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第一章
血の味を知った者③
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「恨みを抱いたその目で見下されるのも、なかなか悪くはない。それにどうせあと数日で尽きる命だ。お前に殺されるのもまた一興。」
グッ、と身体を抱き締める腕の力が強まった時、傷付いた肩に振動が伝わり、痛みを感じた。
せっかく傷が塞がったのに、また治療をしなければならないのか…。
ギンさんの膝の上に乗せられて、ご飯を食べさせられる光景が頭を過り、心の中で「嫌だな」と呟く。
「この状況で考え事とはいい度胸だ」
動けなくなった私の肩に顔を埋め、ダクダクと溢れ出す血を啜り始めた黒豹はこう言い放つ。
「よく聞け、ルビー。
残念な事に俺はまだお前を味わい足りないものでな…。
何度か抱けば、お前はさらに恨みを抱くだろう?
どうせなら怒りを増幅させた状態で俺を殺すといい。」
「ーー…ッ、ぐぅ、」
「分かったか…?
俺はお前に殺されてやると言ったんだ。この好意を有難く受け取るといい……。」
何処までも憎たらしく、偉そうな男だ。
ようやく自我を取り戻したのか、以前と変わらない鋭い眼光を向け、命令口調で話を続けて来た。
冷たい部屋に響くバリトンボイスの放った言葉を聞き、その言い草に屈辱を感じる。
殺されてやる、とは…。
恨みを抱かれているのに恐れもせず、怒りもせずーー。この男が殺されることを簡単に受け入れるだなんて、おかしな話だ。
何か裏があるに違いないーー、と。勘繰っていたけれど、ロウの瞳は嘘をついていなかった。
本当に、この男は殺される事を何とも思っていないのか…。
よく見れば、ロウの身体に爪痕のような傷がいくつもある事に気が付いた。
これは、誰にやられたのだろう?
「……これをやったのはお前のよく知る男だ。ここに俺を閉じ込めたのも、拷問をしたのも…な。」
私の視線で悟ったロウは答えを口にして、ははっと乾いた笑いを響かせる。
拷問…?
どうして彼がロウに拷問なんか…。
そう思いながら視線を移動させ、辺りを確認すると、床には引きちぎれた手錠と鎖が落ちていて。傍にある小さなアンティークのテーブルの上には鞭のようなものが置いてあった。
それ等を見ても、優しい笑顔を浮かべる彼からは想像が出来ず、最初は信じられなかった。
そんな事を出来るような人じゃなさそうなのに…。
けれど、ふと、お前を守りたいんだーー、と私に言っていた彼を思い出して…。
はっ、とする。
グッ、と身体を抱き締める腕の力が強まった時、傷付いた肩に振動が伝わり、痛みを感じた。
せっかく傷が塞がったのに、また治療をしなければならないのか…。
ギンさんの膝の上に乗せられて、ご飯を食べさせられる光景が頭を過り、心の中で「嫌だな」と呟く。
「この状況で考え事とはいい度胸だ」
動けなくなった私の肩に顔を埋め、ダクダクと溢れ出す血を啜り始めた黒豹はこう言い放つ。
「よく聞け、ルビー。
残念な事に俺はまだお前を味わい足りないものでな…。
何度か抱けば、お前はさらに恨みを抱くだろう?
どうせなら怒りを増幅させた状態で俺を殺すといい。」
「ーー…ッ、ぐぅ、」
「分かったか…?
俺はお前に殺されてやると言ったんだ。この好意を有難く受け取るといい……。」
何処までも憎たらしく、偉そうな男だ。
ようやく自我を取り戻したのか、以前と変わらない鋭い眼光を向け、命令口調で話を続けて来た。
冷たい部屋に響くバリトンボイスの放った言葉を聞き、その言い草に屈辱を感じる。
殺されてやる、とは…。
恨みを抱かれているのに恐れもせず、怒りもせずーー。この男が殺されることを簡単に受け入れるだなんて、おかしな話だ。
何か裏があるに違いないーー、と。勘繰っていたけれど、ロウの瞳は嘘をついていなかった。
本当に、この男は殺される事を何とも思っていないのか…。
よく見れば、ロウの身体に爪痕のような傷がいくつもある事に気が付いた。
これは、誰にやられたのだろう?
「……これをやったのはお前のよく知る男だ。ここに俺を閉じ込めたのも、拷問をしたのも…な。」
私の視線で悟ったロウは答えを口にして、ははっと乾いた笑いを響かせる。
拷問…?
どうして彼がロウに拷問なんか…。
そう思いながら視線を移動させ、辺りを確認すると、床には引きちぎれた手錠と鎖が落ちていて。傍にある小さなアンティークのテーブルの上には鞭のようなものが置いてあった。
それ等を見ても、優しい笑顔を浮かべる彼からは想像が出来ず、最初は信じられなかった。
そんな事を出来るような人じゃなさそうなのに…。
けれど、ふと、お前を守りたいんだーー、と私に言っていた彼を思い出して…。
はっ、とする。
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