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第二章
夢と現実の狭間③
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あれから私はご飯を食べて眠くなり、時雨さんの家で眠ってしまっていたらしい。
眠っている間、嫌な夢を見たけれど途中で安らかなものに変わったような気がする。
何故だろうか…。
「…ん、」
そう思いながら温かい布団の中で瞼を開け、ゆっくりと身体を起こすと左手の方に何かが触れる。
恐らく、昨日はそれを掴んで寝ていたのだろう。
左手で布団に隠れていたものを引っ張り出すと、大きなサイズのコートが姿を現した。
「…、」
何これ、誰のコート…?
それを見て思わず固まり、考え込んだ。
かなり高級そうで手触りも良いコートは布団の中で皺になっていて、持ち主に対して申し訳ない気持ちになる。
けれど、傍にあると何となく安心する。
これは一体誰のコートなのだろうか…?
そう疑問を抱き、私は静かな部屋の中でコートに鼻を近付けてみた。
「うーん、」
困った事に、コートの匂いを嗅いでも薄らと香りがするだけでいまいちピンと来なくて、頭を捻った。
当たり前だ。
警察犬や鼻の効く獣人でもない限り、コートの匂いだけで持ち主を特定出来るわけがない。
私はただのΩという性を持っただけ人間だもの。
そんな私でも分かるのは、このコートが傍にあると少し安心する事だった。
腫れぼったい目で茶色のコートを捉えながらそう考える。
何も、不安を抱いているわけではない。
けれど、一度掴んだコートを今も手放せないままでいる。
持ち主も知らないはずなのに、おかしいや。
寝ている間ずっと手に握っていたであろうそのコートが何なのかをモヤモヤと考えていた時だった。
「ルビーちゃん、おはよう!」
「…!」
「もう11時よ~、ふふ、ぐっすりだったわね」
時雨さんがエプロン姿で部屋に入って来て、笑顔を浮かべながら声を掛けてきた。
突然入ってきた事にビックリしてコートを掴みながら部屋の隅に移動すると、あらあら、と笑われた。
警戒されていても尚、笑顔を浮かべ続けている時雨さんの目線の先には私が持っているコートがあって。何やら彼はそれを見て笑っているようだった。
何なんだろう…?
何かあるのかな…?
首を傾げて時雨さんを見上げても、クスクスと笑われるだけで明確な答えはない。
「さて、ルビーちゃん。もうほぼお昼だけど朝ごはん作ったから、顔洗ったら食べようか」
「…」
時雨さんからそう声を掛けられ、スンスンと鼻から空気を吸い込むと。扉の向こう側からフレンチトーストの甘い香りが漂ってきていて。その匂いで時雨さんが今まで作っていたものを把握する。
朝食にフレンチトーストを食べるのは初めてな気がする。
もうお昼時だからかな…。
「あ、フレンチトーストはおやつにしようかしら…。テーブルの上に目玉焼きとタコさんウインナーとポテトサラダが乗ったお皿があると思うから、お好みの調味料を付けて食べてね…!」
「…」
洗面所で顔を洗って帰ってくると、彼は作りたてのフレンチトーストをお皿に乗せながら、そう声を掛けてきた。
フレンチトーストはおやつ。
私はそう思いながら食卓に座り、目玉焼きを食べる為にフォークを手に取ったけれど…。
一つここで、我に返る点があった。
ここから逃げ出そうと思っていた割には時雨さんの手作りのご飯を食べて一晩眠っただけで、すっかりこの家に馴染んでいるではないか、と。
眠っている間、嫌な夢を見たけれど途中で安らかなものに変わったような気がする。
何故だろうか…。
「…ん、」
そう思いながら温かい布団の中で瞼を開け、ゆっくりと身体を起こすと左手の方に何かが触れる。
恐らく、昨日はそれを掴んで寝ていたのだろう。
左手で布団に隠れていたものを引っ張り出すと、大きなサイズのコートが姿を現した。
「…、」
何これ、誰のコート…?
それを見て思わず固まり、考え込んだ。
かなり高級そうで手触りも良いコートは布団の中で皺になっていて、持ち主に対して申し訳ない気持ちになる。
けれど、傍にあると何となく安心する。
これは一体誰のコートなのだろうか…?
そう疑問を抱き、私は静かな部屋の中でコートに鼻を近付けてみた。
「うーん、」
困った事に、コートの匂いを嗅いでも薄らと香りがするだけでいまいちピンと来なくて、頭を捻った。
当たり前だ。
警察犬や鼻の効く獣人でもない限り、コートの匂いだけで持ち主を特定出来るわけがない。
私はただのΩという性を持っただけ人間だもの。
そんな私でも分かるのは、このコートが傍にあると少し安心する事だった。
腫れぼったい目で茶色のコートを捉えながらそう考える。
何も、不安を抱いているわけではない。
けれど、一度掴んだコートを今も手放せないままでいる。
持ち主も知らないはずなのに、おかしいや。
寝ている間ずっと手に握っていたであろうそのコートが何なのかをモヤモヤと考えていた時だった。
「ルビーちゃん、おはよう!」
「…!」
「もう11時よ~、ふふ、ぐっすりだったわね」
時雨さんがエプロン姿で部屋に入って来て、笑顔を浮かべながら声を掛けてきた。
突然入ってきた事にビックリしてコートを掴みながら部屋の隅に移動すると、あらあら、と笑われた。
警戒されていても尚、笑顔を浮かべ続けている時雨さんの目線の先には私が持っているコートがあって。何やら彼はそれを見て笑っているようだった。
何なんだろう…?
何かあるのかな…?
首を傾げて時雨さんを見上げても、クスクスと笑われるだけで明確な答えはない。
「さて、ルビーちゃん。もうほぼお昼だけど朝ごはん作ったから、顔洗ったら食べようか」
「…」
時雨さんからそう声を掛けられ、スンスンと鼻から空気を吸い込むと。扉の向こう側からフレンチトーストの甘い香りが漂ってきていて。その匂いで時雨さんが今まで作っていたものを把握する。
朝食にフレンチトーストを食べるのは初めてな気がする。
もうお昼時だからかな…。
「あ、フレンチトーストはおやつにしようかしら…。テーブルの上に目玉焼きとタコさんウインナーとポテトサラダが乗ったお皿があると思うから、お好みの調味料を付けて食べてね…!」
「…」
洗面所で顔を洗って帰ってくると、彼は作りたてのフレンチトーストをお皿に乗せながら、そう声を掛けてきた。
フレンチトーストはおやつ。
私はそう思いながら食卓に座り、目玉焼きを食べる為にフォークを手に取ったけれど…。
一つここで、我に返る点があった。
ここから逃げ出そうと思っていた割には時雨さんの手作りのご飯を食べて一晩眠っただけで、すっかりこの家に馴染んでいるではないか、と。
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