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死絡村
恐怖
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井戸の底に辿り着き、ポチャンと足音を鳴らす。
地面には薄く水が張っているみたい。
月光が底まで届いていないから周りが真っ暗で、近くにいるはずの琴平すら確認出来ない。
いや、マジで怖い。マジで怖い!!! 琴平どこだぁぁあああ!!!!
「優夏、雷火を出して貰えると助かる」
「あ、そっか」
暗闇から聞こえる琴平の声。
姿は見えないけど安心出来る声だから、気持ちが落ち着いた。
「雷火、お願い」
小鳥くらいの雷火を出し、辺りを明るくする。
おうふ。思っていたより近くに琴平が居たよ、びっくりした。
闇命君も暗闇から解放されたため、半透明になり周りを見回している。
薄暗い中の水音って、なんでこんなに恐怖心を煽って来るんだろう。しかも、寒いし。
お化けとか出たらどうしよう。
あ、でも俺達は陰陽師だから特に問題は無いか。対処法とか何かしらあるだろう。
『あ』
「え?」
闇命君、何か見つけたのか?
琴平も闇命君の声で移動し、俺もその後ろを付いて行く。
「あれ、道が続いてる?」
なぜか井戸の底には道があり、どこかに繋がってる。奥を見通そうとしても、雷火にも限界があるから奥までは見えない。
闇が広がっていて、普通に怖い。
体を震わせていると、闇命君がどかどかと先に進もうと歩き出してしまう。
いや、待ってよ!!
「お待ちください闇命様。この先、何があるか分かりません。俺が先行します」
『仮に何かあったとして、半透明で実態がない僕と、実態のある琴平。食らった場合、どちらが危ない目に遭うかなんて赤ん坊でもわかるよね?』
「しかし──」
『なに。僕を信用してないの?』
「そんな事ありません。ですが──」
『安心してよ。どうせ、今の僕には実物は当たらない。何かが吹っ飛んできても、僕の体をすり抜け、後ろを歩いている人に当たる』
「…………分かりました」
琴平はまだ何か言いたそうにしているけど、これ以上何を言っても意味は無いと悟ったのか肩を落とし、小さく頷いてた。ドンマイ。
とりあえず、俺は後ろなのかなぁ。後ろも充分怖いけど……。
三人で暗闇の中を進むと、徐々に底に溜まっていた水が無くなり歩きやすくなってきた。
それでも、空気がジメジメしている。
上から雫が落ちたり、冷たい風が吹いていたりと。不気味な空間は続く。
雷火の光を頼りに無言のまま進んでいると、闇命君と琴平がいきなり立ち止まった。
な、なんだ?
『今すぐ雷火を消して』
「……へ?」
『早く』
「わ、わかったよ」
言われた通り雷火を御札に戻した。
唯一の光源を消したから、またしても周りは暗くなり、足元すら見えない。
「どうしっ──」
『黙れ』
「ウィッス」
な、なんだよ。教えてくれよ……。
「先に入っていた人達がいるんだ。気づかれたらめんどくさい」
「あ、なるほど」
ここまで一本道、ぶつかるのは仕方がないとは思うけど、出来る事なら会わずに済みたい。
音を鳴らさないように気をつけていると、人の気配が無くなった。
二人は息を吐き、肩に入っていた力を抜く。
「ここからは雷火は出せませんね」
『光で気づかれる可能性しね、仕方がない』
「え、でも危ないんじゃ……」
足元すら見えないぞ。なんの光源もないなんて無理だろ。
『百目を使って』
「え、なんで?」
『早く』
「はい」
俺だけ置いてけぼり……悲しい。
言われた通りにしないと闇命君が怖いから出すけどさ、あのイケメンをな!!!!
素直に百目の御札をすそから取り出して、力を込めイケメンを出した。
『…………主の仰せのままに』
『前は悪かったよ、体は大丈夫だった?』
『問題ありません。主が無事で何よりです』
『百目もね』
へぇ、闇命君もそんな事も言えるんだ。
やっぱり、自身の式神は大事にしているって事だね。
…………って、前回百目が敗れたのって俺のせいだよね?!
「百目……俺……、ごめんなさい」
『主を守るのが私の役目なので。お気になさらず』
情けない俺にも主って言ってくれるのね。本当に優しいなぁ。
『早く行こう。百目、前にいる二人を追跡し、達を誘導して』
『仰せのままに』
百目が前に出て、隠していた瞳を露わにする。
『全ては我の視覚の中に』
赤色の瞳が露わになった百目が俺達の目となり、前へと進む。
「…………分かれ道?」
『どっちに行ったの?』
『右側ですね』
前方の二人を追跡していた百目が呟き、歩き進める。
めっちゃ楽、考えなくていい。
有能過ぎない? 百目、すごい。
『止まってください』
おっと。もしかして、前の人が立ち止まったか?
耳を澄ませてみると、男性同士の話し声が聞こえてきた。
『なっ、なんで』
『おいおい、なんでだよ。なんで、件が死んでんだよ』
え、件が死んだ?
琴平と闇命君も目を開き驚いている。
すぐに足音などを気にせず走り出しちゃった。
百目も続き、走り出した!? ま、待ってよ!!
あ、どんどん道が広くなっていく。
すると、開けた場所へと辿り着いた。
そこには、膝を着いている男性二人の姿。その前には、件が舌を出し、絶命していた。
※
井戸から外に出ると、月明かりが俺達を照らす。
今まで全く光源が無い場所にいたから、淡い光でも眩しく感じてしまうな。
雲が漂う夜空を見上げていると、琴平と百目によって引き上げられている男性二人が地面に倒れ込む。
なぜか体を震わせ、怯えた表情を浮かべていた。
確かに、件の死体を見たんだ。怯えるのは仕方が無いし、俺も正直気持ち悪かった。
でも、ここまで怯えるか?
今の二人は尋常じゃない。
体を震わせ、自身の体を抱きしめている。
顔はものすごく青く、目は大きく見開かれ冷や汗を流していた。
異常なほど怯えているから、質問したくても出来ない。
『ねぇ。怯えてないで何があったか詳しく説明してくれる? あそこで何をしようとしてたの』
おうふ。二人の様子なんて一切気にせず、闇命君が二人に近づき、遠慮なく質問をぶつけた。
「お、俺達は知らない。何も、知らない。俺達は、殺してない」
「そうだ。俺達は殺してない。何もやってない」
『何をやっていたかを聞いているんだけど。誰が殺したとか聞いてない。日本語通じてる? 頭大丈夫? ちゃんと質問に答えてよ』
いつも通りの闇命君で安心したよ。
ウザさがそのまま継続されていて。
「お、俺達は予言を、してもらおうと思ったんだ」
『何を?』
「色々だ。色々……」
震えた声で質問に答える男性達。
闇命君は二人を見下ろし、質問を続けている。本当に他人の心境なんて興味無いんだなぁ。
『その色々を聞いているんだけど。やっぱり日本語が通じないわけ? あぁ、もしかして耳が聞こえてないの? だから答えられないのか』
「…………俺達は何もしてないんだ!! ただ、予言してもらって、俺は──」
一人の男性が声を荒らげそうになるが、直ぐに閉ざしてしまう。もう一人も体を震わせるだけで何も言わない。
これ以上聞いても意味は無いと思った闇命君は、呆れたように息を吐き、後ろで眺めていた俺達に近づいてきた。
『とりあえず、落ち着くのを待つしかないね。今は何を聞いても意味は無い』
「そうみたいですね」
その後は俺達が借りた宿屋に連れていき、朝日が昇るのを待った。
────って、あ、あれ? そういえば雨燕さんって?
※
死絡村の外に広がる森の中。その中には、一人の男性が歩いていた。
カサカサと草木を鳴らし、どんどん奥へと歩いていく。
その人は、優夏達と共に村へと来た陰陽助である、貛雨燕《まみこじろう》。
月光すら届かず、闇の中をひたすら進んでいる。
何かを探すように辺りに目線を向け、近くに立っている木に手を添えた。
「…………この樹木。微かだが気配が残っている。数分前まで居たらしいな」
木の上を見上げ、険しい顔を浮かべた。
「そう簡単に見つからんな」
諦めたように息を吐き、その場から離れた。
「必ず見つけてやるぞ。安倍家を陥れようとした事を、後悔させてやろう。蘆屋道満よ」
憎しみの込められた声が、森の中を吹く風の音に消され、誰の耳にも届かなかった。
地面には薄く水が張っているみたい。
月光が底まで届いていないから周りが真っ暗で、近くにいるはずの琴平すら確認出来ない。
いや、マジで怖い。マジで怖い!!! 琴平どこだぁぁあああ!!!!
「優夏、雷火を出して貰えると助かる」
「あ、そっか」
暗闇から聞こえる琴平の声。
姿は見えないけど安心出来る声だから、気持ちが落ち着いた。
「雷火、お願い」
小鳥くらいの雷火を出し、辺りを明るくする。
おうふ。思っていたより近くに琴平が居たよ、びっくりした。
闇命君も暗闇から解放されたため、半透明になり周りを見回している。
薄暗い中の水音って、なんでこんなに恐怖心を煽って来るんだろう。しかも、寒いし。
お化けとか出たらどうしよう。
あ、でも俺達は陰陽師だから特に問題は無いか。対処法とか何かしらあるだろう。
『あ』
「え?」
闇命君、何か見つけたのか?
琴平も闇命君の声で移動し、俺もその後ろを付いて行く。
「あれ、道が続いてる?」
なぜか井戸の底には道があり、どこかに繋がってる。奥を見通そうとしても、雷火にも限界があるから奥までは見えない。
闇が広がっていて、普通に怖い。
体を震わせていると、闇命君がどかどかと先に進もうと歩き出してしまう。
いや、待ってよ!!
「お待ちください闇命様。この先、何があるか分かりません。俺が先行します」
『仮に何かあったとして、半透明で実態がない僕と、実態のある琴平。食らった場合、どちらが危ない目に遭うかなんて赤ん坊でもわかるよね?』
「しかし──」
『なに。僕を信用してないの?』
「そんな事ありません。ですが──」
『安心してよ。どうせ、今の僕には実物は当たらない。何かが吹っ飛んできても、僕の体をすり抜け、後ろを歩いている人に当たる』
「…………分かりました」
琴平はまだ何か言いたそうにしているけど、これ以上何を言っても意味は無いと悟ったのか肩を落とし、小さく頷いてた。ドンマイ。
とりあえず、俺は後ろなのかなぁ。後ろも充分怖いけど……。
三人で暗闇の中を進むと、徐々に底に溜まっていた水が無くなり歩きやすくなってきた。
それでも、空気がジメジメしている。
上から雫が落ちたり、冷たい風が吹いていたりと。不気味な空間は続く。
雷火の光を頼りに無言のまま進んでいると、闇命君と琴平がいきなり立ち止まった。
な、なんだ?
『今すぐ雷火を消して』
「……へ?」
『早く』
「わ、わかったよ」
言われた通り雷火を御札に戻した。
唯一の光源を消したから、またしても周りは暗くなり、足元すら見えない。
「どうしっ──」
『黙れ』
「ウィッス」
な、なんだよ。教えてくれよ……。
「先に入っていた人達がいるんだ。気づかれたらめんどくさい」
「あ、なるほど」
ここまで一本道、ぶつかるのは仕方がないとは思うけど、出来る事なら会わずに済みたい。
音を鳴らさないように気をつけていると、人の気配が無くなった。
二人は息を吐き、肩に入っていた力を抜く。
「ここからは雷火は出せませんね」
『光で気づかれる可能性しね、仕方がない』
「え、でも危ないんじゃ……」
足元すら見えないぞ。なんの光源もないなんて無理だろ。
『百目を使って』
「え、なんで?」
『早く』
「はい」
俺だけ置いてけぼり……悲しい。
言われた通りにしないと闇命君が怖いから出すけどさ、あのイケメンをな!!!!
素直に百目の御札をすそから取り出して、力を込めイケメンを出した。
『…………主の仰せのままに』
『前は悪かったよ、体は大丈夫だった?』
『問題ありません。主が無事で何よりです』
『百目もね』
へぇ、闇命君もそんな事も言えるんだ。
やっぱり、自身の式神は大事にしているって事だね。
…………って、前回百目が敗れたのって俺のせいだよね?!
「百目……俺……、ごめんなさい」
『主を守るのが私の役目なので。お気になさらず』
情けない俺にも主って言ってくれるのね。本当に優しいなぁ。
『早く行こう。百目、前にいる二人を追跡し、達を誘導して』
『仰せのままに』
百目が前に出て、隠していた瞳を露わにする。
『全ては我の視覚の中に』
赤色の瞳が露わになった百目が俺達の目となり、前へと進む。
「…………分かれ道?」
『どっちに行ったの?』
『右側ですね』
前方の二人を追跡していた百目が呟き、歩き進める。
めっちゃ楽、考えなくていい。
有能過ぎない? 百目、すごい。
『止まってください』
おっと。もしかして、前の人が立ち止まったか?
耳を澄ませてみると、男性同士の話し声が聞こえてきた。
『なっ、なんで』
『おいおい、なんでだよ。なんで、件が死んでんだよ』
え、件が死んだ?
琴平と闇命君も目を開き驚いている。
すぐに足音などを気にせず走り出しちゃった。
百目も続き、走り出した!? ま、待ってよ!!
あ、どんどん道が広くなっていく。
すると、開けた場所へと辿り着いた。
そこには、膝を着いている男性二人の姿。その前には、件が舌を出し、絶命していた。
※
井戸から外に出ると、月明かりが俺達を照らす。
今まで全く光源が無い場所にいたから、淡い光でも眩しく感じてしまうな。
雲が漂う夜空を見上げていると、琴平と百目によって引き上げられている男性二人が地面に倒れ込む。
なぜか体を震わせ、怯えた表情を浮かべていた。
確かに、件の死体を見たんだ。怯えるのは仕方が無いし、俺も正直気持ち悪かった。
でも、ここまで怯えるか?
今の二人は尋常じゃない。
体を震わせ、自身の体を抱きしめている。
顔はものすごく青く、目は大きく見開かれ冷や汗を流していた。
異常なほど怯えているから、質問したくても出来ない。
『ねぇ。怯えてないで何があったか詳しく説明してくれる? あそこで何をしようとしてたの』
おうふ。二人の様子なんて一切気にせず、闇命君が二人に近づき、遠慮なく質問をぶつけた。
「お、俺達は知らない。何も、知らない。俺達は、殺してない」
「そうだ。俺達は殺してない。何もやってない」
『何をやっていたかを聞いているんだけど。誰が殺したとか聞いてない。日本語通じてる? 頭大丈夫? ちゃんと質問に答えてよ』
いつも通りの闇命君で安心したよ。
ウザさがそのまま継続されていて。
「お、俺達は予言を、してもらおうと思ったんだ」
『何を?』
「色々だ。色々……」
震えた声で質問に答える男性達。
闇命君は二人を見下ろし、質問を続けている。本当に他人の心境なんて興味無いんだなぁ。
『その色々を聞いているんだけど。やっぱり日本語が通じないわけ? あぁ、もしかして耳が聞こえてないの? だから答えられないのか』
「…………俺達は何もしてないんだ!! ただ、予言してもらって、俺は──」
一人の男性が声を荒らげそうになるが、直ぐに閉ざしてしまう。もう一人も体を震わせるだけで何も言わない。
これ以上聞いても意味は無いと思った闇命君は、呆れたように息を吐き、後ろで眺めていた俺達に近づいてきた。
『とりあえず、落ち着くのを待つしかないね。今は何を聞いても意味は無い』
「そうみたいですね」
その後は俺達が借りた宿屋に連れていき、朝日が昇るのを待った。
────って、あ、あれ? そういえば雨燕さんって?
※
死絡村の外に広がる森の中。その中には、一人の男性が歩いていた。
カサカサと草木を鳴らし、どんどん奥へと歩いていく。
その人は、優夏達と共に村へと来た陰陽助である、貛雨燕《まみこじろう》。
月光すら届かず、闇の中をひたすら進んでいる。
何かを探すように辺りに目線を向け、近くに立っている木に手を添えた。
「…………この樹木。微かだが気配が残っている。数分前まで居たらしいな」
木の上を見上げ、険しい顔を浮かべた。
「そう簡単に見つからんな」
諦めたように息を吐き、その場から離れた。
「必ず見つけてやるぞ。安倍家を陥れようとした事を、後悔させてやろう。蘆屋道満よ」
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