真実の愛なんてクソ喰らえ

月宮雫

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第一章

復讐及び脱出への策略⑪

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ルビーは惨めな子、どんなに頑張っても報われない、可哀想な女の子。

悲しくて泣いても、嬉しくて笑っても誰にも認めて貰えず幸せすらも訪れない、可哀想な子。

この狼の腕の中で思い出すのは、ルビーの物語の前半部分だ。





「…ルビー、食欲はあるか?」

「…」

「まだ肩が痛むだろう。もし何か食べられるのであれば俺が食べさせる。」

「…」






食欲とは何なのだろう。ロウと一緒に居た時は名前もあまり知らないお肉で作られた高級料理ばかり食べさせられていた。

一人ワインを嗜むロウはなかなか食べない私を気に食わなそうに見ていたっけ。

ここでは何が出されるのだろう。

あまり、食べたくはないな。

わずかな記憶の欠片に浸る中、ふと、その言葉を頭に思い浮かべる。

噛み続けるのも疲れてきて狼の肩から顔を離すと、血が付いた口の周りを彼の指先が優しく拭う。





「お前に赤は似合わないな…」

「…、」





すると次の瞬間、不思議な言葉を掛けられた。

赤は似合わない?

どういう意味だろうか、と首を傾げて狼を見つめ返す。

優しい目と視線が絡み、それがスゥ、と細められる。

もしかして私の唇に付いた狼の血を見て、そう言ったの?





「…なんでもない。さあ、食事にしよう」

「…」

「…お前の好きな食べ物を用意させるから、何かあれば筆談でもいいから言ってくれ」

「…」






彼は少し笑った後にそう言ってはぐらかし、私にスケッチブックとペンを渡してきた。

なるほど、こういう手段で私とコミュニケーションを取ろうというわけか。

渡されたそれを見て、私はキッと目元に力を入れる。

食欲なんて、あるわけがない。






「…っ、ルビー、」

「…ご飯なんて要らない…っ、こんなの無くても喋れるもん…っ、」





私は恨みをぶつけるかのように、手に持たされたそれを床に思いっきり投げ捨てた。

そしてちゃんと話せるということを知らせるため、枯れた声を張り上げて彼の胸板を拳で打った。

ああ、でも、肩が痛い。

それに、声もガスガスだ…。

二日も飲まず食わずの所為で身体のあちこちから力が抜けてきて、床に落ちそうになる。




「危ない…っ、」

「っ、」

「すまなかった…、嫌ならいいんだ、」




それを受け止めてくれるのは、やっぱり彼で。苦しそうな表情を浮かべながらも私の背中を撫でてきた。
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