プチ自給自足生活始めたら 何故か異世界の町に繋がった?

graypersona

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いろいろな思い

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ギガスライムの体が頽れていく。
やり場のない怒りを燻らせながら
見つめていると、体全体が破裂するように
白い粒子になって霧散していった。
後には4つに切られた魔石が残っていた。
一つのカケラで人の頭より大きい。
それを俺の亜空間収納に収めた。

 「カケル、
  よくやった。
  ひとまずこの子供達を連れて
  ダンジョンを出る。
  いいな?

  ネイル、
  シスターと子供達にも
  ワイルドウルフの魔石を渡してくれ。
  
  全員に持たせたら、あの浮島まで飛んで
  ダンジョンを出る。

  カイル、
  お前は先行して、
  誘導と空中の警戒を頼むぞ。」

ギルド長のジークさんの声で
みんな動き始めた。
俺はスキルで見たあの光景のことを
ジークさんに話そうと思った。

 「ジークさん、
  俺、さっきの戦いの時に・・」

 「カケル、話は後で聞く。  
  今は安全の確保と救助完了を急ごう。」

片手をあげて話を遮ると、カケルには
ザラと一緒に飛んでいくようにとだけ指示をした。

ジークさん、ダガーさん、ロアンヌさん、
ネイルさんの4人で8人の子供達を引率するようだ。
俺の方で、シスターと大きめの体格の子供二人を
引き受けた。

ザラさんがおんぶ紐の代わりになるものを
持っていたので、俺の体に子供達をくくりつけて
ザラさんとシスターの手を握って飛ぶことになった。
いきなり2児の父になった気分だ。
不安そうな子供達の顔を見て、頑張って笑顔を見せ、
少しでも気が和らぐといいなと思った。



カイルさんの魔石灯の発射に合わせて、
魔石の力で飛び上がると、最初の浮島を目指した。
あの浮島には、魔力マーカーっていう魔石を
埋め込んでおいたそうだ。
空腹草という魔物の魔石で、
その魔石の方向を見たり、近寄ったりすると、
お腹が空いた感覚になる。
探知スキルがなくても分かるので便利な魔石だ。
お腹が鳴る方へって・・・腹の虫センサーだな。


そんなことを思いながら、
ハイパージャンプ のスキルで
かなりゆっくり目に飛んだけど、
シスターには厳しかったみたいだ。
降りる時にもっと気を使ったけど、
先に降りたザラさんに受け止めてもらって
ことなきを得た感じだ。

みんな無事に辿り着いたら、
すぐに戻るのかと思ったけど、
ジークさんが飛んできた方へ向かって
剣を振り始めていた。
後ろにダガーさん達が整列している。
何となく俺とザラさんもその後ろに並んだ。

ジークさんはゆっくりとした動作で
空中に丸く大きな円を描くと、
一振り一振りに気合を込めて
星形を描くように空中を斬っていた。

 「五芒星かな?」
 「魔物が出てこないようにという
  おまじないよ。」

俺の呟きにネイルさんが教えてくれた。
五芒星の封印みたいな感じのおまじないか。


 「よし、一旦戻る。

  ダガー、
  先頭に立ってくれ。
  俺が殿につく。」

ジークさんの言葉でダガーさんの後ろに
子供達が続いて、最後にジークさんの
一列になってゆっくり進んでいった。

やっぱり温かい壁に似ている感じの壁を越えると
篝火が焚かれた草原に戻ってきていた。
もうすっかり深夜になっているみたいだ。
ギルドから馬車の迎えが来ていて、
シスター達は街の方へ戻っていった。

シスター達の話は明日ギルドで聞くそうだ。
俺達には先にジークさんから話があった。

 「今日のところはここまでとする。
  おそらく中には生存者はいないだろう。
  
  明日シスターに人数を確認するが、
  俺の方で確認した犠牲者は、
  子供らしきものばかりで5名だ。

  他に確認したものはいるか?」

誰も首を振っている中、俺は自信がないけど
発言することにした。

 「この目で見たわけではないのですが、
  いいでしょうか?

  じゃあ、話します。
  俺のスキル記憶遡行っていうのがあって、
  触れたものの過去の記憶を見れるんですが、
  ギガスライムの水の槍に触れた時に
  あいつが逃げる子供達6人を次々と襲って
  ・・・取り込んでいるのを観ました。」

そう言って項垂れた俺の頭をロアンヌさんが
抱えてくれた。
頭をぽんぽんとされている。

 「カケル、
  キツいようだが、生き抜くということは
  やるかやられるかだ。
  慣れたくないかもしれんが、
  これが現実だ。目を逸らすな。
  今日を明日を生き抜くことが
  死んでいったものへの供養だと
  俺は思う。

  お前はよくやってくれた。
  お前は強いんだ、自信を持て。
  討伐が好きじゃないと聞いていたが、
  それならそれでいい。
  俺達のように助けを求めるものがいたら
  力を貸してくれ。
  
  仮らしいが、うちのギルド職員に
  なってくれていることを誇りに思う。

  これに懲りず、また力を貸してくれ。
  明日報酬を渡すから、都合のいい時に
  顔を出してくれ。
  あ、さっきのギガスライムの魔石を
  出しておいてくれ。
  査定しておく。その件でも
  ギルドマスターから話があるだろう。

  ザラ、
  カケルを頼む。
  多分今夜は眠れないだろう。
  側にいて慰めてやってくれ。
  あ、メイドになってたのか。
  まぁ、できる範囲でいい。  
  頼んだぜ。」

ジークさん、ロアンヌさん、カイルさん、
ダガーさん、ネイルさんに一礼して、
俺とザラさんは拠点に戻ることにした。


  
ザラさんと手を繋いで
ハイパージャンプ のスキルで
飛んで戻った。

湖の周りには小さな光がふわふわ飛んでいた。
蛍みたいだ。
拠点の中から明かりが漏れていた。
玄関前にふわっと降り立つと、
シロミズチ様とココ、シフォンさん、
ソフィさんが出迎えてくれた。

一階の食堂のテーブルについて、
ダンジョンでの出来事を説明した。
記憶遡行のあたりの話をすると
みんなの顔色が悪くなった。
話の途中あたりで、
2階で何かしていた貴船さんが
降りてきていた。

ザラさんからも違う視点で説明してくれた。
俺の動きは早すぎて見切れなかったそうだ。
そんな凄かったかな?と思っていたら、

 「うむ、記憶遡行のスキルで
  カケル殿の心のタガが外れたせいであろう。
  その心の動きは正常なものだ。
  心に残っていると言う悲しみも虚しさも
  正常なものだ。
  
  今は気を鎮めて静かに
  心と体を休めてやるのが良いと思う。

  わ、我でよければ、
  そ、添い寝しても良いのだが。」

白い肌のシロミズチ様が真っ赤な顔になっている。
照れてる女神様が可愛い過ぎて
ドキドキしたのは内緒。


 「いえ、ギルド最強の戦士ジークさんから
  慰労するよう申し付けられておりますので、
  カケル様、ご主人様がよろしければ、
  このザラが添い寝させていただきます。」

えっ?・・・いやいや、綺麗なお姉さんとか
女神様に添い寝されたら寝れそうにないですけど、
むしろ理性のタガも外れて、頭の中がピンク色の
獣になりそうなんですけど。

 「そ、それは我には無理だ。
  こ、心の準備をさせてくないか。」

 「いや、だから、
  考えていることを読まないでください。
  一人でいいです。
  誰かいると依存しそうだし。」

俺がそう言うと、貴船さんが
これだからDTはと、小声でこぼしながら
一つ大きなため息をついて、

 「別にいいじゃない。
  こんな時に誰かに依存しない方が
  心に良くないわよ。
  甘えられる時には甘えてしまいなさい。

  ほら、今夜はザラさんと2階の奥の部屋で
  休んでらっしゃい。用意しておいたわよ。」

そう一方的に決められて、俺とザラさんは
2階の奥の客間に押し込まれてしまった。

 「えっと、ザラさん・・・」
 「カケル様、ご主人様、
  今は何もおっしゃらないで下さい。
  私に全てお任せください。
  そのまま横になってください。」

ベッドに横になると、ザラさんの顔が
すぐ真上に来て甘い吐息が吹きかけられた。
途端に力が抜けて、後は・・・



気がつくと朝だった。
ザラさんがきっちりとしたメイド服で
朝の挨拶にきてくれた。
ザラさん固有の魅了のスキルらしくて
相手の精神をある程度操作出来るそうだ。
でも、なんとなく覚えているから、
ちょっと恥ずかしかった。
まさか異世界で大人の世界に
仲間入りするとは思いもしなかった。。。


お風呂の用意をしてくれているみたいなので、
眠気覚ましに入ることにした。
部屋を出るとシルバが駆け寄ってきた。

夜遅くまで頑張っていたけど
寝落ちしてしまったそうだ。
お出迎えできなくてごめんなさい
と言われてしまった。
気にすることないよって言いながら、
一緒にお風呂に入って洗ってやった。

シルバにいい匂いがするって言われて
昨晩のことを思い出してドキッとした。
うん、シルバにはまだ早いかな。


お風呂上がりに湖の方に行きたくなった。
自然とシロミズチ様がついてきてくれていた。
湖面を渡る風が心地よくてほっこりした。

戻ると、朝ご飯の用意が出来ていて、
手を洗ってみんなで食べた。

食べ終わったら、ココと製薬スキルで
薬を作ってギルドに納品に行くことにした。

貴船さんに頼まれて、異世界通信のスキルで
タブレット内のメールとか通販サイトへの発注を
こなしてたら、追加補充分を武器屋さんに
買い付けに行くことにもなった。

ザラさん達も、女神様用の衣類や家具類を
買い出しに行きたいそうなので
一緒に出ることになった。

ギルド前で貴船さんは武器屋さんに、
メイドさん達は衣類などを
買い出しに行くことになった。

シフォンさんはシロミズチ様と
拠点の方に居残っているので、
ザラさんとソフィさんに
金貨を10枚ずつ預けてわかれた。

ギルドに入ると、カイルさんから
すぐに奥の部屋に行くように言われた。
ココは薬草と薬の納品をしたら、
ギルド前の武器屋さんにいる
貴船さんと合流することになっている。
後で俺も合流予定だ。

奥の部屋にノックして入ると、
ヒゲモジャのギルドマスターと
ギルド長のジークさんと初めて見る
白い装備をしたイケメンがいた。
黒髪でブラウンの瞳をしている。
何かで見た誰かに似ている気がした。
そんな和風の顔立ちをしていた。

 「うん、君がクラマのカケル殿だね。
  私はダンジョン討伐隊の
  ノブマサ・織田だ。」

良く見ると腰には刀を差した侍がそこにいた。
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