無情の電脳傭兵 異世界で再起動する

graypersona

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暗殺

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人族の王都から平原に続く山道をひた走る騎馬の一団があった。
テュール・ゲルマ率いる第一騎士団の精鋭達と
かつての獣人国の戦士長フェイズの姿もあった。

 もうそろそろ山道を抜ける頃合いだ。
 昨夜の 通信 とやらで伝えてきた内容では
 平原に出たあたりで迎えのものが待っているはず。
 罠であるやもしれぬ。

 あのような虫を通して、話が出来、姿を見られる魔法など
 見聞になく怪しいものだ。

 フェイズ公のご息女の姿と声でなければ、
 まったく信じられぬ話であったが、何度思い返しても
 不可思議な魔法よ。

 辺境伯との定期連絡などに使えると話が早くて良いかもしれぬが、
 そのような魔法適性のあるものが、この隊にいるかどうか。

思案にふけるテュールのすぐ横を並走するフェイズも
複雑な思いを抱いていた。

 急に襟元の小さな虫からファーラの声がしたと思ったら
 テーブルの上に、手の平に乗る様な小さな姿を見せられた時は
 心臓が止まる思いであったな。

 会話の中に違和感もなかっただけにファーラ本人であることは
 疑いの余地もないが、人型のゴーレムの迎えが来るというのは
 見るまで信じられぬな。

 この王都の外周の警備をしているゴーレムは5mはあろうかという
 大きなものだ。小さくてはゴーレムらしい堅牢さがないのでは
 なかろうか、そんなものを魔力で動かす意味が何処にあるのか。

 うむ、考えても詮無き事か。平原に出れば自ずと知れよう。
 もし、敵であれば、お借りしたこの剣で叩くまでの事。

騎馬隊の一行は道中魔獣の襲撃を受けることなく無事に平原に
出ることができた。

平原に出ると、見たことのないグレー色の先端の平たい楔型の
大きな箱があり、その横に黒色のテールコートを着た執事の様な男が
直立していた。
近づいてみると、楔型の箱の上には細長い筒がついた小さな箱が
付属していた。

 「お待ちしておりました。
  私はネコ獣人族のファーラ様の村のゴーレム衛兵、カイと
  申します。以後お見知りおきをお願い致します。

  ファーラ様からフェイズ様のお向えを言付かり、罷り越してございます。

  フェイズ様、こちらがこのゴーレム馬車の入り口になっております。」

金髪でメガネをかけたどう見ても人族にしか見えないそのものは、
右手の平で入り口を指し示していた。

フェイズは警戒しつつ中を見ると、入ってすぐ脇に直立しているファーラの
姿があった。

 「ファーラ!」 「お父様!」

思わず駆け上がり、愛娘の肩に手をかけ、不在時の労をねぎらうフェイズであった。

親子はすぐに揃って外に出ると、ここまで同行してくれたテュール一行に
礼を述べ、敬礼をして一行の後姿が見えなくなるまで見送るのであった。


丁度その頃、王都から平原へ向かう山道に入って間もない辺りで。

 「あーこっから先は山ばっかだよ、つまんねぇ~。
  お、あれ魔獣の群れじゃね?狩っとく?いや、狩ろうぜ、鮮牙!?」

馬車の中から外を眺めていた勇者の一人、楼蘭漠斗は双子の兄、鮮牙に
ハンティングの誘いをかけた。

 「うん、女の子もいないしやることないわけだし、いいんじゃね。
  いいよな、アラン魔法団長さん?」

鮮牙から声をかけられた魔法団長のアランは、やれやれといった面持ちで
 
 「そうですね、ではこのあたりで一度馬車を止めて食事としましょう。
  準備が出来るまでの間でお願いいたします、勇者様方。」

 「オッケー、全部狩っちゃうよ。」

馬車が止まると二人は勢いをつけて飛び出していった。

 「よーし、俺のガトリングガンが唸るぜ。
  錬成!」

漠斗が手を真っすぐ伸ばしながらそういうと、
地面の土が持ち上がり、次第に黒光りするガトリングガンが顕現した。

その横では同じしぐさで鮮牙が弾帯のついた機関銃を顕現させていた。

 「俺はこれで行くか。さぁ、勝負と行くか漠斗。」

そう言うと二人は少し離れて魔獣の群れに向け走り出した。



漠斗は少し開けた場所に出ると、固定台を錬成し、ガトリングガンを固定し
狙いを適当につけると撃ち始めた。

ドゥルルルルッという回転砲らしい音を響かせ始めたその時、
400m近く離れた先の丘の上からアサルトライフルの射撃音だけが響いた。

眉間付近に2発の穴が開き、漠斗はガトリングガンの引き金を引いたまま
絶命した。



鮮牙は撃ち始めた漠斗を尻目に少し先まで移動し、
やや小高くなった場所に陣取ると、機関銃座を地面に固定し
地面に伏せた態勢で狙いを魔獣の群れに定めて撃ち始めた。

突然首の後ろから眉間にかけて刃を突き立てられ、
身じろぎ一つ出きぬまま即死した。
 

 「あ、まだ森の中じゃねぇか、何で止まってんだ?
  アイツら何処行ったんだ、狩り?何やってんだあいつらは。
  居残りはアラン団長と俺だけかよ、外は飯の用意してんのか。
  
  アラン団長さんよ、俺はつまみと酒だけでいいぞ。
  っと、ちょいと催してきた。ついでだ、森の新鮮な空気とやらを吸ってくるか。」

先程まで眠りこけていた赤ら顔の勇者、バスクはそう言うと
馬車を降りようと扉に手をかけ押し開いた。

 「バーン!!」

爆裂音と共に馬車が粉々に吹き飛び、周りには馬車の破片と
バスクとアランだった肉片が飛び散っていた。

食事の用意であわただしく動いていたお付きの者たちは
炸裂音で気絶したり、激しい耳鳴りでうずくまったり、
呆然とするものもいた。


そこから森に入ったところから、森の奥に向けて
草がさらさらとたなびく一本の風の筋があった。


 (掃除完了っと、こいつらとは地獄でも会いたくないな)

淡々と手慣れた暗殺のお仕事をこなした不可視の風の筋の主はそうこぼした。
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