248 / 786
学院中等部 7学年生
ラッセル様との考察
ラッセル様がフェルナー侯爵邸にやって来た。今回訪問が遅れたのは、ゴーヴィリス国での情報収集の所為だと盛大に言い訳してくれた。気にしてないんだけどね、私は。
「それでさ、フェルナー嬢はロマンサ北方国の近くまで行ってきたんでしょ?何か分かった?」
「ご相談しようとは思っておりましたが、性急ですわねぇ」
「こういうのってワクワクしない?」
「ご想像にお任せいたしますわ。それよりもサミュエル先生とファレンノーザ公爵様が、お会いしたいと仰っておられました」
「ブランジット公爵子息とファレンノーザ公爵か。ちょっと怖いね」
「全くそうは見えませんけれど?」
「そう?で、何の用?聞いてるんでしょ?」
「おそらくは魔方陣の解析かと。ラッセル様は伝心機を知っておられますか?」
「知ってるよ。そういうのがあったというのは。もしかして伝心機関係なのかい?」
「その話をしておりましたのでおそらくは。伝心機の魔法陣がどういう物だったとか、そういう話ですわね」
「え?魔法陣が判明してるのかい?」
「それは分かりませんわ。聞いておりませんし」
「それは是非とも見てみたいね。まずはそっちかな?どちらかというと、伝心機の方が早く終わりそうだし」
「そういえばラッセル様、レオナルド様は今、どこに居られますの?」
「秘密の場所」
「……レヴィ領ですか」
「相変わらずだねぇ。正解かどうかも言えないけど」
「そういう情報秘匿は大切ですものね」
「……そういう事にしておくよ」
サミュエル先生への伝言をフランに頼んで、返事が来るまでの間に例のモヤの事を話しておく事にした。
「黒っぽい紫のモヤか。それと黒い渦、ね」
「渦の方は、私が直接見た訳ではないのですけれど」
「それでも気になるね。それから変色した動物か」
「浄化で元に戻る方もいらっしゃるのですけれど」
「ララちゃんが言っていた次元が複数あるというのは、多元宇宙構造論だね」
「多元宇宙構造論?」
「いわゆるマルチバースだよ。フェルナー嬢自身が言っていたでしょ?同じような文化の、でも違う世界。魔法の有無とかね」
「そういう理論がございましたの?」
「複数の宇宙の存在を仮定した理論物理学として存在していたよ。なかなか面白くてね」
「そちら方面も嗜んでおられましたの?」
「興味があるとついついね。実際に体験してるしね。今の状況がそうでしょ?それにしても黒い渦かぁ。見てみたいね」
話をしている間に、サミュエル先生が駆けつけてくれた。
「ラッセル殿」
「久しぶりだねぇ。ずいぶん急いでるけど、まあ落ち着いて」
のんびりとラッセル様が言った。フランがお茶を出してくれる。
「申し訳ない」
「フェルナー嬢から聞いたけど、伝心機の事だって?」
「魔法陣が読み解けないのです。キャシーちゃんからラッセル殿ならもしかするとと聞きまして」
「魔道具関係はジョーダンの方が得意なんだけどね」
ラッセル様がサミュエル先生から魔法陣を受け取る。
「なるほどね。これはこの世界の魔道具士じゃ無理だろうね」
「地球の言語が使われているからですか?」
「その通りだよ、フェルナー嬢。この魔法陣の作成者は、語学堪能だったようだね。たぶん日本人だ」
「そこまで分かるのですか?」
「漢字とカタカナが使われているよ。後はラテン語。残りは英語かな?ちょっと翻訳してみようか。フェルナー嬢、力を貸してもらえるかな?」
「私がお役に立ちますの?」
私は日本語と、かろうじて英語が読める程度なんだけど。しかも記憶が薄れているから、日本語も自信が無い。
ラッセル様は、そのまま翻訳作業に没頭してしまった。
「キャシーちゃん、あれから何か思い付いた?」
「ロマンサ北方国の事ですか?いいえ。あ、でも、ララ様やラッセル様とお話しさせていただいて、ヒントかな?と思う事象の言葉を知りました」
「ヒントかな?と思う事象の言葉?」
「多元宇宙構造論です」
「タゲンウチュウ……。何それ?」
「ラッセル様の方がお詳しいのですけれど、世界はひとつだけじゃ無いって考えでしょうか。私には前世の記憶がございますけれど、この世界とは似て非なる世界なのです。魔法もございませんでしたし。前の世界と今私が生きている世界は、重なりあうことはなくて、でもちゃんと存在していると言うか……」
「……。よく分からないけど、キャシーちゃんのゼンセの世界と違うんだ?」
「はい。先程も申し上げましたが、前世の世界には魔法はございません。創世神話もございましたが、ずいぶん違っております。神話も1つではございませんでしたし」
「ひとつじゃないのかい?」
「私が覚えているだけでも、日本神話、ギリシャ神話、ローマ神話、北欧神話、中国神話、ヒンドゥー神話、アラビア神話、メソポタミア神話。信仰する宗教によって種類がございましたし、私が言った以上にたくさんございました」
「信仰する宗教によってって、そんなに色々あったんだ?」
「ございましたね。私が生まれ育った国は日本ですけれど、日本は宗教に寛大というか無関心というか無節操というか、いろんな宗教行事を取り入れておりましたし、宗教関連施設も色々でした。教会も1つの宗教の教会だけではなかったりとか」
「どういう事だい?」
「同じ教会と呼ばれる施設でも、宗教によって様式が違っていますの。私も詳しくはございませんが」
「この世界の教会はキリスト教型式だね。ちょっとフェルナー嬢、良いかな?」
没頭して翻訳していたラッセル様が、会話に入ってきた。
「この文章、読んでくれる?」
「奇想天外、空前絶後、斬新奇抜、前代未聞……。何ですか?これ」
「魔法陣に書いてあった文字だよ。意味は分かる?」
「奇想天外は普通では思いもよらない奇抜な事、空前絶後は非常に珍しい事、斬新奇抜は発想が独自で他に類を見ないという意味ですわね。前代未聞も似たような意味です」
「つまり、伝心機には関係ないのかな?」
「たぶん?」
「じゃあ、これは?」
「架通電言ですか?こんな四字熟語有りましたっけ?」
「じゃあ、これかな?」
「この言葉がどうかされましたか?」
「伝心機に必要と思われる言葉だよ。フェイクが多くてね」
ラッセル様は魔法陣に戻っていった。
「それで、どういう事だい?」
「ここから話す事は、完全な私だけの想像、もしくは妄想だと思ってくださいませ。つまり、他の世界が繋がってしまったのではないかと。フェアールカク領で聞いた、ロマンサ北方国の湖に見えた城のような建物、グクラン領で見たとされる未知の動物のような生命体。他にもあるかもしれませんが、この2つからこう考えるのがしっくり来るんです」
「まぁ、突飛ではあるけどね。他の世界の未知なる生命体か。可能性のひとつとして覚えておくよ。後はモヤかな?」
「それも他の世界のモノにしておきません?」
「億劫になってきた?」
「そうですわね」
はふっと息を吐く。空想上の物事を考えるのって苦手なのよね。
「ただ……」
「ん?」
「これはあくまでも私の想像、妄想ですわ。全てを納めるにはこうこじつけるしかないという。個人的にはどなたかが何らかの方法で、事象を起こしたと考えたいですわね」
「誰が?」
「存じ上げません。考えてもくださいませ?たった2つの物事から、全てを見通すなんて、神様のようですわよ。私にそのような力はございません。それに物的証拠がございません。ロマンサ北方国の湖に見えた城もグクラン領で見たとされる動物のような何かも、見たという証言だけです。見たのは真実でも、それが虚像かもしれないという可能性は、残っておりますのよ」
「そうか。そうだね。原理は不明だけど、たしかに見た物が実像とは限らないんだ」
「それでさ、フェルナー嬢はロマンサ北方国の近くまで行ってきたんでしょ?何か分かった?」
「ご相談しようとは思っておりましたが、性急ですわねぇ」
「こういうのってワクワクしない?」
「ご想像にお任せいたしますわ。それよりもサミュエル先生とファレンノーザ公爵様が、お会いしたいと仰っておられました」
「ブランジット公爵子息とファレンノーザ公爵か。ちょっと怖いね」
「全くそうは見えませんけれど?」
「そう?で、何の用?聞いてるんでしょ?」
「おそらくは魔方陣の解析かと。ラッセル様は伝心機を知っておられますか?」
「知ってるよ。そういうのがあったというのは。もしかして伝心機関係なのかい?」
「その話をしておりましたのでおそらくは。伝心機の魔法陣がどういう物だったとか、そういう話ですわね」
「え?魔法陣が判明してるのかい?」
「それは分かりませんわ。聞いておりませんし」
「それは是非とも見てみたいね。まずはそっちかな?どちらかというと、伝心機の方が早く終わりそうだし」
「そういえばラッセル様、レオナルド様は今、どこに居られますの?」
「秘密の場所」
「……レヴィ領ですか」
「相変わらずだねぇ。正解かどうかも言えないけど」
「そういう情報秘匿は大切ですものね」
「……そういう事にしておくよ」
サミュエル先生への伝言をフランに頼んで、返事が来るまでの間に例のモヤの事を話しておく事にした。
「黒っぽい紫のモヤか。それと黒い渦、ね」
「渦の方は、私が直接見た訳ではないのですけれど」
「それでも気になるね。それから変色した動物か」
「浄化で元に戻る方もいらっしゃるのですけれど」
「ララちゃんが言っていた次元が複数あるというのは、多元宇宙構造論だね」
「多元宇宙構造論?」
「いわゆるマルチバースだよ。フェルナー嬢自身が言っていたでしょ?同じような文化の、でも違う世界。魔法の有無とかね」
「そういう理論がございましたの?」
「複数の宇宙の存在を仮定した理論物理学として存在していたよ。なかなか面白くてね」
「そちら方面も嗜んでおられましたの?」
「興味があるとついついね。実際に体験してるしね。今の状況がそうでしょ?それにしても黒い渦かぁ。見てみたいね」
話をしている間に、サミュエル先生が駆けつけてくれた。
「ラッセル殿」
「久しぶりだねぇ。ずいぶん急いでるけど、まあ落ち着いて」
のんびりとラッセル様が言った。フランがお茶を出してくれる。
「申し訳ない」
「フェルナー嬢から聞いたけど、伝心機の事だって?」
「魔法陣が読み解けないのです。キャシーちゃんからラッセル殿ならもしかするとと聞きまして」
「魔道具関係はジョーダンの方が得意なんだけどね」
ラッセル様がサミュエル先生から魔法陣を受け取る。
「なるほどね。これはこの世界の魔道具士じゃ無理だろうね」
「地球の言語が使われているからですか?」
「その通りだよ、フェルナー嬢。この魔法陣の作成者は、語学堪能だったようだね。たぶん日本人だ」
「そこまで分かるのですか?」
「漢字とカタカナが使われているよ。後はラテン語。残りは英語かな?ちょっと翻訳してみようか。フェルナー嬢、力を貸してもらえるかな?」
「私がお役に立ちますの?」
私は日本語と、かろうじて英語が読める程度なんだけど。しかも記憶が薄れているから、日本語も自信が無い。
ラッセル様は、そのまま翻訳作業に没頭してしまった。
「キャシーちゃん、あれから何か思い付いた?」
「ロマンサ北方国の事ですか?いいえ。あ、でも、ララ様やラッセル様とお話しさせていただいて、ヒントかな?と思う事象の言葉を知りました」
「ヒントかな?と思う事象の言葉?」
「多元宇宙構造論です」
「タゲンウチュウ……。何それ?」
「ラッセル様の方がお詳しいのですけれど、世界はひとつだけじゃ無いって考えでしょうか。私には前世の記憶がございますけれど、この世界とは似て非なる世界なのです。魔法もございませんでしたし。前の世界と今私が生きている世界は、重なりあうことはなくて、でもちゃんと存在していると言うか……」
「……。よく分からないけど、キャシーちゃんのゼンセの世界と違うんだ?」
「はい。先程も申し上げましたが、前世の世界には魔法はございません。創世神話もございましたが、ずいぶん違っております。神話も1つではございませんでしたし」
「ひとつじゃないのかい?」
「私が覚えているだけでも、日本神話、ギリシャ神話、ローマ神話、北欧神話、中国神話、ヒンドゥー神話、アラビア神話、メソポタミア神話。信仰する宗教によって種類がございましたし、私が言った以上にたくさんございました」
「信仰する宗教によってって、そんなに色々あったんだ?」
「ございましたね。私が生まれ育った国は日本ですけれど、日本は宗教に寛大というか無関心というか無節操というか、いろんな宗教行事を取り入れておりましたし、宗教関連施設も色々でした。教会も1つの宗教の教会だけではなかったりとか」
「どういう事だい?」
「同じ教会と呼ばれる施設でも、宗教によって様式が違っていますの。私も詳しくはございませんが」
「この世界の教会はキリスト教型式だね。ちょっとフェルナー嬢、良いかな?」
没頭して翻訳していたラッセル様が、会話に入ってきた。
「この文章、読んでくれる?」
「奇想天外、空前絶後、斬新奇抜、前代未聞……。何ですか?これ」
「魔法陣に書いてあった文字だよ。意味は分かる?」
「奇想天外は普通では思いもよらない奇抜な事、空前絶後は非常に珍しい事、斬新奇抜は発想が独自で他に類を見ないという意味ですわね。前代未聞も似たような意味です」
「つまり、伝心機には関係ないのかな?」
「たぶん?」
「じゃあ、これは?」
「架通電言ですか?こんな四字熟語有りましたっけ?」
「じゃあ、これかな?」
「この言葉がどうかされましたか?」
「伝心機に必要と思われる言葉だよ。フェイクが多くてね」
ラッセル様は魔法陣に戻っていった。
「それで、どういう事だい?」
「ここから話す事は、完全な私だけの想像、もしくは妄想だと思ってくださいませ。つまり、他の世界が繋がってしまったのではないかと。フェアールカク領で聞いた、ロマンサ北方国の湖に見えた城のような建物、グクラン領で見たとされる未知の動物のような生命体。他にもあるかもしれませんが、この2つからこう考えるのがしっくり来るんです」
「まぁ、突飛ではあるけどね。他の世界の未知なる生命体か。可能性のひとつとして覚えておくよ。後はモヤかな?」
「それも他の世界のモノにしておきません?」
「億劫になってきた?」
「そうですわね」
はふっと息を吐く。空想上の物事を考えるのって苦手なのよね。
「ただ……」
「ん?」
「これはあくまでも私の想像、妄想ですわ。全てを納めるにはこうこじつけるしかないという。個人的にはどなたかが何らかの方法で、事象を起こしたと考えたいですわね」
「誰が?」
「存じ上げません。考えてもくださいませ?たった2つの物事から、全てを見通すなんて、神様のようですわよ。私にそのような力はございません。それに物的証拠がございません。ロマンサ北方国の湖に見えた城もグクラン領で見たとされる動物のような何かも、見たという証言だけです。見たのは真実でも、それが虚像かもしれないという可能性は、残っておりますのよ」
「そうか。そうだね。原理は不明だけど、たしかに見た物が実像とは限らないんだ」
あなたにおすすめの小説
呪われた娘と蔑まれてきましたが実は大公女で皇帝の孫娘でした。
こもれびの空
ファンタジー
アルフェ大陸には4つの王国があり、平和であった。しかしごくまれに異能の力を持つものが生まれる。
彼らは呪われし者として、大陸の中央。広大な砂漠に追放されるのだった。
しかし、今から300年前、偉大な魔法使いは広大な砂漠をオアシスへと変えると、そこにアストラル皇国を設立。瞬くまに4つの王国を支配下に置いた。
しかし人の心は変わらない。見えざる力は厭わしいものとされ、アストラル帝国を悪とするミゼラブル教団は、地下深くしかし確実に人々の信仰を集めていた。
アストラル歴304年 大公の一人娘がミゼラブル教団によって攫われる事件が起きた。
関係者はことごとく処刑されたが、リゼ アストラルの消息はつかめないまま5年がたった。
そのころセレスティア王国の辺境にある孤児院では、ひとりの少女がたくましく生き抜いていた。
これは大公女リゼと彼女を溺愛するシオン アストラル。そして孫娘の前では好々爺になってしまうアストラル皇帝の物語である。
婚約破棄とか言って早々に私の荷物をまとめて実家に送りつけているけど、その中にあなたが明日国王に謁見する時に必要な書類も混じっているのですが
マリー
恋愛
寝食を忘れるほど研究にのめり込む婚約者に惹かれてかいがいしく食事の準備や仕事の手伝いをしていたのに、ある日帰ったら「母親みたいに世話を焼いてくるお前にはうんざりだ!荷物をまとめておいてやったから明日の朝一番で出て行け!」ですって?
まあ、癇癪を起こすのはいいですけれど(よくはない)あなたがまとめてうちの実家に郵送したっていうその荷物の中、送っちゃいけないもの入ってましたよ?
※またも小説の練習で書いてみました。よろしくお願いします。
※すみません、婚約破棄タグを使っていましたが、書いてるうちに内容にそぐわないことに気づいたのでちょっと変えました。果たして婚約破棄するのかしないのか?を楽しんでいただく話になりそうです。正当派の婚約破棄ものにはならないと思います。期待して読んでくださった方申し訳ございません。
幼馴染を囲う夫に、破滅を贈ります
たると
恋愛
結婚式当日。
幸せの絶頂で教会へ向かう途中、見知らぬ女に平手打ちされたエリアーナ。
「あなたさえいなければ」と叫んだのは、夫の最愛の幼馴染だという女。
それでも経済的に困窮する実家を救うため、エリアーナは泣き寝入りするしかなかった。
【完結】あなたの『番』は埋葬されました。
月白ヤトヒコ
恋愛
道を歩いていたら、いきなり見知らぬ男にぐいっと強く腕を掴まれました。
「ああ、漸く見付けた。愛しい俺の番」
なにやら、どこぞの物語のようなことをのたまっています。正気で言っているのでしょうか?
「はあ? 勘違いではありませんか? 気のせいとか」
そうでなければ――――
「違うっ!? 俺が番を間違うワケがない! 君から漂って来るいい匂いがその証拠だっ!」
男は、わたしの言葉を強く否定します。
「匂い、ですか……それこそ、勘違いでは? ほら、誰かからの移り香という可能性もあります」
否定はしたのですが、男はわたしのことを『番』だと言って聞きません。
「番という素晴らしい存在を感知できない憐れな種族。しかし、俺の番となったからには、そのような憐れさとは無縁だ。これから、たっぷり愛し合おう」
「お断りします」
この男の愛など、わたしは必要としていません。
そう断っても、彼は聞いてくれません。
だから――――実験を、してみることにしました。
一月後。もう一度彼と会うと、彼はわたしのことを『番』だとは認識していないようでした。
「貴様っ、俺の番であることを偽っていたのかっ!?」
そう怒声を上げる彼へ、わたしは告げました。
「あなたの『番』は埋葬されました」、と。
設定はふわっと。
そんなに幼馴染を優先したいですか? あなたの隣はいりません
夏生 羽都
恋愛
レーデン王国、王立学院の貴族科に通うセレスには、想い人であり婚約する予定の辺境伯家次男のヒューゴがいる。しかし騎士科に通うヒューゴの隣には彼の幼馴染みであり、侯爵家令嬢のニーナがいつもいるのだった。
子爵家に後見をしてもらう事で学院へ通っているセレスは、高位貴族であるニーナとヒューゴに強く言えず、二人の距離が近過ぎても見ている事しかできなかった。
ヒューゴとの交流会の日、セレスはヒューゴと観るために両親が送ってくれた歌劇のチケットを用意していたのだが、ヒューゴに付いてきたニーナにチケットを強請られてしまう。
「ニーナに譲ってくれないか?」ヒューゴのひと事でチケットを譲る事になり、帰りの馬車がないセレスは徒歩で帰る事になる。日が落ちかける街の中を歩くセレスは、帰り道が分からずに迷子になってしまう。そんなセレスを偶然見かけて声をかけてくれたのが、帝国からの留学生でセレスと同じクラスのアルウィンだった。
※作者独自の世界観によって創作された物語です。細かな設定やストーリー展開等が気になる方は、ブラウザバックをお願い致します。
五歳の時から、側にいた
田尾風香
恋愛
五歳。グレースは初めて国王の長男のグリフィンと出会った。
それからというもの、お互いにいがみ合いながらもグレースはグリフィンの側にいた。十六歳に婚約し、十九歳で結婚した。
グリフィンは、初めてグレースと会ってからずっとその姿を追い続けた。十九歳で結婚し、三十二歳で亡くして初めて、グリフィンはグレースへの想いに気付く。
前編グレース視点、後編グリフィン視点です。全二話。後編は来週木曜31日に投稿します。