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「見つけたのは近所に住む女性で犬の散歩をしていたらしく、かなりショックを受け心療内科通いが続いているそうです。犯人が大した罪に問われなかった事に国民は憤っているのです。何らかの対策を立てないと、今後もこのような事件が続く可能性があります」
尾形佑馬が積極的に進言しているのは自身の娘二人のうち、一人はアンドロイドだからである。
別に珍しい事ではない。
それに皆、知っている事だ。
尾形は下の娘を僅か6歳で病気で亡くしていた。
妻の憔悴を見兼ねて、亡き娘の愛美に似せてカスタマイズしたアンドロイドを家に置く事にした。
愛美の残した映像から仕草、話し方を脳のデータに加えたアンドロイドは家族の傷を癒してくれた。
本当にそっくりで涙が溢れた。
公然の秘密というか、まだ幼児の愛美の顔が元々晒される事も無かったし公的な立場に影響する訳でもない。
極々私的な事である上に幼い子供を亡くした夫婦には良くある話しとしてセンセーショナルに取り上げられる事も無かった。
「ふーむ。続くのは困るね。過度に残酷猥褻な映像を流すのは以前から禁止されているだろう。取り締まりの判断は難しいがね。すぐに表現の自由と言い出すからな。表現などと芸術家を気取るなら、猥褻と芸術の区別ぐらい理解して貰いたいもんだ。映像を流した者を直ちに捕まえて罰を与えれば収まるんじゃないか? 」
「首相、この事件は氷山の一角に過ぎません。性ビジネスでも異常な程の需要があるのです。風俗でも──」
「セクサロイドならば当然だろう。その為のもんなんだから。だけど性欲処理専用のものがあるのに、わざわざ幼児型のアンドロイドにイタズラするとは……」
「それも今回の事件が大きくなってしまった要因です。本来、健全な生活を補助する為に開発されたのに性的な目的で用いられている例が急増しています。幼児型は子供のいない家庭で主に需要がありますが、大量生産型であれば外見は製造会社ごとに数タイプあるのみで、どこかで見たような、或いは我が子に類似するアンドロイドへの暴行であるからこそ国民は相当ショックを受けたのです」
「セクサロイドであれアンドロイドであれ幼児型を性的に用いるのは禁止すべきだな。勿論映像類もダメだ。児童ポルノと変わらん。我が国はただでさえ児童ポルノ天国と批判されてるんだから」
「ですが、幼児型と成人型との区別が難しいのでは? 」
尾形が一番の問題点を指摘した。
「そんなの見れば分かるだろう」
「顔は幼くても胸は大きくカスタマイズしている例もあります。或いはどう見ても少女にしか見えないのに18歳以上と言い張る輩も出てくるでしょう。外見上どれぐらいの年齢から禁止とするのか、という判断が難しいように思いますが」
「此方で判断基準を設け、児童ポルノ検知システムに新たな機能を追加させろ。センサーを通して幼児の特徴を備えていると見なせば全部回収だ。セクサロイドとアンドロイドの区別も、それで可能だろう」
「幼児型セクサロイドを発見した場合は回収。製造も禁止。映像はシステムが検知した場合は削除、と」
書記担当の官房長官、村井が決定事項として記録する。
まともな決定に尾形は思わず安堵の溜息を漏らした。
「そういえば、うちは男だけだからいいけど、尾形君のところには娘さんが二人もいるから心配だろう。女の子はねえ。気を付けないと。本当に小さくても変質者に狙われるんだから。今回はアンドロイドだったから良かったけど、女の子が変質者にイタズラされたなんて事件は日常茶飯事《※※※※※※※》なんだからね。親は絶対に目を離しちゃダメだよ。何かあったら親の責任として叩かれるんだから」
園田が尾形を労るように声を掛けた。
「家庭用の幼児型アンドロイドが性的に利用された場合はどうしますか?セクサロイドが禁止されれば家庭用を性的対象とする奴等が出てくるでしょう。いや、既にそうした例が多数あるのではという事が今回の事件で明るみになった訳です。家庭内で何が行われているかは外からは分かりません。セクサロイドのカスタマイズは高額ですから」
尾形が園田に問い掛ける。
「普通のアンドロイドにも──ああ……性器はあるのか?無論、私は見た事ないけどね」
園田は核心を突いた質問を投げ掛けた。
「人間を精巧に模している為、性器もあります。但しセクサロイドとは異なり、男女共に性行為に適した機能を有していません」
総務大臣の横山が説明する。
「具体的には?幸い此処には女性はいない。はっきり言いなさい」
「つまり男性型のぺニスは只ぶら下がっているだけであり、女性型の場合も伸縮性に乏しく、はっきり言って単なる穴です。勿論挿入自体は可能ですが無理矢理挿入すれば裂け、内部まで損傷してしまう恐れがあります。空き地で見つかった幼女型の場合、最初の挿入で局部が破壊され、その後……」
「その後?はっきり言え」
「人間の場合もそうですが、子供は身体が小さく臓器も同じで未熟です。成人男性と比べてあらゆる部位において尺が足りない。アンドロイドの性器は飾りですが、その……性行為は下半身だけで行うものではありません」
「なるほど、ゲスだなあ」
園田は唇をひん曲げたが、心底それを憂いているようには見えなかった。
しかし尾形は内心唾を吐いた。
「ショップで手に入るアンドロイドは家電扱いである為、どのような用途として用いるかまで詮索される事はありません。所有者本人の判断に委ねられています。家庭内では実際沢山あるのでしょうが、基本的に従順である為、表面化しにくいだけではないでしょうか? 」
尾形佑馬が積極的に進言しているのは自身の娘二人のうち、一人はアンドロイドだからである。
別に珍しい事ではない。
それに皆、知っている事だ。
尾形は下の娘を僅か6歳で病気で亡くしていた。
妻の憔悴を見兼ねて、亡き娘の愛美に似せてカスタマイズしたアンドロイドを家に置く事にした。
愛美の残した映像から仕草、話し方を脳のデータに加えたアンドロイドは家族の傷を癒してくれた。
本当にそっくりで涙が溢れた。
公然の秘密というか、まだ幼児の愛美の顔が元々晒される事も無かったし公的な立場に影響する訳でもない。
極々私的な事である上に幼い子供を亡くした夫婦には良くある話しとしてセンセーショナルに取り上げられる事も無かった。
「ふーむ。続くのは困るね。過度に残酷猥褻な映像を流すのは以前から禁止されているだろう。取り締まりの判断は難しいがね。すぐに表現の自由と言い出すからな。表現などと芸術家を気取るなら、猥褻と芸術の区別ぐらい理解して貰いたいもんだ。映像を流した者を直ちに捕まえて罰を与えれば収まるんじゃないか? 」
「首相、この事件は氷山の一角に過ぎません。性ビジネスでも異常な程の需要があるのです。風俗でも──」
「セクサロイドならば当然だろう。その為のもんなんだから。だけど性欲処理専用のものがあるのに、わざわざ幼児型のアンドロイドにイタズラするとは……」
「それも今回の事件が大きくなってしまった要因です。本来、健全な生活を補助する為に開発されたのに性的な目的で用いられている例が急増しています。幼児型は子供のいない家庭で主に需要がありますが、大量生産型であれば外見は製造会社ごとに数タイプあるのみで、どこかで見たような、或いは我が子に類似するアンドロイドへの暴行であるからこそ国民は相当ショックを受けたのです」
「セクサロイドであれアンドロイドであれ幼児型を性的に用いるのは禁止すべきだな。勿論映像類もダメだ。児童ポルノと変わらん。我が国はただでさえ児童ポルノ天国と批判されてるんだから」
「ですが、幼児型と成人型との区別が難しいのでは? 」
尾形が一番の問題点を指摘した。
「そんなの見れば分かるだろう」
「顔は幼くても胸は大きくカスタマイズしている例もあります。或いはどう見ても少女にしか見えないのに18歳以上と言い張る輩も出てくるでしょう。外見上どれぐらいの年齢から禁止とするのか、という判断が難しいように思いますが」
「此方で判断基準を設け、児童ポルノ検知システムに新たな機能を追加させろ。センサーを通して幼児の特徴を備えていると見なせば全部回収だ。セクサロイドとアンドロイドの区別も、それで可能だろう」
「幼児型セクサロイドを発見した場合は回収。製造も禁止。映像はシステムが検知した場合は削除、と」
書記担当の官房長官、村井が決定事項として記録する。
まともな決定に尾形は思わず安堵の溜息を漏らした。
「そういえば、うちは男だけだからいいけど、尾形君のところには娘さんが二人もいるから心配だろう。女の子はねえ。気を付けないと。本当に小さくても変質者に狙われるんだから。今回はアンドロイドだったから良かったけど、女の子が変質者にイタズラされたなんて事件は日常茶飯事《※※※※※※※》なんだからね。親は絶対に目を離しちゃダメだよ。何かあったら親の責任として叩かれるんだから」
園田が尾形を労るように声を掛けた。
「家庭用の幼児型アンドロイドが性的に利用された場合はどうしますか?セクサロイドが禁止されれば家庭用を性的対象とする奴等が出てくるでしょう。いや、既にそうした例が多数あるのではという事が今回の事件で明るみになった訳です。家庭内で何が行われているかは外からは分かりません。セクサロイドのカスタマイズは高額ですから」
尾形が園田に問い掛ける。
「普通のアンドロイドにも──ああ……性器はあるのか?無論、私は見た事ないけどね」
園田は核心を突いた質問を投げ掛けた。
「人間を精巧に模している為、性器もあります。但しセクサロイドとは異なり、男女共に性行為に適した機能を有していません」
総務大臣の横山が説明する。
「具体的には?幸い此処には女性はいない。はっきり言いなさい」
「つまり男性型のぺニスは只ぶら下がっているだけであり、女性型の場合も伸縮性に乏しく、はっきり言って単なる穴です。勿論挿入自体は可能ですが無理矢理挿入すれば裂け、内部まで損傷してしまう恐れがあります。空き地で見つかった幼女型の場合、最初の挿入で局部が破壊され、その後……」
「その後?はっきり言え」
「人間の場合もそうですが、子供は身体が小さく臓器も同じで未熟です。成人男性と比べてあらゆる部位において尺が足りない。アンドロイドの性器は飾りですが、その……性行為は下半身だけで行うものではありません」
「なるほど、ゲスだなあ」
園田は唇をひん曲げたが、心底それを憂いているようには見えなかった。
しかし尾形は内心唾を吐いた。
「ショップで手に入るアンドロイドは家電扱いである為、どのような用途として用いるかまで詮索される事はありません。所有者本人の判断に委ねられています。家庭内では実際沢山あるのでしょうが、基本的に従順である為、表面化しにくいだけではないでしょうか? 」
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「たそがれ」は、江戸時代になるまでは「たそかれ」といい、「たそかれどき」の略でよく知られていた。夕暮れの人の顔の識別がつかない暗さになると誰かれとなく、「そこにいるのは誰ですか」「誰そ彼(誰ですかあなたは)」とたずねる頃合いという意味で日常会話でよく使われた。
今回の私の小説のテーマはこの黄昏である。
この風習は広く日本で行われている。
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と、現在のように「たそかれ」で時間帯を表す用例が現れる。
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