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第一章
銀紙に包まれた秘密④
しおりを挟むほとんど白に染まってしまったこの亜麻色を撫でる人はロウ以外に居なかった。
これは数年のストレスによるものらしい。
まだ年老いてもいないのに、鏡に映った自分は真っ白な髪の毛をしていて、しばらくは慣れなかった。
子供の頃、周りの人にお母様に似た顔立ちを褒められる事は多かったけれど、今は見る影もない。
街中で自分のような容姿をした人に出会ったら、きっとこう思うだろう。
可哀想な人だ、と。
「……そんな目で見ないで。」
「…、」
今、私の頭を撫でている人はそういう目をしている。
可哀想な子だという瞳でこちらを見ながら、白髪の頭を撫で付けている。
それが酷く屈辱的に思えた。
私が口にした言葉に対し、彼は驚いた様子で目を見開き、頭を撫でている手を止める。
「……馬鹿にしないで。」
「していない。」
「…嘘つき」
「…、」
私はその手を払い除けてベンチから立ち上がり、日傘の中から抜けて走り出した。
何だか、一人にしてほしい気分だった。
背中に視線を感じるけれど、彼が追い掛けてくる様子は無い。
そのまま日陰になっている所まで移動し、誰にも見つからないように膝を抱え込んで座った。
着せられている服はシンプルなデザインの白いワンピース。
お尻を地面に付けて座っている為、きっとその部分の色が変わっている頃だろう。
「…私の苦しみを知らない癖に。勝手に私の気持を悟ろうとするな…。」
頭に浮かんだのはαへの憎しみの感情と、辛かったあの日々の光景だった。
あの日々を、忘れてはいけない。
屈辱を忘れてはいけない。
復讐をするためには、それが必須だ。
「…ルビー、何処に隠れている、そろそろ時間だ。部屋に戻ろう」
何処かで声がして、ビクリと身体が揺れた。
頭の中で考えている内にいつの間にかそんな時間が経っていたらしい。
ああ、何をされても私の思いが変わる事はないというのに、諦めの悪い狼だ。
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