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好意的な彼女
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好実の幸福感は緑色の光と親友と共に消失した。
途端に人と車が行き交う東京駅の音と色が目と耳に飛び込んできて、一時停止していた時が方向を失いグルグル回り始めた。
混乱していた。
ダイエットの女神が本当にいたという事。
塔子が実はパフィオうんちゃらという長い名前でダイエットの女神だった事。
ダイエットの女神に見捨てられた事。
流石に色々あり過ぎて、帰宅途中の記憶は虚ろで、いつの間にか1DKのマンションに着いていた。
「ひどい、私が何をしたっていうのーー」
バッグを床に投げると横に倒れ、バサリと「諦めないダイエット!今度こそ痩せられる」という塔子の置き土産が飛び出した。
「塔子ーー」
ダイエット本を胸に抱き締め暫く号泣する。
顔も心もぐちゃぐちゃだった。
力いっぱい泣いたらお腹が空いてきた。
ダイエット本にチラリと視線が動く。
「明日から、明日から絶対ダイエット始める」
お土産の焼売と蒲鉾を貪り食う。
焼酎ならいいだろうとヤケ酒。
食べて飲まなければやってられない程色々あったのは確かだし、カロリーは今日1日で相当消費している筈だ。
その分、補給もタップリしているが。
かなり酔っていた。
正に酔った勢いで体重計に足を乗せる。
表示される数字がブレて、彼女の思考の針がネガからポジに傾いた。
「ああ、そーんなに増えてないじゃない。結構食べたけど。そんだけ消費したもんね。
良し、ダイエットの女神様あ、あっ──そうだあ……もうダイエットの女神には見捨てられちゃったんだった……じゃあ、じゃあ──今度は減量の女神でいいじゃない!そうよ。今度こそ誓うわ。減量の女神に!!」
────
朝、八時半の東京駅。
人口密度の高い総武線から吐き出された好実は八重洲口から徒歩10分の勤務先を目指した。
デスクの上には付箋のメモ書きがベタベタと。
パソコンを立ち上げれば、1日休んだだけで溜まったメールのチェックから。
ルーティンワークをこなしているうちに昼近くになった。
ランチまでの数分間、休憩を兼ねて目に止まったヤッホーの記事を開いてみる。
「金時山にはマジで熊いた。おばさん戦って勝った」
手ブレの酷い写真と共に投稿されたギャル利根のツイッターが「訳が分からん」「また妄想」「ブレ過ぎ」などなど炎上したという記事を流し読みする。
「田辺君、ちょっといいかな」
後ろから声を掛けられ振り向くと課長が一人の女性を左に従え立っていた。
「この前面接して採用の子。研修終わったから紹介するね」
好実は椅子から立ち上がり、にこやかな笑みを女性に向けた。
「本日から此方の部署で働かせて頂く事になりました。源涼子《げんりょうこ》です。宜しくお願い致します」
「こちらこそお~~よろしく!私は田辺好実です。分からない事があったら何でも聞いて下さいね」
自己紹介と共に頭を下げた新人の女性は、ややふくよかな体型で好実は親近感を覚えた。
課長が立ち去った後、源涼子《げんりょうこ》が隣の席に座ると同時に昼休憩を知らせるチャイムが鳴った。
「源さん、お昼一緒に食べに行きましょうよ」
「ありがとうございます。この辺、美味しいお店一杯あるんですよね? オススメのとこあります? 」
「そうなのよ!例えばアングリータイガーってお店はどうかな?トリプルハンバーグがお勧めで、440グラムまでサイズを選べるの。
スッゴい美味しいのよ」
「わあ、そこに行ってみたいです~~」
「じゃあ、そこにしよっかあ。サラダや御飯もお代わり自由だし。源さんとはホントに気が合いそう」
END
途端に人と車が行き交う東京駅の音と色が目と耳に飛び込んできて、一時停止していた時が方向を失いグルグル回り始めた。
混乱していた。
ダイエットの女神が本当にいたという事。
塔子が実はパフィオうんちゃらという長い名前でダイエットの女神だった事。
ダイエットの女神に見捨てられた事。
流石に色々あり過ぎて、帰宅途中の記憶は虚ろで、いつの間にか1DKのマンションに着いていた。
「ひどい、私が何をしたっていうのーー」
バッグを床に投げると横に倒れ、バサリと「諦めないダイエット!今度こそ痩せられる」という塔子の置き土産が飛び出した。
「塔子ーー」
ダイエット本を胸に抱き締め暫く号泣する。
顔も心もぐちゃぐちゃだった。
力いっぱい泣いたらお腹が空いてきた。
ダイエット本にチラリと視線が動く。
「明日から、明日から絶対ダイエット始める」
お土産の焼売と蒲鉾を貪り食う。
焼酎ならいいだろうとヤケ酒。
食べて飲まなければやってられない程色々あったのは確かだし、カロリーは今日1日で相当消費している筈だ。
その分、補給もタップリしているが。
かなり酔っていた。
正に酔った勢いで体重計に足を乗せる。
表示される数字がブレて、彼女の思考の針がネガからポジに傾いた。
「ああ、そーんなに増えてないじゃない。結構食べたけど。そんだけ消費したもんね。
良し、ダイエットの女神様あ、あっ──そうだあ……もうダイエットの女神には見捨てられちゃったんだった……じゃあ、じゃあ──今度は減量の女神でいいじゃない!そうよ。今度こそ誓うわ。減量の女神に!!」
────
朝、八時半の東京駅。
人口密度の高い総武線から吐き出された好実は八重洲口から徒歩10分の勤務先を目指した。
デスクの上には付箋のメモ書きがベタベタと。
パソコンを立ち上げれば、1日休んだだけで溜まったメールのチェックから。
ルーティンワークをこなしているうちに昼近くになった。
ランチまでの数分間、休憩を兼ねて目に止まったヤッホーの記事を開いてみる。
「金時山にはマジで熊いた。おばさん戦って勝った」
手ブレの酷い写真と共に投稿されたギャル利根のツイッターが「訳が分からん」「また妄想」「ブレ過ぎ」などなど炎上したという記事を流し読みする。
「田辺君、ちょっといいかな」
後ろから声を掛けられ振り向くと課長が一人の女性を左に従え立っていた。
「この前面接して採用の子。研修終わったから紹介するね」
好実は椅子から立ち上がり、にこやかな笑みを女性に向けた。
「本日から此方の部署で働かせて頂く事になりました。源涼子《げんりょうこ》です。宜しくお願い致します」
「こちらこそお~~よろしく!私は田辺好実です。分からない事があったら何でも聞いて下さいね」
自己紹介と共に頭を下げた新人の女性は、ややふくよかな体型で好実は親近感を覚えた。
課長が立ち去った後、源涼子《げんりょうこ》が隣の席に座ると同時に昼休憩を知らせるチャイムが鳴った。
「源さん、お昼一緒に食べに行きましょうよ」
「ありがとうございます。この辺、美味しいお店一杯あるんですよね? オススメのとこあります? 」
「そうなのよ!例えばアングリータイガーってお店はどうかな?トリプルハンバーグがお勧めで、440グラムまでサイズを選べるの。
スッゴい美味しいのよ」
「わあ、そこに行ってみたいです~~」
「じゃあ、そこにしよっかあ。サラダや御飯もお代わり自由だし。源さんとはホントに気が合いそう」
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