憑依転生した先はクソ生意気な安倍晴明の子孫

桜桃-サクランボ-

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呪吸の義

信じる

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 今は部屋には女性を囲むように俺と楓夏、魔魅ちゃんが座っている。闇命君は半透明の姿で胡坐をかいている。
 襖の外には琴平と紅音。呪いをはじき出している時に襲われたら困るかという理由。

『それじゃ、始めようか。苦しむ覚悟はできてる?』
「闇命君、聞き方気を付けなさい!!」
『ふん!』
「こらっ!!」

 まったくもう! 元々真っ青だった女性の顔がもっと真っ青に。闇命君は相当いら立っているみたいだなぁ。俺が物覚え悪かったから。

 だって、さすがに一気にやる事が多すぎるんだよ、俺には難しいって。やるしかないからやるけどさぁ。

『式神の準備』
「あ、はい」

 言われた通り、一枚のお札を取り出す。そこには、”吸”という文字。このお札には前もって闇命君の法力を蓄えさせている。

「ふぅ、よし。それじゃ、始めるね。苦しいと思うけど、俺達を信じてほしい。絶対に呪いをはじき出すから」
「…………はい」
「それじゃ、魔魅ちゃん、お願い」
「わかった」

 今回は魔魅ちゃんは女性の体内の中にある呪いを操作し、体から出す役割をしてくれる。その呪いを、俺が式神を使い体から抜き取り封印、これが今回の流れだ。


 絶対に成功させてやるからな。絶対に。


 魔魅ちゃんと目を合わせ、集中。最初に魔魅ちゃんが祝詞を呟き始めた。
 安定している聞きやすい祝詞。最初は効果がわからなかったが、徐々に女性に変化が現れた。

「う、あ、あああ、ぁぁぁぁぁぁあああああ!!!!!!」

 女性が苦しみだし、胸を抑え始める。始まった、呪いが動き出した。


 ――――――――――今だ


「『呪いの根源、忌まわしき魔術よ。今ここで、我の力の糧となれ。呪吸しゅうきゅうの儀。急急如律令』」

 予め教えてもらっていた祝詞を唱え、法力を人差し指と中指に挟めているお札に集める。

 あれ、式神が出ない? 光るだけ? もしかして、さっそく何かを間違えた?

『間違えてないよ、少し時間がかかるの。それに、式神と呼ぶにはあまりに歪で実体はないに等しい。安心して、法力を送り続けて』

 闇命君が言っているんだったら、間違いないな。このまま集中し続ける、少しでも成功確率を上げるために。

「ア、アァ、アァァァア!!!!!!」

 っ、我慢してくれ。
 痛みに悶え苦しんでいる女性が、自身の肌を掻きむしっている。皮膚が破け、肉が見え。血がポタポタと流れ落ちてしまっていた。止めたいけど、今は誰も近づくわけにはいかない。

「あ、あれ!!!」

 夏楓が女性の異変に気付き、声を出す。

 女性の肌が黒く変色し始めた。黒く濁って行き、女性の叫び声が今までより大きくなっていく。喉が裂けてしまうのではと思うほどの声量だ。

 早く、早く。

 光り出したお札からは、今だ式神は姿を現してはくれない。本当に大丈夫なのだろうか、このまま法力を送り続けるだけで、本当に大丈夫なのか?

『大丈夫』

 隣に立っている闇命君が、前を見据えながら呟く。一粒の雫が頬を流れ、焦りを滲みだしていた。
 闇命君も焦っているのか、でも、ならどうして大丈夫と言い切れるのだろう。

『大丈夫だから、優夏。僕を、自分を信じて』
「っ――……」

 力強い、闇命君の目。橙色の瞳が鋭利な刃物のように光り、俺を射抜く。
 そのような目を向けられたら、信じるしかない。闇命君の力、言葉。俺自身の事も、俺が信じなければならない。

 自分を信じられなければ、最大限の力を出し切る事など出来る訳ない。
 判断を間違えるなと言われたんだ、間違えない。信じるよ、闇命君を、俺自身を。

 法力を注ぎ続ける間も、女性は苦しみ悶える。

 焦るな、焦るな。落ち着け、こうなることはわかっていたんだ、必ず、女性は苦しんでしまう。耐えてもらわないと、今回はうまくいかない。女性はそれも承諾した。

 大丈夫だ、今ここに、生半可な気持ちを持っている人は、存在しない!!!!
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