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暴走と涙
音
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「な、な…………」
「無事だったか、優夏。四方に放った炎はピンボールのように俺達の周りを駆け回っていたな。結界を張らなかったらマジで火だるまになっていた」
こいつ、こいつぅぅぅぅぅううう!!!! つーか!! 俺、今陰陽術使えないんだけど!! ギリギリ結界は張れたけど。多分これ、安倍晴明が手を貸してくれたような気がするな。
目の前を行き来していた炎が小さくなって、そのまま消える。ここから出る手がかりを見つけるとかそう言うレベルじゃない……。
「ふざけるなよ、お前」
「無事だったんだからいいだろ。でも、やっぱりわからなかったな、媒体」
「それどころではなかったんだけど!?」
「えぇ、しっかりしろよ」
「お! ま! え! の! せ! い! だ! ろ!!!!」
こいつ、この世界に来て絶対に変わっただろ。今までは別人を装っていたみたいだけど、今はおそらく素。素で、これかよ。
絶対に変わった、断言する。悲しいよ、俺。もっと優しくしてよ。
「もう一回やるか?」
「…………俺がしっかりと結界を張ることが出来たらいいんだが…………」
二回目もしっかり結界を張ってくれるかな、安倍晴明。さっきのが特別とか、そんなことないよね。
「さっきのは? 張ってただろ」
「闇命君の体の中には安倍晴明の魂があるみたいなんだよ。仕組みとかは理解出来ていないけど、今回は安倍晴明が助けてくれたと思う」
「なら、二回目もやってくれないのか?」
「頼りすぎるのもなんか…………。というか、驚かないんだな、安倍晴明の魂が体の中にあると言ったのに」
「…………まぁ、そう、だな」
歯切れが悪いな、何かありそう。道満から聞いていたか?
「っ、今はどうでもいい。俺が代わりに結界を張るよ、それならいいだろ」
「え、出来るの?」
「おそらく大丈夫」
なら、さっきも俺に結界を張ってから放ってくれよ。何で俺はこうもいじめられないといけないんだ。みんな、もっと俺に優しくしてくれ。
「それじゃ、まず結界を張る」
靖弥が俺の方に体を傾けて、右手の人差し指と中指を立て法力を溜め始める。
「――結界」
胸辺りに構えた手を言葉と共に上に振り上げる。すると、透明の膜が俺の周りに張られた。
「よし」
「これで自分の結界と、輪入道に法力を送り込むことは出来そうなの?」
「やるしかないだろ。俺は集中するから、なにか気づいたことがあったら教えてくれ」
「わかった」
靖弥が再度集中し始める。近くにいるだけの俺でもわかる、底から湧き上がっている気配。今まで確実に本気じゃなかったのがわかるほどの集中力だ、これが靖弥の本気なのだろう。
待っていると、靖弥は自身に結界を張り、輪入道に法力を送ることが出来たらしく目を開いた。
「『輪入道、闇の空間を作っている媒体を見つけ出せ、急急如律令』」
靖弥の言葉に、輪入道が地面を揺らすほどの声で返事をし、炎の玉を複数作りだした。次々と作られる炎は闇を照らしてくれるけど、さっきまでと変わらず壁などは見当たらない。この空間の端っこって、どうすれば見つける事が出来るのか。
さっきも手当たり次第に放ったけど無理だったし、今回も見つからない可能性がある。それでも、目を凝らしてみるしかない。ヒントだけでも、見つけないと。
「行け」
靖弥からの合図、輪入道の周りに浮かぶ炎の玉が四方に弾かれた。勢いよく放たれた炎が闇の中にきえっ――……
――――――――――パアン
「っ、今の音」
微かに聞こえた、何かが弾かれる音。もしかして、輪入道が放った炎が何かにぶつかったのか?
――――――――――パアン
また、聞こえた。今は結界の外で炎が飛び交ている状態、数打ち当たるの状態なのか。
弾かれる音は同じ所から聞こえた。この空間を安定させている媒体が音の聞こえた方に置いてある可能性があるな。
さっきから目の前を行きかっていた炎が徐々に数を減らしていく。辺りが暗くなっていき、完全に炎が消えた。
靖弥が周りを確認し、炎の玉が一つも残っていないことを確認すると、俺に張っていた結界を解除。息を吐き、緊張を解いた。
「何かわかったか?」
「うん、微かに炎が弾ける音が聞こえた。しかも、一か所からだけ。そこに媒体がある可能性があるよ」
「なら、行こう」
「うん」
俺が先導し、二人で音が聞こえた方に向かって歩き出す。足音すら聞こえないから、本当に広さがわからない。反響した音で距離とかも測れないから厄介だな。
…………頭いい事を考えてみたけど、仮に聞こえたとしてもおそらく俺にはどのくらいの距離があるかなんてわからんな。
黙ったまま歩いているんだけど、媒体みたいなものが一向に見えてこない。もしかして、気のせいだったか? でも、二回も聞こえたし、気のせいなんてことはないと思うんだけど。
「本当にこっちで合っているのか?」
「合っているはずなんだけど」
「本当に聞こえた?」
「めっちゃ疑ってくるじゃん。信じてくれてねぇの?」
「信じていたからここまで来たんだけどな。でも、一向に媒体らしきものが見えてこない、疑いたくもなるだろ」
「うっ、確かに…………」
くそ、正論をぶつけられた。何も言い返せない俺を靖弥は気にせず、まだ歩き進めている。
信じていないのに進んではくれているんですねぇ~。
「はぁ…………」
「どんまい」
「…………俺はまだ諦めないからな、聞こえたんだから何かしらあるはずだろ。媒体じゃなかったとしても、何かしらぶつかるものはあるはずなんだ。それを見つけて次の動きに繋げたい」
「そうだな、それは俺も同じ意見だ」
さて、何があるのか。方向は間違えていないんだから、何かしらあるはず。
――――――――――ん? あれって…………。
「無事だったか、優夏。四方に放った炎はピンボールのように俺達の周りを駆け回っていたな。結界を張らなかったらマジで火だるまになっていた」
こいつ、こいつぅぅぅぅぅううう!!!! つーか!! 俺、今陰陽術使えないんだけど!! ギリギリ結界は張れたけど。多分これ、安倍晴明が手を貸してくれたような気がするな。
目の前を行き来していた炎が小さくなって、そのまま消える。ここから出る手がかりを見つけるとかそう言うレベルじゃない……。
「ふざけるなよ、お前」
「無事だったんだからいいだろ。でも、やっぱりわからなかったな、媒体」
「それどころではなかったんだけど!?」
「えぇ、しっかりしろよ」
「お! ま! え! の! せ! い! だ! ろ!!!!」
こいつ、この世界に来て絶対に変わっただろ。今までは別人を装っていたみたいだけど、今はおそらく素。素で、これかよ。
絶対に変わった、断言する。悲しいよ、俺。もっと優しくしてよ。
「もう一回やるか?」
「…………俺がしっかりと結界を張ることが出来たらいいんだが…………」
二回目もしっかり結界を張ってくれるかな、安倍晴明。さっきのが特別とか、そんなことないよね。
「さっきのは? 張ってただろ」
「闇命君の体の中には安倍晴明の魂があるみたいなんだよ。仕組みとかは理解出来ていないけど、今回は安倍晴明が助けてくれたと思う」
「なら、二回目もやってくれないのか?」
「頼りすぎるのもなんか…………。というか、驚かないんだな、安倍晴明の魂が体の中にあると言ったのに」
「…………まぁ、そう、だな」
歯切れが悪いな、何かありそう。道満から聞いていたか?
「っ、今はどうでもいい。俺が代わりに結界を張るよ、それならいいだろ」
「え、出来るの?」
「おそらく大丈夫」
なら、さっきも俺に結界を張ってから放ってくれよ。何で俺はこうもいじめられないといけないんだ。みんな、もっと俺に優しくしてくれ。
「それじゃ、まず結界を張る」
靖弥が俺の方に体を傾けて、右手の人差し指と中指を立て法力を溜め始める。
「――結界」
胸辺りに構えた手を言葉と共に上に振り上げる。すると、透明の膜が俺の周りに張られた。
「よし」
「これで自分の結界と、輪入道に法力を送り込むことは出来そうなの?」
「やるしかないだろ。俺は集中するから、なにか気づいたことがあったら教えてくれ」
「わかった」
靖弥が再度集中し始める。近くにいるだけの俺でもわかる、底から湧き上がっている気配。今まで確実に本気じゃなかったのがわかるほどの集中力だ、これが靖弥の本気なのだろう。
待っていると、靖弥は自身に結界を張り、輪入道に法力を送ることが出来たらしく目を開いた。
「『輪入道、闇の空間を作っている媒体を見つけ出せ、急急如律令』」
靖弥の言葉に、輪入道が地面を揺らすほどの声で返事をし、炎の玉を複数作りだした。次々と作られる炎は闇を照らしてくれるけど、さっきまでと変わらず壁などは見当たらない。この空間の端っこって、どうすれば見つける事が出来るのか。
さっきも手当たり次第に放ったけど無理だったし、今回も見つからない可能性がある。それでも、目を凝らしてみるしかない。ヒントだけでも、見つけないと。
「行け」
靖弥からの合図、輪入道の周りに浮かぶ炎の玉が四方に弾かれた。勢いよく放たれた炎が闇の中にきえっ――……
――――――――――パアン
「っ、今の音」
微かに聞こえた、何かが弾かれる音。もしかして、輪入道が放った炎が何かにぶつかったのか?
――――――――――パアン
また、聞こえた。今は結界の外で炎が飛び交ている状態、数打ち当たるの状態なのか。
弾かれる音は同じ所から聞こえた。この空間を安定させている媒体が音の聞こえた方に置いてある可能性があるな。
さっきから目の前を行きかっていた炎が徐々に数を減らしていく。辺りが暗くなっていき、完全に炎が消えた。
靖弥が周りを確認し、炎の玉が一つも残っていないことを確認すると、俺に張っていた結界を解除。息を吐き、緊張を解いた。
「何かわかったか?」
「うん、微かに炎が弾ける音が聞こえた。しかも、一か所からだけ。そこに媒体がある可能性があるよ」
「なら、行こう」
「うん」
俺が先導し、二人で音が聞こえた方に向かって歩き出す。足音すら聞こえないから、本当に広さがわからない。反響した音で距離とかも測れないから厄介だな。
…………頭いい事を考えてみたけど、仮に聞こえたとしてもおそらく俺にはどのくらいの距離があるかなんてわからんな。
黙ったまま歩いているんだけど、媒体みたいなものが一向に見えてこない。もしかして、気のせいだったか? でも、二回も聞こえたし、気のせいなんてことはないと思うんだけど。
「本当にこっちで合っているのか?」
「合っているはずなんだけど」
「本当に聞こえた?」
「めっちゃ疑ってくるじゃん。信じてくれてねぇの?」
「信じていたからここまで来たんだけどな。でも、一向に媒体らしきものが見えてこない、疑いたくもなるだろ」
「うっ、確かに…………」
くそ、正論をぶつけられた。何も言い返せない俺を靖弥は気にせず、まだ歩き進めている。
信じていないのに進んではくれているんですねぇ~。
「はぁ…………」
「どんまい」
「…………俺はまだ諦めないからな、聞こえたんだから何かしらあるはずだろ。媒体じゃなかったとしても、何かしらぶつかるものはあるはずなんだ。それを見つけて次の動きに繋げたい」
「そうだな、それは俺も同じ意見だ」
さて、何があるのか。方向は間違えていないんだから、何かしらあるはず。
――――――――――ん? あれって…………。
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