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学院中等部 7学年生
生存の希望
レオナルドさんが戻ってきたのは、ラッセル様達が帰路について、2日後の夕方だった。ララさんとセシルさんも帰ってしまっていて、家には私とリーサさんだけだった。応接室でリーサさん立ち合いのもと、レオナルドさんと向かい合う。
「キャスリーン、これを見てもらえるか?」
見せられたのはボロボロの汚れた布切れ。でも、わたしには非常に見覚えがある物だった。
「レオナルドさん、これ……」
「炎の聖人サマが交渉して俺に持たせてくれた。キャスリーンが予想した場所は、転落現場から10mと離れていない場所だった。現場には壊れた馬車と書類が散らばっていたのと、この布切れが落ちていた。後は捜索隊が下流域を調べていると知らせてくれた」
「ありがとうございます。申し訳ございません」
力が抜けそうになる身体に必死に力を入れる。そうしないと姿勢を保っていられそうに無かったから。
「良いけどよ。現地で会ったフェルナー家の捜索隊が、キャスリーンを心配してたぜ?今はフェルナー家から離れているっておっさんが言ったら、それはそれで心配してたけど。姉のような存在が居るから心配ないって言っておいた」
「あら、姉のような存在って、私?」
「ララでもセシルでも良いけどよ。1番便りになるのはあんただろ?リーサ」
「頼ってもらえて嬉しいわ。ララさんとセシルにはその言葉をしっかりと伝えておくわね」
「聞かなかった事にしてくれ」
「うふふふふ」
リーサさんとレオナルドさんが笑って話しているのを聞きながら、ぼろ布に洗浄と浄化をかけて丁寧に綺麗にしていく。
少しずつ拙い刺繍が見えてきた。私が最初に刺繍した、ローレンス様のハンカチ。ずっと持っていてくれたんだ。
完全には綺麗に出来はしないけれど、元の白に戻せたハンカチをギュっと抱き締める。
「ローレンス様……」
「あらあら」
「泣くのを我慢してたのかよ。まったく……」
「キャスリーンちゃん、大丈夫よ。泣いてしまいなさい、ね?」
転落した場所から、ローレンス様が離れたのは決定事項だ。自分の意思か誰かに連れ去られたか、それとも水に流されたかは不明だ。1番可能性があるのが、水に流されたんだろうって所なんだけど、これは1番認めたくない。なぜなら生存確率が1番低いと思われるから。
アルビレオン河は大河だ。おそらくスタヴィリス国でもっとも長く川幅も広いと思われる。私が予測した地点は川面まで10m以上あると思う。川沿いに馬車道が走っていて、木立も多く非常に美しい場所だと聞いていた。
「キャスリーン、落ち着いたか?」
ひとしきり泣いて、ようやく泣き止んだ私に声がかけられた。どうやらレオナルドさんが待っていてくれたらしい。
「これ、おっさんから預かってきた」
手紙が差し出された。
「ありがとう、ございます」
涙と鼻水でぐちゃぐちゃになった顔を見せたくなくて、急いで顔を拭う。ついでに水魔法で水分を取っておいた。
「泣き顔も可愛いのな」
「揶揄わないで、くださいませ」
「揶揄ってねぇよ。キャスリーン、しばらくはここに居るのか?」
「そうよ。もう少しね」
「リーサに聞いた訳じゃねぇよ。ダニエルは?どこだ?」
「呼べばすぐに来るわよ。マリアもだけど本当に良く出来た護衛だわ」
「今は居ないのな」
「キャスリーンちゃんが下がらせたのよ。呼ぶ?」
「頼む」
ダニエル様が呼ばれた。レオナルドさんが何事かを指示している。
「分かった。お嬢ちゃんにはいつも通りに過ごさせる。他には?」
「フェルナー家とここの繋ぎを、誰か信頼出来る者に頼みたい。俺が来るのは色々と不都合がある」
「あんたは男だからな。お嬢ちゃんとリーサ嬢だけの家を頻繁に訪ねていたら、醜聞が立つ。分かった。相談しておく」
「それと時期を見計らって、これをキャスリーンに渡してくれ。ランベルトから預かった」
「手紙?」
「学友からと、キャスリーンの個人的な友人からだそうだ」
「分かった。というか、お嬢ちゃんを名前で呼び捨てにすんじゃねぇよ」
「護衛対象を『お嬢ちゃん』と呼ぶアンタも、たいがいだと思うけどな」
「俺は許されているから良いんだよ」
「許されていると思い込んでいる、の間違いじゃないか?」
「いい加減にしなさい。キャスリーンちゃんの前で何を言い合ってるの?キャスリーンちゃんを休ませてあげないといけないわ」
だんだん声高になっていく、レオナルドさんとダニエル様の言い争いをボンヤリと見ていた。リーサさんが2人を諌めてくれて、言い争いは収まった。
マリアさんが手を貸してくれて、与えられている部屋に下がる。ハンカチを握ったまま床に膝を着いたら、しようとした事が分かったのか、マリアさんが部屋の隅に控えた。
ローレンス様がご無事でありますように。苦しい思いをされていませんように。
ハンカチを握りしめて祈る。天父神シュターディル様、地母神マーテル様、どうかローレンス様をお守りください。
いつものように1時間程で、マリアさんに声をかけられて立ち上がった。このところ毎晩マリアさんが淹れてくれる、ハーブティーをゆっくりと飲む。
このハーブティーには催眠作用があるようで、ハーブティーを飲むといつもすぐに眠くなってしまう。
「マリアさん……」
「はい」
「ローレンス様は苦しんでおられないかしら?痛がっておられないかしら?寒さに震えておられないかしら?」
答えにくい質問だったと思う。肯定は出来ない。なぜなら真実味を帯びるから。否定も出来ない。何故なら五体満足でいるか命が失われた状態かのどちらかしかないから。
「どなたかに保護されて、お休みになっておられるのでしょう。心配は要りませんよ」
マリアさんの気休めの言葉に、微睡みの世界に落ちていった。
翌日、リーサさんの家には学院で見た用務員のおじ様とおば様が増えていた。
「紹介するわ。ハリーさんとリリーさんよ。主に外向きのお仕事をお任せするわ」
「外向きのお仕事ですか」
「買い物とかね。ハリーさんは庭師でもあるけれど、馭者も出来るんですって。リリーさんは食品庫の管理とか、いろんな備品の管理ね」
「よろしくお願いしますね」
ニコニコと挨拶するハリーさんを見て、ダニエル様が複雑そうな顔をした。リリーさんを見るマリアさんも同じくだ。
ハリーさんって、学院でグリーンハウスを管理してた方よね?グリーンハウスだけでなく学院の植え込みや植栽のお手入れを3人位でしてくれていた。リリーさんはその仲間だったはず。
この時の私はとにかく無気力で、お祈り以外は自分で何かするという気にならなかった。会話も相手がいたからしていただけだし、勉強もする気になれなかった。リーサさんに言わせると、目を離すと窓の外を見てボーッとしていたらしい。日常生活は送れるけど、鬱病一歩手前だったと思う。
事情を知っていたみんなが1番危惧していたのが、これだったらしい。食事をしない、眠らない、自主的に動かない。だからリーサさんは私になるべく話しかけていたし、マリアさんも侍女のように世話を焼いてくれていた。
サミュエル先生が来たのは、そんな時だった。
「キャシーちゃん、気晴らしは……出来ていないのかな?」
「ラッセルさんが帰られる時に何事かを頼んで、レオナルドさんが返事を持ってきて以来、こんな感じです。それまではみんなが居たし、こんな事もなかったんだけど」
「ラッセル氏に現場で会った捜索隊が驚いていたよ。どうやってこの場所を突き止めたんだって」
「キャスリーンちゃんが計算したようです。何か難しい数字一杯の紙を見せられたけど、分からなくて」
「それからこんな感じなのかな?」
「お手紙も預かったんだけど、渡しても読むかどうか」
「キャスリーン、これを見てもらえるか?」
見せられたのはボロボロの汚れた布切れ。でも、わたしには非常に見覚えがある物だった。
「レオナルドさん、これ……」
「炎の聖人サマが交渉して俺に持たせてくれた。キャスリーンが予想した場所は、転落現場から10mと離れていない場所だった。現場には壊れた馬車と書類が散らばっていたのと、この布切れが落ちていた。後は捜索隊が下流域を調べていると知らせてくれた」
「ありがとうございます。申し訳ございません」
力が抜けそうになる身体に必死に力を入れる。そうしないと姿勢を保っていられそうに無かったから。
「良いけどよ。現地で会ったフェルナー家の捜索隊が、キャスリーンを心配してたぜ?今はフェルナー家から離れているっておっさんが言ったら、それはそれで心配してたけど。姉のような存在が居るから心配ないって言っておいた」
「あら、姉のような存在って、私?」
「ララでもセシルでも良いけどよ。1番便りになるのはあんただろ?リーサ」
「頼ってもらえて嬉しいわ。ララさんとセシルにはその言葉をしっかりと伝えておくわね」
「聞かなかった事にしてくれ」
「うふふふふ」
リーサさんとレオナルドさんが笑って話しているのを聞きながら、ぼろ布に洗浄と浄化をかけて丁寧に綺麗にしていく。
少しずつ拙い刺繍が見えてきた。私が最初に刺繍した、ローレンス様のハンカチ。ずっと持っていてくれたんだ。
完全には綺麗に出来はしないけれど、元の白に戻せたハンカチをギュっと抱き締める。
「ローレンス様……」
「あらあら」
「泣くのを我慢してたのかよ。まったく……」
「キャスリーンちゃん、大丈夫よ。泣いてしまいなさい、ね?」
転落した場所から、ローレンス様が離れたのは決定事項だ。自分の意思か誰かに連れ去られたか、それとも水に流されたかは不明だ。1番可能性があるのが、水に流されたんだろうって所なんだけど、これは1番認めたくない。なぜなら生存確率が1番低いと思われるから。
アルビレオン河は大河だ。おそらくスタヴィリス国でもっとも長く川幅も広いと思われる。私が予測した地点は川面まで10m以上あると思う。川沿いに馬車道が走っていて、木立も多く非常に美しい場所だと聞いていた。
「キャスリーン、落ち着いたか?」
ひとしきり泣いて、ようやく泣き止んだ私に声がかけられた。どうやらレオナルドさんが待っていてくれたらしい。
「これ、おっさんから預かってきた」
手紙が差し出された。
「ありがとう、ございます」
涙と鼻水でぐちゃぐちゃになった顔を見せたくなくて、急いで顔を拭う。ついでに水魔法で水分を取っておいた。
「泣き顔も可愛いのな」
「揶揄わないで、くださいませ」
「揶揄ってねぇよ。キャスリーン、しばらくはここに居るのか?」
「そうよ。もう少しね」
「リーサに聞いた訳じゃねぇよ。ダニエルは?どこだ?」
「呼べばすぐに来るわよ。マリアもだけど本当に良く出来た護衛だわ」
「今は居ないのな」
「キャスリーンちゃんが下がらせたのよ。呼ぶ?」
「頼む」
ダニエル様が呼ばれた。レオナルドさんが何事かを指示している。
「分かった。お嬢ちゃんにはいつも通りに過ごさせる。他には?」
「フェルナー家とここの繋ぎを、誰か信頼出来る者に頼みたい。俺が来るのは色々と不都合がある」
「あんたは男だからな。お嬢ちゃんとリーサ嬢だけの家を頻繁に訪ねていたら、醜聞が立つ。分かった。相談しておく」
「それと時期を見計らって、これをキャスリーンに渡してくれ。ランベルトから預かった」
「手紙?」
「学友からと、キャスリーンの個人的な友人からだそうだ」
「分かった。というか、お嬢ちゃんを名前で呼び捨てにすんじゃねぇよ」
「護衛対象を『お嬢ちゃん』と呼ぶアンタも、たいがいだと思うけどな」
「俺は許されているから良いんだよ」
「許されていると思い込んでいる、の間違いじゃないか?」
「いい加減にしなさい。キャスリーンちゃんの前で何を言い合ってるの?キャスリーンちゃんを休ませてあげないといけないわ」
だんだん声高になっていく、レオナルドさんとダニエル様の言い争いをボンヤリと見ていた。リーサさんが2人を諌めてくれて、言い争いは収まった。
マリアさんが手を貸してくれて、与えられている部屋に下がる。ハンカチを握ったまま床に膝を着いたら、しようとした事が分かったのか、マリアさんが部屋の隅に控えた。
ローレンス様がご無事でありますように。苦しい思いをされていませんように。
ハンカチを握りしめて祈る。天父神シュターディル様、地母神マーテル様、どうかローレンス様をお守りください。
いつものように1時間程で、マリアさんに声をかけられて立ち上がった。このところ毎晩マリアさんが淹れてくれる、ハーブティーをゆっくりと飲む。
このハーブティーには催眠作用があるようで、ハーブティーを飲むといつもすぐに眠くなってしまう。
「マリアさん……」
「はい」
「ローレンス様は苦しんでおられないかしら?痛がっておられないかしら?寒さに震えておられないかしら?」
答えにくい質問だったと思う。肯定は出来ない。なぜなら真実味を帯びるから。否定も出来ない。何故なら五体満足でいるか命が失われた状態かのどちらかしかないから。
「どなたかに保護されて、お休みになっておられるのでしょう。心配は要りませんよ」
マリアさんの気休めの言葉に、微睡みの世界に落ちていった。
翌日、リーサさんの家には学院で見た用務員のおじ様とおば様が増えていた。
「紹介するわ。ハリーさんとリリーさんよ。主に外向きのお仕事をお任せするわ」
「外向きのお仕事ですか」
「買い物とかね。ハリーさんは庭師でもあるけれど、馭者も出来るんですって。リリーさんは食品庫の管理とか、いろんな備品の管理ね」
「よろしくお願いしますね」
ニコニコと挨拶するハリーさんを見て、ダニエル様が複雑そうな顔をした。リリーさんを見るマリアさんも同じくだ。
ハリーさんって、学院でグリーンハウスを管理してた方よね?グリーンハウスだけでなく学院の植え込みや植栽のお手入れを3人位でしてくれていた。リリーさんはその仲間だったはず。
この時の私はとにかく無気力で、お祈り以外は自分で何かするという気にならなかった。会話も相手がいたからしていただけだし、勉強もする気になれなかった。リーサさんに言わせると、目を離すと窓の外を見てボーッとしていたらしい。日常生活は送れるけど、鬱病一歩手前だったと思う。
事情を知っていたみんなが1番危惧していたのが、これだったらしい。食事をしない、眠らない、自主的に動かない。だからリーサさんは私になるべく話しかけていたし、マリアさんも侍女のように世話を焼いてくれていた。
サミュエル先生が来たのは、そんな時だった。
「キャシーちゃん、気晴らしは……出来ていないのかな?」
「ラッセルさんが帰られる時に何事かを頼んで、レオナルドさんが返事を持ってきて以来、こんな感じです。それまではみんなが居たし、こんな事もなかったんだけど」
「ラッセル氏に現場で会った捜索隊が驚いていたよ。どうやってこの場所を突き止めたんだって」
「キャスリーンちゃんが計算したようです。何か難しい数字一杯の紙を見せられたけど、分からなくて」
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