会話じゃねぇよな」
「キャスリーン様とサミュエル様は、婚約者というよりは同じ志の同志といった感じよね」
ちなみにレオナルドさんとマリアさんも一緒だ。フェルナー家の馬車はそれなりに広いから、レオナルドさんの体格でも狭くは無いと思う。マリアさんの態度も、ずいぶん軟化してきたし。
タウンハウスまではあっという間に着く。
「到着しました」
トマスの声がして馬車の扉が開かれる。最初に降りるのはレオナルドさんとマリアさん。タウンハウス前だから不審者は居ないとは思うけれど、安全確認が済んでから私達が降りる事になる。
「キャシーちゃん」
「ありがとうございます」
差し出された先生の手を取って、馬車を降りる。
「おかえりなさい、キャシーちゃん。いらっしゃいませ、ブランジット様」
「ただいま帰りました、お義母様」
こうしてお義母様に出迎えられるのも久しぶりだ。お義母様にハグされるのも。
「お邪魔しますよ、フェルナー夫人」
いつも通りの笑顔のお義母様だけれど、少しお疲れぎみ?原因は何となく分かる。きっとカティさん関連だろう。
「お義母様、着替えた後で、お話がございます」
「えぇ、旦那様から伺っていますよ。着替えてらっしゃい。ブランジット様は私の方でおもてなししておきますからね」
「はい。お願いいたします」
自室で着替えていると、賑やかな声が聞こえた。カティさんだ。
「どこかにお出掛けなのかしら?」
「お散歩ですね。奥様がおすすめになられまして。ローレンス様と一緒にタウンハウス周囲を一周する事を日課とされております」
運動するのは良い事だと思う。体重が増えすぎるとお産が重くなるし。
でもローレンス様と一緒か。2人は夫婦なんだから不思議ではないけれど。
賑やかな声が聞こえなくなってから、自室を出る。気を使って会わないようにしている訳じゃないけれど、なんとなくカティさんって苦手なのよね。
お義母様とサミュエル先生がいるサロンに行くと、お義母様がニッコリと自分の座るソファーの空いた部分を勧めてきた。こういう場合ってサミュエル先生の隣が正解じゃ?と思いながら、お義母様の隣に座る。
「お話は伺いましたよ。プレ社交会のパートナーにブランジット様をねぇ。キャシーちゃんが希望したのよね?」
「はい」
「それなら良いのではないかしら?婚約者という立場なのだし」
お義母様の了解は取れた。後はお義父様かしら?
「旦那様からはキャシーちゃんが希望したのなら、と言葉を預かっているわ。心配しなくて良いわよ」
「ありがとうございます、お義母様」
「……ローレンスに会っていく?」
「まずは遠くから眺めるだけにいたします。それから言葉を交わせれば」
「カティさんに対してなんだか遠慮しちゃっているのよね、あの子。うまくいっていない訳じゃないけれど。キャシーちゃんが婚約者だった時を知っているから、もっとベタベタするのかと思っていたら」
はぁっと大きなため息を吐くお義母様。
「カティさんの様子は?」
「相変わらずよ。男性を側で侍らせたいみたいね。私兵達に交代で警護に当たらせているのだけれど、お気に入りが何人か居るようで、オリバーが悩んでいたわ」
お気に入り……。たぶんサイモンはその一員よね?
30分程すると、また賑やかな声が聞こえた。
「帰ってきたようね。呼んでも良いかしら?」
いきなり会っちゃう事になりそうだ。遠くから見て平気か確かめてって、段階を踏もうと思っていたんだけど。
「いつも呼んでいるのですか?」
「えぇ。様子観察の為にね」
様子観察……。
私が頷くと、お義母様が合図を出した。2人がやって来る前に席を移動する。お義母様はひとり掛けのソファーに、私はサミュエル先生の隣に。
「ローレンスです。入ってもよろしいでしょうか」
ローレンス様の声が聞こえた。お義母様が許可をするとローレンス様とカティさんが入ってきた。
「あっ、キャシー先生」
「ただいま戻りましたわ。お義兄様もカティさんもお元気そうですわね。安心いたしました」
2人で並んだ姿を見ても、思っていたほど苦しくならない。胸も痛まない。
「先生、今回はいつまで居られるの?」
「明日には別邸の方に行こうと思っておりましたが」
少し膨らんだお腹を支えながら、カティさんが私の隣に座ろうとする。
「カティ、こっちに座りなさい」
「えぇぇ、キャシー先生の隣が良い」
「そんなワガママを言うんじゃない。状況を考えなさい」
うーん。ずいぶん厳しいなぁ。なんというか出来の悪いペットを躾ているような感じだけど。
「はぁい」
おとなしく空いたソファーに座ったカティさんの隣に、ローレンス様が座る。婚約者というか夫婦の距離ではない。けっこうな距離が空いている。
カティさんが近付いたら、スッとその分の距離を開けた。
「状況を考えなさいと言ったよね?」
なんだろう?カティさんを大切にしているように見えない。
「お義兄様、カティさんとお散歩に行っておられたのですか?」
「運動不足は良くないとウェイド先生に言われてね。屋敷内で暴れられても困るから、日に2回散歩に行っている」
違和感が大きくなる。ローレンス様ってこんな人だった?
少しだけ話をして、ローレンス様とカティさんが退出する。
「お義母様、ローレンス様はあのようなお方でしたでしょうか?」
「昔に戻っちゃった感じね。キャシーちゃんと会う前よ」
あぁ、氷の貴公子再来状態なんだ。
「それよりも今日は泊まっていくのよね?」
「その予定ですが」
「楽しみだわ」
夕食時にはお義父様も帰ってきていて、夕食は鴨のオレンジソース掛けで、私の大好物だった。
サミュエル先生もお義父様に話があるからと残っていたし、夕食のテーブルは和やかな時間が過ぎていった。
カティさんの食べ方は、はっきりいって上品じゃない。大口を開けて食べるし、口に物が入ったまま話そうとするし、カトラリーはカチャカチャと音を立てて使うし。その度にお義母様とローレンス様が注意するんだけど、それに対して不満そうにしているし。学ぶ気はあるのかしら?
冬期休暇になると、サミュエル先生から「プレ社交会のパートナーの了解をもらいに行くからね」といわれて、タウンハウスに一緒に行く事になった。
本当は行きたくないのよね。カティさんはまだ居るだろうし。それに寒い時期に妊婦を移動させるのは、良くないと思うし。
「その辺の方針も聞いておかないとだね。キャシーちゃんがタウンハウスに帰れなくなるし」
「お子様がお生まれになってからでしょうか?あちらにお移りになられるのは」
「それが妥当だと思うよ」
一応婚約者なので、同じ馬車に乗っている。馭者のトマスがサミュエル先生を見て、なぜかウンウンと頷いた後ニッコリと丁寧に礼をしていた。
「婚約者同士の会話じゃねぇよな」
「キャスリーン様とサミュエル様は、婚約者というよりは同じ志の同志といった感じよね」
ちなみにレオナルドさんとマリアさんも一緒だ。フェルナー家の馬車はそれなりに広いから、レオナルドさんの体格でも狭くは無いと思う。マリアさんの態度も、ずいぶん軟化してきたし。
タウンハウスまではあっという間に着く。
「到着しました」
トマスの声がして馬車の扉が開かれる。最初に降りるのはレオナルドさんとマリアさん。タウンハウス前だから不審者は居ないとは思うけれど、安全確認が済んでから私達が降りる事になる。
「キャシーちゃん」
「ありがとうございます」
差し出された先生の手を取って、馬車を降りる。
「おかえりなさい、キャシーちゃん。いらっしゃいませ、ブランジット様」
「ただいま帰りました、お義母様」
こうしてお義母様に出迎えられるのも久しぶりだ。お義母様にハグされるのも。
「お邪魔しますよ、フェルナー夫人」
いつも通りの笑顔のお義母様だけれど、少しお疲れぎみ?原因は何となく分かる。きっとカティさん関連だろう。
「お義母様、着替えた後で、お話がございます」
「えぇ、旦那様から伺っていますよ。着替えてらっしゃい。ブランジット様は私の方でおもてなししておきますからね」
「はい。お願いいたします」
自室で着替えていると、賑やかな声が聞こえた。カティさんだ。
「どこかにお出掛けなのかしら?」
「お散歩ですね。奥様がおすすめになられまして。ローレンス様と一緒にタウンハウス周囲を一周する事を日課とされております」
運動するのは良い事だと思う。体重が増えすぎるとお産が重くなるし。
でもローレンス様と一緒か。2人は夫婦なんだから不思議ではないけれど。
賑やかな声が聞こえなくなってから、自室を出る。気を使って会わないようにしている訳じゃないけれど、なんとなくカティさんって苦手なのよね。
お義母様とサミュエル先生がいるサロンに行くと、お義母様がニッコリと自分の座るソファーの空いた部分を勧めてきた。こういう場合ってサミュエル先生の隣が正解じゃ?と思いながら、お義母様の隣に座る。
「お話は伺いましたよ。プレ社交会のパートナーにブランジット様をねぇ。キャシーちゃんが希望したのよね?」
「はい」
「それなら良いのではないかしら?婚約者という立場なのだし」
お義母様の了解は取れた。後はお義父様かしら?
「旦那様からはキャシーちゃんが希望したのなら、と言葉を預かっているわ。心配しなくて良いわよ」
「ありがとうございます、お義母様」
「……ローレンスに会っていく?」
「まずは遠くから眺めるだけにいたします。それから言葉を交わせれば」
「カティさんに対してなんだか遠慮しちゃっているのよね、あの子。うまくいっていない訳じゃないけれど。キャシーちゃんが婚約者だった時を知っているから、もっとベタベタするのかと思っていたら」
はぁっと大きなため息を吐くお義母様。
「カティさんの様子は?」
「相変わらずよ。男性を側で侍らせたいみたいね。私兵達に交代で警護に当たらせているのだけれど、お気に入りが何人か居るようで、オリバーが悩んでいたわ」
お気に入り……。たぶんサイモンはその一員よね?
30分程すると、また賑やかな声が聞こえた。
「帰ってきたようね。呼んでも良いかしら?」
いきなり会っちゃう事になりそうだ。遠くから見て平気か確かめてって、段階を踏もうと思っていたんだけど。
「いつも呼んでいるのですか?」
「えぇ。様子観察の為にね」
様子観察……。
私が頷くと、お義母様が合図を出した。2人がやって来る前に席を移動する。お義母様はひとり掛けのソファーに、私はサミュエル先生の隣に。
「ローレンスです。入ってもよろしいでしょうか」
ローレンス様の声が聞こえた。お義母様が許可をするとローレンス様とカティさんが入ってきた。
「あっ、キャシー先生」
「ただいま戻りましたわ。お義兄様もカティさんもお元気そうですわね。安心いたしました」
2人で並んだ姿を見ても、思っていたほど苦しくならない。胸も痛まない。
「先生、今回はいつまで居られるの?」
「明日には別邸の方に行こうと思っておりましたが」
少し膨らんだお腹を支えながら、カティさんが私の隣に座ろうとする。
「カティ、こっちに座りなさい」
「えぇぇ、キャシー先生の隣が良い」
「そんなワガママを言うんじゃない。状況を考えなさい」
うーん。ずいぶん厳しいなぁ。なんというか出来の悪いペットを躾ているような感じだけど。
「はぁい」
おとなしく空いたソファーに座ったカティさんの隣に、ローレンス様が座る。婚約者というか夫婦の距離ではない。けっこうな距離が空いている。
カティさんが近付いたら、スッとその分の距離を開けた。
「状況を考えなさいと言ったよね?」
なんだろう?カティさんを大切にしているように見えない。
「お義兄様、カティさんとお散歩に行っておられたのですか?」
「運動不足は良くないとウェイド先生に言われてね。屋敷内で暴れられても困るから、日に2回散歩に行っている」
違和感が大きくなる。ローレンス様ってこんな人だった?
少しだけ話をして、ローレンス様とカティさんが退出する。
「お義母様、ローレンス様はあのようなお方でしたでしょうか?」
「昔に戻っちゃった感じね。キャシーちゃんと会う前よ」
あぁ、氷の貴公子再来状態なんだ。
「それよりも今日は泊まっていくのよね?」
「その予定ですが」
「楽しみだわ」
夕食時にはお義父様も帰ってきていて、夕食は鴨のオレンジソース掛けで、私の大好物だった。
サミュエル先生もお義父様に話があるからと残っていたし、夕食のテーブルは和やかな時間が過ぎていった。
カティさんの食べ方は、はっきりいって上品じゃない。大口を開けて食べるし、口に物が入ったまま話そうとするし、カトラリーはカチャカチャと音を立てて使うし。その度にお義母様とローレンス様が注意するんだけど、それに対して不満そうにしているし。学ぶ気はあるのかしら?
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