63 / 204
第一章
銀紙に包まれた秘密④
しおりを挟む
「……んっ、」
私の瞳から零れ出した涙を、彼の長い舌が拭う。
時折リップ音を奏でて頬を啄まれ、少しくすぐったくて声が漏れた。
大切なものを扱うような手の優しさと、ソフトに触れる彼の口。普通ならここで犬歯や、牙が掠ってもおかしくないのに、舌以外は何も触れず。
「…お前の心を少しでも…、治してやりたかった。さっきの状況の中、抵抗する事で本来の自分を見失わないで居て欲しかったんだ…」
「…、心を、治す…?」
しばらく唇の交わりを繰り返した後に紡がれたのは、私が未だに理解していなかった事だった。
自分を、見失わない…?
私が自分を見失っていたとでも言うの…?
彼の言葉を聞いてそれすら気付いていなかった私。周りの人間からは、さぞ滑稽に見えていただろう。
ただ引っかかるのは彼の発した、“心を治したい”という言葉だった。
「俺はお前にとっては不必要なのかもしれない。その上、恨みを抱く対象だ。今は何を言っても響かないかもしれないが…」
切羽詰まった様子で語られる言葉を黙って聞いていると核心を突くものがあり、反応するようにドクリと心臓が音を立てる。
恨みを抱く対象、それは間違いではないからだ。
それを最後まで言いきらず、間を置いて彼は紡ぐ。
「これだけは覚えていて欲しい…。」
「…」
「ルビー。俺は、お前が心から愛しい…。これから先、ずっと傍でお前を見ていたい。」
「…、う、」
「嘘ではない。これは…俺の本心だ。
お前になら、何をされてもいいんだ…。」
実の両親でさえもくれなかった、“愛の言葉”を。
甘く優しく、厳しさは全く含まれていない無償の愛。
シトラスの香りと共に私の身体の中に入り込んできたものは、彼の重すぎる寵愛だったーー。
私の瞳から零れ出した涙を、彼の長い舌が拭う。
時折リップ音を奏でて頬を啄まれ、少しくすぐったくて声が漏れた。
大切なものを扱うような手の優しさと、ソフトに触れる彼の口。普通ならここで犬歯や、牙が掠ってもおかしくないのに、舌以外は何も触れず。
「…お前の心を少しでも…、治してやりたかった。さっきの状況の中、抵抗する事で本来の自分を見失わないで居て欲しかったんだ…」
「…、心を、治す…?」
しばらく唇の交わりを繰り返した後に紡がれたのは、私が未だに理解していなかった事だった。
自分を、見失わない…?
私が自分を見失っていたとでも言うの…?
彼の言葉を聞いてそれすら気付いていなかった私。周りの人間からは、さぞ滑稽に見えていただろう。
ただ引っかかるのは彼の発した、“心を治したい”という言葉だった。
「俺はお前にとっては不必要なのかもしれない。その上、恨みを抱く対象だ。今は何を言っても響かないかもしれないが…」
切羽詰まった様子で語られる言葉を黙って聞いていると核心を突くものがあり、反応するようにドクリと心臓が音を立てる。
恨みを抱く対象、それは間違いではないからだ。
それを最後まで言いきらず、間を置いて彼は紡ぐ。
「これだけは覚えていて欲しい…。」
「…」
「ルビー。俺は、お前が心から愛しい…。これから先、ずっと傍でお前を見ていたい。」
「…、う、」
「嘘ではない。これは…俺の本心だ。
お前になら、何をされてもいいんだ…。」
実の両親でさえもくれなかった、“愛の言葉”を。
甘く優しく、厳しさは全く含まれていない無償の愛。
シトラスの香りと共に私の身体の中に入り込んできたものは、彼の重すぎる寵愛だったーー。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
橘若頭と怖がり姫
真木
恋愛
八歳の希乃は、母を救うために極道・橘家の門を叩き、「大人になったら自分のすべてを差し出す」と約束する。
その言葉を受け取った橘家の若頭・司は、希乃を保護し、慈しみ、外界から遠ざけて育ててきた。
高校生になった希乃は、虚弱体質で寝込んでばかり。思いつめて、今まで養ってもらったお金を返そうと夜の街に向かうが、そこに司が現れて……。
背徳のミラールージュ(母と子 それぞれが年の差恋愛にのめり込んでいく鏡写し)
MisakiNonagase
恋愛
24歳の市役所職員・中村洋平には、自慢の恋人がいた。2歳年上の小学校教師、夏海。誰もが羨む「正解」の幸せの中にいたはずだった。
しかし、50歳になる母・美鈴が21歳の青年・翔吾と恋に落ちたとき、歯車は狂い出す。
母の恋路を「不潔だ」と蔑んでいた洋平だったが、気づけば自分もまた、抗えない引力に引き寄せられていた。
その相手は、母の恋人の母親であり、二回りも年上の柳田悦子。
純愛か、背徳か。4年付き合った恋人を捨ててまで、なぜ僕は「彼女」を求めてしまうのか。
交差する二組の親子。歪な四角関係の果てに、彼らが見つける愛の形とは――。
人狼な幼妻は夫が変態で困り果てている
井中かわず
恋愛
古い魔法契約によって強制的に結ばれたマリアとシュヤンの14歳年の離れた夫婦。それでも、シュヤンはマリアを愛していた。
それはもう深く愛していた。
変質的、偏執的、なんとも形容しがたいほどの狂気の愛情を注ぐシュヤン。異常さを感じながらも、なんだかんだでシュヤンが好きなマリア。
これもひとつの夫婦愛の形…なのかもしれない。
全3章、1日1章更新、完結済
※特に物語と言う物語はありません
※オチもありません
※ただひたすら時系列に沿って変態したりイチャイチャしたりする話が続きます。
※主人公の1人(夫)が気持ち悪いです。
極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です
朝陽七彩
恋愛
私は。
「夕鶴、こっちにおいで」
現役の高校生だけど。
「ずっと夕鶴とこうしていたい」
担任の先生と。
「夕鶴を誰にも渡したくない」
付き合っています。
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
神城夕鶴(かみしろ ゆづる)
軽音楽部の絶対的エース
飛鷹隼理(ひだか しゅんり)
アイドル的存在の超イケメン先生
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
彼の名前は飛鷹隼理くん。
隼理くんは。
「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」
そう言って……。
「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」
そして隼理くんは……。
……‼
しゅっ……隼理くん……っ。
そんなことをされたら……。
隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。
……だけど……。
え……。
誰……?
誰なの……?
その人はいったい誰なの、隼理くん。
ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。
その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。
でも。
でも訊けない。
隼理くんに直接訊くことなんて。
私にはできない。
私は。
私は、これから先、一体どうすればいいの……?
甘い匂いの人間は、極上獰猛な獣たちに奪われる 〜居場所を求めた少女の転移譚〜
具なっしー
恋愛
「誰かを、全力で愛してみたい」
居場所のない、17歳の少女・鳴宮 桃(なるみや もも)。
幼い頃に両親を亡くし、叔父の家で家政婦のような日々を送る彼女は、誰にも言えない孤独を抱えていた。そんな桃が、願いをかけた神社の光に包まれ目覚めたのは、獣人たちが支配する異世界。
そこは、男女比50:1という極端な世界。女性は複数の夫に囲われて贅沢を享受するのが常識だった。
しかし、桃は異世界の女性が持つ傲慢さとは無縁で、控えめなまま。
そして彼女の身体から放たれる**"甘いフェロモン"は、野生の獣人たちにとって極上の獲物**でしかない。
盗賊に囚われかけたところを、美形で無口なホワイトタイガー獣人・ベンに救われた桃。孤独だった少女は、その純粋さゆえに、強く、一途で、そして獰猛な獣人たちに囲われていく――。
※表紙はAIです
世間知らずな山ごもり薬師は、××な騎士団長の性癖淫愛から逃げ出せない
二位関りをん
恋愛
平民薬師・クララは国境沿いの深い山奥で暮らしながら、魔法薬の研究に没頭している。招集が下れば山を下りて麓にある病院や娼館で診察補助をしたりしているが、世間知らずなのに変わりはない。
ある日、山の中で倒れている男性を発見。彼はなんと騎士団長・レイルドで女嫌いの噂を持つ人物だった。
当然女嫌いの噂なんて知らないクララは良心に従い彼を助け、治療を施す。
だが、レイルドには隠している秘密……性癖があった。
――君の××××、触らせてもらえないだろうか?
わたしたちの庭
犬飼ハルノ
恋愛
『夜明けになるまで絶対に寝室の扉を開けないで』
未来の義母が告げたのは奇妙な夜の掟だった。
父に売られる形でブルーノ伯爵子息の婚約者になったフィリスの物語。
ヒロインのフィリスが自らの力と周囲の人々に支えられて幸せをつかむ話ですが、しばらくは暗く重い展開です。
タグを途中から追加します。
他サイトでも公開中。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる