プチ自給自足生活始めたら 何故か異世界の町に繋がった?

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影斬鬼と呼ばれし邪神

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ツノのある水龍が俺に向かって水の礫を
吐きかけてきた。

不可視の聖域で作った大楯で受け流して、
逆に前進して突っ込んでいく。

口の端を歪めた水龍は大きく喉の下あたりで
体を縦に捻り出した。

スナップを効かせた尻尾の打撃が
俺の体を真っ二つに裂くように向かってくる。

空気を切り裂く勢いの尻尾の打撃をずらして、
戻っていく後に続いて薙刀で追い斬りをした。
さらに飛び上がって水龍の喉元に迫った。




 「ふむ、
  今度はまともに戦えておるようじゃな。」

 『小天狗様。
  また、別の世界で炎の邪神が現れたようです。
  ここはこのままこの世界に繋いでおきます。
  彼らの鍛錬にでもご自由にお使いください。

  もう間もなくここには私が苦手とする
  影の邪神が攻め込んで来るでしょう。

  あの奥で眠りについている晶龍は、
  この至宝の世界の王の立場を与えております。
  あの晶龍王にも協力して戦うように
  神託で伝えておきますので、
  ご自由にお使いください。

  ちなみに、今迫っている影の邪神は
  小天狗様もご存知のあの影斬鬼です。
  あれからますます力を
  つけておるようですので、
  彼だけでは厳しいかと。

  では、私はこれにて。』

水の女神は一気にそう話すと、慌ただしく
足元の水石の中に溶け込んでいった。

 「うむ、あの影斬鬼か。
  カケルが斬りあえるかのう。
  これも鍛錬じゃな。

  ふむ、何とか倒せそうじゃな。
  どれ、晶龍王とやらを起こしてくるか。」

小天狗様はそういうと
ふよふよとゆっくり飛びながら、
水晶が突き出た山のようなものに
向かっていった。



 「一列目!、斬り込みが浅いぞっ!!
  二列目!、一列目の斬道をしっかり斬り開け!
  三列目!、貴様らがトドメをさせんで何とする!
  何としても切り倒すのだっ!!」

ダンジョン討伐隊のノブマサ隊長が
水龍討伐陣の最前列で剣を振りながら、
部隊員に檄を飛ばしている。

 「水弾がくるぞっ!
  左側に盾をずらせ!
  右側は尻尾の攻撃に備えよ!
  動きの先を見据えよ!」

近衛兵団は国王陛下と聖女隊を取り囲みながら、
討伐隊の後に続いている。
どうしても国王陛下も水龍に一撃入れたいと
申されたためだ。
神狼達は空中で水龍より高いところから
撹乱する動きをかけて討伐隊の斬り込む隙を
作ってくれている。

伝承として伝わっている神狼達と共に戦えることに
皆興奮し、何としても水龍を討ち取ると
気合を入れて、普段以上の力を発揮している。

徐々に討伐隊の斬り込みが深くなり、
白い水が飛び散り始めた。
グアーッという大きな咆哮を上げながら、
水龍が細長い体を激しく震わせ、
ついに動かなくなった。
トドメに国王陛下の宝刀が突き込まれると、
水龍の体はボロボロと崩れていった。
後には白く輝く大きな鱗が
数千枚はあろうかというほど飛び散っており、
頭のあったあたりに大きな丸い魔石が
淡く輝いて残っていた。

 「これは、この鱗はまさか、
  全部オリハルコンなのか!?
  何ということだ。これでは水龍ではなく、
  宝龍と呼んでも良いくらいではないか。

  ノブマサ隊長、ライアン近衛兵長、
  鱗の回収を急ぐのだ!」

 「「御意!」」

周りを警戒しながら兵士達は
貴重なオリハルコンの鱗を集めて回るのだった。



 「硬いっ!!硬すぎる!!
  スキルを使っても浅くしか斬れないとは!」

カケルはツノのある水龍との戦闘に苦しんでいた。
どうにかして鱗の隙間に刃を通したいのだが、
動きが激しく捉えることが出来ないでいた。

首筋の鱗に狙いを定めて斬りつけていた時、
尻尾が真上から振り下ろされてきて、
頭にキツイ衝撃が走った。
クラクラっと一瞬脳震盪を起こして、
ふらついた為、大きな隙を晒してしまった。

その隙を逃さず、水龍は水礫を吐きかけてきた。

 (まずい、間に合わない!!)

フラつく頭でカケルは危機を悟った。

真っ黒な太い剣が打ち払うように水の礫を
弾いていた。
かけるの見つめた先には真っ黒のローブを纏った、
いや、全てが真っ黒なものが
黒い大剣を振りかざしていた。

次の瞬間、ツノのある水龍は
縦に二つに切り裂かれて
白い水を撒き散らしながら、
鱗と魔石と共に落下し始めていた。

助かったと一息ついたカケルの背筋に
凍りそうな強烈な悪寒が走った。
思わず薙刀を構えると、
そこに黒い大剣が打ち込めれていた。

凄い力で押し込んでくる。
剛腕の一撃、貫通のスキルを重ね掛けしても
押し返せず、ジリジリと押し込まれてくる。

このままだと切り裂かれそうだと思った時、
神狼達が駆けてきてローブ姿のものに向かって
咆哮を放った。

大剣を引いていったが、すぐに神狼達に向けて
斬り込んでいった。

 「ギャンッ!」

避けたように見えたのだが、
直前で剣先が伸びたようで、
神狼の横腹を切り裂いていた。

俺はすぐに浄化回復のスキルをかけてやった。
もう一頭の金色の瞳の神狼が俺の前に立って、
守ってくれるようだ。

いや、だめだ!こいつはヤバい奴だ。
神狼に何かあったら俺は俺が許せなくなる。
神狼の前に出ようと動いた時、神狼の影から
もう一本の黒い大剣が突き出てきて、
神狼の体を貫いた。
神狼が声を上げる事も出来ずに、倒れていくのが
スローモーションのように見えた。

激情にかられた俺は、
黒いローブ姿のものに向かって
全力で切り込んでいった。
一合刃を交えた時、相手の顔が薄く見えて、
赤く輝く瞳と俺の目が交差した。


うっすらと靄がかかっている。
非力そうな男がこの俺様に向かってきている。

神々の間で、影斬鬼と恐れられた
この俺に向かってくるとはいい度胸だ。
褒めてやろう。
だがな、人間。
貴様のようなものにやられるような
俺様じゃあないんだ。
諦めて死ぬがいい。

俺が影から斬りつけた刃が
人間を縦に切り裂いていた。
ふん、当然の結果だ。
貴様のような非力な人間が
俺様に勝てるはずがなかろう。

残る人間どもを斬り捨てようと俺は
地上でウロウロしている人間達に
死の鉄槌を下すことにした。
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