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学院中等部 5学年生
湿布
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基剤にポーションを混ぜたら、布に伸ばして湿布は完成なんだけど、これが案外難しい。基剤はわりと簡単なんだけど、そこにポーションを混ぜると一瞬でドロドロになりすぎてしまう。基剤の種類として思い付く物は色々試したんだけど、どれも上手くいかない。湿布の基剤なんて知らないしなぁ。
「珍しくへにょんってなってるね」
「サミュエル先生、相談に乗ってください」
「別に良いけど、その前にこのドロドロは何?」
「痛みを取る外用薬です」
「ガイヨウヤク?って皮膚から吸収させる薬だよね?」
「はい。その薬の成分を少しでも長く留める為に、布に塗ってそれを皮膚に貼りたいんです」
「これじゃ駄目なのかい?」
「これだとドロドロ過ぎて留まってくれません。理想はバターより少し硬い位なんですが」
もうちょっと硬い方がいいかな?
「それって食品でなくてもいいわけ?小麦粉とか卵とか、食べ物が並んでいるけど」
「毒にならなくて皮膚に優しければ何でも良いです」
「あー、フェルナー嬢、それって動物脂でも大丈夫?」
話を聞いていたらしい先輩が聞いた。
「物によります。獣脂だと溶けてしまうかも?」
「あぁ、そっか難しいね」
魅力的な提案だったけど、獣脂は体温で溶ける可能性があるんだよね。
「ちょっと言いにくいんだけど、ある樹の樹液がね、粘り気と硬さがあるんだよね」
「言いにくい、その訳は?」
「人面樹なんだよ」
「なるほど」
「手には入るよ。捨てるしかない使い途が無い物だから」
「コストは?」
「たぶんね、引き取るならお金を払ってでもお願いしますって言われるよ。どこでも廃棄法に苦慮しててさ。酒になら溶けるからそこに土を混ぜて街道補填剤にしている領もあるけどね」
「アルコールに溶けるなら、使い途がありそうですけど?」
「街道補填剤としてしか使い途がないんだよ」
「……少しでいいので取り寄せていただけますか?」
「分かった。少し待ってもらえるかい」
「もちろんです」
1週間後にそれは届いた。触感はネバネバというよりペタペタ。スライムっぽいと言えばいいのだろうか。ファンタジーのスライムじゃなくて洗濯のりとホウ砂水で作るスライムね。あの触感。アルコールに溶けるけどポーションには溶けないから、ポーションに少しお酒を混ぜて樹液に混ぜると、理想通りに混ざってくれた。これを布に塗って……。くっついてくれないなぁ。
「フェルナー先輩、どうしたんですか?」
「途中までは上手くいったんだけど」
「これですか?あ、冷たい」
「冷たい?あら、本当だわ」
私とハリス様がポーション入り樹液を触っていると、他のみんなが集まってきた。
「フェルナー嬢、ポーションを入れてない方は冷たくないよ?」
「これって水には溶けないんだったわよね?温めてみたらどうなるのかしら?」
「冷やしたら?誰か氷魔法を使えるの、居ない?」
薬草研究会って新しい素材とか薬草とか手に入れると、みんなが考えを出してそれを試してみるのよね。失敗も多いけど新しい使い途に繋がる場合もある。
「人面樹の樹液でしたっけ?こんなのだったんだ」
「あら?冷やしたらプルプルになったわ」
「温めたら溶けたわよ。臭いもスゴいけど」
「ってか、なんだか甘い香りじゃない?ボーッとして来た」
「水入れて!!あ、固まった」
もう大騒ぎだ。
「窓を開けてください。換気をしないと」
「フェルナー嬢、これって触り心地が気持ちいいよ」
冷やした樹液ですね。どうでもいいけど窓を開けてください。手伝ってくれるのはハリス様だけなんだもの。
「サミュエル先生、この樹液って無害なんですよね?」
のんびりと隣から出てきたサミュエル先生に聞いてみる。
「無害という報告結果は出ているよ。いやはやこんなになるなんてね」
「呑気すぎませんか?」
「自覚はあるよ」
自覚はあるのね。
「でもね、本当に大丈夫なんだ。人面樹の樹液は研究され続けているからね。生徒達がやってた実験は、すべて試されてるよ。あぁ、ひとつだけ試されていない実験があるね」
嫌な予感がする。
「キャシーちゃんのやっていた実験は試されていない」
やっぱりぃぃぃぃ。
「少しでも有用になるって分かったんだから、誇っていいと思うよ」
「湿布を作りたかっただけなのに」
「キャシーちゃんが作ったって公表はしないよ。薬事局に後は任せよう」
「良いのでしょうか?」
「良いんだよ。その為の機関なんだから、アイツらも少しは貢献しないとね」
薬事局というのは薬の承認を行う機関だ。お義父様曰く「王宮内で1番簡単で暇な部署」らしい。というのも、通常薬の販売に薬事局の許可は要らない。その仕事は衛生健康局薬師部が担っている。薬事局の仕事は申請された書類を読んで、それが適切かを判断し、認可印を押すだけ。
薬事局が生まれた時には重要な機関だったらしいけど、今や新薬の開発は年に1つ有るか無いかだ。必然的に引退間近の役人が回される窓際部署となっているらしい。
私とサミュエル先生が話していると、ハリス様がふくれっ面でやって来た。
「フェルナー先輩、フェルナー先輩をお姉さまって呼んで良いですか?」
「はい?」
この子は誰に何を吹き込まれたの?
「急にどうなさいましたの?」
「おにい……バージェフ先輩に姉弟みたいだねって言われて、そしたらアカリちゃんが迷惑してるんじゃない?って」
アカリというのはブラック男爵家の令嬢だ。祖先の一人が転生者だったらしく、長女には必ず『アカリと名付けるべし』という家訓があるらしい。転生者の血筋だからと少し傲慢な所があって、よくトラブルを起こしている。薬草研究会の仕事は文句を言わずにやってくれるんだけどね。少し雑だけど。
「お姉さま、ですか。ハリス様に迷惑はかけられておりませんけど、それでお気が済むのでしたら」
「止めておいた方がいいね。どうしてもって言うなら名前呼びを許した方がいいよ」
私達の会話を聞いていたサミュエル先生から、アドバイスをもらった。
「じゃあ、じゃあ、キャスリーン様って呼んでも良いですか?」
「えぇ」
喜色満面になったハリス様を微笑ましく見る。
「後はキャシーちゃんがハリス嬢を名前で呼ぶとかね」
「あ、それいいです。エマって呼んでください」
「……エマ様?」
「エマでいいです」
「呼び捨てはちょっと……。エマさんとか?」
「キャシーちゃん……」
年下の子って慣れてないんだもの。
「エマ……ちゃん?」
ハリス様……エマちゃんが喜色満面になった。
湿布の製法は薬事局に届けられた。サミュエル先生によると久しぶりの認可印を押すだけでない仕事に、最初、薬事局は反発したらしい。でも、私の湿布を張って効果が分かると、布にポーション入り樹液を定着する手段を色々と探ってくれているらしい。
今は布に塗って伸ばして定着させずにゲル状の物をそのまま使用してもいいのでは?という方向に進んでいるそうだ。
「方向がずれてきてるんだよね」
「あのまま使えるなら別にいいですけど。冷やした樹液は熱中症の時に使えそうです。後は発熱時とか」
「そうだね。入れ物に入れておいて必要な量を必要な大きさに伸ばせばいいんだからね。よし、そっちも言ってみよう」
薬事局の皆さん、お仕事を増やして申し訳ありません。
「心配ないよ。嬉々として取り組んでいるらしいから」
ブランジット公爵閣下が知らせてくださったようです。結果として良かったとは思うけど、これってお義父様にも知られているよね?
「珍しくへにょんってなってるね」
「サミュエル先生、相談に乗ってください」
「別に良いけど、その前にこのドロドロは何?」
「痛みを取る外用薬です」
「ガイヨウヤク?って皮膚から吸収させる薬だよね?」
「はい。その薬の成分を少しでも長く留める為に、布に塗ってそれを皮膚に貼りたいんです」
「これじゃ駄目なのかい?」
「これだとドロドロ過ぎて留まってくれません。理想はバターより少し硬い位なんですが」
もうちょっと硬い方がいいかな?
「それって食品でなくてもいいわけ?小麦粉とか卵とか、食べ物が並んでいるけど」
「毒にならなくて皮膚に優しければ何でも良いです」
「あー、フェルナー嬢、それって動物脂でも大丈夫?」
話を聞いていたらしい先輩が聞いた。
「物によります。獣脂だと溶けてしまうかも?」
「あぁ、そっか難しいね」
魅力的な提案だったけど、獣脂は体温で溶ける可能性があるんだよね。
「ちょっと言いにくいんだけど、ある樹の樹液がね、粘り気と硬さがあるんだよね」
「言いにくい、その訳は?」
「人面樹なんだよ」
「なるほど」
「手には入るよ。捨てるしかない使い途が無い物だから」
「コストは?」
「たぶんね、引き取るならお金を払ってでもお願いしますって言われるよ。どこでも廃棄法に苦慮しててさ。酒になら溶けるからそこに土を混ぜて街道補填剤にしている領もあるけどね」
「アルコールに溶けるなら、使い途がありそうですけど?」
「街道補填剤としてしか使い途がないんだよ」
「……少しでいいので取り寄せていただけますか?」
「分かった。少し待ってもらえるかい」
「もちろんです」
1週間後にそれは届いた。触感はネバネバというよりペタペタ。スライムっぽいと言えばいいのだろうか。ファンタジーのスライムじゃなくて洗濯のりとホウ砂水で作るスライムね。あの触感。アルコールに溶けるけどポーションには溶けないから、ポーションに少しお酒を混ぜて樹液に混ぜると、理想通りに混ざってくれた。これを布に塗って……。くっついてくれないなぁ。
「フェルナー先輩、どうしたんですか?」
「途中までは上手くいったんだけど」
「これですか?あ、冷たい」
「冷たい?あら、本当だわ」
私とハリス様がポーション入り樹液を触っていると、他のみんなが集まってきた。
「フェルナー嬢、ポーションを入れてない方は冷たくないよ?」
「これって水には溶けないんだったわよね?温めてみたらどうなるのかしら?」
「冷やしたら?誰か氷魔法を使えるの、居ない?」
薬草研究会って新しい素材とか薬草とか手に入れると、みんなが考えを出してそれを試してみるのよね。失敗も多いけど新しい使い途に繋がる場合もある。
「人面樹の樹液でしたっけ?こんなのだったんだ」
「あら?冷やしたらプルプルになったわ」
「温めたら溶けたわよ。臭いもスゴいけど」
「ってか、なんだか甘い香りじゃない?ボーッとして来た」
「水入れて!!あ、固まった」
もう大騒ぎだ。
「窓を開けてください。換気をしないと」
「フェルナー嬢、これって触り心地が気持ちいいよ」
冷やした樹液ですね。どうでもいいけど窓を開けてください。手伝ってくれるのはハリス様だけなんだもの。
「サミュエル先生、この樹液って無害なんですよね?」
のんびりと隣から出てきたサミュエル先生に聞いてみる。
「無害という報告結果は出ているよ。いやはやこんなになるなんてね」
「呑気すぎませんか?」
「自覚はあるよ」
自覚はあるのね。
「でもね、本当に大丈夫なんだ。人面樹の樹液は研究され続けているからね。生徒達がやってた実験は、すべて試されてるよ。あぁ、ひとつだけ試されていない実験があるね」
嫌な予感がする。
「キャシーちゃんのやっていた実験は試されていない」
やっぱりぃぃぃぃ。
「少しでも有用になるって分かったんだから、誇っていいと思うよ」
「湿布を作りたかっただけなのに」
「キャシーちゃんが作ったって公表はしないよ。薬事局に後は任せよう」
「良いのでしょうか?」
「良いんだよ。その為の機関なんだから、アイツらも少しは貢献しないとね」
薬事局というのは薬の承認を行う機関だ。お義父様曰く「王宮内で1番簡単で暇な部署」らしい。というのも、通常薬の販売に薬事局の許可は要らない。その仕事は衛生健康局薬師部が担っている。薬事局の仕事は申請された書類を読んで、それが適切かを判断し、認可印を押すだけ。
薬事局が生まれた時には重要な機関だったらしいけど、今や新薬の開発は年に1つ有るか無いかだ。必然的に引退間近の役人が回される窓際部署となっているらしい。
私とサミュエル先生が話していると、ハリス様がふくれっ面でやって来た。
「フェルナー先輩、フェルナー先輩をお姉さまって呼んで良いですか?」
「はい?」
この子は誰に何を吹き込まれたの?
「急にどうなさいましたの?」
「おにい……バージェフ先輩に姉弟みたいだねって言われて、そしたらアカリちゃんが迷惑してるんじゃない?って」
アカリというのはブラック男爵家の令嬢だ。祖先の一人が転生者だったらしく、長女には必ず『アカリと名付けるべし』という家訓があるらしい。転生者の血筋だからと少し傲慢な所があって、よくトラブルを起こしている。薬草研究会の仕事は文句を言わずにやってくれるんだけどね。少し雑だけど。
「お姉さま、ですか。ハリス様に迷惑はかけられておりませんけど、それでお気が済むのでしたら」
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私達の会話を聞いていたサミュエル先生から、アドバイスをもらった。
「じゃあ、じゃあ、キャスリーン様って呼んでも良いですか?」
「えぇ」
喜色満面になったハリス様を微笑ましく見る。
「後はキャシーちゃんがハリス嬢を名前で呼ぶとかね」
「あ、それいいです。エマって呼んでください」
「……エマ様?」
「エマでいいです」
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「キャシーちゃん……」
年下の子って慣れてないんだもの。
「エマ……ちゃん?」
ハリス様……エマちゃんが喜色満面になった。
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今は布に塗って伸ばして定着させずにゲル状の物をそのまま使用してもいいのでは?という方向に進んでいるそうだ。
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「あのまま使えるなら別にいいですけど。冷やした樹液は熱中症の時に使えそうです。後は発熱時とか」
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