224 / 659
学院中等部 6学年生
ミザリア伯爵の治療 ②
しおりを挟む
「フェルナー嬢、我が家のエプルのケーキのお味はいかがですか?」
ウィリアム様があれこれと世話を焼いてくれる。さすがに紅茶は淹れられないけど、私の為に椅子を引いてくれたり、細々とした用事も引き受けてくれている。
「ウィリアムはフェルナー嬢に、好意を持っているようだね」
「光栄ですわ」
胃、大腸、腹膜、肝臓、膵臓、肺と治療を終え、後は脳と心臓を残すのみとなったその日、ミザリア伯爵に話しかけられた。お医者様の痛み止めは効いているようで、痛みは無いらしく、それは救いだと思う。お医者様はラーフェニック様に対して毒と知りながら薬と偽って服毒させていたけれど、伯爵様にはちゃんと職務を遂行していたようだ。脳と心臓を残したのは、ワザとじゃない。心臓はともかく、脳は繊細すぎて手を出せなかったというのが、本当のところだ。
「フェルナー嬢には婚約者がいたよね?」
「はい」
今、この場にウィリアム様は居ない。ミザリア伯爵が用事を言い付けて、席を外している。たぶんこれを言いたくて席を外させたんだと思う。
「そうか、そうだよねぇ」
「あの?」
「いやぁね、孫だからって言う訳じゃないけど、素直な良い子なんだよ」
「こちらに来てからの言動で、重々承知しておりますが?」
「尽くしてるよね」
ハハハと伯爵様が笑う。
「脳の治癒に移ります。脳は繊細な場所ですので、記憶が消える事もあると覚えておいてくださいませ」
「分かったよ」
光魔法で関知した脳の癌細胞は表面だけ。たぶん大丈夫だと思う。でも、保険はかけておきたい。
ミザリア伯爵の手を握り、意識を脳に向ける。左脳の表面、左耳の少し上辺りに集中している癌細胞を、少しずつ正常に生まれ変わらせていく。
「ぐぅっ……」
「伯爵様、いったん止めますね」
伯爵の呻き声が聞こえた為、処置をいったん中止する。
「悪い、ね。中、止させて」
「いいえ。伯爵様の体調が最優先ですから」
紅茶を飲んで息を調えていた伯爵が、ふぅ、と息を吐いた。
「大丈夫だよ。続けてくれるかな?」
再び伯爵の手を握り、意識を脳に向ける。ソッと扉が開いて誰かが入ってきた。
伯爵の呻き声が聞こえて、いったん中断する。
「フェルナー嬢」
「ファレンノーザ公爵閣下。どうなさいました?」
「すまないが、少し急いだ方がいい。休暇が終わってしまう」
「でも……」
「大丈夫だよ。ずいぶん楽になった」
伯爵も言ってくれた。まだ脳と心臓に癌細胞が残っている状態だ。このまま放置すると、また癌細胞が増殖する。それじゃ意味がない。
「ふむ。ウィル、時間的余裕は?」
「帰りの道程を考えると、2日」
「教会に協力を頼もう。エイドリアンとアーノルドは動かしてもいいかね?」
「エイドリアンは動かせぬ。首謀者のようだ。アーノルドはまぁ、大丈夫だな。アヤツは積極的に動いてはおったが、唆されただけのようだ」
「ではアーノルドに頼もう。手紙を書く」
専属執事が紙とペンを用意する。にわかに慌ただしくなる室内。隣に来てくれたファレンノーザ公爵に、ソッと聞いてみた。
「閣下、ラーフェニック様はどうしておられますか?」
「長く臥せっておったからな。リハビリとやらでまずは歩いておる」
それなら安心だ。
「フェルナー嬢こそ、クリスの治療はどうなっておる?」
「ほとんどの癌細胞は取り除けました。後は人のもっとも重要な器官、脳と心臓です。脳の方は後少しなのですが、手こずっております」
「手こずって?」
「脳って繊細な場所ですので、うっかり他の場所の細胞を弄ってしまうと、不味い事になってしまいますので」
「それは慎重にならざるをえないな。心臓は良いのか?」
「こちらも怖いですね。脳よりはマシですが」
「なるほど」
ミザリア伯爵が手紙を書き終え、呼ばれて入室してきたアーノルドに手渡す。アーノルドは手紙を受け取って、出ていった。その後をファレンノーザ公爵の護衛が付いていった。
「さて、フェルナー嬢、悪いが続きを頼めるかな?」
「かしこまりました」
伯爵の側の椅子に座り、手を握って光魔法を使う。休憩前と同じように伯爵が呻き声をあげたらいったん中止する。伯爵には苦痛が我慢出来なくなる前に声をかけてほしいと言っているんだけど、ギリギリまで我慢してくれちゃうんだよね。
「伯爵様、何度も申しますが、ギリギリまで我慢なさらないでくださいませ」
「何度も言ってるけど、ギリギリではないよ。そこはちゃんと考えているよ」
「私は、苦痛を与えたい訳ではないのですよ?」
「知ってるよ。フェルナー嬢の光魔法は温かくて心地いい。心根が綺麗だから、魔法も綺麗なんだろうね」
「伯爵様?誤魔化さないでくださいませ?」
「誤魔化されてくれないね。本当に我慢はしてないよ、ちょっとしか」
「してるじゃありませんか」
私と ミザリア伯爵の会話を、ファレンノーザ公爵が面白そうに見ていた。
脳の癌メタを綺麗に取り除き、正常な細胞に戻すと、ミザリア伯爵は眠ってしまった。わたしも魔力が少なくなって、魔力切れギリギリだ。
フラフラになりながら伯爵の部屋を出ると、ファレンノーザ公爵にヒョイと担ぎ上げられた。肩の上に荷物みたいに、ヒョイっと。
「公爵閣下、降ろしてくださいませ」
「毎回こんな状態か?」
隣を歩くウィリアム様に問いかける。
「毎回です。今日はいつもよりお疲れのようですが」
「フェルナー嬢、人に無理をするなと言う前に、自分も無理をしない方がいい」
「分かっておりますが、必要な事ですので。妥協は出来ません」
「明日中に終わる予定だが、くれぐれも無理だけはするな。良いな?」
「お約束出来かねます」
「なぜそこまで?」
「信念です。それに癌細胞は1つでも残れば再発します。気を抜く訳にはいきません」
「頑固だな」
「申し訳ございません」
「心にもない事を」
低く笑って、私の部屋に足を踏み入れる。私に付けられた侍女が止めていたが、気にも介さずベッドに運ばれた。
侍女がデュベをめくると、ポスンとベッドに放り投げられた。
「ゆっくり休め。無理をする事は許さない」
「はい」
「言っても聞かないだろうがな」
笑いながら言い捨てて、ファレンノーザ公爵は出ていった。
「フェルナー様、夕食はいかがいたしましょう?」
「持ってきていただいてもいいですか?量も少なめで」
「かしこまりました」
侍女が出ていく。要望を伝えに行ってくれたんだと思う。魔力切れになると、頭がフワフワしてまともに立ってられないし、思考も鈍る。命の危険は無いと言われているけれど、本当かどうかは分からない。魔力の量自体が教会の属性判定の水晶の輝きで、なんとなく多い少ないを判別しているだけらしいし。
結局夕食を食べずに寝てしまったらしい。目が覚めると、室内はボンヤリと足元灯が灯っているだけだった。
「お腹空いた、かも?」
ゴソリとベッドから起き上がる。応接セットのテーブルに保温の魔道具に乗せられたスープとサンドイッチが置いてあった。お湯と茶葉も用意されていて、起きたら食べられるようにしてくれてあった。
ありがたく紅茶を淹れ、サンドイッチとスープを頂く。明日、もう今日かな?伯爵の心臓の処置がある。その為にも、もう少し寝ておいた方がいいよね。
思いがけず長い滞在となってしまって、年越しもここで過ごしてしまった。
ローレンス様、心配しているだろうな。お義父様もお義母様もランベルトお義兄様も。
食事を終えて、少しソファーで考えてしまった。もう寝なきゃ。ファレンノーザ公爵に無理は許さないとか言われちゃったし。
おやすみなさい。
ウィリアム様があれこれと世話を焼いてくれる。さすがに紅茶は淹れられないけど、私の為に椅子を引いてくれたり、細々とした用事も引き受けてくれている。
「ウィリアムはフェルナー嬢に、好意を持っているようだね」
「光栄ですわ」
胃、大腸、腹膜、肝臓、膵臓、肺と治療を終え、後は脳と心臓を残すのみとなったその日、ミザリア伯爵に話しかけられた。お医者様の痛み止めは効いているようで、痛みは無いらしく、それは救いだと思う。お医者様はラーフェニック様に対して毒と知りながら薬と偽って服毒させていたけれど、伯爵様にはちゃんと職務を遂行していたようだ。脳と心臓を残したのは、ワザとじゃない。心臓はともかく、脳は繊細すぎて手を出せなかったというのが、本当のところだ。
「フェルナー嬢には婚約者がいたよね?」
「はい」
今、この場にウィリアム様は居ない。ミザリア伯爵が用事を言い付けて、席を外している。たぶんこれを言いたくて席を外させたんだと思う。
「そうか、そうだよねぇ」
「あの?」
「いやぁね、孫だからって言う訳じゃないけど、素直な良い子なんだよ」
「こちらに来てからの言動で、重々承知しておりますが?」
「尽くしてるよね」
ハハハと伯爵様が笑う。
「脳の治癒に移ります。脳は繊細な場所ですので、記憶が消える事もあると覚えておいてくださいませ」
「分かったよ」
光魔法で関知した脳の癌細胞は表面だけ。たぶん大丈夫だと思う。でも、保険はかけておきたい。
ミザリア伯爵の手を握り、意識を脳に向ける。左脳の表面、左耳の少し上辺りに集中している癌細胞を、少しずつ正常に生まれ変わらせていく。
「ぐぅっ……」
「伯爵様、いったん止めますね」
伯爵の呻き声が聞こえた為、処置をいったん中止する。
「悪い、ね。中、止させて」
「いいえ。伯爵様の体調が最優先ですから」
紅茶を飲んで息を調えていた伯爵が、ふぅ、と息を吐いた。
「大丈夫だよ。続けてくれるかな?」
再び伯爵の手を握り、意識を脳に向ける。ソッと扉が開いて誰かが入ってきた。
伯爵の呻き声が聞こえて、いったん中断する。
「フェルナー嬢」
「ファレンノーザ公爵閣下。どうなさいました?」
「すまないが、少し急いだ方がいい。休暇が終わってしまう」
「でも……」
「大丈夫だよ。ずいぶん楽になった」
伯爵も言ってくれた。まだ脳と心臓に癌細胞が残っている状態だ。このまま放置すると、また癌細胞が増殖する。それじゃ意味がない。
「ふむ。ウィル、時間的余裕は?」
「帰りの道程を考えると、2日」
「教会に協力を頼もう。エイドリアンとアーノルドは動かしてもいいかね?」
「エイドリアンは動かせぬ。首謀者のようだ。アーノルドはまぁ、大丈夫だな。アヤツは積極的に動いてはおったが、唆されただけのようだ」
「ではアーノルドに頼もう。手紙を書く」
専属執事が紙とペンを用意する。にわかに慌ただしくなる室内。隣に来てくれたファレンノーザ公爵に、ソッと聞いてみた。
「閣下、ラーフェニック様はどうしておられますか?」
「長く臥せっておったからな。リハビリとやらでまずは歩いておる」
それなら安心だ。
「フェルナー嬢こそ、クリスの治療はどうなっておる?」
「ほとんどの癌細胞は取り除けました。後は人のもっとも重要な器官、脳と心臓です。脳の方は後少しなのですが、手こずっております」
「手こずって?」
「脳って繊細な場所ですので、うっかり他の場所の細胞を弄ってしまうと、不味い事になってしまいますので」
「それは慎重にならざるをえないな。心臓は良いのか?」
「こちらも怖いですね。脳よりはマシですが」
「なるほど」
ミザリア伯爵が手紙を書き終え、呼ばれて入室してきたアーノルドに手渡す。アーノルドは手紙を受け取って、出ていった。その後をファレンノーザ公爵の護衛が付いていった。
「さて、フェルナー嬢、悪いが続きを頼めるかな?」
「かしこまりました」
伯爵の側の椅子に座り、手を握って光魔法を使う。休憩前と同じように伯爵が呻き声をあげたらいったん中止する。伯爵には苦痛が我慢出来なくなる前に声をかけてほしいと言っているんだけど、ギリギリまで我慢してくれちゃうんだよね。
「伯爵様、何度も申しますが、ギリギリまで我慢なさらないでくださいませ」
「何度も言ってるけど、ギリギリではないよ。そこはちゃんと考えているよ」
「私は、苦痛を与えたい訳ではないのですよ?」
「知ってるよ。フェルナー嬢の光魔法は温かくて心地いい。心根が綺麗だから、魔法も綺麗なんだろうね」
「伯爵様?誤魔化さないでくださいませ?」
「誤魔化されてくれないね。本当に我慢はしてないよ、ちょっとしか」
「してるじゃありませんか」
私と ミザリア伯爵の会話を、ファレンノーザ公爵が面白そうに見ていた。
脳の癌メタを綺麗に取り除き、正常な細胞に戻すと、ミザリア伯爵は眠ってしまった。わたしも魔力が少なくなって、魔力切れギリギリだ。
フラフラになりながら伯爵の部屋を出ると、ファレンノーザ公爵にヒョイと担ぎ上げられた。肩の上に荷物みたいに、ヒョイっと。
「公爵閣下、降ろしてくださいませ」
「毎回こんな状態か?」
隣を歩くウィリアム様に問いかける。
「毎回です。今日はいつもよりお疲れのようですが」
「フェルナー嬢、人に無理をするなと言う前に、自分も無理をしない方がいい」
「分かっておりますが、必要な事ですので。妥協は出来ません」
「明日中に終わる予定だが、くれぐれも無理だけはするな。良いな?」
「お約束出来かねます」
「なぜそこまで?」
「信念です。それに癌細胞は1つでも残れば再発します。気を抜く訳にはいきません」
「頑固だな」
「申し訳ございません」
「心にもない事を」
低く笑って、私の部屋に足を踏み入れる。私に付けられた侍女が止めていたが、気にも介さずベッドに運ばれた。
侍女がデュベをめくると、ポスンとベッドに放り投げられた。
「ゆっくり休め。無理をする事は許さない」
「はい」
「言っても聞かないだろうがな」
笑いながら言い捨てて、ファレンノーザ公爵は出ていった。
「フェルナー様、夕食はいかがいたしましょう?」
「持ってきていただいてもいいですか?量も少なめで」
「かしこまりました」
侍女が出ていく。要望を伝えに行ってくれたんだと思う。魔力切れになると、頭がフワフワしてまともに立ってられないし、思考も鈍る。命の危険は無いと言われているけれど、本当かどうかは分からない。魔力の量自体が教会の属性判定の水晶の輝きで、なんとなく多い少ないを判別しているだけらしいし。
結局夕食を食べずに寝てしまったらしい。目が覚めると、室内はボンヤリと足元灯が灯っているだけだった。
「お腹空いた、かも?」
ゴソリとベッドから起き上がる。応接セットのテーブルに保温の魔道具に乗せられたスープとサンドイッチが置いてあった。お湯と茶葉も用意されていて、起きたら食べられるようにしてくれてあった。
ありがたく紅茶を淹れ、サンドイッチとスープを頂く。明日、もう今日かな?伯爵の心臓の処置がある。その為にも、もう少し寝ておいた方がいいよね。
思いがけず長い滞在となってしまって、年越しもここで過ごしてしまった。
ローレンス様、心配しているだろうな。お義父様もお義母様もランベルトお義兄様も。
食事を終えて、少しソファーで考えてしまった。もう寝なきゃ。ファレンノーザ公爵に無理は許さないとか言われちゃったし。
おやすみなさい。
226
あなたにおすすめの小説
夫が運命の番と出会いました
重田いの
恋愛
幼馴染のいいなづけとして育ってきた銀狼族の族長エーリヒと、妻ローゼマリー。
だがエーリヒに運命の番が現れたことにより、二人は離別する。
しかし二年後、修道院に暮らすローゼマリーの元へエーリヒが現れ――!?
公爵さま、私が本物です!
水川サキ
恋愛
将来結婚しよう、と約束したナスカ伯爵家の令嬢フローラとアストリウス公爵家の若き当主セオドア。
しかし、父である伯爵は後妻の娘であるマギーを公爵家に嫁がせたいあまり、フローラと入れ替えさせる。
フローラはマギーとなり、呪術師によって自分の本当の名を口にできなくなる。
マギーとなったフローラは使用人の姿で屋根裏部屋に閉じ込められ、フローラになったマギーは美しいドレス姿で公爵家に嫁ぐ。
フローラは胸中で必死に訴える。
「お願い、気づいて! 公爵さま、私が本物のフローラです!」
※設定ゆるゆるご都合主義
【完結】妹に全部奪われたので、公爵令息は私がもらってもいいですよね。
曽根原ツタ
恋愛
ルサレテには完璧な妹ペトロニラがいた。彼女は勉強ができて刺繍も上手。美しくて、優しい、皆からの人気者だった。
ある日、ルサレテが公爵令息と話しただけで彼女の嫉妬を買い、階段から突き落とされる。咄嗟にペトロニラの腕を掴んだため、ふたり一緒に転落した。
その後ペトロニラは、階段から突き落とそうとしたのはルサレテだと嘘をつき、婚約者と家族を奪い、意地悪な姉に仕立てた。
ルサレテは、妹に全てを奪われたが、妹が慕う公爵令息を味方にすることを決意して……?
【完結】私、四女なんですけど…?〜四女ってもう少しお気楽だと思ったのに〜
まりぃべる
恋愛
ルジェナ=カフリークは、上に三人の姉と、弟がいる十六歳の女の子。
ルジェナが小さな頃は、三人の姉に囲まれて好きな事を好きな時に好きなだけ学んでいた。
父ヘルベルト伯爵も母アレンカ伯爵夫人も、そんな好奇心旺盛なルジェナに甘く好きな事を好きなようにさせ、良く言えば自主性を尊重させていた。
それが、成長し、上の姉達が思わぬ結婚などで家から出て行くと、ルジェナはだんだんとこの家の行く末が心配となってくる。
両親は、貴族ではあるが貴族らしくなく領地で育てているブドウの事しか考えていないように見える為、ルジェナはこのカフリーク家の未来をどうにかしなければ、と思い立ち年頃の男女の交流会に出席する事を決める。
そして、そこで皆のルジェナを想う気持ちも相まって、無事に幸せを見つける。
そんなお話。
☆まりぃべるの世界観です。現実とは似ていても違う世界です。
☆現実世界と似たような名前、土地などありますが現実世界とは関係ありません。
☆現実世界でも使うような単語や言葉を使っていますが、現実世界とは違う場合もあります。
楽しんでいただけると幸いです。
白い結婚を捨てた王妃は、もう二度と振り向かない ――愛さぬと言った王子が全てを失うまで』
鍛高譚
恋愛
「私は王妃を愛さない。彼女とは白い結婚を誓う」
華やかな王宮の大聖堂で交わされたのは、愛の誓いではなく、冷たい拒絶の言葉だった。
王子アルフォンスの婚姻相手として選ばれたレイチェル・ウィンザー。しかし彼女は、王妃としての立場を与えられながらも、夫からも宮廷からも冷遇され、孤独な日々を強いられる。王の寵愛はすべて聖女ミレイユに注がれ、王宮の権力は彼女の手に落ちていった。侮蔑と屈辱に耐える中、レイチェルは誇りを失わず、密かに反撃の機会をうかがう。
そんな折、隣国の公爵アレクサンダーが彼女の前に現れる。「君の目はまだ死んでいないな」――その言葉に、彼女の中で何かが目覚める。彼はレイチェルに自由と新たな未来を提示し、密かに王宮からの脱出を計画する。
レイチェルが去ったことで、王宮は急速に崩壊していく。聖女ミレイユの策略が暴かれ、アルフォンスは自らの過ちに気づくも、時すでに遅し。彼が頼るべき王妃は、もはや遠く、隣国で新たな人生を歩んでいた。
「お願いだ……戻ってきてくれ……」
王国を失い、誇りを失い、全てを失った王子の懇願に、レイチェルはただ冷たく微笑む。
「もう遅いわ」
愛のない結婚を捨て、誇り高き未来へと進む王妃のざまぁ劇。
裏切りと策略が渦巻く宮廷で、彼女は己の運命を切り開く。
これは、偽りの婚姻から真の誓いへと至る、誇り高き王妃の物語。
婚約破棄されたので、自由に生きたら王太子が失脚しましたあ
鍛高譚
恋愛
名門アーデン公爵家の令嬢 ロザリー・フォン・アーデン は、王太子 エドワード・カミル・レグノード の婚約者として誰もが認める完璧な貴族令嬢だった。
しかしある日、王太子は突如 “聖女” を名乗る平民の少女 セシリア・ブランシュ に夢中になり、ロザリーに無情な婚約破棄を言い渡す。
「これは神の導きだ! 私の本当の運命の相手はセシリアなんだ!」
「ロザリー様、あなたは王太子妃にふさわしくありませんわ」
──ふたりの言葉を前に、ロザリーは静かに微笑んだ。
「……そうですか。では、私も自由に生きさせていただきますわね?」
だが、これがロザリーの “ざまぁ” 逆転劇の幕開けだった!
神託と称して王太子を操る “聖女” の正体は、なんと偽者!?
さらに王室財政を私物化する 汚職貴族との黒い繋がり も発覚!?
次々と暴かれる陰謀の数々に、王宮は大混乱。
そして、すべての証拠が王の手に渡ったとき──王太子 エドワードは王太子の地位を剥奪され、偽の聖女と共に国外追放 となる!
「ロザリー様を捨てた王太子は大馬鹿者だ!」
「やっぱり王妃にふさわしかったのはロザリー様だったのよ!」
社交界ではロザリーへの称賛が止まらない。
そしてそんな彼女のもとに、なんと隣国の 若き王クラウス・アレクサンドル から正式な求婚が──!?
「私はあなたの聡明さと誇り高き心に惹かれました。私の王妃になっていただけませんか?」
かつての婚約破棄が嘘のように、今度は 本物の愛と自由を手にするチャンス が巡ってくる。
しかし、ロザリーはすぐに頷かない。
「私はもう、誰かに振り回されるだけの人生は選びません」
王妃となる道を選ぶのか、それとも公爵家の令嬢として新たな未来を切り開くのか──?
【完結】記憶が戻ったら〜孤独な妻は英雄夫の変わらぬ溺愛に溶かされる〜
凛蓮月
恋愛
【完全完結しました。ご愛読頂きありがとうございます!】
公爵令嬢カトリーナ・オールディスは、王太子デーヴィドの婚約者であった。
だが、カトリーナを良く思っていなかったデーヴィドは真実の愛を見つけたと言って婚約破棄した上、カトリーナが最も嫌う醜悪伯爵──ディートリヒ・ランゲの元へ嫁げと命令した。
ディートリヒは『救国の英雄』として知られる王国騎士団副団長。だが、顔には数年前の戦で負った大きな傷があった為社交界では『醜悪伯爵』と侮蔑されていた。
嫌がったカトリーナは逃げる途中階段で足を踏み外し転げ落ちる。
──目覚めたカトリーナは、一切の記憶を失っていた。
王太子命令による望まぬ婚姻ではあったが仲良くするカトリーナとディートリヒ。
カトリーナに想いを寄せていた彼にとってこの婚姻は一生に一度の奇跡だったのだ。
(記憶を取り戻したい)
(どうかこのままで……)
だが、それも長くは続かず──。
【HOTランキング1位頂きました。ありがとうございます!】
※このお話は、以前投稿したものを大幅に加筆修正したものです。
※中編版、短編版はpixivに移動させています。
※小説家になろう、ベリーズカフェでも掲載しています。
※ 魔法等は出てきませんが、作者独自の異世界のお話です。現実世界とは異なります。(異世界語を翻訳しているような感覚です)
【完】ある日、俺様公爵令息からの婚約破棄を受け入れたら、私にだけ冷たかった皇太子殿下が激甘に!? 今更復縁要請&好きだと言ってももう遅い!
黒塔真実
恋愛
【2月18日(夕方から)〜なろうに転載する間(「なろう版」一部違い有り)5話以降をいったん公開中止にします。転載完了後、また再公開いたします】伯爵令嬢エリスは憂鬱な日々を過ごしていた。いつも「婚約破棄」を盾に自分の言うことを聞かせようとする婚約者の俺様公爵令息。その親友のなぜか彼女にだけ異様に冷たい態度の皇太子殿下。二人の男性の存在に悩まされていたのだ。
そうして帝立学院で最終学年を迎え、卒業&結婚を意識してきた秋のある日。エリスはとうとう我慢の限界を迎え、婚約者に反抗。勢いで婚約破棄を受け入れてしまう。すると、皇太子殿下が言葉だけでは駄目だと正式な手続きを進めだす。そして無事に婚約破棄が成立したあと、急に手の平返ししてエリスに接近してきて……。※完結後に感想欄を解放しました。※
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる