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第二章
夢と現実の狭間③
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思い返せば、今まで憎しみや怒り、そして悲しみを抱く事は多くあったけれど、嬉しさや寂しさは感じた事が無かったような気がする。
悪い事を企んで笑みを浮かべる時はあったかもしれないけれど、いつから笑っていないのだろうかと考えるほど私は笑っていない。
笑うって、何だっけ。
寂しいって、何だっけ。
嬉しいって、どんな気持ち…?
「ルビーちゃん、大丈夫?」
「うっ、うぅ、…ぐすっ、…うっ、」
ポチャン、と零れた涙がココアに落ちる。
気が付いたら背中が摩られていて、それがとても温かく、涙が溢れ出してきた。
嗚呼、涙を含んだ口の中がしょっぱくて嫌になる。
憎しみばかりを抱いて行動していると、いつの間にか失われていくものがあるなんて知らなかった。
感情が壊れていく事も、知らなかった。
「大丈夫、大丈夫…。ルビーちゃんはね、少し不器用さんなだけなの。」
「…うっ、ぅ、」
「寂しい気持ちも、甘えたい気持ちも、上手く表現出来ないだけなの…。でもね、それはおかしい事じゃないのよ。」
時雨さんの言葉は、少しばかり情緒不安定な気持ちに染みた。
笑えない。
幸せって何…?
時雨さんは泣きじゃくって言葉も発せない私を優しく抱き締め、背中を撫で続けた。
大丈夫、大丈夫と同じ言葉を呟いて。お母さんのような温もりを感じさせた。
悪い事を企んで笑みを浮かべる時はあったかもしれないけれど、いつから笑っていないのだろうかと考えるほど私は笑っていない。
笑うって、何だっけ。
寂しいって、何だっけ。
嬉しいって、どんな気持ち…?
「ルビーちゃん、大丈夫?」
「うっ、うぅ、…ぐすっ、…うっ、」
ポチャン、と零れた涙がココアに落ちる。
気が付いたら背中が摩られていて、それがとても温かく、涙が溢れ出してきた。
嗚呼、涙を含んだ口の中がしょっぱくて嫌になる。
憎しみばかりを抱いて行動していると、いつの間にか失われていくものがあるなんて知らなかった。
感情が壊れていく事も、知らなかった。
「大丈夫、大丈夫…。ルビーちゃんはね、少し不器用さんなだけなの。」
「…うっ、ぅ、」
「寂しい気持ちも、甘えたい気持ちも、上手く表現出来ないだけなの…。でもね、それはおかしい事じゃないのよ。」
時雨さんの言葉は、少しばかり情緒不安定な気持ちに染みた。
笑えない。
幸せって何…?
時雨さんは泣きじゃくって言葉も発せない私を優しく抱き締め、背中を撫で続けた。
大丈夫、大丈夫と同じ言葉を呟いて。お母さんのような温もりを感じさせた。
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