【R18】犬猿の仲だと思っていた執着系ドラマーにペロッと食べられてしまった私の顛末

レイラ

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01 あいつ、浮気してるよ

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「あいつ、浮気してるよ」

 うまそうに煙草の煙を吸い込んで、そいつは佳菜子を嘲るように目を細めた。
 襟足が長めなウルフカット。黒みがかったカシスレッドの髪を気怠げにかき上げる様は、そこいらの女を安易に沼に引きずり込んでしまいそうな程の色気を放っている。

 だがそれを鼻で笑い、佳菜子は男を視界から外した。
 狭い楽屋での喫煙はマナー違反以外の何物でもない。

「……だから? もしそうだったとして、あんたに関係ある?」

 佳菜子はこの男が嫌いだ。
 なにかと佳菜子に突っかかってくるこの男が。

「はっ。言っただろ。なにかあったら慰めてやるってさ」

 ふぅ、と長く煙を吐き出して、煙草を携帯灰皿へ押しつけた。佳菜子をバカにしたような視線が気に食わない。何か言ってやろうと口を開けかけたとき、楽屋の扉が勢いよく開いた。

「佳菜ちゃんここにいた! これから打ち上げだって! 佳菜ちゃんも行くでしょ? なんか大勢になるみたい」
「っ、恭ちゃん」

 柔らかそうな明るい茶髪が飛び込んできて、佳菜子の視界が彼でいっぱいになる。興奮したように一気に話し、整った顔立ちでにこにこと笑いかけられたから、佳菜子は笑顔を張り付けた。
 人懐っこく甘え上手で、丸くて大きな瞳が柴犬を彷彿とさせる恭弥は、付き合ってまだ三ヶ月ほどの佳菜子の彼氏だ。

「うん、でも明日早いから、一軒だけにしようかな」
「そっかぁ。なら、今日そのままどっか泊まるね。明日家行っていい?」
「……うん、鍵持ってるでしょ。仕事遅くなるかもしれないから、待ってて」

 外泊と聞き、一瞬答えに詰まってしまった。あいつのせいだ。あいつが、恭弥が浮気しているだなんて言うから。
 だが恭弥はそんな佳菜子に背を向けて、ご機嫌にその人物へ声を掛けている。

「アヤさんは? 聞く前に行くって返事しちゃったけど、大丈夫そ?」
「……ああ。なら俺も、一軒だけ。せっかくだし」

 佳菜子に冷たい視線を向けながら、アヤと呼ばれた男──綾斗は、薄く笑った。

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