無情の電脳傭兵 異世界で再起動する

graypersona

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神性の兆し

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白い靄の中にゆらめきがあった。

 「お姉様、もうお戻りになられたのですか?」

 「ええ、武人はまだ電脳兵に未練がありそうだったわ。
  過去の因果の話でもと思ったのだけれど、
  今の状況に困惑している姿を見せられたら
  次の機会でもいいかなって思ったのよね。

  だから早めに切り上げて来ちゃったの。」

 「そうなんだ。
  主神様のご加護のお力で、延命できただけでも
  十分幸運に恵まれているのにね。
  
  残りの時間を大事にしたい気持ちも
  分からなくないかな。」

 「? ちょっと違うところがあるわね。
  それと紗良に寿命のことを話さないつもりのようよ。
  紗良のことを思うのなら面と向かって話してあげるべきだと
  思うのだけれど、どうかしら?」

 「うん、それは酷いよ。紗良がかわいそう。
  拠点に戻ったら調整ポッドに入るから
  その時に説得するわ。

  でも、延命することを望まない雰囲気があるのが
  もっと理解できないの。」

 「それは、武人の過去に影響を受けているからよ。
  今の村でも彼には居場所がないと感じているみたいね。

  子供達が笑顔で近寄って来ても、
  条件反射で撃ってしまいそうになる自分が怖いみたいね。

  紗良に駆け寄っていく子供達をロックオンした時は、
  その場から逃げ出したくらいキツかったようね。

  少年兵との戦闘が長すぎたのでしょう。
  自分の心の全てを殺してしまいながら、
  いつか自分も殺されることを願いながら、
  戦い続けているのね、今も。」

 「そっか、フラッシュバックもあるんだ。
  それだと村にいることが、自分の存在があることが
  受け入れられなくなるわけだよね。

  でも、それを選んだのは武人だし、
  当然といえば当然のことだとわかってはいるけど
  どうにかしてあげたくなるなぁ。」

 「もう覚悟を決めているようよ。
  間違いを起こす前に自分に引き金を引きたいようね。」

世界樹のもとで結跏趺坐の姿勢で修行をしているセブンを
二つの気配は静かに見つめていた。
  

 「パイロよ、シフォンケーキを
  もう一切れ所望する。」

 「ブリュンヒルドさん、もう3切れ目っすよ。
  食べすぎっしょ。こっちのマカロンアイスも食べてよ。」

 「ダメじゃ、マカロンアイスは私が食べるのじゃ。
  ほれ、ブリュンヒルド、私のを分けてやろう。」

 「カーラはココナッツミルクアイスの追加を希望するのです。」

拠点内はケーキバイキングのような雰囲気と甘い香りに満たされていた。

 「カイ、あなたも電脳化人になれるそうよ。
  後で調整ポッドの方に行きましょう。」

 「サラ様、私の場合もともとAIなので
  その必要はないと考えるのですが。」

 「あ、カイのことだけど、調整ポッドの中で
  スクルド様がお話したいことがあるって
  言ってたよ。」

 「そうなのですか、クロ様。
  わ、私も女性らしい姿になれるのでしょうか。
  少し緊張しております。」

周りの女性陣の胸元あたりをチラッと見たカイは
自分の胸元をみながら、期待に胸を膨らませているようだった。

 「サイズアップが可能なはずなのだわ、私が開発者権限で
  調整できるのだわ。どのくらいが希望かしら?」

 「えっ!?どのくらいと・・・
  ブリュンヒルド様並みになれば
  セブン様も私を女性扱いしてくれるでしょうか?」

 「あれ?カイはセブンのことが気になっているのです?
  普段あれほど辛辣なのは、もしかしてツンデレなのです?」

 「カ、カーラ!それは誤解です。
  あのような浅慮な男など気にする事はありません。」

 「うん?その割に顔が赤いようじゃが?
  おや精霊達は眠る時間なのかえ?
  クロと一緒に奥の部屋で休んで参れ。」

ふわふわとスイーツの周りに漂いながら
ご相伴に与っていた精霊達がおねむの時間になったようだ。

ポテポテと歩くクロを先頭にサラ、パイロ、シヴァの精霊達が
行列を作りながら拠点奥の寝室に移動していった。

 「可愛いものよな、このブリュンヒルドも
  精霊と契約したいと思うぞ。
  セブンの迎えにはついて行くぞ。」

ブリュンヒルドは精霊魔法より精霊そのものが羨ましくて
世界樹のもとへ行きたいようであった。


 「そういえば、パイロよ。
  そなた精霊と契約してから神気が増しておるな。
  そのうち下級神くらいになるやもしれぬな。」

 「いやいや、ありえないっしょ?
  あたいなんて神様になれるようなことしてないし。」

 「あるじゃろう、この村だけでなく、
  この大陸に住まう者からの信仰の想いがあれば、
  神格など後でついて来るものじゃ。
  慕われる、呪われる、どちらであっても
  神になる可能性があるのじゃ。

  今はその兆しがあるというところじゃな。」

 「うむ、私の目にもそのように映っておる。
  カーラは元から私と同じ下級神の神の兵士なのじゃ。
  パイロもそうなって不思議はないぞ。」

ワイワイと会話が弾む拠点内であったが、
セブンの連絡がまだないことに少し気を揉むサラであった。


 『そうだ、その調子で呼吸をするように
  神気を制御するのだ。筋は良いぞ。

  もう一度神気高揚から鎮静まで繰り返してみよ。
  流れるように出来れば習得したと言える。』

世界樹のもとで瞑想していると、
頭の中に直接語りかけてくる声が聞こえ、
その声のままに指導を受け、
神気の制御が上達したセブンであった。 

集中するセブンを遙か高みから見下ろしている世界樹は
セブンに新たな力の芽生えを感じ取っていた。

 (久しいな、新神の修行など。)

  
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