164 / 164
運命を繋ぐもの(最終話)
しおりを挟む
電脳兵のセブンは、今日も巨大大陸の見回りをしていた。
「武人、そんな頻繁に見回らなくても問題なくてよ。
もうここに来て1年が経つのだから
視るポイントは掴めているのではなくて?」
白い靄の中で運命の女神ウルズからそう声をかけられた。
「いや、そうは言っても元々寝る必要のない体だし、
今は反応炉なくて神気だけでなんとかなると言っても、
何かしておかないと落ち着かないんだけど。」
もといた世界とは異なる、滅ぶべき姿であった世界を
運命を捻じ曲げて救ってしまったセブンは
同行していたベルザンディから見放され、
この世界で新たな神の1柱として、
この世界の神界で見習い神の仕事をしていたのだった。
この世界の運命の女神3姉妹は、元いた世界の3姉妹と
同じであって同じでない存在だそうだ。
うん、全く分からん。
意識の元は同じでも存在は異なる異次元の存在とも言うそうだ。
うん、それでもよく分からん。
まぁ、一応生きてることだし、そのうちどうにかなるといいなと
超楽天家思考でゆるゆると過ごしている。
「武人には感謝しているけれど、
この世界の存在レベルを上げていかないと
破壊神様に一瞬でこの神界ごと消されてしまうから、
どうにかして底上げしないとヤバいんだけど。」
スクルドは平和すぎて進歩しない大陸の民達に
不安を抱いているようだ。
「あ、そうだ。
いい手があるよ。
ちょっと下界に行ってくる。」
「ちょっと待てぇーい!
そんな簡単におりたら駄目って
前にも説明したでしょ?
頼むよほんと。
私が降りたいくらいなんだから。」
プリプリと怒り出すスクルドを横目に
どうにかして下界に降りれないかと
画策するセブンであった。
「もう本当にしょうがないわね、二人とも。
ほら、もうすぐ精霊の日が来るわ。
その日なら世界樹のもとに
降りていっていいから行ってらっしゃいな。」
「そうだった!さすがお姉様。
武人、下界に行って何をする気なの?」
「ああ、リニアメトロの交通網を錬成で
作り出そうと思ってるんだ。
流通が変われば、世界の動きが加速して
今までにないことが起こるから
いい刺激になると思うんだ。」
「却下!
この世界にありえない技術持ち込むのはダメ。」
「じゃあ、この世界の風魔法と重力魔法で作るのは?」
「それはギリセーフかな。」
「よーし、じゃあこの手で行くよ。」
数日後、世界樹のもとに降りた二人は
この世界の流通を変える大事業を成し遂げて
大きな変化をもたらしたのだった。
巨大大陸内の産業が活性化し、特産物も交流が進み、
食文化も加速して多様化していった。
そんなある日、ついに世界を吟味するものが訪れたのだった。
またもや天使の体を使っているようだ。
「おや?
君はいつぞやの機械の兵士ではないか?
こんな遠くの別世界で何をしているのだ?」
「あー、実はですね。」
事の経緯を話すと世界を吟味するものは声をあげて笑っていた。
「はっはっはっ!君はつくづく無茶をするのだな。
それは確かに取り決めでそうなっておるから
仕方のない事だな。
ところで、あの時の酒はまだ持っておるか?」
「はい、ここに。」
「おおっ!これじゃこれ!
伝統の文化も良いものだな。
うむ、美味い!
よし、この世界も破壊は見送りだ。
そうだ、君は暇を持て余していると
ウルズから聞いておるがそうなのか?」
「はい、貧乏性でして、何かしていないと
落ち着かないんですよ。」
その言葉を聞いて、吟味をするものは天使の顔でニヤリとした。
「では、世界を吟味する私が命じよう。
武人といったか。
君には別の世界の管理を命ずる。
この世界はこれからまだまだ時間をかけながらも
発展していく事だろう。
その世界は暗い雰囲気に包まれており、
存在レベルも低迷気味だ。
良い刺激を与える起爆剤として赴き、
私が吟味するにふさわしい世界となるよう
管理に励むことを命ずる。
覚悟は良いか?
では、私の力で強制的に次元間転移させる。
オープンゲート!
われ破壊神が命ずる、
この者をあるべき世界へ送りつけよ!」
セブンの足元に黒い渦が沸き立つと、
一瞬でその姿は飲み込まれて消えていった。
「さて、私は次の世界を吟味しにいくとしよう。」
「「「ご温情に感謝致します。」」」
運命の女神3姉妹が破壊神に深く頭を下げて礼を言った。
「ダメだよ、全然ダメだよ。
自分で作ってて美味しいと思えないよ。
もう無理だよ、シヴァ様。
食べて欲しい人がいないと
あたいはもうダメだよ。」
「泣くでない、パイロよ。
いい女が台無しじゃ。
そんなことでは
他のものに負けてしまうぞ。
それ、気合を入れて作り直すのじゃ。」
「シヴァ様、今日もお祈りに参りました。」
神殿の奥でスイーツの新作に苦労しているパイロのところへ
憔悴したサラとカイが丸々としたカーラを伴って
毎日の日課となっているお祈りにやってきたのだった。
セブンが戻って来なくなって
すでに1年以上経っており
待ち続ける女性達は疲れていた。
それでもと、下界に降りて来なくなった運命の女神像に向けて
セブンの無事を祈る日々を続けていたのだった。
(セブン、本当に貴方はどこにいってしまったの?
運命の女神様達ともお話しできなくなってしまって
今の私たちは無力だわ。
貴方のいない世界に存在している意味はないわ。
私も消えてしまいたいわ。)
「それは余計に心配になるから、やめていただきたいですね。
紗良義姉さん。」
女神像の前に立つ、待ち焦がれた男の姿があった。
「バチンッ!!」
サラの全力の平手打ちがセブンの頬を直撃した。
「心配かけてごめん。
ある神様のお陰で帰って来れたよ。」
「貴方と言う人は!!」
涙を流しながら抱きつくサラ。
駆け寄るパイロ、カイの姿があった。
魔族の国ではカミュール魔王の愛息である第一王子が
攻撃魔法ではなく伝説でしか存在しない
完全回復の魔法を行使したという。
白い靄の中から、ほっと一息つく3つの影があったという。
「大したものね、本当に私達でもどうにもできない
運命を切り開いて見せてくれたわね。
ここに来る日を楽しみにしているわ。
新神のタケト。」
後に多くの妻を娶り、子沢山の神として祀られる
タケトと言う名の神の物語、これにて終幕です。
☆ここまでお読みいただいた皆様、
本当にありがとうございました。
皆様のおかげで最後まで書き切れました。
深謝にたえません。
また、新たに書き始めているお話に、
ちょこっとセブンが出るかもしれません。
また、お読みいただけましたら幸いです。
gray persona
「武人、そんな頻繁に見回らなくても問題なくてよ。
もうここに来て1年が経つのだから
視るポイントは掴めているのではなくて?」
白い靄の中で運命の女神ウルズからそう声をかけられた。
「いや、そうは言っても元々寝る必要のない体だし、
今は反応炉なくて神気だけでなんとかなると言っても、
何かしておかないと落ち着かないんだけど。」
もといた世界とは異なる、滅ぶべき姿であった世界を
運命を捻じ曲げて救ってしまったセブンは
同行していたベルザンディから見放され、
この世界で新たな神の1柱として、
この世界の神界で見習い神の仕事をしていたのだった。
この世界の運命の女神3姉妹は、元いた世界の3姉妹と
同じであって同じでない存在だそうだ。
うん、全く分からん。
意識の元は同じでも存在は異なる異次元の存在とも言うそうだ。
うん、それでもよく分からん。
まぁ、一応生きてることだし、そのうちどうにかなるといいなと
超楽天家思考でゆるゆると過ごしている。
「武人には感謝しているけれど、
この世界の存在レベルを上げていかないと
破壊神様に一瞬でこの神界ごと消されてしまうから、
どうにかして底上げしないとヤバいんだけど。」
スクルドは平和すぎて進歩しない大陸の民達に
不安を抱いているようだ。
「あ、そうだ。
いい手があるよ。
ちょっと下界に行ってくる。」
「ちょっと待てぇーい!
そんな簡単におりたら駄目って
前にも説明したでしょ?
頼むよほんと。
私が降りたいくらいなんだから。」
プリプリと怒り出すスクルドを横目に
どうにかして下界に降りれないかと
画策するセブンであった。
「もう本当にしょうがないわね、二人とも。
ほら、もうすぐ精霊の日が来るわ。
その日なら世界樹のもとに
降りていっていいから行ってらっしゃいな。」
「そうだった!さすがお姉様。
武人、下界に行って何をする気なの?」
「ああ、リニアメトロの交通網を錬成で
作り出そうと思ってるんだ。
流通が変われば、世界の動きが加速して
今までにないことが起こるから
いい刺激になると思うんだ。」
「却下!
この世界にありえない技術持ち込むのはダメ。」
「じゃあ、この世界の風魔法と重力魔法で作るのは?」
「それはギリセーフかな。」
「よーし、じゃあこの手で行くよ。」
数日後、世界樹のもとに降りた二人は
この世界の流通を変える大事業を成し遂げて
大きな変化をもたらしたのだった。
巨大大陸内の産業が活性化し、特産物も交流が進み、
食文化も加速して多様化していった。
そんなある日、ついに世界を吟味するものが訪れたのだった。
またもや天使の体を使っているようだ。
「おや?
君はいつぞやの機械の兵士ではないか?
こんな遠くの別世界で何をしているのだ?」
「あー、実はですね。」
事の経緯を話すと世界を吟味するものは声をあげて笑っていた。
「はっはっはっ!君はつくづく無茶をするのだな。
それは確かに取り決めでそうなっておるから
仕方のない事だな。
ところで、あの時の酒はまだ持っておるか?」
「はい、ここに。」
「おおっ!これじゃこれ!
伝統の文化も良いものだな。
うむ、美味い!
よし、この世界も破壊は見送りだ。
そうだ、君は暇を持て余していると
ウルズから聞いておるがそうなのか?」
「はい、貧乏性でして、何かしていないと
落ち着かないんですよ。」
その言葉を聞いて、吟味をするものは天使の顔でニヤリとした。
「では、世界を吟味する私が命じよう。
武人といったか。
君には別の世界の管理を命ずる。
この世界はこれからまだまだ時間をかけながらも
発展していく事だろう。
その世界は暗い雰囲気に包まれており、
存在レベルも低迷気味だ。
良い刺激を与える起爆剤として赴き、
私が吟味するにふさわしい世界となるよう
管理に励むことを命ずる。
覚悟は良いか?
では、私の力で強制的に次元間転移させる。
オープンゲート!
われ破壊神が命ずる、
この者をあるべき世界へ送りつけよ!」
セブンの足元に黒い渦が沸き立つと、
一瞬でその姿は飲み込まれて消えていった。
「さて、私は次の世界を吟味しにいくとしよう。」
「「「ご温情に感謝致します。」」」
運命の女神3姉妹が破壊神に深く頭を下げて礼を言った。
「ダメだよ、全然ダメだよ。
自分で作ってて美味しいと思えないよ。
もう無理だよ、シヴァ様。
食べて欲しい人がいないと
あたいはもうダメだよ。」
「泣くでない、パイロよ。
いい女が台無しじゃ。
そんなことでは
他のものに負けてしまうぞ。
それ、気合を入れて作り直すのじゃ。」
「シヴァ様、今日もお祈りに参りました。」
神殿の奥でスイーツの新作に苦労しているパイロのところへ
憔悴したサラとカイが丸々としたカーラを伴って
毎日の日課となっているお祈りにやってきたのだった。
セブンが戻って来なくなって
すでに1年以上経っており
待ち続ける女性達は疲れていた。
それでもと、下界に降りて来なくなった運命の女神像に向けて
セブンの無事を祈る日々を続けていたのだった。
(セブン、本当に貴方はどこにいってしまったの?
運命の女神様達ともお話しできなくなってしまって
今の私たちは無力だわ。
貴方のいない世界に存在している意味はないわ。
私も消えてしまいたいわ。)
「それは余計に心配になるから、やめていただきたいですね。
紗良義姉さん。」
女神像の前に立つ、待ち焦がれた男の姿があった。
「バチンッ!!」
サラの全力の平手打ちがセブンの頬を直撃した。
「心配かけてごめん。
ある神様のお陰で帰って来れたよ。」
「貴方と言う人は!!」
涙を流しながら抱きつくサラ。
駆け寄るパイロ、カイの姿があった。
魔族の国ではカミュール魔王の愛息である第一王子が
攻撃魔法ではなく伝説でしか存在しない
完全回復の魔法を行使したという。
白い靄の中から、ほっと一息つく3つの影があったという。
「大したものね、本当に私達でもどうにもできない
運命を切り開いて見せてくれたわね。
ここに来る日を楽しみにしているわ。
新神のタケト。」
後に多くの妻を娶り、子沢山の神として祀られる
タケトと言う名の神の物語、これにて終幕です。
☆ここまでお読みいただいた皆様、
本当にありがとうございました。
皆様のおかげで最後まで書き切れました。
深謝にたえません。
また、新たに書き始めているお話に、
ちょこっとセブンが出るかもしれません。
また、お読みいただけましたら幸いです。
gray persona
0
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
あなたは異世界に行ったら何をします?~良いことしてポイント稼いで気ままに生きていこう~
深楽朱夜
ファンタジー
13人の神がいる異世界《アタラクシア》にこの世界を治癒する為の魔術、異界人召喚によって呼ばれた主人公
じゃ、この世界を治せばいいの?そうじゃない、この魔法そのものが治療なので後は好きに生きていって下さい
…この世界でも生きていける術は用意している
責任はとります、《アタラクシア》に来てくれてありがとう
という訳で異世界暮らし始めちゃいます?
※誤字 脱字 矛盾 作者承知の上です 寛容な心で読んで頂けると幸いです
※表紙イラストはAIイラスト自動作成で作っています
【完結】スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜
かの
ファンタジー
世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。
スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。
偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。
スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!
冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!
平凡冒険者のスローライフ
上田なごむ
ファンタジー
26歳独身、動物好きの主人公大和希は、神様によって魔物や魔法、獣人等が当たり前に存在する異世界に転移させられる。
彼が送るのは、時に命がけの戦いもあり、時に仲間との穏やかな日常もある、そんな『冒険者』ならではのスローライフ。
果たして、彼を待ち受ける出会いや試練とは如何なるものか。
ファンタジー世界に向き合う、平凡な冒険者の物語。
「キヅイセ。」 ~気づいたら異世界にいた。おまけに目の前にはATMがあった。異世界転移、通算一万人目の冒険者~
あめの みかな
ファンタジー
秋月レンジ。高校2年生。
彼は気づいたら異世界にいた。
その世界は、彼が元いた世界とのゲート開通から100周年を迎え、彼は通算一万人目の冒険者だった。
科学ではなく魔法が発達した、もうひとつの地球を舞台に、秋月レンジとふたりの巫女ステラ・リヴァイアサンとピノア・カーバンクルの冒険が今始まる。
異世界で家をつくります~異世界転移したサラリーマン、念動力で街をつくってスローライフ~
ヘッドホン侍
ファンタジー
◆異世界転移したサラリーマンがサンドボックスゲームのような魔法を使って、家をつくったり街をつくったりしながら、マイペースなスローライフを送っていたらいつの間にか世界を救います◆
ーーブラック企業戦士のマコトは気が付くと異世界の森にいた。しかし、使える魔法といえば念動力のような魔法だけ。戦うことにはめっぽう向いてない。なんとか森でサバイバルしているうちに第一異世界人と出会う。それもちょうどモンスターに襲われているときに、女の子に助けられて。普通逆じゃないのー!と凹むマコトであったが、彼は知らない。守るにはめっぽう強い能力であったことを。
※「カクヨム」「小説家になろう」にも掲載しています。
異世界転移物語
月夜
ファンタジー
このところ、日本各地で謎の地震が頻発していた。そんなある日、都内の大学に通う僕(田所健太)は、地震が起こったときのために、部屋で非常持出袋を整理していた。すると、突然、めまいに襲われ、次に気づいたときは、深い森の中に迷い込んでいたのだ……
異世界転生したおっさんが普通に生きる
カジキカジキ
ファンタジー
第18回 ファンタジー小説大賞 読者投票93位
応援頂きありがとうございました!
異世界転生したおっさんが唯一のチートだけで生き抜く世界
主人公のゴウは異世界転生した元冒険者
引退して狩をして過ごしていたが、ある日、ギルドで雇った子どもに出会い思い出す。
知識チートで町の食と環境を改善します!! ユルくのんびり過ごしたいのに、何故にこんなに忙しい!?
スキルはコピーして上書き最強でいいですか~改造初級魔法で便利に異世界ライフ~
深田くれと
ファンタジー
【文庫版2が4月8日に発売されます! ありがとうございます!】
異世界に飛ばされたものの、何の能力も得られなかった青年サナト。街で清掃係として働くかたわら、雑魚モンスターを狩る日々が続いていた。しかしある日、突然仕事を首になり、生きる糧を失ってしまう――。 そこで、サナトの人生を変える大事件が発生する!途方に暮れて挑んだダンジョンにて、ダンジョンを支配するドラゴンと遭遇し、自らを破壊するよう頼まれたのだ。その願いを聞きつつも、ダンジョンの後継者にはならず、能力だけを受け継いだサナト。新たな力――ダンジョンコアとともに、スキルを駆使して異世界で成り上がる!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる