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妹と母に飼われる、完璧な生徒会長の陥
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~プロローグ:放課後の密室、禁断の距離~
放課後の旧校舎。一番奥にある資料室は、窓から差し込む夕闇が古い本棚の影を長く引き伸ばし、まるで二人だけの檻のようだった。
ガチャリ、と鍵が閉められる無機質な音が、静寂を切り裂く。
「……海斗兄ちゃん、離して。誰かに見られたら……」
私は、目の前に立つ兄・海斗の胸元を、震える手で押し返そうとした。
学校での彼は、誰もが羨む文武両道の生徒会長。だが、今の彼の瞳には、学校で見せる爽やかな笑顔の欠片もなかった。
「結衣。あいつ、お前の何を見てたか分かってるのか?」
海斗は私の両手首を片手で軽々と掴み、頭上の本棚に押し付けた。
その瞬間、私の制服のブラウスが突っ張り、一番上のボタンが弾けそうなほど胸元が強調される。
海斗の視線が、私の露わになった鎖骨と、激しく上下する胸のラインに突き刺さった。
「……ただの、隣の席の男子だよ。消しゴムを貸しただけ……っ」
言い訳をする私の唇が、恐怖と、それ以上に言葉にできない熱情で震える。
夕日に照らされた結衣の肌は、透き通るように白く、耳たぶまで桃色に染まっている。
焦りからか、結衣は無意識にしっとりと汗ばんだ太ももを擦り合わせ、短いスカートの裾がさらに数センチ跳ね上がった。
海斗の顔がゆっくりと近づき、熱い吐息が私の首筋をなぞる。
「……俺以外の男に、そんな無防備な顔をするな。……お前の全部、俺だけのものだって、教えてやらないとダメか?」
海斗の自由な方の手が、私のスカートのウエスト部分に指をかけ、ぐいっと自分の方へ引き寄せた。
薄い生地越しに、彼の逞しい大腿部の硬さと、暴力的なまでの体温が直接伝わってくる。
その時だった。
廊下から、コツ、コツ……と図書委員の足音が近づいてきた。
「あれ、資料室の鍵、閉まってる……? 誰かいるの?」
ドアノブが激しくガチャガチャと回される。
扉一枚隔てた向こう側には他人がいる。その極限の状況で、海斗は退くどころか、わざと私の腰を抱き寄せ、私の脚の間に自分の膝を割り込ませた。
「……声、出すなよ。バレたら、お前も『共犯』だ」
海斗の指先が、私の制服のリボンを解き、ブラウスの隙間から滑らかな地肌へと忍び込む。
外側のノブが回る音と、兄の熱い指先が私の肌を愛撫する感触。
私は海斗の肩に顔を埋め、声が漏れないよう、必死に自分の唇を噛み締めた。
これが、私たちの「兄妹」という名の境界線が壊れる、始まりの合図だった。
~第一章:極限の沈黙、暴走する指先~
「……おかしいな。さっきまで開いてたはずなのに」
扉のすぐ向こう側で、図書委員の男子の声が響く。
何度もドアノブがガチャガチャと回され、その振動が背中合わせの壁を通じて結衣の体に直接伝わってくる。
「ひっ……」
恐怖で喉が鳴りそうになった瞬間、海斗の熱い掌が結衣の口を塞いだ。
海斗の顔が、耳元まで迫る。
「……静かに。バレたいのか?」
低く、けれどどこか愉悦を含んだ声。
海斗は結衣の震える体を本棚へと押し付けると、空いた方の手を解かれたリボンの隙間から、白いブラウスの内側へと滑り込ませた。
「あ……っ!」
声にならない悲鳴が海斗の手のひらの中で潰される。
海斗の指先は、冷房の効いた室内でひんやりとした結衣の肌を、じりじりと熱く塗り替えていく。
鎖骨をなぞり、ブラトップのレースの縁に指をかけ、その奥にある柔らかな果実の膨らみへと、容赦なく侵入していく。
「んんぅ……!!」
結衣の脳裏に、外にいる図書委員の顔が浮かぶ。もし今、扉が壊れて誰かが入ってきたら。優等生の兄と、その兄にブラウスの中まで弄られている自分を見られたら。
その「終わってしまう」という恐怖**が、逆に結衣の感覚を異常なほど鋭敏にさせていた。
海斗の指が、結衣の一番敏感な場所を捉え、爪を立てない程度の絶妙な力加減で愛撫する。
「……結衣。外にいるあいつに、お前のこんな顔……見せてやりたいよ」
海斗はわざと、結衣の耳たぶを熱い舌先で湿らせた。
結衣の体は逃げ場を失い、海斗の膝に押し上げられた太ももが、無意識に彼の腰に絡みつこうと震える。
ブラウスの下で、海斗の大きな手が結衣の小さな膨らみを包み込み、指先でその先端を優しく、執拗に弄ぶ。
「……あ、あ……」
口を塞がれているせいで、結衣の熱い吐息は海斗の掌を湿らせ、鼻から抜ける甘い吐息だけが資料室の静寂に溶けていく。
外の図書委員は、まだそこにいる。
「……先生に鍵、借りてくるか」
足音が遠ざかり始めたその瞬間。
海斗は結衣を解放するどころか、さらに深く、指先を彼女の奥へと突き動かした。
「……っ!!」
結衣の背中が弓なりに反り、スカートの奥で絶対に見られてはいけない「蜜」が溢れ出すのを感じた。
扉の向こうの日常と、この薄暗い部屋の異常。
二つの世界の境界線で、結衣は兄の指先が与える快感の渦へと、真っ逆さまに堕ちていった。
~第二章:計算された無防備、兄の理性を破壊する「甘い毒」~
資料室での出来事以来、海斗兄ちゃんは私への視線をさらに強めた。
家でも学校でも、まるで私の影のように付きまとう。
以前の私なら、その重苦しい視線に怯えていたはず。
でも、今は違う。
(……兄ちゃん、私のこと、本当に好きなんだね)
私は、あの日の資料室で、兄の心臓の音が私の鼓動と同じくらい速く脈打っていたことを知っている。
そして、私の肌に触れた兄の手が、わずかに震えていたことも。
完璧な仮面の下に隠された、剥き出しの「欲望」。
それが、兄の唯一の弱点。
その夜。
私は、わざと裾の短いショートパンツを履き、さらに透け感のある薄手のニットを着てリビングへと降りていった。
海斗兄ちゃんは、リビングのソファーで参考書を開いていたけれど、私が階段を降りてくる音に、ピタリと動きを止める。
「……結衣。その格好で、どこに行くんだ」
低い声。獲物を狙う獣のような視線。
完璧なはずの兄の顔に、わずかな焦りが滲んでいるのがわかる。
私は悪戯っぽく微笑み、海斗兄ちゃんの隣に座った。
「どこって……お風呂に入ったから、涼んでただけだよ? 変かな?」
私はそう言うと、薄いニットの襟元を少しだけ引っ張り、鎖骨を強調するように首を傾げた。
ブラジャーの肩紐がうっすらと透けて見え、肌の白さがより際立つ。
ショートパンツから伸びる足は、ソファーの縁で無意識に組み替えられ、しっとりと滑らかな太ももが惜しげもなく露わになる。
海斗兄ちゃんの瞳が、私の鎖骨、肩、そして太ももへと吸い寄せられるように視線を彷徨わせた。
「……っ! 変だ。そんな格好、やめろ。誰かに見られたらどうするんだ」
兄は慌てて私のニットの襟元を直そうとするが、私はその手を掴み、自分の胸元に押し当てた。
「誰かって? ここには、お兄ちゃんと私しかいないでしょ?」
上目遣いで兄を見上げると、潤んだ瞳で囁いた。
「ねえ、お兄ちゃん。……お兄ちゃんが、他の男の人に見てほしくないところ……全部、ここにあるよ?」
そう言いながら、私の指先は、海斗兄ちゃんの制服のボタンを一つ、静かに外した。
昼間、私のブラウスのボタンを外した兄と同じ仕草。
けれど、そこにはもう「恐怖」はなかった。
あるのは、「兄を支配する」という、抗えない快感だけ。
兄の喉がゴクリと鳴った。
彼は私の指に重ねるように自分の手を置き、外されたボタンの隙間から覗く、白い肌へと滑り込ませようと、無意識に力を込めていた。
その震える指先に、もうかつての「生徒会長」の冷静さなど残っていない。
私がいなければ、この兄は、もう誰にも止められない。
~支配の転換、月下の獲物たち~
資料室での一件以来、如月家の空気は、目に見えない火種が燻り続けているような重苦しい熱を帯びていた。
兄・海斗は、以前にも増して執拗に妹の結衣を監視していた。学校の廊下ですれ違う際、あるいは家で食卓を囲む時。彼の鋭い眼光は、結衣に近づくあらゆる外敵を排除しようとする猛禽類のようだった。しかし、その過剰な独占欲こそが、自分を縛る「鎖」になるとは、この時の海斗はまだ気づいていない。
結衣は、そんな兄の視線を全身で受け止めながら、密かに口角を上げていた。
かつては恐怖に震えていたその瞳には、今や兄の「弱点」を見抜いた者特有の、冷ややかな輝きが宿っている。
その夜、リビングのソファーで参考書を開く海斗の前に、結衣が音もなく現れた。
「海斗兄ちゃん、まだ勉強してるの?」
海斗が顔を上げた瞬間、その動きが岩のように硬直した。
結衣の姿は、あまりにも無防備で、あまりにも扇情的だった。
入浴後なのだろう、緩く波打つ髪からは甘いシャンプーの香りが漂い、薄いニットの生地は湿った肌に吸い付くように密着している。その下には、繊細なレースの縁取りが露骨なほど透けて見え、動くたびに彼女の瑞々しい曲線が強調されていた。
「……結衣。その格好は何だ。今すぐ着替えてこい」
海斗の声は低く、押し殺したような怒りが混じっている。だが、その視線は怒りとは裏腹に、結衣の大きく開いた襟元から覗く、白く滑らかな鎖骨の窪みに釘付けになっていた。
結衣は兄の動揺を愉しむように、わざとゆっくりと彼の隣に腰を下ろした。
柔らかな太ももが海斗の足に触れる。ショートパンツの裾から剥き出しになった結衣の脚は、月光を反射して発光しているかのように白く、しっとりとした質感を帯びている。
「どうして? 家なんだからいいでしょ。……それとも、お兄ちゃん。私の体、直視できないくらい気になっちゃう?」
結衣は小首を傾げ、上目遣いに海斗を見つめた。潤んだ瞳が、獲物を誘う罠のように光る。
海斗の喉が、耐えきれないというように激しく上下した。彼は震える手で結衣の襟元を正そうとしたが、結衣はその手首を優しく、しかし逃げられない力で掴み取った。
「ねえ、お兄ちゃん。……私を独り占めしたいなら、相応の覚悟、見せてよ」
結衣は海斗の手を引き、自分の熱を帯びた胸元へと導いた。
薄いニット越しに、結衣の早鐘を打つ鼓動が海斗の掌に直接伝わる。
「お兄ちゃんが他の男に見せたくないって思ってる場所……今、触ってるのはお兄ちゃんだけだよ?」
その瞬間、海斗の中で何かが音を立てて崩れ去った。
冷徹な「生徒会長」の仮面が剥がれ落ち、そこにあるのは、妹という名の毒に冒され、彼女なしでは正気を保てなくなった一人の男の顔だった。
結衣は、兄の指先が自分の肌に食い込むのを感じながら、甘い勝利の味を噛み締めていた。
追う者と追われる者。その立場は、月明かりの下で完全に逆転していた。
ー深夜のリビング。月光が青白く二人を照らす中、海斗の理性はついに限界を迎えた。ー
結衣の掌から伝わる、柔らかな体温と挑発的な鼓動。それが引き金だった。海斗は唸るような声を漏らし、掴まれていた手首を逆に力任せに引き寄せると、結衣をソファーへと押し倒した。
「……いい加減にしろ、結衣。俺を試しているなら、これ以上は容赦しない」
結衣の細い両肩をソファーの背もたれに釘付けにし、海斗はその上に覆いかぶさる。
至近距離で見下ろす海斗の瞳は、獣のようなぎらついた光を放っていた。結衣の薄いニットの襟元に指をかけ、引き裂かんばかりの力で露わにしようとする。その荒々しさは、資料室の時とは比べものにならないほど、切迫した「飢え」に満ちていた。
しかし、結衣は怯えなかった。
それどころか、海斗の凶暴な視線を正面から受け止め、ふっと艶やかな笑みを浮かべたのだ。
「……ねえ、海斗兄ちゃん。強引にすれば、私が言うことを聞くと思ってる?」
結衣は自由な手を伸ばし、海斗の頬を愛おしそうに撫でた。そのまま指先を彼の耳元から、喉仏、そしてシャツの第一ボタンへと滑らせる。
「……っ」
海斗の動きが、一瞬だけ止まった。
その隙を、結衣は逃さなかった。彼女は海斗の首筋に腕を回すと、自分の方へぐいと引き寄せ、彼の耳元で熱い吐息とともに囁いた。
「お兄ちゃん、本当は震えてるじゃない。……怖いのは、私じゃなくて、『自分』でしょ?」
結衣は、海斗の最も敏感な首筋の急所に、そっと唇を寄せた。
そして、吸い付くような深いキスを刻む。
「あ……く、う……っ」
海斗の口から、情けないほどに甘い呻きが漏れた。
結衣の舌先が熱を帯びた肌をなぞるたび、海斗の体から力が抜けていく。支配しようと結衣の肩を掴んでいた彼の大きな手は、今や崩れ落ちる自分を支えるために、縋るように結衣の腰へと回された。
「お兄ちゃん……。私がいないと、もう何もできない……ダメな人」
結衣は海斗を押し返し、立場を入れ替えるように彼の上に跨がった。
ソファーに沈み込み、荒い息をつく兄を見下ろしながら、結衣は彼のネクタイをゆっくりと指に絡め、引き寄せる。
海斗の瞳には、かつての冷徹な「支配者」の影はない。
そこにあるのは、妹という名の毒に骨抜きにされ、彼女の慈悲を乞うような、情欲に濡れた無防備な顔だった。
「……これからは、私の言うこと、全部聞いてくれるよね?」
結衣がもう一度、今度は海斗の唇を塞ぐように顔を近づけると、海斗はもはや抵抗することすら忘れ、吸い込まれるように彼女の熱の中に溺れていった。
~第三章:洋子の帰宅、完成する逃げ場のい檻~
ソファーで海斗を組み敷き、結衣がその唇を奪おうとした、その時だった。
玄関の鍵が回る音が静まり返ったリビングに響き渡った。
「ただいまー! 予定より早く終わっちゃったわ」
聞き覚えのある、明るく快活な声。海斗の母親であり、結衣の義母でもある洋子の帰宅だった。
海斗は弾かれたように結衣をどかし、乱れたシャツを整えようとするが、指が震えてボタンがうまく嵌まらない。
「やばい、母さんだ……っ、結衣、早く離れろ!」
パニックになる海斗を尻目に、結衣は余裕の笑みを崩さない。それどころか、わざと乱れた髪のまま、洋子の前へ駆け寄った。
「お帰りなさい、洋子さん! あのね、お兄ちゃんが……」
「結衣! 余計なことを言うな!」
顔を真っ青にする海斗。しかし、洋子は結衣の首筋に残る「微かな赤み」と、海斗の剥き出しの動揺を一瞬で見抜いた。洋子の瞳が、獲物を見つけた猛獣のように妖しく光る。
「あらあら、まあ……。海斗、あなた。妹をそんなに泣かせて(可愛がって)たの?」
洋子は結衣の肩を抱き寄せ、優しく頭を撫でた。しかし、その視線は海斗を射抜いている。
「海斗。あなたには『お仕置き』が必要ね。結衣ちゃん、この子ったら学校でも強がってるから、家ではもっと素直にさせないとダメだと思わない?」
洋子の言葉に、結衣は我が意を得たりとばかりに頷き、洋子の耳元で楽しそうに囁いた。
「洋子さん、お兄ちゃん、さっきまですごく積極的だったんですよ? でも、今はこんなに震えちゃって……」
「ふふふ、そう。じゃあ、今夜は母さんと結衣ちゃんで、海斗を徹底的に『教育』してあげましょうか」
洋子はキッチンから、以前湊の母が用意したような、強烈な香りを放つ「特製ドリンク」を持ってきた。
「はい、海斗。これ、結衣ちゃんが心を込めて(?)作ったことにするから、全部飲みなさい。明日も学校で生徒会長として頑張るための、お母さんたちからの『愛』よ」
逃げ場はない。目の前には、自分を完全に手玉に取った「小悪魔な妹」と、すべてを面白がって煽る「最強の母」。
海斗は差し出されたコップを震える手で受け取り、結衣の勝ち誇ったような、それでいて熱を帯びた視線に射抜かれながら、それを飲み干すしかなかった。
「……くっ、お前ら……」
「お兄ちゃん、頑張って。今夜はまだまだ、寝かせないからね?」
結衣は海斗の耳元で、洋子にさえ聞こえないほど小さな声で、残酷で甘い「死刑宣告」を告げた。
海斗の理性は、今夜、完全に崩壊する運命にある。
~第四章:翌朝の包囲網、襟元に潜む背徳の証~
翌朝、如月家のダイニングテーブルには、洋子の鼻歌が響いていた。
海斗は一睡もできなかったのか、目の下に薄い隈を作り、昨夜の「特製ドリンク」の残熱を隠すように冷たい水を飲み干している。
「はい、これ。海斗、結衣ちゃん。今日から二人とも、これをつけて登校すること!」
洋子が楽しげに差し出したのは、銀色に輝くシンプルなチョーカー型のネックレスだった。
「お母さん、これは……?」
「ただのアクセサリーじゃないわよ。これ、二人のスマホと連動してて、片方が外したり、距離が離れすぎたりすると……お母さんのスマホに通知が行く仕組みなの。名付けて『兄妹仲良しロック』!」
「何だよ、それ……っ。学校にそんなのつけていけるか!」
海斗が抗議するが、横から結衣がそのネックレスを手に取り、海斗の喉元へ手を伸ばした。
「いいじゃない、お兄ちゃん。……私とお揃いだよ?」
結衣は、自身の白い首筋にぴったりと吸い付くようなチョーカーを指差し、挑発的に微笑んだ。
そのまま海斗の背後に回り込み、震える彼の喉仏に冷たい金属をカチリとはめる。
「……っ」
首を絞められるような感覚。
そして、その金属の内側には、洋子が悪戯に刻んだ「結衣」という小さな刻印**が隠されていた。
「これをつけてる間は、お兄ちゃんは私のもの、ってことだよね」
結衣はわざと海斗の耳元で囁き、彼のブラウスの襟を、そのチョーカーがギリギリ隠れるか隠れないかの絶妙な高さに整えた。少しでも激しく動いたり、お辞儀をしたりすれば、銀の輝きが周囲に露呈してしまう。
登校中、海斗は極度の緊張で肩を強張らせていた。
一方の結衣は、わざと海斗の腕に自分の指先を絡め、周囲の生徒たちの視線を集める。
「見て、海斗兄ちゃん。あそこで図書委員の人が見てるよ? 資料室のこと、思い出さないかな……?」
「……やめろ、結衣。誰かに見られたら……」
海斗が焦って足早になろうとすると、スマホが震えた。
洋子からのメッセージだ。
『海斗、距離が離れすぎよ。結衣ちゃんの手、ちゃんと繋いであげなさい』
海斗は絶望的な顔で立ち止まり、結衣のしっとりと汗ばんだ柔らかな手を握りしめた。
全校生徒が憧れる「鉄壁の生徒会長」が、妹の鎖に繋がれた犬のように、校門をくぐっていく。
襟元で冷たく光る金属は、海斗にとって屈辱の証であると同時に、もう結衣なしでは生きていけないという、甘い呪縛そのものだった。
~第四章:体育の着替え、暴かれる銀の呪縛~
午後の体育の時間。男子更衣室は、授業を控えた生徒たちの喧騒と熱気に包まれていた。
海斗は周囲の目を避けるように更衣室の隅へ向かい、壁を背にして素早く着替えを済ませようとする。
しかし、首元のチョーカーが気になって指先が震え、ブラウスのボタンを外す手がもどかしい。
「……っ、早く、着替えないと……」
その時、背後からクラスメイトの男子たちがドカドカとやってきた
。
「おーい海斗! お前、今日なんか元気なくね? さっきの授業中もずっと首触ってたし」
「いや、なんでもない。ただの肩凝りだ……」
海斗は慌ててブラウスを脱ぎ捨て、体操着を被ろうとした。
だが、その一瞬の隙を、悪友の颯太は見逃さなかった。
「……待て。海斗、お前その首のやつ、何だよ?」
更衣室の空気が凍りついた。
海斗の白く引き締まった首筋に、場違いなほど淫靡な輝きを放つ銀のチョーカー。
そこに刻まれた「結衣」という文字までは見えないものの、その形状は明らかにファッションの枠を超えた「拘束具」を連想させた。
「え、生徒会長がチョーカー? マジかよ、意外と攻めてんな!」
「ちょっと見せろよ、それ」
颯太たちが面白がって海斗の首元に手を伸ばす。
海斗は絶望に顔を歪め、後ずさった。もし、これに触れられ、「結衣」の刻印が見つかれば。そして、これが妹とお揃いの「飼い犬の首輪」だと知られれば、自分の人生は終わる。
その時、更衣室の薄い壁を隔てた女子更衣室側から、コンコン、と控えめな、しかし力強いノックの音が響いた。
「……あの、お兄ちゃん? 忘れ物、届けに来たんだけど」
結衣の声だ。
更衣室中が静まり返る。結衣の声には、兄を助けに来た妹の健気さと、その実、獲物を追い詰める猟師のような冷徹さが混じっていた。
「……あ、如月さんの妹さんじゃん。海斗、お前忘れ物だってよ」
「助かったな、海斗。その変な首輪、妹に見られる前に隠しとけよ?」
冷やかしながら去っていく男子たち。
海斗は膝から崩れ落ちそうになりながら、更衣室の扉を少しだけ開けた。
そこには、自分と同じ銀のチョーカーを隠しもせず、むしろ誇らしげに首に巻いた結衣が、勝利の微笑みを浮かべて立っていた。
「……お兄ちゃん、大丈夫? 誰かに『私の名前』、見られちゃった?」
結衣は海斗の乱れた体操着の襟元に手を伸ばし、わざと指先でチョーカーをなぞった。
金属が擦れる音が、海斗の耳元で残酷に響く。
「……もう、私なしじゃ外も歩けないね。……放課後、生徒会室で待ってるから。もっと『深いところ』まで、お仕置きしてあげる」
海斗は何も言い返せなかった。
周囲の喧騒の中で、自分だけが妹の透明な鎖に繋がれ、引きずられていく。
恐怖と、それ以上の甘美な屈辱が、彼の理性を最後の一片まで溶かしていった。
ー放課後の生徒会室。西日が差し込み、室内を赤黒く染める中、海斗は机に手をつき、荒い息を吐いていた。ー
「……海斗兄ちゃん、こっち向いて?」
結衣の声に、海斗の肩がびくりと跳ねる。彼女は生徒会長の椅子に深く腰掛け、足を組んで兄を見下ろしていた。
結衣の指先には、海斗のチョーカーから伸びた、細く銀色に輝くチェーンが握られている。いつの間にか、洋子が用意した「リード」が装着されていた。
「……結衣、もう勘弁してくれ。学校でこんな……」
「ダメだよ。更衣室で私の名前をバラされそうになった『罰』、まだ受けてないでしょ?」
結衣がチェーンをぐいと引くと、海斗は喉元を締め上げられ、床に膝をついた。完璧だったはずの制服は乱れ、前髪の間から覗く瞳は、恐怖と屈辱、そして抗えない快楽で潤んでいる。
「ほら、お兄ちゃん。……『僕(しもべ)』なら、どうすればいいか分かってるよね?」
結衣は組んでいた足を解き、ローファーを脱ぎ捨てた。
白いソックスに包まれた足先を、膝をつく海斗の顎の下へと滑り込ませる。
「……っ」
海斗の視界に、結衣の足元が広がる。
資料室で自分が支配していたはずの妹が、今は絶対的な主人として自分を跪かせている。その事実に、海斗のプライドは粉々に砕け散った。
海斗は震える手で結衣の足首を掴み、吸い寄せられるようにその足先に顔を寄せた。
「……ごめんなさい、結衣。……俺は、お前の……」
「聞こえないよ? もっとはっきり言って」
結衣はわざと足の指先で海斗の唇をなぞり、彼の言葉を促す。
海斗は目を閉じ、銀のチョーカーに刻まれた「結衣」という重みを喉元に感じながら、ついに最後の一線を越えた。
「……俺は、結衣の犬です。……だから、見捨てないでくれ」
その瞬間、結衣は狂おしいほどの喜びを感じていた。
兄を自分なしではいられない廃人に変えていく全能感。結衣は海斗の髪を乱暴に、しかし愛おしそうにかき混ぜると、彼の耳元で優しく囁いた。
「よくできました、お兄ちゃん。……今夜は家でも、洋子さんと一緒にたっぷり可愛がってあげるね」
夕闇が二人を包み込み、生徒会室には、銀のチェーンが触れ合う冷たい音だけが響き続けていた。
~最終章:継承される鎖、あるいは終わりのない始まり~
数ヶ月後。海斗の高校卒業を祝う夕食会は、如月家のダイニングで静かに、けれど異様な熱を孕んで執り行われていた。
「海斗、卒業おめでとう。これであなたも、名目上は『自由な大人』ね」
母・洋子が、琥珀色のワインが揺れるグラスを掲げ、優雅に微笑む。その隣では、結衣が兄の顔をじっと見つめていた。海斗の首元には、あの日から一度も外されることのなかった銀のチョーカーが、皮膚の一部であるかのように馴染んでいる。
「……ありがとうございます、母さん」
海斗の声に、かつての鋭さはない。その瞳はどこか虚ろで、隣に座る結衣が少し動くだけで、期待と恐怖が混ざったように肩を震わせる。
「さて、卒業祝いに、私から特別なプレゼントがあるわ」
洋子がテーブルの上に置いたのは、古びた、しかし重厚な輝きを放つ一本の小さな鍵だった。
「それは、海斗のチョーカーを解錠できる唯一のマスターキー。そして、この如月家の『裏のルール』を司る者の証。……今日からこの鍵は、結衣ちゃん、あなたのものよ」
海斗が息を呑む。彼にとって、その鍵は自由への希望ではなく、自分を支配する主が「母」から「妹」へと完全に移行することを意味していた。
結衣は震える手でその鍵を手に取り、愛おしそうに頬に寄せた。そして、ゆっくりと立ち上がり、海斗の背後へ回る。
「お兄ちゃん。……今、鍵を開けてあげてもいいんだよ? 自由になりたいなら、そう言って」
結衣の細い指先が、海斗のうなじを優しくなぞる。海斗の心臓が、静かな部屋に響くほど激しく脈打った。自由になれる。この屈辱的な首輪から解放される。
しかし、海斗の口から出たのは、絶望的なまでに甘い「拒絶」だった。
「……嫌だ。外さないでくれ、結衣。……俺を、一人にしないでくれ」
海斗は椅子から滑り落ちるようにして床に膝をつき、結衣のスカートの裾を縋るように掴んだ。
洋子がそれを見て、満足そうにグラスを傾ける。
「ふふふ、合格ね。……結衣ちゃん、これからはあなたの好きなように。お兄ちゃんを、あなただけの『最高の人形』に育て上げてちょうだい」
結衣は海斗の顎を掬い上げ、自分を見上げさせた。
彼女の瞳には、かつての幼い妹の面影はない。如月家の新たな、そしてより残酷な女主人の輝きが宿っていた。
「分かったわ、洋子さん。……お兄ちゃん、もう二度と、その首輪は外さないから。死ぬまで、私の足元で跪いていてね」
結衣はマスターキーを自分のネックレスの中に仕舞い込み、海斗の唇に、血の味がするほど深い、契約のキスを刻んだ。
窓の外では、春の嵐が吹き荒れている。
けれど、この密室の中で結ばれた兄と妹の「血よりも濃い契約」は、決して誰にも壊されることはない。
それは、終わりのない支配と依存の、あまりにも美しく歪んだ「新たな始まり」だった。
【完結】
放課後の旧校舎。一番奥にある資料室は、窓から差し込む夕闇が古い本棚の影を長く引き伸ばし、まるで二人だけの檻のようだった。
ガチャリ、と鍵が閉められる無機質な音が、静寂を切り裂く。
「……海斗兄ちゃん、離して。誰かに見られたら……」
私は、目の前に立つ兄・海斗の胸元を、震える手で押し返そうとした。
学校での彼は、誰もが羨む文武両道の生徒会長。だが、今の彼の瞳には、学校で見せる爽やかな笑顔の欠片もなかった。
「結衣。あいつ、お前の何を見てたか分かってるのか?」
海斗は私の両手首を片手で軽々と掴み、頭上の本棚に押し付けた。
その瞬間、私の制服のブラウスが突っ張り、一番上のボタンが弾けそうなほど胸元が強調される。
海斗の視線が、私の露わになった鎖骨と、激しく上下する胸のラインに突き刺さった。
「……ただの、隣の席の男子だよ。消しゴムを貸しただけ……っ」
言い訳をする私の唇が、恐怖と、それ以上に言葉にできない熱情で震える。
夕日に照らされた結衣の肌は、透き通るように白く、耳たぶまで桃色に染まっている。
焦りからか、結衣は無意識にしっとりと汗ばんだ太ももを擦り合わせ、短いスカートの裾がさらに数センチ跳ね上がった。
海斗の顔がゆっくりと近づき、熱い吐息が私の首筋をなぞる。
「……俺以外の男に、そんな無防備な顔をするな。……お前の全部、俺だけのものだって、教えてやらないとダメか?」
海斗の自由な方の手が、私のスカートのウエスト部分に指をかけ、ぐいっと自分の方へ引き寄せた。
薄い生地越しに、彼の逞しい大腿部の硬さと、暴力的なまでの体温が直接伝わってくる。
その時だった。
廊下から、コツ、コツ……と図書委員の足音が近づいてきた。
「あれ、資料室の鍵、閉まってる……? 誰かいるの?」
ドアノブが激しくガチャガチャと回される。
扉一枚隔てた向こう側には他人がいる。その極限の状況で、海斗は退くどころか、わざと私の腰を抱き寄せ、私の脚の間に自分の膝を割り込ませた。
「……声、出すなよ。バレたら、お前も『共犯』だ」
海斗の指先が、私の制服のリボンを解き、ブラウスの隙間から滑らかな地肌へと忍び込む。
外側のノブが回る音と、兄の熱い指先が私の肌を愛撫する感触。
私は海斗の肩に顔を埋め、声が漏れないよう、必死に自分の唇を噛み締めた。
これが、私たちの「兄妹」という名の境界線が壊れる、始まりの合図だった。
~第一章:極限の沈黙、暴走する指先~
「……おかしいな。さっきまで開いてたはずなのに」
扉のすぐ向こう側で、図書委員の男子の声が響く。
何度もドアノブがガチャガチャと回され、その振動が背中合わせの壁を通じて結衣の体に直接伝わってくる。
「ひっ……」
恐怖で喉が鳴りそうになった瞬間、海斗の熱い掌が結衣の口を塞いだ。
海斗の顔が、耳元まで迫る。
「……静かに。バレたいのか?」
低く、けれどどこか愉悦を含んだ声。
海斗は結衣の震える体を本棚へと押し付けると、空いた方の手を解かれたリボンの隙間から、白いブラウスの内側へと滑り込ませた。
「あ……っ!」
声にならない悲鳴が海斗の手のひらの中で潰される。
海斗の指先は、冷房の効いた室内でひんやりとした結衣の肌を、じりじりと熱く塗り替えていく。
鎖骨をなぞり、ブラトップのレースの縁に指をかけ、その奥にある柔らかな果実の膨らみへと、容赦なく侵入していく。
「んんぅ……!!」
結衣の脳裏に、外にいる図書委員の顔が浮かぶ。もし今、扉が壊れて誰かが入ってきたら。優等生の兄と、その兄にブラウスの中まで弄られている自分を見られたら。
その「終わってしまう」という恐怖**が、逆に結衣の感覚を異常なほど鋭敏にさせていた。
海斗の指が、結衣の一番敏感な場所を捉え、爪を立てない程度の絶妙な力加減で愛撫する。
「……結衣。外にいるあいつに、お前のこんな顔……見せてやりたいよ」
海斗はわざと、結衣の耳たぶを熱い舌先で湿らせた。
結衣の体は逃げ場を失い、海斗の膝に押し上げられた太ももが、無意識に彼の腰に絡みつこうと震える。
ブラウスの下で、海斗の大きな手が結衣の小さな膨らみを包み込み、指先でその先端を優しく、執拗に弄ぶ。
「……あ、あ……」
口を塞がれているせいで、結衣の熱い吐息は海斗の掌を湿らせ、鼻から抜ける甘い吐息だけが資料室の静寂に溶けていく。
外の図書委員は、まだそこにいる。
「……先生に鍵、借りてくるか」
足音が遠ざかり始めたその瞬間。
海斗は結衣を解放するどころか、さらに深く、指先を彼女の奥へと突き動かした。
「……っ!!」
結衣の背中が弓なりに反り、スカートの奥で絶対に見られてはいけない「蜜」が溢れ出すのを感じた。
扉の向こうの日常と、この薄暗い部屋の異常。
二つの世界の境界線で、結衣は兄の指先が与える快感の渦へと、真っ逆さまに堕ちていった。
~第二章:計算された無防備、兄の理性を破壊する「甘い毒」~
資料室での出来事以来、海斗兄ちゃんは私への視線をさらに強めた。
家でも学校でも、まるで私の影のように付きまとう。
以前の私なら、その重苦しい視線に怯えていたはず。
でも、今は違う。
(……兄ちゃん、私のこと、本当に好きなんだね)
私は、あの日の資料室で、兄の心臓の音が私の鼓動と同じくらい速く脈打っていたことを知っている。
そして、私の肌に触れた兄の手が、わずかに震えていたことも。
完璧な仮面の下に隠された、剥き出しの「欲望」。
それが、兄の唯一の弱点。
その夜。
私は、わざと裾の短いショートパンツを履き、さらに透け感のある薄手のニットを着てリビングへと降りていった。
海斗兄ちゃんは、リビングのソファーで参考書を開いていたけれど、私が階段を降りてくる音に、ピタリと動きを止める。
「……結衣。その格好で、どこに行くんだ」
低い声。獲物を狙う獣のような視線。
完璧なはずの兄の顔に、わずかな焦りが滲んでいるのがわかる。
私は悪戯っぽく微笑み、海斗兄ちゃんの隣に座った。
「どこって……お風呂に入ったから、涼んでただけだよ? 変かな?」
私はそう言うと、薄いニットの襟元を少しだけ引っ張り、鎖骨を強調するように首を傾げた。
ブラジャーの肩紐がうっすらと透けて見え、肌の白さがより際立つ。
ショートパンツから伸びる足は、ソファーの縁で無意識に組み替えられ、しっとりと滑らかな太ももが惜しげもなく露わになる。
海斗兄ちゃんの瞳が、私の鎖骨、肩、そして太ももへと吸い寄せられるように視線を彷徨わせた。
「……っ! 変だ。そんな格好、やめろ。誰かに見られたらどうするんだ」
兄は慌てて私のニットの襟元を直そうとするが、私はその手を掴み、自分の胸元に押し当てた。
「誰かって? ここには、お兄ちゃんと私しかいないでしょ?」
上目遣いで兄を見上げると、潤んだ瞳で囁いた。
「ねえ、お兄ちゃん。……お兄ちゃんが、他の男の人に見てほしくないところ……全部、ここにあるよ?」
そう言いながら、私の指先は、海斗兄ちゃんの制服のボタンを一つ、静かに外した。
昼間、私のブラウスのボタンを外した兄と同じ仕草。
けれど、そこにはもう「恐怖」はなかった。
あるのは、「兄を支配する」という、抗えない快感だけ。
兄の喉がゴクリと鳴った。
彼は私の指に重ねるように自分の手を置き、外されたボタンの隙間から覗く、白い肌へと滑り込ませようと、無意識に力を込めていた。
その震える指先に、もうかつての「生徒会長」の冷静さなど残っていない。
私がいなければ、この兄は、もう誰にも止められない。
~支配の転換、月下の獲物たち~
資料室での一件以来、如月家の空気は、目に見えない火種が燻り続けているような重苦しい熱を帯びていた。
兄・海斗は、以前にも増して執拗に妹の結衣を監視していた。学校の廊下ですれ違う際、あるいは家で食卓を囲む時。彼の鋭い眼光は、結衣に近づくあらゆる外敵を排除しようとする猛禽類のようだった。しかし、その過剰な独占欲こそが、自分を縛る「鎖」になるとは、この時の海斗はまだ気づいていない。
結衣は、そんな兄の視線を全身で受け止めながら、密かに口角を上げていた。
かつては恐怖に震えていたその瞳には、今や兄の「弱点」を見抜いた者特有の、冷ややかな輝きが宿っている。
その夜、リビングのソファーで参考書を開く海斗の前に、結衣が音もなく現れた。
「海斗兄ちゃん、まだ勉強してるの?」
海斗が顔を上げた瞬間、その動きが岩のように硬直した。
結衣の姿は、あまりにも無防備で、あまりにも扇情的だった。
入浴後なのだろう、緩く波打つ髪からは甘いシャンプーの香りが漂い、薄いニットの生地は湿った肌に吸い付くように密着している。その下には、繊細なレースの縁取りが露骨なほど透けて見え、動くたびに彼女の瑞々しい曲線が強調されていた。
「……結衣。その格好は何だ。今すぐ着替えてこい」
海斗の声は低く、押し殺したような怒りが混じっている。だが、その視線は怒りとは裏腹に、結衣の大きく開いた襟元から覗く、白く滑らかな鎖骨の窪みに釘付けになっていた。
結衣は兄の動揺を愉しむように、わざとゆっくりと彼の隣に腰を下ろした。
柔らかな太ももが海斗の足に触れる。ショートパンツの裾から剥き出しになった結衣の脚は、月光を反射して発光しているかのように白く、しっとりとした質感を帯びている。
「どうして? 家なんだからいいでしょ。……それとも、お兄ちゃん。私の体、直視できないくらい気になっちゃう?」
結衣は小首を傾げ、上目遣いに海斗を見つめた。潤んだ瞳が、獲物を誘う罠のように光る。
海斗の喉が、耐えきれないというように激しく上下した。彼は震える手で結衣の襟元を正そうとしたが、結衣はその手首を優しく、しかし逃げられない力で掴み取った。
「ねえ、お兄ちゃん。……私を独り占めしたいなら、相応の覚悟、見せてよ」
結衣は海斗の手を引き、自分の熱を帯びた胸元へと導いた。
薄いニット越しに、結衣の早鐘を打つ鼓動が海斗の掌に直接伝わる。
「お兄ちゃんが他の男に見せたくないって思ってる場所……今、触ってるのはお兄ちゃんだけだよ?」
その瞬間、海斗の中で何かが音を立てて崩れ去った。
冷徹な「生徒会長」の仮面が剥がれ落ち、そこにあるのは、妹という名の毒に冒され、彼女なしでは正気を保てなくなった一人の男の顔だった。
結衣は、兄の指先が自分の肌に食い込むのを感じながら、甘い勝利の味を噛み締めていた。
追う者と追われる者。その立場は、月明かりの下で完全に逆転していた。
ー深夜のリビング。月光が青白く二人を照らす中、海斗の理性はついに限界を迎えた。ー
結衣の掌から伝わる、柔らかな体温と挑発的な鼓動。それが引き金だった。海斗は唸るような声を漏らし、掴まれていた手首を逆に力任せに引き寄せると、結衣をソファーへと押し倒した。
「……いい加減にしろ、結衣。俺を試しているなら、これ以上は容赦しない」
結衣の細い両肩をソファーの背もたれに釘付けにし、海斗はその上に覆いかぶさる。
至近距離で見下ろす海斗の瞳は、獣のようなぎらついた光を放っていた。結衣の薄いニットの襟元に指をかけ、引き裂かんばかりの力で露わにしようとする。その荒々しさは、資料室の時とは比べものにならないほど、切迫した「飢え」に満ちていた。
しかし、結衣は怯えなかった。
それどころか、海斗の凶暴な視線を正面から受け止め、ふっと艶やかな笑みを浮かべたのだ。
「……ねえ、海斗兄ちゃん。強引にすれば、私が言うことを聞くと思ってる?」
結衣は自由な手を伸ばし、海斗の頬を愛おしそうに撫でた。そのまま指先を彼の耳元から、喉仏、そしてシャツの第一ボタンへと滑らせる。
「……っ」
海斗の動きが、一瞬だけ止まった。
その隙を、結衣は逃さなかった。彼女は海斗の首筋に腕を回すと、自分の方へぐいと引き寄せ、彼の耳元で熱い吐息とともに囁いた。
「お兄ちゃん、本当は震えてるじゃない。……怖いのは、私じゃなくて、『自分』でしょ?」
結衣は、海斗の最も敏感な首筋の急所に、そっと唇を寄せた。
そして、吸い付くような深いキスを刻む。
「あ……く、う……っ」
海斗の口から、情けないほどに甘い呻きが漏れた。
結衣の舌先が熱を帯びた肌をなぞるたび、海斗の体から力が抜けていく。支配しようと結衣の肩を掴んでいた彼の大きな手は、今や崩れ落ちる自分を支えるために、縋るように結衣の腰へと回された。
「お兄ちゃん……。私がいないと、もう何もできない……ダメな人」
結衣は海斗を押し返し、立場を入れ替えるように彼の上に跨がった。
ソファーに沈み込み、荒い息をつく兄を見下ろしながら、結衣は彼のネクタイをゆっくりと指に絡め、引き寄せる。
海斗の瞳には、かつての冷徹な「支配者」の影はない。
そこにあるのは、妹という名の毒に骨抜きにされ、彼女の慈悲を乞うような、情欲に濡れた無防備な顔だった。
「……これからは、私の言うこと、全部聞いてくれるよね?」
結衣がもう一度、今度は海斗の唇を塞ぐように顔を近づけると、海斗はもはや抵抗することすら忘れ、吸い込まれるように彼女の熱の中に溺れていった。
~第三章:洋子の帰宅、完成する逃げ場のい檻~
ソファーで海斗を組み敷き、結衣がその唇を奪おうとした、その時だった。
玄関の鍵が回る音が静まり返ったリビングに響き渡った。
「ただいまー! 予定より早く終わっちゃったわ」
聞き覚えのある、明るく快活な声。海斗の母親であり、結衣の義母でもある洋子の帰宅だった。
海斗は弾かれたように結衣をどかし、乱れたシャツを整えようとするが、指が震えてボタンがうまく嵌まらない。
「やばい、母さんだ……っ、結衣、早く離れろ!」
パニックになる海斗を尻目に、結衣は余裕の笑みを崩さない。それどころか、わざと乱れた髪のまま、洋子の前へ駆け寄った。
「お帰りなさい、洋子さん! あのね、お兄ちゃんが……」
「結衣! 余計なことを言うな!」
顔を真っ青にする海斗。しかし、洋子は結衣の首筋に残る「微かな赤み」と、海斗の剥き出しの動揺を一瞬で見抜いた。洋子の瞳が、獲物を見つけた猛獣のように妖しく光る。
「あらあら、まあ……。海斗、あなた。妹をそんなに泣かせて(可愛がって)たの?」
洋子は結衣の肩を抱き寄せ、優しく頭を撫でた。しかし、その視線は海斗を射抜いている。
「海斗。あなたには『お仕置き』が必要ね。結衣ちゃん、この子ったら学校でも強がってるから、家ではもっと素直にさせないとダメだと思わない?」
洋子の言葉に、結衣は我が意を得たりとばかりに頷き、洋子の耳元で楽しそうに囁いた。
「洋子さん、お兄ちゃん、さっきまですごく積極的だったんですよ? でも、今はこんなに震えちゃって……」
「ふふふ、そう。じゃあ、今夜は母さんと結衣ちゃんで、海斗を徹底的に『教育』してあげましょうか」
洋子はキッチンから、以前湊の母が用意したような、強烈な香りを放つ「特製ドリンク」を持ってきた。
「はい、海斗。これ、結衣ちゃんが心を込めて(?)作ったことにするから、全部飲みなさい。明日も学校で生徒会長として頑張るための、お母さんたちからの『愛』よ」
逃げ場はない。目の前には、自分を完全に手玉に取った「小悪魔な妹」と、すべてを面白がって煽る「最強の母」。
海斗は差し出されたコップを震える手で受け取り、結衣の勝ち誇ったような、それでいて熱を帯びた視線に射抜かれながら、それを飲み干すしかなかった。
「……くっ、お前ら……」
「お兄ちゃん、頑張って。今夜はまだまだ、寝かせないからね?」
結衣は海斗の耳元で、洋子にさえ聞こえないほど小さな声で、残酷で甘い「死刑宣告」を告げた。
海斗の理性は、今夜、完全に崩壊する運命にある。
~第四章:翌朝の包囲網、襟元に潜む背徳の証~
翌朝、如月家のダイニングテーブルには、洋子の鼻歌が響いていた。
海斗は一睡もできなかったのか、目の下に薄い隈を作り、昨夜の「特製ドリンク」の残熱を隠すように冷たい水を飲み干している。
「はい、これ。海斗、結衣ちゃん。今日から二人とも、これをつけて登校すること!」
洋子が楽しげに差し出したのは、銀色に輝くシンプルなチョーカー型のネックレスだった。
「お母さん、これは……?」
「ただのアクセサリーじゃないわよ。これ、二人のスマホと連動してて、片方が外したり、距離が離れすぎたりすると……お母さんのスマホに通知が行く仕組みなの。名付けて『兄妹仲良しロック』!」
「何だよ、それ……っ。学校にそんなのつけていけるか!」
海斗が抗議するが、横から結衣がそのネックレスを手に取り、海斗の喉元へ手を伸ばした。
「いいじゃない、お兄ちゃん。……私とお揃いだよ?」
結衣は、自身の白い首筋にぴったりと吸い付くようなチョーカーを指差し、挑発的に微笑んだ。
そのまま海斗の背後に回り込み、震える彼の喉仏に冷たい金属をカチリとはめる。
「……っ」
首を絞められるような感覚。
そして、その金属の内側には、洋子が悪戯に刻んだ「結衣」という小さな刻印**が隠されていた。
「これをつけてる間は、お兄ちゃんは私のもの、ってことだよね」
結衣はわざと海斗の耳元で囁き、彼のブラウスの襟を、そのチョーカーがギリギリ隠れるか隠れないかの絶妙な高さに整えた。少しでも激しく動いたり、お辞儀をしたりすれば、銀の輝きが周囲に露呈してしまう。
登校中、海斗は極度の緊張で肩を強張らせていた。
一方の結衣は、わざと海斗の腕に自分の指先を絡め、周囲の生徒たちの視線を集める。
「見て、海斗兄ちゃん。あそこで図書委員の人が見てるよ? 資料室のこと、思い出さないかな……?」
「……やめろ、結衣。誰かに見られたら……」
海斗が焦って足早になろうとすると、スマホが震えた。
洋子からのメッセージだ。
『海斗、距離が離れすぎよ。結衣ちゃんの手、ちゃんと繋いであげなさい』
海斗は絶望的な顔で立ち止まり、結衣のしっとりと汗ばんだ柔らかな手を握りしめた。
全校生徒が憧れる「鉄壁の生徒会長」が、妹の鎖に繋がれた犬のように、校門をくぐっていく。
襟元で冷たく光る金属は、海斗にとって屈辱の証であると同時に、もう結衣なしでは生きていけないという、甘い呪縛そのものだった。
~第四章:体育の着替え、暴かれる銀の呪縛~
午後の体育の時間。男子更衣室は、授業を控えた生徒たちの喧騒と熱気に包まれていた。
海斗は周囲の目を避けるように更衣室の隅へ向かい、壁を背にして素早く着替えを済ませようとする。
しかし、首元のチョーカーが気になって指先が震え、ブラウスのボタンを外す手がもどかしい。
「……っ、早く、着替えないと……」
その時、背後からクラスメイトの男子たちがドカドカとやってきた
。
「おーい海斗! お前、今日なんか元気なくね? さっきの授業中もずっと首触ってたし」
「いや、なんでもない。ただの肩凝りだ……」
海斗は慌ててブラウスを脱ぎ捨て、体操着を被ろうとした。
だが、その一瞬の隙を、悪友の颯太は見逃さなかった。
「……待て。海斗、お前その首のやつ、何だよ?」
更衣室の空気が凍りついた。
海斗の白く引き締まった首筋に、場違いなほど淫靡な輝きを放つ銀のチョーカー。
そこに刻まれた「結衣」という文字までは見えないものの、その形状は明らかにファッションの枠を超えた「拘束具」を連想させた。
「え、生徒会長がチョーカー? マジかよ、意外と攻めてんな!」
「ちょっと見せろよ、それ」
颯太たちが面白がって海斗の首元に手を伸ばす。
海斗は絶望に顔を歪め、後ずさった。もし、これに触れられ、「結衣」の刻印が見つかれば。そして、これが妹とお揃いの「飼い犬の首輪」だと知られれば、自分の人生は終わる。
その時、更衣室の薄い壁を隔てた女子更衣室側から、コンコン、と控えめな、しかし力強いノックの音が響いた。
「……あの、お兄ちゃん? 忘れ物、届けに来たんだけど」
結衣の声だ。
更衣室中が静まり返る。結衣の声には、兄を助けに来た妹の健気さと、その実、獲物を追い詰める猟師のような冷徹さが混じっていた。
「……あ、如月さんの妹さんじゃん。海斗、お前忘れ物だってよ」
「助かったな、海斗。その変な首輪、妹に見られる前に隠しとけよ?」
冷やかしながら去っていく男子たち。
海斗は膝から崩れ落ちそうになりながら、更衣室の扉を少しだけ開けた。
そこには、自分と同じ銀のチョーカーを隠しもせず、むしろ誇らしげに首に巻いた結衣が、勝利の微笑みを浮かべて立っていた。
「……お兄ちゃん、大丈夫? 誰かに『私の名前』、見られちゃった?」
結衣は海斗の乱れた体操着の襟元に手を伸ばし、わざと指先でチョーカーをなぞった。
金属が擦れる音が、海斗の耳元で残酷に響く。
「……もう、私なしじゃ外も歩けないね。……放課後、生徒会室で待ってるから。もっと『深いところ』まで、お仕置きしてあげる」
海斗は何も言い返せなかった。
周囲の喧騒の中で、自分だけが妹の透明な鎖に繋がれ、引きずられていく。
恐怖と、それ以上の甘美な屈辱が、彼の理性を最後の一片まで溶かしていった。
ー放課後の生徒会室。西日が差し込み、室内を赤黒く染める中、海斗は机に手をつき、荒い息を吐いていた。ー
「……海斗兄ちゃん、こっち向いて?」
結衣の声に、海斗の肩がびくりと跳ねる。彼女は生徒会長の椅子に深く腰掛け、足を組んで兄を見下ろしていた。
結衣の指先には、海斗のチョーカーから伸びた、細く銀色に輝くチェーンが握られている。いつの間にか、洋子が用意した「リード」が装着されていた。
「……結衣、もう勘弁してくれ。学校でこんな……」
「ダメだよ。更衣室で私の名前をバラされそうになった『罰』、まだ受けてないでしょ?」
結衣がチェーンをぐいと引くと、海斗は喉元を締め上げられ、床に膝をついた。完璧だったはずの制服は乱れ、前髪の間から覗く瞳は、恐怖と屈辱、そして抗えない快楽で潤んでいる。
「ほら、お兄ちゃん。……『僕(しもべ)』なら、どうすればいいか分かってるよね?」
結衣は組んでいた足を解き、ローファーを脱ぎ捨てた。
白いソックスに包まれた足先を、膝をつく海斗の顎の下へと滑り込ませる。
「……っ」
海斗の視界に、結衣の足元が広がる。
資料室で自分が支配していたはずの妹が、今は絶対的な主人として自分を跪かせている。その事実に、海斗のプライドは粉々に砕け散った。
海斗は震える手で結衣の足首を掴み、吸い寄せられるようにその足先に顔を寄せた。
「……ごめんなさい、結衣。……俺は、お前の……」
「聞こえないよ? もっとはっきり言って」
結衣はわざと足の指先で海斗の唇をなぞり、彼の言葉を促す。
海斗は目を閉じ、銀のチョーカーに刻まれた「結衣」という重みを喉元に感じながら、ついに最後の一線を越えた。
「……俺は、結衣の犬です。……だから、見捨てないでくれ」
その瞬間、結衣は狂おしいほどの喜びを感じていた。
兄を自分なしではいられない廃人に変えていく全能感。結衣は海斗の髪を乱暴に、しかし愛おしそうにかき混ぜると、彼の耳元で優しく囁いた。
「よくできました、お兄ちゃん。……今夜は家でも、洋子さんと一緒にたっぷり可愛がってあげるね」
夕闇が二人を包み込み、生徒会室には、銀のチェーンが触れ合う冷たい音だけが響き続けていた。
~最終章:継承される鎖、あるいは終わりのない始まり~
数ヶ月後。海斗の高校卒業を祝う夕食会は、如月家のダイニングで静かに、けれど異様な熱を孕んで執り行われていた。
「海斗、卒業おめでとう。これであなたも、名目上は『自由な大人』ね」
母・洋子が、琥珀色のワインが揺れるグラスを掲げ、優雅に微笑む。その隣では、結衣が兄の顔をじっと見つめていた。海斗の首元には、あの日から一度も外されることのなかった銀のチョーカーが、皮膚の一部であるかのように馴染んでいる。
「……ありがとうございます、母さん」
海斗の声に、かつての鋭さはない。その瞳はどこか虚ろで、隣に座る結衣が少し動くだけで、期待と恐怖が混ざったように肩を震わせる。
「さて、卒業祝いに、私から特別なプレゼントがあるわ」
洋子がテーブルの上に置いたのは、古びた、しかし重厚な輝きを放つ一本の小さな鍵だった。
「それは、海斗のチョーカーを解錠できる唯一のマスターキー。そして、この如月家の『裏のルール』を司る者の証。……今日からこの鍵は、結衣ちゃん、あなたのものよ」
海斗が息を呑む。彼にとって、その鍵は自由への希望ではなく、自分を支配する主が「母」から「妹」へと完全に移行することを意味していた。
結衣は震える手でその鍵を手に取り、愛おしそうに頬に寄せた。そして、ゆっくりと立ち上がり、海斗の背後へ回る。
「お兄ちゃん。……今、鍵を開けてあげてもいいんだよ? 自由になりたいなら、そう言って」
結衣の細い指先が、海斗のうなじを優しくなぞる。海斗の心臓が、静かな部屋に響くほど激しく脈打った。自由になれる。この屈辱的な首輪から解放される。
しかし、海斗の口から出たのは、絶望的なまでに甘い「拒絶」だった。
「……嫌だ。外さないでくれ、結衣。……俺を、一人にしないでくれ」
海斗は椅子から滑り落ちるようにして床に膝をつき、結衣のスカートの裾を縋るように掴んだ。
洋子がそれを見て、満足そうにグラスを傾ける。
「ふふふ、合格ね。……結衣ちゃん、これからはあなたの好きなように。お兄ちゃんを、あなただけの『最高の人形』に育て上げてちょうだい」
結衣は海斗の顎を掬い上げ、自分を見上げさせた。
彼女の瞳には、かつての幼い妹の面影はない。如月家の新たな、そしてより残酷な女主人の輝きが宿っていた。
「分かったわ、洋子さん。……お兄ちゃん、もう二度と、その首輪は外さないから。死ぬまで、私の足元で跪いていてね」
結衣はマスターキーを自分のネックレスの中に仕舞い込み、海斗の唇に、血の味がするほど深い、契約のキスを刻んだ。
窓の外では、春の嵐が吹き荒れている。
けれど、この密室の中で結ばれた兄と妹の「血よりも濃い契約」は、決して誰にも壊されることはない。
それは、終わりのない支配と依存の、あまりにも美しく歪んだ「新たな始まり」だった。
【完結】
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しかし、この物語の核心は、単なる過去の告白にはありません。むしろ、その行為に「気づいていたはず」の母親が、なぜ一言も問い詰めず、誰にも告げず、ただ静かに見守り続けたのか——という問いにこそあります。そこには、親子という関係を超えた、深い人間理解と、言葉にされない優しさが横たわっています。
センシティブな題材を、露骨な描写や扇情的な表現に頼ることなく、あくまで颯真の内省的な視点から丁寧に紡ぎ出しています。読者は、主人公の痛みと恥ずかしさを共有しながら、同時に、彼を破綻から救った「沈黙の救済」の重みと温かさを感じ取ることでしょう。
これは、一つの過ちと、その赦しについての物語です。また、成長とは時に恥ずかしい過去を背負いながら、他者の無償の寛容さによって初めて前を向けるようになる過程であること、そして家族の愛が最も深く現れるのは、時に何も言わない瞬間であることを、静かにしかし確かに伝える物語です。
どうか、登場人物たちの静かなる心の襞に寄り添いながら、ページをめくってください。
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