憑依転生した先はクソ生意気な安倍晴明の子孫

桜桃-サクランボ-

文字の大きさ
95 / 246
はじめの一歩

死への予言

しおりを挟む
 魔魅ちゃんの準備も整い、俺達は馬車に乗る。

 それにしても、魔魅ちゃん可愛い姿になったなぁ。

 袴が主体とされている服。淡いピンクの髪飾りで黒い髪をおさげに。桜色の羽織を肩から掛けて、草履をはいている。

「かわいいね、魔魅ちゃん」
「っ!! …………」

 あれ、顔を逸らされてしまった。何か嫌だったかな。

『そういう事あまり言わないで』
「え、思ったから言っただけなんだけど…………」
『それでもやめて』
「わ、わかったよ…………」

 なんか、闇命君複雑そうな顔してる。なんでだろう、まぁいいか。言わないように気を付けようか。

「それじゃ、行ってくる」
「お気をつけてください!!! 何かあれば、必ず戻ってきてください!! ここは、貴方の居場所でもありますので!!」

 岱平さんが魔魅ちゃんの荷物を持ち、服を直してあげ笑顔で見送っている。
 なんだか、お父さん………いや、お兄ちゃんみたいだな。俺は一人っ子だし、少し羨ましいと思ってしまった。

「それでは岱平さん。魔魅ちゃんをお預かりさせていただきます」
「怪我をさせたら許さぬからな!!!」
「き、肝に銘じます……」

 最後に挨拶をし、馬車に乗り込む。魔魅ちゃんの荷物は、夏楓が持ってくれている。

 岱平さんの他にも数人、見届けてくれているがどれも義務のような感じだ。これが、陰陽寮なんだろうなぁ。まだ漆家は岱平さんのような人が位の高い位置にいるからましなのかもしれない。他の所は、安部家のように腐っている可能性が高い。

 俺は、そんな陰陽寮を変える事が出来るのだろうか。

 いや、変えるんだ。俺達で。


 外を眺めていると、魔魅ちゃんが俺の服を引っ張ってきた。やっぱり、不安に思っているのかな。

「魔魅ちゃん、大丈夫だよ」
「……………不安、ないよ」
「え、不安じゃないの?」
「うん。だって、お兄ちゃんがいるから!!」

 勢いのまま、魔魅ちゃんが俺に抱きついてきた──ん?!

「え、どうしたの魔魅ちゃん!?!」
「お兄ちゃん、ありがとう」

 え、あ、ん????

「え、えっと。どういたしまして??」

 俺の胸に顔を埋めていた魔魅ちゃんが、顔を上げる。その顔は、子供のように幼く、優しく。楽しげに笑っている。

 …………………この笑顔を見れただけで、俺は満足かな。

「これからよろしくね、魔魅ちゃん」
「うん!!!」

 ☆

「『件、我々の道を指す道標となれ。急急如律令』」

 馬車の中で、次にどこへ向かえばいいか件の予知を聞いてから決めようと思い右隣に出す。
 肩の上には鼠姿の闇命君。俺の左隣には魔魅ちゃん。向かいの椅子には夏楓と紅音。琴平は御者席に座り中の様子を小窓から見ていた。

 それで、今の目の前にいる件。御札から出てきた件は、俺の知ってる件ではなかった……。

「え、どなた様?」
『件ですよ。主』
「……………俺の知っているくだんじゃない件」

 いや。いやいやいや!!! 絶対に件じゃねぇだろ!!!!
 つーか、なんで人型になってるの?! めっちゃ美形な少年になっているんですが?! 牛の体はどこ行ったんだよ?!?!

「俺、間違えて出してしまったのか?」
『式神にすると、その人の理想が少しばかり影響されるんだよ。美形になって欲しいとか思ってたんじゃないの?』
「思ってない思ってない。というか、河童はそのまま河童だったじゃん」
 『逆に、あれ以外の河童って想像出来る?』
「………………出来ないな」

 件の姿が少しだけ闇命君に似ている気がするのは気のせいかしら。
 金髪なのは違うけど。背丈は同じだし、天パだし、目元は髪と同じ色だな。短パンに白いシャツ、貴族の子供みたいな服装だ。俺は、これを求めていたのか?
 あ、でも少しだけ牛の部分も残ってんな。ズボンにアップリケのような牛の顔が貼られてる。

「……術者の理想が反映される。なら、百目があんなに顔が整っているのは、闇命君の理想だったり?」
『元々百目は見た目悪くなかったみたいだよ。ある姫さんの護衛として使われてたくらいだしね』
「え、そうなの? というか、”みたい”?」
『うん。だって、父さんが使役していた式神だもん。僕は百目がどんな感じで式神になったのかは、知らない』
「あぁ、なるほど」

 そんな話をしていると、紅音からの無言の圧力が……。早くしろという事かな。はい、すいませんでした。

「えっと、件。俺達の未来を見てほしい」
『主の仰せのままに』

 件は椅子の上に正座をし、金色の瞳を向けてくる。なんか、少し緊張が……。吸い込まれてしまいそうな瞳だ。に、逃げたい。
 目をそらさないように気をつけていると、急に件の瞳が金色に光った──ように見えたな。気のせいか?

『…………っ!!』

 いきなり件は、元々ぱっちり二重だった目を大きく開き、驚きの表情に。ど、どうしたの!?

「な、何が見えたの……?」
『………そ、それが……』

 何か言いにくそうだな。ん? 誰を横目で見てるんだ? 目線の先は御者席?

「琴平?」

 罰が悪そうな顔で、件は琴平を見ている。何が見えたんだ?

「どうしたんだ件」
『…………次、村。一人の、男性の胸に──……』

 件の予言は、俺達全員を動揺させるのに充分な力を持っていた。

「…………胸に刀が刺さり──死ぬ?」
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【魔女ローゼマリー伝説】~5歳で存在を忘れられた元王女の私だけど、自称美少女天才魔女として世界を救うために冒険したいと思います!~

ハムえっぐ
ファンタジー
かつて魔族が降臨し、7人の英雄によって平和がもたらされた大陸。その一国、ベルガー王国で物語は始まる。 王国の第一王女ローゼマリーは、5歳の誕生日の夜、幸せな時間のさなかに王宮を襲撃され、目の前で両親である国王夫妻を「漆黒の剣を持つ謎の黒髪の女」に殺害される。母が最後の力で放った転移魔法と「魔女ディルを頼れ」という遺言によりローゼマリーは辛くも死地を脱した。 15歳になったローゼは師ディルと別れ、両親の仇である黒髪の女を探し出すため、そして悪政により荒廃しつつある祖国の現状を確かめるため旅立つ。 国境の街ビオレールで冒険者として活動を始めたローゼは、運命的な出会いを果たす。因縁の仇と同じ黒髪と漆黒の剣を持つ少年傭兵リョウ。自由奔放で可愛いが、何か秘密を抱えていそうなエルフの美少女ベレニス。クセの強い仲間たちと共にローゼの新たな人生が動き出す。 これは王女の身分を失った最強天才魔女ローゼが、復讐の誓いを胸に仲間たちとの絆を育みながら、王国の闇や自らの運命に立ち向かう物語。友情、復讐、恋愛、魔法、剣戟、謀略が織りなす、ダークファンタジー英雄譚が、今、幕を開ける。  

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

ギャルい女神と超絶チート同盟〜女神に贔屓されまくった結果、主人公クラスなチート持ち達の同盟リーダーとなってしまったんだが〜

平明神
ファンタジー
 ユーゴ・タカトー。  それは、女神の「推し」になった男。  見た目ギャルな女神ユーラウリアの色仕掛けに負け、何度も異世界を救ってきた彼に新たに下った女神のお願いは、転生や転移した者達を探すこと。  彼が出会っていく者たちは、アニメやラノベの主人公を張れるほど強くて魅力的。だけど、みんなチート的な能力や武器を持つ濃いキャラで、なかなか一筋縄ではいかない者ばかり。  彼らと仲間になって同盟を組んだユーゴは、やがて彼らと共に様々な異世界を巻き込む大きな事件に関わっていく。  その過程で、彼はリーダーシップを発揮し、新たな力を開花させていくのだった!  女神から貰ったバラエティー豊かなチート能力とチートアイテムを駆使するユーゴは、どこへ行ってもみんなの度肝を抜きまくる!  さらに、彼にはもともと特殊な能力があるようで……?  英雄、聖女、魔王、人魚、侍、巫女、お嬢様、変身ヒーロー、巨大ロボット、歌姫、メイド、追放、ざまあ───  なんでもありの異世界アベンジャーズ!  女神の使徒と異世界チートな英雄たちとの絆が紡ぐ、運命の物語、ここに開幕! ※不定期更新。 ※感想やお気に入り登録をして頂けますと、作者のモチベーションがあがり、エタることなくもっと面白い話が作れます。

転生したら領主の息子だったので快適な暮らしのために知識チートを実践しました

SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
不摂生が祟ったのか浴槽で溺死したブラック企業務めの社畜は、ステップド騎士家の長男エルに転生する。 不便な異世界で生活環境を改善するためにエルは知恵を絞る。 14万文字執筆済み。2025年8月25日~9月30日まで毎日7:10、12:10の一日二回更新。

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

悪役皇子、ざまぁされたので反省する ~ 馬鹿は死ななきゃ治らないって… 一度、死んだからな、同じ轍(てつ)は踏まんよ ~

shiba
ファンタジー
魂だけの存在となり、邯鄲(かんたん)の夢にて 無名の英雄 愛を知らぬ商人 気狂いの賢者など 様々な英霊達の人生を追体験した凡愚な皇子は自身の無能さを痛感する。 それゆえに悪徳貴族の嫡男に生まれ変わった後、謎の強迫観念に背中を押されるまま 幼い頃から努力を積み上げていた彼は、図らずも超越者への道を歩み出す。

ブラック国家を制裁する方法は、性癖全開のハーレムを作ることでした。

タカハシヨウ
ファンタジー
ヴァン・スナキアはたった一人で世界を圧倒できる強さを誇り、母国ウィルクトリアを守る使命を背負っていた。 しかし国民たちはヴァンの威を借りて他国から財産を搾取し、その金でろくに働かずに暮らしている害悪ばかり。さらにはその歪んだ体制を維持するためにヴァンの魔力を受け継ぐ後継を求め、ヴァンに一夫多妻制まで用意する始末。 ヴァンは国を叩き直すため、あえてヴァンとは子どもを作れない異種族とばかり八人と結婚した。もし後継が生まれなければウィルクトリアは世界中から報復を受けて滅亡するだろう。生き残りたければ心を入れ替えてまともな国になるしかない。 激しく抵抗する国民を圧倒的な力でギャフンと言わせながら、ヴァンは愛する妻たちと甘々イチャイチャ暮らしていく。

処理中です...