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学院初等部 2学年生
心的外傷
ミリアディス様との面会に、王宮を訪れた。お義父様も一緒だ。ミリアディス様は王子妃教育の合間を縫ってお会いしてくださる。
「なんだか申し訳ないです」
「王宮が予定を組んだんだ。遠慮はしなくて良い」
お義父様の手には書類挟みがあって、そこには私とローレンスお義兄様の婚約契約書が挟まれている。
この前10歳になった私は、予定通りローレンスお義兄様の婚約者になった。誕生祝いと共に差し出されたのは婚約契約書とサファイアのネックレスとイヤリングのセット。
「約束だったからね。指輪は私が稼いだお金で贈るから」
約束というか、私は知らなかったんですけどね。嫌ではないし、むしろ嬉しい。
「ローレンスったら、指輪だけはって譲らなかったのよ」
「お義兄様」
「婚約者でお義兄様はおかしくないかい?」
「ローレンス様?」
とたんに顔が熱くなった。
「年明けには正式に発表する。ランベルトとエスクーア伯爵令嬢との婚約も、早い内に発表する」
「エスクーア様とランベルトお義兄様が、婚約なされるのですか?」
「そういう事だ」
ランベルトお義兄様がぶっきらぼうに言った。あ、耳が赤い。
その書類を今日、出しに行くらしい。
義兄妹での婚約は、特に忌避されていない。学院でも言われたけど、婚約年齢に満たない子供を養子として引き取り、その家の子と婚姻させるのは、たまにあるのだそうだ。主に両者の年齢が離れている場合に行われる手段なんだって。だからあの時、先輩達がローレンスお義兄様の婚約者として私を引き取ったなんて言ったのか。
王宮に着いた。ミリアディス様との面会場所までは王宮の案内役に先導してもらう。
「キャスリーン?どうした?」
案内してもらおうとお義父様と別れたら、とたんに足が動かなくなった。様子を見ていたらしいお義父様が声をかけてくれた。
「申し訳ございません。足が動かなくて」
足がすくんで動かない。付いていっても良いのかって、思ってしまった。
大きく息を吐いて、ゆっくりと吸い込む。倍の時間をかけて吐き出したらもう一度繰り返す。何度か繰り返していると、落ち着いてきた。
「大丈夫そうです。ご心配をおかけしました」
なおも心配そうなお義父様と別れて、案内人の後について行く。
「お嬢様、大丈夫ですか?」
「はい。申し訳ございません」
「具合がお悪いようならお申し付けくださいね」
「ありがとうございます」
案内人が気遣ってくれた。
いくつかの角を曲がり、贅沢なガラス張りの建物に到着した。
「こちらでございます」
「ありがとうございます」
お礼を言って、開けてもらったドアを潜る。
「キャスリーン様、どうぞこちらへ」
そこはコンバサトリーだった。王家の花といわれる百合の芳醇な香りが漂っている。
「フルール・ド・リス……」
「何か仰いましたか?」
「いいえ。芳醇な百合の香りですね」
「王家を象徴する花ですからね。年越しの祝いでは王妃殿下が育てられた百合が神に捧げられます」
「いろんな色があるんですね」
「そうですね。代々の王妃殿下、王子妃殿下方が大切に育てておられます。品種改良を試される殿下もいらっしゃいますから、これだけの種類になったのでございますよ」
白、黄色、ピンク、オレンジ、赤、チョコレート色のクロユリもある。
「キャスリーン様はどれがお好みですか?」
「どれも素敵で……。でも、この黄色い筋の入った濃いピンクの斑点の、この白い百合は綺麗だと思います。こっちのピンクのも素敵。どうしよう、選べません」
案内の侍女さんが息を飲んだのが分かった。何かおかしな事を言っちゃっただろうか。
「こちらのピンクの大振りの百合は王太子妃殿下の百合です。こちらの黄色い筋の入った白い百合は王妃殿下の百合ですわね」
「そうだったのですね」
「キャスリーン様は……いえ。何でもございません」
コンバサトリーの奥にミリアディス様の姿が見えた。
「ミリアディス様、キャスリーン・フェルナー様がいらっしゃいました」
ミリアディス様は他に比べて小振りなマドンナリリーを、手入れしていた。
「キャスリーン様」
「お久しぶりでございます」
カーツィーで挨拶をする。
「見事なカーツィーですわね」
「恐れ入ります」
転生して侯爵家で淑女教育を受けて初めて知ったんだけど、日本でカーテシーといわれていた「curtsy」は、こちらではカーツィーというらしい。ブーランジュ先生に聞いたらこちらではカーツィーが正しい言い方だと仰っていたから、文化の違いもあるのかもしれない。
コンバサトリーに置かれた小さなテーブルに向かい合って座る。さっきの侍女さんが紅茶を淹れてくれた。
「どうぞ召し上がれ」
紅茶をつい見てしまう。手が伸ばせない。
「キャスリーン様?」
「申し訳ございません」
カップを手に取る。カチャッと音がした。
「キャスリーン様、どうなさったの?」
手が震えて紅茶が飲めない。
「キャスリーン様、落ち着いて。大丈夫ですよ」
侍女さんが背中を撫でてくれた。カップも戻してくれた。
「キャスリーン様、どうなさったの?」
「無作法をいたしました」
「夏期休暇にお会いした時はお変わりございませんでしたわよね?」
「申し訳ございません」
「よろしいのですけれど。本当に大丈夫ですの?」
「はい」
紅茶に一口も口を付けないのは、マナー違反だ。でもカップを持てない。
「ミリアディス様、ミリアディス様の補佐というお話、お受けしたいと思います」
「受けてくださるの?」
「はい。微力ながらお手伝いさせてくださいませ」
「そう。嬉しいわ。ララ様は救民院で頑張られるそうよ」
「ララ様も報告に来られたんですか?」
「お会いしたのよ、教会で」
「行っておられたんですね」
「偶然よ。キャスリーン様はその……」
「お聞きになっておられましたか」
「お辛い目に遭われましたのね」
「終わった事ですから」
私は笑えているだろうか?ミリアディス様が私を辛そうに見ていた。
「フェルナー様は王妃殿下の百合と王太子妃殿下の百合を、言い当てられました」
話が途切れた時、侍女さんが口を挟んだ。
「まぁ。キャスリーン様、言い当てられましたの?」
「好みの百合の話ですか?どれも甲乙付けがたいんですけど、目を引いたのがその2種類だったんです」
「もっと大振りの真っ白な百合もございましたでしょう?花びらが反り返った赤い百合とか」
カサブランカとグロリオサみたいな百合ね。
ミリアディス様との話を終えて退室しようとしたら、引き留められた。お義父様が来るまで待っていなさいという事らしい。
お義父様が来るまで侍女さんに百合を見せてもらった。見れば見るほどいろんな百合がある。その中に変わった百合があった。濃いピンクの花弁が宝石のようにキラキラと輝く百合なんだけど、花が固まって咲いていて花びらが細いし、おしべが長い気がする。
「これって百合ですか?」
「百合に似ていますけれどもね」
百合ではないらしい。
「4代前の王子妃のお一人が気に入られたそうで、ナリーネと呼ばれています」
ネリネかな?別名ダイヤモンドリリー。ヒガンバナ科なんだよね。ヒガンバナにも百合にも似てて、結構好きだけど。
「キャスリーン。待ったかい?」
お義父様が迎えに来てくれた。
「いいえ。百合を見せていただいておりましたの」
「王家の百合は、妃殿下方がお手ずから育てていらっしゃるからな。見事だろう?」
「はい。香りも素晴らしいしいろんな種類があって目移りしてしまいます」
「キャスリーンはまだ参加出来ないが、年越しの祝いにはこの百合達も飾られるんだよ」
「そうなのですね」
「なんだか申し訳ないです」
「王宮が予定を組んだんだ。遠慮はしなくて良い」
お義父様の手には書類挟みがあって、そこには私とローレンスお義兄様の婚約契約書が挟まれている。
この前10歳になった私は、予定通りローレンスお義兄様の婚約者になった。誕生祝いと共に差し出されたのは婚約契約書とサファイアのネックレスとイヤリングのセット。
「約束だったからね。指輪は私が稼いだお金で贈るから」
約束というか、私は知らなかったんですけどね。嫌ではないし、むしろ嬉しい。
「ローレンスったら、指輪だけはって譲らなかったのよ」
「お義兄様」
「婚約者でお義兄様はおかしくないかい?」
「ローレンス様?」
とたんに顔が熱くなった。
「年明けには正式に発表する。ランベルトとエスクーア伯爵令嬢との婚約も、早い内に発表する」
「エスクーア様とランベルトお義兄様が、婚約なされるのですか?」
「そういう事だ」
ランベルトお義兄様がぶっきらぼうに言った。あ、耳が赤い。
その書類を今日、出しに行くらしい。
義兄妹での婚約は、特に忌避されていない。学院でも言われたけど、婚約年齢に満たない子供を養子として引き取り、その家の子と婚姻させるのは、たまにあるのだそうだ。主に両者の年齢が離れている場合に行われる手段なんだって。だからあの時、先輩達がローレンスお義兄様の婚約者として私を引き取ったなんて言ったのか。
王宮に着いた。ミリアディス様との面会場所までは王宮の案内役に先導してもらう。
「キャスリーン?どうした?」
案内してもらおうとお義父様と別れたら、とたんに足が動かなくなった。様子を見ていたらしいお義父様が声をかけてくれた。
「申し訳ございません。足が動かなくて」
足がすくんで動かない。付いていっても良いのかって、思ってしまった。
大きく息を吐いて、ゆっくりと吸い込む。倍の時間をかけて吐き出したらもう一度繰り返す。何度か繰り返していると、落ち着いてきた。
「大丈夫そうです。ご心配をおかけしました」
なおも心配そうなお義父様と別れて、案内人の後について行く。
「お嬢様、大丈夫ですか?」
「はい。申し訳ございません」
「具合がお悪いようならお申し付けくださいね」
「ありがとうございます」
案内人が気遣ってくれた。
いくつかの角を曲がり、贅沢なガラス張りの建物に到着した。
「こちらでございます」
「ありがとうございます」
お礼を言って、開けてもらったドアを潜る。
「キャスリーン様、どうぞこちらへ」
そこはコンバサトリーだった。王家の花といわれる百合の芳醇な香りが漂っている。
「フルール・ド・リス……」
「何か仰いましたか?」
「いいえ。芳醇な百合の香りですね」
「王家を象徴する花ですからね。年越しの祝いでは王妃殿下が育てられた百合が神に捧げられます」
「いろんな色があるんですね」
「そうですね。代々の王妃殿下、王子妃殿下方が大切に育てておられます。品種改良を試される殿下もいらっしゃいますから、これだけの種類になったのでございますよ」
白、黄色、ピンク、オレンジ、赤、チョコレート色のクロユリもある。
「キャスリーン様はどれがお好みですか?」
「どれも素敵で……。でも、この黄色い筋の入った濃いピンクの斑点の、この白い百合は綺麗だと思います。こっちのピンクのも素敵。どうしよう、選べません」
案内の侍女さんが息を飲んだのが分かった。何かおかしな事を言っちゃっただろうか。
「こちらのピンクの大振りの百合は王太子妃殿下の百合です。こちらの黄色い筋の入った白い百合は王妃殿下の百合ですわね」
「そうだったのですね」
「キャスリーン様は……いえ。何でもございません」
コンバサトリーの奥にミリアディス様の姿が見えた。
「ミリアディス様、キャスリーン・フェルナー様がいらっしゃいました」
ミリアディス様は他に比べて小振りなマドンナリリーを、手入れしていた。
「キャスリーン様」
「お久しぶりでございます」
カーツィーで挨拶をする。
「見事なカーツィーですわね」
「恐れ入ります」
転生して侯爵家で淑女教育を受けて初めて知ったんだけど、日本でカーテシーといわれていた「curtsy」は、こちらではカーツィーというらしい。ブーランジュ先生に聞いたらこちらではカーツィーが正しい言い方だと仰っていたから、文化の違いもあるのかもしれない。
コンバサトリーに置かれた小さなテーブルに向かい合って座る。さっきの侍女さんが紅茶を淹れてくれた。
「どうぞ召し上がれ」
紅茶をつい見てしまう。手が伸ばせない。
「キャスリーン様?」
「申し訳ございません」
カップを手に取る。カチャッと音がした。
「キャスリーン様、どうなさったの?」
手が震えて紅茶が飲めない。
「キャスリーン様、落ち着いて。大丈夫ですよ」
侍女さんが背中を撫でてくれた。カップも戻してくれた。
「キャスリーン様、どうなさったの?」
「無作法をいたしました」
「夏期休暇にお会いした時はお変わりございませんでしたわよね?」
「申し訳ございません」
「よろしいのですけれど。本当に大丈夫ですの?」
「はい」
紅茶に一口も口を付けないのは、マナー違反だ。でもカップを持てない。
「ミリアディス様、ミリアディス様の補佐というお話、お受けしたいと思います」
「受けてくださるの?」
「はい。微力ながらお手伝いさせてくださいませ」
「そう。嬉しいわ。ララ様は救民院で頑張られるそうよ」
「ララ様も報告に来られたんですか?」
「お会いしたのよ、教会で」
「行っておられたんですね」
「偶然よ。キャスリーン様はその……」
「お聞きになっておられましたか」
「お辛い目に遭われましたのね」
「終わった事ですから」
私は笑えているだろうか?ミリアディス様が私を辛そうに見ていた。
「フェルナー様は王妃殿下の百合と王太子妃殿下の百合を、言い当てられました」
話が途切れた時、侍女さんが口を挟んだ。
「まぁ。キャスリーン様、言い当てられましたの?」
「好みの百合の話ですか?どれも甲乙付けがたいんですけど、目を引いたのがその2種類だったんです」
「もっと大振りの真っ白な百合もございましたでしょう?花びらが反り返った赤い百合とか」
カサブランカとグロリオサみたいな百合ね。
ミリアディス様との話を終えて退室しようとしたら、引き留められた。お義父様が来るまで待っていなさいという事らしい。
お義父様が来るまで侍女さんに百合を見せてもらった。見れば見るほどいろんな百合がある。その中に変わった百合があった。濃いピンクの花弁が宝石のようにキラキラと輝く百合なんだけど、花が固まって咲いていて花びらが細いし、おしべが長い気がする。
「これって百合ですか?」
「百合に似ていますけれどもね」
百合ではないらしい。
「4代前の王子妃のお一人が気に入られたそうで、ナリーネと呼ばれています」
ネリネかな?別名ダイヤモンドリリー。ヒガンバナ科なんだよね。ヒガンバナにも百合にも似てて、結構好きだけど。
「キャスリーン。待ったかい?」
お義父様が迎えに来てくれた。
「いいえ。百合を見せていただいておりましたの」
「王家の百合は、妃殿下方がお手ずから育てていらっしゃるからな。見事だろう?」
「はい。香りも素晴らしいしいろんな種類があって目移りしてしまいます」
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