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怨呪
妖雲堂
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石牙村の任務が終わって、普段生活するために使わせてもらっている寮、妖雲堂。歩くだけで私と同じ隊服を着ている人とすれ違うほど人口は多い。隊服は男女で分かれているけど。
それでも、今は当初よりだいぶ減ってしまったらしい。みんな、怨呪との戦闘で殺されてしまった。
今、過去のことを考えても意味なんてないんだけどね。ひとまず、私も強くならないといけない。そのために、妖雲堂にある訓練室で体を鍛えないと。
まず白い寝間着から妖殺隊専用の軍服に着替えよう。一番動きやすいし。
白いワイシャツの上に深緑色のブレザー、同じ色のスカートっと。腰には白色のホルスターを付けて準備万端。
部屋の壁側にある鏡の前に移動し、服装と髪のチェック。だって、女の子だもん。変な髪型だったら恥ずかしいしね。訓練するとすぐに乱れるけど……。
髪は黒いストレートで長さは腰あたりなんだけど、長すぎるから最近お風呂がめんどくさい。
あ、女が言ってはいけない事を言った気がする。今のナシナシ。
「準備できたし、行こうかな」
部屋から出れば左右に広がる長い廊下。この寮はとにかく広い。
木製の壁や床。上の壁には蝋燭が立てられている。夜になったら自分たちで必要なところのみ火を点ける形だ。
そんな廊下を歩いていると、大広場にたどり着く。
大広場と呼ばれているだけあって、面積が広い。
中央には二階に続く大きな階段。手すりがしっかりと付けられているから少し安心。
階段の下は、この寮の出入口。両開きの扉が備え付けられ、鍵まである。結構お金をかけたのかな。
私が来た方向は玄関から見て右側。他に、左側にも廊下は続き、そっちは男性隊員の部屋が続いている。
二階も男性隊員の部屋なんだけど、階段の左右にも二つ部屋がある。
左側は今から向かおうとしている訓練所。もう片方は、様々な武器がしまわれている武器庫だ。
隊員によって、武器にも合う合わないがあるから色んな国から様々な武器を調達していると先輩方が言っていたなぁ。私も見てみたけど、なんか……すごかった。
名前すら分からない武器とかもあったし。使っている人とかいるのかな。まぁ、今はどうでもいいね。
一先ず目的地である訓練場に向かおうか。
片開きのドアを開け中に入ると、すごく暑い空間に…………。え、暑すぎるんだけど。ここはサウナか何か? 死ぬ。
訓練場と呼ばれているし広さ的には学校の体育館くらいの広さはある。
奥の壁は窓ガラスになっているから壁側には開ければ外の空気を入れ込むことが出来る。
まぁ、森の中に建てられている寮だから風と共に虫まで入ってくるけどそればっかりは仕方がない。自然豊かで気持ちがいいし。
ガラスを開けて、壁側に立てかけられている竹刀。その横の壁には、黒と白の的がくっ付いている。刀と銃の練習ができるからいいよねここ。
「さて。今日は銃の練習をしようか」
暑いから上着を脱いで、ワイシャツの袖をめくるか。汗が出て気持ち悪いし。
訓練の準備はできた。腰に巻いているホルスターから弾の入っていない小型拳銃を取り出す。
うーん。手に馴染まないなぁ……。
的が付いている壁の反対側に立ち、右手に持っている拳銃のグリップを両手で持つ。
「ふぅ」
気持ちを落ち着かせるために目を閉じ集中。息を一定の間隔で吸い、吐く。
運、落ち着いてきた。これなら…………。
目を開け、両手で握っている小型拳銃を胸元まで上げる。足を肩幅に広げ、両手を前に。
銃口を前方にかけられている、黒と白の丸い的へと向けて、人差し指を引き金に添え――……
――――バン
「あっ」
──ガシャン
噓やん。的がある右上の何も無い壁に当たって砕けちゃった。それに、私の放つ弾は一般的な弾じゃなくて氷の礫。床にコロンと転がってる。あぁ、いつもより厚いからかな。溶けるの早いなぁ。
「やっぱりダメか」
はぁ……。私はこうも拳銃が苦手なのに、もう一人の私は拳銃を結構使っているみたいなんだよなぁ。
あ、でも最近は刀も使っているのかな。
私は使っていないはずなのに、刀が赤く染っていたりするし。確実に使ってるよなぁ。前回も赤くなってたし……。
手入れは私がしてるのにさ!!!
「はぁ」
「ふふっ。くっ。ぷぷっ」
「なっ!?」
なぜかドアから笑い声が──納得したわ。
お腹を抱えて笑っているのは私の先輩、樹里彰一だ。よし、殺す。
「お前、ほんと銃苦手だよなぁ」
「見てんじゃないわよ!!」
ガツン!!
「いってぇ!!!」
よし。弾じゃ外すから拳銃そのものを投げてやったぜ。見事彰一の額へとクリンヒット。もしかして、そのまま投げた方が命中率あるんじゃない?
うずくまって頭を支えている彰一はほっといて、衝動的に投げてしまった拳銃は大丈夫かな。あ、良かった。どこも壊れてない。良かった。青く光り輝いている。まるで、今目の前で頭を支えている男を撃ち抜けと訴えているようだ。
「お前、僕は先輩だぞ!」
しゃがみながら私を恨めしそうな目で見上げてもさぁ、正直知らん。確実にそっちが悪いもん。
「知らないわよそんなの。大体、私は中級、貴方は上級。一つしか違わないじゃない。特級でもないのに偉そうに言わないでくれない?!」
指を差し、頭を支えながら静かに立ち上がる彰一にそう言い放つ。
あれ、そう言えば彰一の服装。今日は任務だったのか軍服着てるし、少し赤く染ってるね。
なるほど、任務の後か。
「お風呂入ってくれば?」
「へいへい」
そう言って、彰一は訓練場の扉を潜り閉めようとした──その瞬間、私はある人物を見逃さなかった。見逃せるわけが無い!!
両手でガシッとドアを掴んで、勢いよく無理やり扉を開けた。
彰一が「おわっ」と体のバランスを崩したのなんて知らない。だって、廊下に立っている人は───
「雪那さん!! お疲れ様です」
「あぁ? なんだお前か。よぉ」
赤鬼雪那。この人は特級クラスの銃使いだ。
ちなみに、この妖殺隊には四つの階級がある。
入ったばかりや実力が低い人は下級。
怨呪を五十体以上倒した人、実力がある者は中級。
怨呪を三百体以上倒した人は上級。
怨呪を千体以上倒すことが出来たら特級になることが出来るのだ。
他にも、特別枠として妖裁級が存在する。
この枠には何千の隊士がいる中で、今のところ十人しかいない。
妖裁級になるための条件は不明。この妖殺隊を作った主が認めた者だけが、妖裁級になることが出来るという噂を聞いた聞いたことがある。本当かどうかは知らないけど。
先程私が元気に挨拶した銃使いの雪那さんは、特級の中で一番妖裁級に近い男とも呼ばれている人だ。
雪那さんは、赤い髪を立ち上げおでこを出している。
それだけでもかっこいいのに、周りの人と同じ隊服なのだが着方も工夫していた。
ワイシャツはズボンから出して、ボタンを三つ開けているため、鍛え抜かれた筋肉がチラ見えしている。見えそうで見えないのがたまらん!
ブレザーは前が全開で、足元は周りの人と同じ革靴。
うん、すごくかっこいい。
それに比べて彰一の見た目は、ストレートの黒髪に黒目。そして、隊服も周りの人と同じ……ではなく、ボタンは少し開けている。二つくらいかな。鍛えてるから筋肉があるのは分かるけど雪那さん程じゃない。普通の隊士だ。
「────ふっ」
「何僕見て笑ってんだてめぇ」
「いたたたたたた!!! ごめんってば!!」
頭を鷲掴みにしないでよ!! 頭からギリギリという鳴ってはいけない音が聞こえるよすごく痛い。
握力は誰よりも自信があると公言しているだけあって、片手だけでも頭が握り潰されるかと思った。女性の頭をどう思ってるのよ。
「おい彰一。風呂いくぞ」
「あ、はい」
二人はそのままお風呂場へと行ってしまった。
「……雪那さんに出会えて幸せ」
それでも、今は当初よりだいぶ減ってしまったらしい。みんな、怨呪との戦闘で殺されてしまった。
今、過去のことを考えても意味なんてないんだけどね。ひとまず、私も強くならないといけない。そのために、妖雲堂にある訓練室で体を鍛えないと。
まず白い寝間着から妖殺隊専用の軍服に着替えよう。一番動きやすいし。
白いワイシャツの上に深緑色のブレザー、同じ色のスカートっと。腰には白色のホルスターを付けて準備万端。
部屋の壁側にある鏡の前に移動し、服装と髪のチェック。だって、女の子だもん。変な髪型だったら恥ずかしいしね。訓練するとすぐに乱れるけど……。
髪は黒いストレートで長さは腰あたりなんだけど、長すぎるから最近お風呂がめんどくさい。
あ、女が言ってはいけない事を言った気がする。今のナシナシ。
「準備できたし、行こうかな」
部屋から出れば左右に広がる長い廊下。この寮はとにかく広い。
木製の壁や床。上の壁には蝋燭が立てられている。夜になったら自分たちで必要なところのみ火を点ける形だ。
そんな廊下を歩いていると、大広場にたどり着く。
大広場と呼ばれているだけあって、面積が広い。
中央には二階に続く大きな階段。手すりがしっかりと付けられているから少し安心。
階段の下は、この寮の出入口。両開きの扉が備え付けられ、鍵まである。結構お金をかけたのかな。
私が来た方向は玄関から見て右側。他に、左側にも廊下は続き、そっちは男性隊員の部屋が続いている。
二階も男性隊員の部屋なんだけど、階段の左右にも二つ部屋がある。
左側は今から向かおうとしている訓練所。もう片方は、様々な武器がしまわれている武器庫だ。
隊員によって、武器にも合う合わないがあるから色んな国から様々な武器を調達していると先輩方が言っていたなぁ。私も見てみたけど、なんか……すごかった。
名前すら分からない武器とかもあったし。使っている人とかいるのかな。まぁ、今はどうでもいいね。
一先ず目的地である訓練場に向かおうか。
片開きのドアを開け中に入ると、すごく暑い空間に…………。え、暑すぎるんだけど。ここはサウナか何か? 死ぬ。
訓練場と呼ばれているし広さ的には学校の体育館くらいの広さはある。
奥の壁は窓ガラスになっているから壁側には開ければ外の空気を入れ込むことが出来る。
まぁ、森の中に建てられている寮だから風と共に虫まで入ってくるけどそればっかりは仕方がない。自然豊かで気持ちがいいし。
ガラスを開けて、壁側に立てかけられている竹刀。その横の壁には、黒と白の的がくっ付いている。刀と銃の練習ができるからいいよねここ。
「さて。今日は銃の練習をしようか」
暑いから上着を脱いで、ワイシャツの袖をめくるか。汗が出て気持ち悪いし。
訓練の準備はできた。腰に巻いているホルスターから弾の入っていない小型拳銃を取り出す。
うーん。手に馴染まないなぁ……。
的が付いている壁の反対側に立ち、右手に持っている拳銃のグリップを両手で持つ。
「ふぅ」
気持ちを落ち着かせるために目を閉じ集中。息を一定の間隔で吸い、吐く。
運、落ち着いてきた。これなら…………。
目を開け、両手で握っている小型拳銃を胸元まで上げる。足を肩幅に広げ、両手を前に。
銃口を前方にかけられている、黒と白の丸い的へと向けて、人差し指を引き金に添え――……
――――バン
「あっ」
──ガシャン
噓やん。的がある右上の何も無い壁に当たって砕けちゃった。それに、私の放つ弾は一般的な弾じゃなくて氷の礫。床にコロンと転がってる。あぁ、いつもより厚いからかな。溶けるの早いなぁ。
「やっぱりダメか」
はぁ……。私はこうも拳銃が苦手なのに、もう一人の私は拳銃を結構使っているみたいなんだよなぁ。
あ、でも最近は刀も使っているのかな。
私は使っていないはずなのに、刀が赤く染っていたりするし。確実に使ってるよなぁ。前回も赤くなってたし……。
手入れは私がしてるのにさ!!!
「はぁ」
「ふふっ。くっ。ぷぷっ」
「なっ!?」
なぜかドアから笑い声が──納得したわ。
お腹を抱えて笑っているのは私の先輩、樹里彰一だ。よし、殺す。
「お前、ほんと銃苦手だよなぁ」
「見てんじゃないわよ!!」
ガツン!!
「いってぇ!!!」
よし。弾じゃ外すから拳銃そのものを投げてやったぜ。見事彰一の額へとクリンヒット。もしかして、そのまま投げた方が命中率あるんじゃない?
うずくまって頭を支えている彰一はほっといて、衝動的に投げてしまった拳銃は大丈夫かな。あ、良かった。どこも壊れてない。良かった。青く光り輝いている。まるで、今目の前で頭を支えている男を撃ち抜けと訴えているようだ。
「お前、僕は先輩だぞ!」
しゃがみながら私を恨めしそうな目で見上げてもさぁ、正直知らん。確実にそっちが悪いもん。
「知らないわよそんなの。大体、私は中級、貴方は上級。一つしか違わないじゃない。特級でもないのに偉そうに言わないでくれない?!」
指を差し、頭を支えながら静かに立ち上がる彰一にそう言い放つ。
あれ、そう言えば彰一の服装。今日は任務だったのか軍服着てるし、少し赤く染ってるね。
なるほど、任務の後か。
「お風呂入ってくれば?」
「へいへい」
そう言って、彰一は訓練場の扉を潜り閉めようとした──その瞬間、私はある人物を見逃さなかった。見逃せるわけが無い!!
両手でガシッとドアを掴んで、勢いよく無理やり扉を開けた。
彰一が「おわっ」と体のバランスを崩したのなんて知らない。だって、廊下に立っている人は───
「雪那さん!! お疲れ様です」
「あぁ? なんだお前か。よぉ」
赤鬼雪那。この人は特級クラスの銃使いだ。
ちなみに、この妖殺隊には四つの階級がある。
入ったばかりや実力が低い人は下級。
怨呪を五十体以上倒した人、実力がある者は中級。
怨呪を三百体以上倒した人は上級。
怨呪を千体以上倒すことが出来たら特級になることが出来るのだ。
他にも、特別枠として妖裁級が存在する。
この枠には何千の隊士がいる中で、今のところ十人しかいない。
妖裁級になるための条件は不明。この妖殺隊を作った主が認めた者だけが、妖裁級になることが出来るという噂を聞いた聞いたことがある。本当かどうかは知らないけど。
先程私が元気に挨拶した銃使いの雪那さんは、特級の中で一番妖裁級に近い男とも呼ばれている人だ。
雪那さんは、赤い髪を立ち上げおでこを出している。
それだけでもかっこいいのに、周りの人と同じ隊服なのだが着方も工夫していた。
ワイシャツはズボンから出して、ボタンを三つ開けているため、鍛え抜かれた筋肉がチラ見えしている。見えそうで見えないのがたまらん!
ブレザーは前が全開で、足元は周りの人と同じ革靴。
うん、すごくかっこいい。
それに比べて彰一の見た目は、ストレートの黒髪に黒目。そして、隊服も周りの人と同じ……ではなく、ボタンは少し開けている。二つくらいかな。鍛えてるから筋肉があるのは分かるけど雪那さん程じゃない。普通の隊士だ。
「────ふっ」
「何僕見て笑ってんだてめぇ」
「いたたたたたた!!! ごめんってば!!」
頭を鷲掴みにしないでよ!! 頭からギリギリという鳴ってはいけない音が聞こえるよすごく痛い。
握力は誰よりも自信があると公言しているだけあって、片手だけでも頭が握り潰されるかと思った。女性の頭をどう思ってるのよ。
「おい彰一。風呂いくぞ」
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二人はそのままお風呂場へと行ってしまった。
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