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学院高等部 最終学年生
モンタピュア国
モンタピュア国はなんとか他国と繋がりを作ろうと必死のようだ。モンタピュア国の主要産業は観光だったんだけれど、今は見る影もないそうだ。
「自然豊かな国だったんだけどね。モンターニュダイヤの鉱脈が発見されてさ」
ラッセル様が会話に乱入してきた。モンターニュダイヤってカラーチェンジダイヤモンドよね?カットによっても色が変わってくるから難しいってプレシャスペブルが言っていた気がする。偏光ダイヤとも呼ぶって聞いたけれど。
「そのモンターニュダイヤの鉱脈を巡って、内戦に突入したんだよ。人の欲は怖いよね」
「モンターニュダイヤかぁ。お目にかかったことはないけど、ものすごく希少な宝石だって王妃陛下が仰っていたらしいよ」
あら、おねだりしたのかしら。それならモンタピュア国がこの場にいるのは、ご招待かも?
「その内戦でもしや自然は壊されてしまったのでしょうか?」
「うーん、それは僕にも分からないんだよね」
「聞いてみれば?キャシーちゃん。光の聖女候補が話をしたいと言えば、拒む国は無いと思うよ」
光の聖女候補だからかぁ。光の聖女候補と呼ばれる事にも慣れたし、光の聖女という称号を背負う覚悟は出来ていると思う。でも、光の聖女候補だからって会話を拒む事は無いと言われるとなんだか複雑だ。私自身ではなく称号と話したいんだろうな、という邪推が……。あぁ、ダメダメ。そんな事は考えちゃダメ。私だって最初から印象を固定されて、嫌な思いをした事があるのに、自分がそうなっちゃダメよね。
「キャシーちゃん?」
「後程ご紹介いただけますか?」
「喜んで。何を葛藤してたんだい?」
サミュエル先生はお見通しらしい。
「私自身ではなく、光の聖女候補と話をしたいのだろうなと考えてしまって。先入観は捨てないとと反省しておりました」
「真面目だねぇ」
ラッセル様が笑う。ついでに頭を撫でられそうになった。付いてきていたリーサさんに阻止されていたけれど。
「あ、そうだ。マルムグヴィスト嬢、お父上にお会いしたよ」
「父さんに?」
「魔道具の相談をしたら、あっという間に最適解を導きだしたよ。さすがだねぇ」
「何の魔道具なんですか?」
「真贋判定機」
「え?」
「正確に言うと嘘発見器だね。人の手の水分量と魔力の揺らぎで嘘を見破るんだ。実用化はまだまだだけど、これに心理学を組み合わせれば良いところまで行くと思うんだよね」
「それって……。それよりも真贋判定機の方が先に必要では?」
「そちらも同時進行で進んでいるはずだよ。僕は嘘発見器の方に興味がいっちゃったから、そっちをメインにしているけど」
「他にも製作チームが?」
「うん。おっ、フェルナー嬢、陛下達が呼んでるよ」
「陛下達がって……」
さっきまで貴族達の挨拶を受けていたわよね?私達はまだ学生だからと免除されていたはずだけれど、挨拶が必要なのかしら?
「仕方がないね。行こうか」
「ご挨拶ですか?」
「令嬢達を集めて親密さをアピールしたいんだろうね。ほら、グクラン嬢やウォーリィ嬢も集まってきている」
他にも見知った顔が移動を始めている。私も両陛下達の元に歩を進めた。
陛下達が居られる玉座近くに、私の友人達が集まった。
「これは華やかな。これほど見事な花が一堂に会すとは眼福ですな」
ウィンスタミア公爵が大袈裟に言葉を紡ぐ。
「よく来てくれましたね。次代の花達。さぁ、こちらにいらっしゃい」
王妃陛下に導かれて、さらに一歩玉座に近づく。これ以上は近付けないのよ。階段状になっていて、上がれるのは王族以上だから。
お義父様とお義母様が、ニコニコと私達を見ているのが見えた。
「ご挨拶を」
サミュエル先生に促されて、一斉にカーツィーを行う。
「「「「「輝ける国の太陽と月の両陛下に、ご挨拶を申し上げます」」」」」
「場が華やいだな。見事な礼だった」
陛下の言葉に周囲から惜しみ無い拍手が贈られた。
「他の国の方々もいらっしゃっているのよ。お話ししてみてはどうかしら」
なるほど。こうやって賓客との会談の時間を取ってくれるのね。
「ありがとう存じます」
お義父様や宰相方の案内で、賓客の方々の方に赴く。私が最初に連れていかれたのは、ゴーヴィリス国の方々のテーブル。
「キャスリーン、久しぶりね」
「お久しぶりでございます。フロレシア様」
「今日はアーチャーは来ていないから安心してね?」
安心してって、まぁ、安心ですけれどね。はっきり仰いますね、フロレシア様。
エドガーさんは真面目くさって座っていて、こちらを見もしない。そんなエドガーさんに一生懸命ちょっかいを出して、笑わそうとしているラッセル様、やめて差し上げてください。エドガーさんより周りの方が大変そうです。私とオルレーニュ大公ご夫妻が話している横で、必死に笑いをこらえているんだもの。エドガーさんは必死に視界に入れないようにしてるし。
キプァ国、アウレリア国、アサナド公国と挨拶に回って、最後にシャスマネー国とモンタピュア国のテーブルに近付いた。特使としてスタヴィリス国を訪問しているのは、わずか3名。シャスマネー国の特使の方々と同じテーブルで、シャスマネー国がモンタピュア国を庇護している立場だそうだ。属国ではないけれど、限りなく近いらしい。シャスマネー国は徐々に手を引くと言っていたけれど、それを信用して良いのかは分からない。友好国と言いながら不利な通商条約を結ばされる事も珍しくはないから。
「モンタピュア国特使のベルンハルト・ブッシュバウムと申します」
「同じく特使のカールハインツ・オイケンです」
「同じく特使として同行していますゾフィー・フリーデです。光の聖女様にお目にかかれて光栄です」
「キャスリーン・フェルナーと申します。光の聖女候補です」
ベルンハルト・ブッシュバウム様は流暢なヴィリス語を話しているけれど、カールハインツ・オイケン様とゾフィー・フリーデ様のヴィリス語は少し辿々しい。
「モンタピュア国の公用語はシャーマニー語だよ」
こっそりサミュエル先生が囁いてくれた。
【シャーマニー語でお話出来ます。あまり上手くは話せませんが】
【おや、話せるのですか?】
【医師資格を有していますので】
【ほぅ。喜ばしい事です。まさか光の聖女様がシャーマニー語をお話になられるとは】
【勉強しましたから】
シャーマニー語の敬語って難しくて時々乱れちゃうけれど、シャスマネー国の方々もモンタピュア国の方々も許してくれた。
【私は不勉強で、モンタピュア国を存じ上げておりませんでしたけれど、ラッセル様から素晴らしい景観だったと聞き及んでおります】
【おぉ、それは嬉しいですね。内戦で破壊されてしまった場所もありますが、モンタピュアのゲットリッシャー・ザントカステンは荒らされずにすみました】
【ゲットリッシャー……?】
【ゲットリッシャー・ザントカステンです。神々が自らの手で景観を作り上げたと伝えられる場所です。花々が咲き誇り、樹木の緑が湖の碧に映え、神々のお手作りだと納得の景観なのですよ】
【聞いているだけで行ってみたいと思いました】
【是非お越しください。光の聖女様がお出でになるまでに、少しでも元の美しいモンタピュア国を取り戻しておきます】
【その際はシャスマネー国にもお立ち寄りくださいね】
【はい。機会があれば。それでは失礼いたします】
「自然豊かな国だったんだけどね。モンターニュダイヤの鉱脈が発見されてさ」
ラッセル様が会話に乱入してきた。モンターニュダイヤってカラーチェンジダイヤモンドよね?カットによっても色が変わってくるから難しいってプレシャスペブルが言っていた気がする。偏光ダイヤとも呼ぶって聞いたけれど。
「そのモンターニュダイヤの鉱脈を巡って、内戦に突入したんだよ。人の欲は怖いよね」
「モンターニュダイヤかぁ。お目にかかったことはないけど、ものすごく希少な宝石だって王妃陛下が仰っていたらしいよ」
あら、おねだりしたのかしら。それならモンタピュア国がこの場にいるのは、ご招待かも?
「その内戦でもしや自然は壊されてしまったのでしょうか?」
「うーん、それは僕にも分からないんだよね」
「聞いてみれば?キャシーちゃん。光の聖女候補が話をしたいと言えば、拒む国は無いと思うよ」
光の聖女候補だからかぁ。光の聖女候補と呼ばれる事にも慣れたし、光の聖女という称号を背負う覚悟は出来ていると思う。でも、光の聖女候補だからって会話を拒む事は無いと言われるとなんだか複雑だ。私自身ではなく称号と話したいんだろうな、という邪推が……。あぁ、ダメダメ。そんな事は考えちゃダメ。私だって最初から印象を固定されて、嫌な思いをした事があるのに、自分がそうなっちゃダメよね。
「キャシーちゃん?」
「後程ご紹介いただけますか?」
「喜んで。何を葛藤してたんだい?」
サミュエル先生はお見通しらしい。
「私自身ではなく、光の聖女候補と話をしたいのだろうなと考えてしまって。先入観は捨てないとと反省しておりました」
「真面目だねぇ」
ラッセル様が笑う。ついでに頭を撫でられそうになった。付いてきていたリーサさんに阻止されていたけれど。
「あ、そうだ。マルムグヴィスト嬢、お父上にお会いしたよ」
「父さんに?」
「魔道具の相談をしたら、あっという間に最適解を導きだしたよ。さすがだねぇ」
「何の魔道具なんですか?」
「真贋判定機」
「え?」
「正確に言うと嘘発見器だね。人の手の水分量と魔力の揺らぎで嘘を見破るんだ。実用化はまだまだだけど、これに心理学を組み合わせれば良いところまで行くと思うんだよね」
「それって……。それよりも真贋判定機の方が先に必要では?」
「そちらも同時進行で進んでいるはずだよ。僕は嘘発見器の方に興味がいっちゃったから、そっちをメインにしているけど」
「他にも製作チームが?」
「うん。おっ、フェルナー嬢、陛下達が呼んでるよ」
「陛下達がって……」
さっきまで貴族達の挨拶を受けていたわよね?私達はまだ学生だからと免除されていたはずだけれど、挨拶が必要なのかしら?
「仕方がないね。行こうか」
「ご挨拶ですか?」
「令嬢達を集めて親密さをアピールしたいんだろうね。ほら、グクラン嬢やウォーリィ嬢も集まってきている」
他にも見知った顔が移動を始めている。私も両陛下達の元に歩を進めた。
陛下達が居られる玉座近くに、私の友人達が集まった。
「これは華やかな。これほど見事な花が一堂に会すとは眼福ですな」
ウィンスタミア公爵が大袈裟に言葉を紡ぐ。
「よく来てくれましたね。次代の花達。さぁ、こちらにいらっしゃい」
王妃陛下に導かれて、さらに一歩玉座に近づく。これ以上は近付けないのよ。階段状になっていて、上がれるのは王族以上だから。
お義父様とお義母様が、ニコニコと私達を見ているのが見えた。
「ご挨拶を」
サミュエル先生に促されて、一斉にカーツィーを行う。
「「「「「輝ける国の太陽と月の両陛下に、ご挨拶を申し上げます」」」」」
「場が華やいだな。見事な礼だった」
陛下の言葉に周囲から惜しみ無い拍手が贈られた。
「他の国の方々もいらっしゃっているのよ。お話ししてみてはどうかしら」
なるほど。こうやって賓客との会談の時間を取ってくれるのね。
「ありがとう存じます」
お義父様や宰相方の案内で、賓客の方々の方に赴く。私が最初に連れていかれたのは、ゴーヴィリス国の方々のテーブル。
「キャスリーン、久しぶりね」
「お久しぶりでございます。フロレシア様」
「今日はアーチャーは来ていないから安心してね?」
安心してって、まぁ、安心ですけれどね。はっきり仰いますね、フロレシア様。
エドガーさんは真面目くさって座っていて、こちらを見もしない。そんなエドガーさんに一生懸命ちょっかいを出して、笑わそうとしているラッセル様、やめて差し上げてください。エドガーさんより周りの方が大変そうです。私とオルレーニュ大公ご夫妻が話している横で、必死に笑いをこらえているんだもの。エドガーさんは必死に視界に入れないようにしてるし。
キプァ国、アウレリア国、アサナド公国と挨拶に回って、最後にシャスマネー国とモンタピュア国のテーブルに近付いた。特使としてスタヴィリス国を訪問しているのは、わずか3名。シャスマネー国の特使の方々と同じテーブルで、シャスマネー国がモンタピュア国を庇護している立場だそうだ。属国ではないけれど、限りなく近いらしい。シャスマネー国は徐々に手を引くと言っていたけれど、それを信用して良いのかは分からない。友好国と言いながら不利な通商条約を結ばされる事も珍しくはないから。
「モンタピュア国特使のベルンハルト・ブッシュバウムと申します」
「同じく特使のカールハインツ・オイケンです」
「同じく特使として同行していますゾフィー・フリーデです。光の聖女様にお目にかかれて光栄です」
「キャスリーン・フェルナーと申します。光の聖女候補です」
ベルンハルト・ブッシュバウム様は流暢なヴィリス語を話しているけれど、カールハインツ・オイケン様とゾフィー・フリーデ様のヴィリス語は少し辿々しい。
「モンタピュア国の公用語はシャーマニー語だよ」
こっそりサミュエル先生が囁いてくれた。
【シャーマニー語でお話出来ます。あまり上手くは話せませんが】
【おや、話せるのですか?】
【医師資格を有していますので】
【ほぅ。喜ばしい事です。まさか光の聖女様がシャーマニー語をお話になられるとは】
【勉強しましたから】
シャーマニー語の敬語って難しくて時々乱れちゃうけれど、シャスマネー国の方々もモンタピュア国の方々も許してくれた。
【私は不勉強で、モンタピュア国を存じ上げておりませんでしたけれど、ラッセル様から素晴らしい景観だったと聞き及んでおります】
【おぉ、それは嬉しいですね。内戦で破壊されてしまった場所もありますが、モンタピュアのゲットリッシャー・ザントカステンは荒らされずにすみました】
【ゲットリッシャー……?】
【ゲットリッシャー・ザントカステンです。神々が自らの手で景観を作り上げたと伝えられる場所です。花々が咲き誇り、樹木の緑が湖の碧に映え、神々のお手作りだと納得の景観なのですよ】
【聞いているだけで行ってみたいと思いました】
【是非お越しください。光の聖女様がお出でになるまでに、少しでも元の美しいモンタピュア国を取り戻しておきます】
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【はい。機会があれば。それでは失礼いたします】
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