憑依転生した先はクソ生意気な安倍晴明の子孫

桜桃-サクランボ-

文字の大きさ
53 / 246
安倍晴明

十二神

しおりを挟む
 ────いや、出来ないでいつものように諦める訳にはいかない。
 今は、諦めればすべてが丸く収まる事態じゃない。

「んっ……」
『っ、優夏!!』

 やっと目を覚ましたっ……か?

 ────ゾクッ!!

『………ぇ』

 ち、違う。優夏じゃない。
 誰だ。なんで、僕の体に優夏以外の奴がいる。

 目を覚ました僕の瞳は、いつもの柑子色こうじいろではなく、漆黒。
 周りを見回しながら、ゆっくりと上半身を起こした。

 っ、な、笑いかけて、きた? 

『今回の危機は、そう簡単に抜けられそうにないですね。力をお貸しましょう』

 僕の声とは思えないほど通る、優しい声。
 も、僕の手とは思えない程温かい。

『少し、君の法力を借りますよ。大丈夫、君の体に影響はありません。もう一人にもね』

 その場から立ち上がり、漆黒の瞳をセイヤと道満、雨燕に向ける。

 笑みを浮かべているため優しい印象を与えるけど、その奥に潜む殺気──いや、殺気では無い。

 この、肌を撫でるような感覚。舐めまわしているようで気持ち悪い。

 その視線に名前を付けるとしたら、哀れみ、だろうな。絶対に向けられたくない。

『西方を守護する者よ、主の名において、今ここで神の力を見せよ。東西南北の四つの方位を司る神獣──名を白虎。急急如律令』

 え、白虎? なんで、白虎を扱えるの?
 
 っ、暗雲が漂い始めた。
 辺りが暗くなって雷の音が響き、風が吹き荒れ始める。

 何かが来る。今まで感じた事の無いが。体にビシビシと突き刺さる。

『さぁ、神の裁きを受けなさい。蘆屋道満』
「き、さま!! まだこの世をさまよっていたのか、!!!!」

 道満が叫んだ瞬間、神々しい鳴き声が辺りに響き渡る。

 それと共に、空を駆け回る一つの白い光──あれが、西方を守る神獣、白虎か!!!

「あれが、かつて安倍晴明のみが使役出来た十二神のうちの一体、疾病喪と恐れられた神獣、白虎」

 駆け回っている白い虎。
 空中から地上へ降り、安倍晴明と呼ばれた僕の体付近に着地した。

 神なだけあって、白い毛並みは輝き。赤く光っている瞳は鋭く、見られただけで足がすくんでしまう。

 爪は鋭く、口から覗き見える牙は、ひと噛みされただけで即死するんじゃないかと思ってしまうほどだ。

 この場から動く事が許されない。そんな空気が漂っている。
 そんな中、晴明は先程と変わらない優しい微笑みを浮かべながら、道満を見続けていた。

『道満、自身のの体を借りて、何をしているのですか? やりすぎだと思います。もう、やめませんか? これ以上、我々の因縁に子孫を巻き込むのは──』
「黙れ。貴様への憎しみは、怒りは、恨みは。まだ残っている。必ず晴らさせてもらう。貴様の血を、絶やさせてやるぞ!!! 『牛鬼よ、我の恨みを晴らすべく、今ここで貴様の牙を見せつけよ、急急如律令』!!!」

 道満は白虎を前にしても逃げる事はせず、歯向かおうと新たな式神を出した。

 あいつの出した牛鬼は、頭が牛で体が鬼の形。手には大きな三本槍が握られ、大きく鼻を鳴らす。

 体は二メートル以上はある巨体。
 見た目だけなら強そうだな。でも、相手は十二神の一体である白虎。勝てる訳が無い。

 いや、道満の式神は牛鬼だけでは無い。
 雨燕に向けていた陰摩羅鬼も、まだ札に戻ってはいない。

 数的には道満が有利。式神だけではなく、セイヤという存在も大きく関わるだろう。
 身体能力は、並大抵のものでは無いみたいだし、式神なども扱えるだろう。

 というか、僕の体で何してくれてんの安倍晴明。先祖だろうとなんだろうと、僕の体を勝手に扱わないで欲しいんだけど。

「ここで再度、闇に葬ってやるぞ」
『それは困りますね。この体はあくまで借り物。葬られてしまえば、この体も一緒に亡くなってしまいます』

 それは本当にやめろよ。
 安倍晴明でも許さないからな。

「知らぬな、そんなこと。ワシには関係の無いことよ。さぁ、牛鬼、陰摩羅鬼。安倍晴明とその子孫を闇へと葬らせよ!!!」

 道満が言い放つと、牛鬼と陰摩羅鬼は応えるように晴明の方へと向かい、自身の武器を振りかざした。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【魔女ローゼマリー伝説】~5歳で存在を忘れられた元王女の私だけど、自称美少女天才魔女として世界を救うために冒険したいと思います!~

ハムえっぐ
ファンタジー
かつて魔族が降臨し、7人の英雄によって平和がもたらされた大陸。その一国、ベルガー王国で物語は始まる。 王国の第一王女ローゼマリーは、5歳の誕生日の夜、幸せな時間のさなかに王宮を襲撃され、目の前で両親である国王夫妻を「漆黒の剣を持つ謎の黒髪の女」に殺害される。母が最後の力で放った転移魔法と「魔女ディルを頼れ」という遺言によりローゼマリーは辛くも死地を脱した。 15歳になったローゼは師ディルと別れ、両親の仇である黒髪の女を探し出すため、そして悪政により荒廃しつつある祖国の現状を確かめるため旅立つ。 国境の街ビオレールで冒険者として活動を始めたローゼは、運命的な出会いを果たす。因縁の仇と同じ黒髪と漆黒の剣を持つ少年傭兵リョウ。自由奔放で可愛いが、何か秘密を抱えていそうなエルフの美少女ベレニス。クセの強い仲間たちと共にローゼの新たな人生が動き出す。 これは王女の身分を失った最強天才魔女ローゼが、復讐の誓いを胸に仲間たちとの絆を育みながら、王国の闇や自らの運命に立ち向かう物語。友情、復讐、恋愛、魔法、剣戟、謀略が織りなす、ダークファンタジー英雄譚が、今、幕を開ける。  

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

ギャルい女神と超絶チート同盟〜女神に贔屓されまくった結果、主人公クラスなチート持ち達の同盟リーダーとなってしまったんだが〜

平明神
ファンタジー
 ユーゴ・タカトー。  それは、女神の「推し」になった男。  見た目ギャルな女神ユーラウリアの色仕掛けに負け、何度も異世界を救ってきた彼に新たに下った女神のお願いは、転生や転移した者達を探すこと。  彼が出会っていく者たちは、アニメやラノベの主人公を張れるほど強くて魅力的。だけど、みんなチート的な能力や武器を持つ濃いキャラで、なかなか一筋縄ではいかない者ばかり。  彼らと仲間になって同盟を組んだユーゴは、やがて彼らと共に様々な異世界を巻き込む大きな事件に関わっていく。  その過程で、彼はリーダーシップを発揮し、新たな力を開花させていくのだった!  女神から貰ったバラエティー豊かなチート能力とチートアイテムを駆使するユーゴは、どこへ行ってもみんなの度肝を抜きまくる!  さらに、彼にはもともと特殊な能力があるようで……?  英雄、聖女、魔王、人魚、侍、巫女、お嬢様、変身ヒーロー、巨大ロボット、歌姫、メイド、追放、ざまあ───  なんでもありの異世界アベンジャーズ!  女神の使徒と異世界チートな英雄たちとの絆が紡ぐ、運命の物語、ここに開幕! ※不定期更新。 ※感想やお気に入り登録をして頂けますと、作者のモチベーションがあがり、エタることなくもっと面白い話が作れます。

転生したら領主の息子だったので快適な暮らしのために知識チートを実践しました

SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
不摂生が祟ったのか浴槽で溺死したブラック企業務めの社畜は、ステップド騎士家の長男エルに転生する。 不便な異世界で生活環境を改善するためにエルは知恵を絞る。 14万文字執筆済み。2025年8月25日~9月30日まで毎日7:10、12:10の一日二回更新。

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

悪役皇子、ざまぁされたので反省する ~ 馬鹿は死ななきゃ治らないって… 一度、死んだからな、同じ轍(てつ)は踏まんよ ~

shiba
ファンタジー
魂だけの存在となり、邯鄲(かんたん)の夢にて 無名の英雄 愛を知らぬ商人 気狂いの賢者など 様々な英霊達の人生を追体験した凡愚な皇子は自身の無能さを痛感する。 それゆえに悪徳貴族の嫡男に生まれ変わった後、謎の強迫観念に背中を押されるまま 幼い頃から努力を積み上げていた彼は、図らずも超越者への道を歩み出す。

ブラック国家を制裁する方法は、性癖全開のハーレムを作ることでした。

タカハシヨウ
ファンタジー
ヴァン・スナキアはたった一人で世界を圧倒できる強さを誇り、母国ウィルクトリアを守る使命を背負っていた。 しかし国民たちはヴァンの威を借りて他国から財産を搾取し、その金でろくに働かずに暮らしている害悪ばかり。さらにはその歪んだ体制を維持するためにヴァンの魔力を受け継ぐ後継を求め、ヴァンに一夫多妻制まで用意する始末。 ヴァンは国を叩き直すため、あえてヴァンとは子どもを作れない異種族とばかり八人と結婚した。もし後継が生まれなければウィルクトリアは世界中から報復を受けて滅亡するだろう。生き残りたければ心を入れ替えてまともな国になるしかない。 激しく抵抗する国民を圧倒的な力でギャフンと言わせながら、ヴァンは愛する妻たちと甘々イチャイチャ暮らしていく。

処理中です...