プチ自給自足生活始めたら 何故か異世界の町に繋がった?

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水の女神

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俺は大きなダイヤモンドの像になり果てた
土龍を亜空間収納に取り込んで、
小天狗師匠の方を見ないように、
残る龍族のいる方へ気配を殺して歩き出した。

 「何故、気配を消して一人で行こうと
  しておるのじゃ?

  まだ一人では危なっかしいのじゃ。
  一人で行くでない。」

だめだ、見つかってしまった。
あー無茶振りしないでくださいよ、
小天狗師匠。

そう願いながらとぼとぼと歩き出していくと、
誰かの声が聞こえた気がした。
立ち止まって空を見上げた。

空の雲が歪んでいたから分かったけど、
巨大な透明な玉が迫ってきていた。

いや、かなりでかい、ヤバい感じが
ビリビリと肌に伝わってくる。

 「うむ、あれはちと厄介じゃのう。
  カケル、あれをここから斬るのじゃ。
  そうせぬと、あれに圧し潰されるやもしれぬ。
  やってみせるのじゃ。」

えっ?あんな巨大な玉相手にどうしろと?
振り返って顔を見るとキラキラした目が
俺を捉えていた。
だめだ、期待感がハンパない。
やりますか。
スキル全部発動させて、破邪の舞を
舞い始めた。
刃は全く届きそうにない空の高みにある。
邪神斬りで斬りかかっているけど
反応がない。

どんどん大きくなってくる。
これ、落ちてきているというか、
成長してないか?
流石にマズいなと思っていたら、
目の端の方から火龍が2頭飛びかかっていった。

敵の敵は味方のような構図だ。
頑張ってくれーと心の中で応援している俺がいた。

次の瞬間、水の玉から棘が一瞬で伸びて、
火龍2頭を一瞬で突き潰すように消し去った。
次の瞬間、水の玉が円盤状に水平に展開すると、
空中に浮かんでいた浮島のほとんどを消し去った。

圧倒的な破壊力に声が出ないし、
凄すぎて現実味がなく、恐怖感もない。

 「カケル、ぼぉっとするでない!
  聖域を張るのじゃ!!」

小天狗師匠の声で我にかえると、
すぐに皆を囲むように不可視の聖域を展開した。

 バーーーンッッ!!

という大きな音を立てて、水の円盤が
押しつぶす勢いで落ちてきたみたいだ。
聖域の周りを揺らめく水が取り囲んでいる。
向こうに見えていた山が消えているみたいだ。

 (ピロン
  浮島世界が侵略されました。
  浮島世界のマスターのジョブが消滅しました。
  浮島制御のスキルが消滅しました。

  この浮島世界から強制排除されます。)

初めて聞く内容だった。消滅って。。
強制排除の声の後、気がつくと外の草原に出ていた。
聖域を解除して周りを見渡してみた。

うん、大丈夫だ、あの水の玉のようなものは
こっちには出てきていないようだ。
あれはヤバいなと思っていると、目の前に
黒い空間が展開し始めた。

嫌な予感に冷や汗が噴き出してくる。
どうする、あんなのをどうやって倒すんだ。

緊張して動けなくなっていた俺に向かって、
黒い空間から水の塊が溢れてきた。

水の塊は俺の目の前まで溢れてくると
上に伸び上がるように立ち上がっていく。
見る見るうちに、水が人の、女性の形になっていた。

透明な水の女性の顔のには青く光る目ができていて、
俺を見据えてきた。

 『おい、お前は白水蛇と関わりがあるな?』

頭に声が響いてきた。
即答する以外に選択肢はない。

 「はい、加護をかけていただいています。」

 『やはりそうか。
  邪神の気配を追って乗り込んできたのだが、
  ちょうど良かった。
  
  あれは私の娘と呼べる存在だ。
  久方ぶりに顔が見たい。
  案内を頼めるか?』

 「あ、はい。
  そういうことならお安い御用です。
  あのもしかして、さっきの浮島への攻撃は・・」

 『ああ、邪神の作り上げた不浄な世界に
  お前たちが飲まれそうになっておったのでな。
  私が綺麗さっぱりと消してやったまでだ。
  何、礼はいらん。』

何か水の女性が豊かそうな胸を
張っているように見えた。

 「ん?
  其方はサラスヴァティか?」

 『おや、こんなところで小天狗様と
  お会いするとは。
  もう大天狗様になられましたか?』

 「いや、まだじゃ。
  我はまだまだ修行中なのじゃ。

  それよりサラスヴァティ。
  このカケルの鍛錬の場は
  消さんで欲しかったのじゃ。

  あの山の向こうの龍族と戦わせようと
  思っておったのじゃ。

  消したものは仕方ないのじゃ。
  次の鍛錬を考えるとしよう。」

 『あら、それは申し訳なかったです。
  であれば、私の方で新たに作り替えた
  鍛錬の場を用意します。

  ・・・出来ました。
  さっきの浮島は美しくなかったので、
  美しい世界にしました。
  どうぞ、中へおは入りください。』

 「おおっ、何か手間をかけさせたな。
  ここの鍛錬が一区切りついたら
  シロミズチのところへ共に参るのじゃ。

  さ、カケル。
  サラスヴァティの世界に入るのじゃ。」

俺は小天狗師匠に言われるがままに黒い空間に
入ってみた。
俺の後に小天狗様とサラスヴァティ様と
国王陛下以下の皆がぞろぞろと入ってきた。

空中に水の玉がいくつも浮かんでいる。
足元も水だけど、何か硬さを感じる。
ざばっという大きな音と共に、
空中に浮かぶ水の玉から
水の体の龍が飛び出してきて、
近くの水の玉に入っていった。

見ると遠くの方でも同じように、空中に浮かぶ
水の玉から水の玉へと龍が飛び交っていた。

足元の先の方を見ると、きらきら光る水晶のような
断面を持つ塊が水の中からいくつも突き出していた。

 『空中を飛び交っているのが、水龍。
  あの向こうに見えているのが晶龍。

  どちらも討伐すれば魔石と素材が手に入る。
  足元にあるのは水石だ。
  これは向こうの世界に持ち帰れないから
  諦めてくれ。
  
  どちらも手強いぞ。
  水龍はさっきの浮島世界にいた火龍が
  5頭で何とか倒せるレベルだ。
  晶龍は土龍が10頭で倒せるかどうかの
  強さだ。
  どちらもオリハルコンとかアダマンタイトを
  素材として残す。
  それだけ頑丈な体だということだ。

  どうだ?倒しがいがあるだろう?』

いや、無理だと思うんですけど。
そんなのどうやって倒すの?
その鉱物って世界で一番硬いとか丈夫とかで
超有名なものだと思うんですけど。
俺の薙刀が折れそうなんですけど。

小天狗様がきらきらした目で
俺に逝ってこいと命じている。
行くのではなくて逝くんですよね。

援護とかしてくれる人いるかなぁと思って
後ろの皆さんの方を見ると・・・
皆唖然として石像のように固まっていた。

はい、皆戦闘前に死後硬直を始めたようです。
先に死んだもん勝ちですね、分かります。

さて、小天狗師匠、
今日はこのくらいにしておいてあげましょうよ。
今日のところはこれで帰りましょう、
そうしましょう。

俺は渾身の想いを込めてそう願った。

無理!絶対死んじゃう!!
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