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第一章
銀紙に包まれた秘密④
しおりを挟む私の言葉を聞いた彼はまたもや悲しげな表情を浮かべ、何かを堪えるように片手で顔を覆う。
それをただ見つめるだけの私は、彼の瞳にどのように映っているのか。
優しいと見せかけ、所詮は善人ぶった獣のα。
日に当たり、煌めいているようにも見える彼の綺麗な灰色の毛。それを抱え込むようにして、その背中に腕を伸ばした。
「私を襲いたいのなら襲えばいい。
今更そんな情けなんて要らないの。だって私を抱く事が貴方の目的なんでしょ?」
彼に顔を寄せてピエロのような笑みを貼り付け、小さく呟く。
悪魔の囁きにも聞こえるその言葉は、簡単にも彼の心のストッパーを外してしまったようだ。
瞳に欲情を孕ませ、熱い吐息を絡ませる獣を見て直感した。
オトコの誘い方は、全てあの人に教わっている。
「本当は私をめちゃくちゃに犯して、今すぐにでも番にしたいんでしょう…?」
私は密着していた彼の腰に足を絡め、崩壊しそうな理性と戦いを続けているであろうその心に追い打ちをかけた。
同時に自分の心も壊していくやり方でもあり、終わった頃に後悔の念を抱くものだ。
けれど、不思議と今だけは服を捲られた時のようにあの記憶がフラッシュバックしなくて、都合がいい。
「ほら、食べて良いのよ…?」
ゆっくりと上下した彼の喉仏を確認し、そこに軽く歯を立てる。
ほら、こういう事が好きなんでしょう…?
「…やめてくれ、ルビー。」
「…、は?」
勝利を確信したその時だった。さっきとは比べ物にならないくらい優しい力で身体を包み込まれ、温かなものと密着をさせられる。
彼の腕が震えているのも分かり、はっと顔を上げた。
ポタ、と温かい雫が私の頬に落ちる。
「そうやって自分から心を壊していくのは…。もうやめてくれ…」
「…っ、」
「俺は…。こんな形でお前と番う事なんて望んでいない…、」
それが涙だと理解するのにあまり時間は掛からず、綺麗な雫を次々と零す彼を唖然と見続けた。
どうして、貴方が泣くの…?
大きな口からは血が出ていて、必死に欲を堪えたものだと捉えられる。
どうして、私を襲わないの…?
ボタボタと零れ落ちてくる涙を受け止めさせられながら、同調するように私の目にも雫が貯まる。
すると彼はさらに強く掻き抱き、私にこう呟いた。
「あのまま、逃げてくれた方が良かったんだ…。」
「どう、して、」
「俺はルビーに抵抗する力があるのなら、逃げて欲しかった。」
「言ってる意味が…、」
彼の言っている事の意味が分からず、激しく混乱をしている。
自分から私を襲おうとした癖に、どうしてそんな訳の分からない事を口にするのか。
皺になった彼のシャツを握り締めながら、考える。
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