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修行
虚無感
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いつの間にか泣き疲れてしまって、そのまま寝てたみたい。
目を覚ました時、何故か琴葉さんに抱きしめられていて流石にビビった。本当のお兄さんみたいで、思わず今の温かさに二度寝をするところだったよ。
頭の上辺りには鼠姿の闇命君が、鼻提灯を膨らませて寝ている。鼠姿でもわかるくらい、目元が腫れているな。俺の目元もおそらく腫れている。喉が痛い、体も重たい。
「…………う、動けない」
琴葉さんが俺の事を腕でがっちりと掴まれているから、動くに動けない。動こうとすれば隣から唸り声。起こしてしまっても申し訳ないし、マジでこの体制どうすればいいんだろうか。
「優夏」
「あ、紅音。おはよう」
「おはよう」
「これ、どうにかしてくれると嬉しんだけど…………」
「わかった」
「…………あ、なるべく起こさないようにっ――……」
―――――ゴスッ
「ぐふっ!!!」
「琴葉さぁぁぁぁぁぁあああん!!!!!!」
紅音が冷たい瞳で見下ろしながら、琴葉さんの背中を蹴って起こしてしまった。威力も結構強そうだし、琴葉さんは体を震わせている。
「あ、紅音。これはさすがにないのでは……??」
「こうでもしなければこやつは永遠に寝る。一番手っ取り早い方法だと、琴平が言っていたような言っていなかったような」
確実に言ってねぇだろそれ。逆に今の方が永眠しそうなんですが? 琴葉さん、大丈夫ですか……。
「あぁ、朝から女性の蹴りで起きられるなんて、これはこれで幸せだね……いたたた……」
「…………心配しても意味ないんだと思い始めてしまったんですが……。一応社交辞令として聞きます、大丈夫ですか?」
「大丈夫だよ息子君。俺は、こんなことでは……しなっ………」
あ、布団に倒れ込んだ。死んでんじゃねぇか、手を合わせてやろうか。
「はぁ……」
壁側を見ると、まだ琴平が顔に布をかぶせ横になっていた。
横まで移動して、顔に乗せられている布を取り顔をのぞき込む。そこには、生前と変わらない綺麗な顔。少し顔色が薄くなってきたかな、早く供養してあげないと。このままでは、琴平の体が腐敗してしまう。
「水分さんってどこにいるか分かる?」
「調べ物があると、出て行った」
どこにいるか分からないってことか。調べ物ってことは調書室だと思うんだけど、その調書室が分からない。
弥来さんがいたら案内をお願いできるんだけど、今は地下牢。聞くに聞けないし、聞いたところで期待している返答は望めないだろう。
水分さんに、ここから一番近い墓地とか葬式場とかを教えてもらおうと思ったのに。
いや、この世界にそもそもお葬式場とかあるのか? 供養の方法が分からない。
俺がいた世界でも供養方法が分からないのに、この世界についてわかるはずなかったんや。
「優夏、準備はいいか?」
「え、なんの?」
「琴平との、最後の別れだ」
☆
……………………あっという間だった。
今は火葬まで終わり、水分さんと琴葉さんが墓所を考えてくれている最中。この時代では、陰陽師がそういう事もお願いされていたみたい。
闇命君も目を覚ましており、鼠姿のまま火葬している時間を過ごしていた。
俺は今、水仙家で待機。廊下を歩いていると庭園らしき場所があったため、足を投げ出す形で座ってぼぉっとしていた。
今日はものすごく天気が良くて、風も肌を優しく撫でるように吹いている。
靖弥は一室で夏楓と紅音、魔魅ちゃんが一緒になって監視。
俺は火葬の時に、遠目でしか靖弥を見ることしか出来なかったけど、やつれていたのは明らか。何も発する事はしておらず、ただただ水分さんのいう事を聞いていたみたい。
「…………闇命君、起きてる?」
『なに』
「今日はずっと鼠の姿なの?」
『なんで』
「なんとなく」
『…………特に理由はないよ。なんとなくこっちでいるだけだし』
「そう。なら、少し話さない? 顔を見ながら」
頭の上で寛いでいた闇命君に声をかけると、数秒後に半透明の姿へと変わった闇命君が隣に座った。
『何か話す事でもあるの?』
「いや、特別に何か話題があるわけではないんだけど。なんとなく、話したくて」
『話題もないのに、なにを話せと言うんだか』
「そ、そうなんだけどさぁ…………」
確かに、話題もなければ互い無言になるだけかぁ。でも、何か話していないと落ち着かないというか、考えてしまうというか。
今は琴葉さんのおかげでだいぶ気持ち的には落ち着いたけど、まだ少し残る、引っかかり。虚無感とでも呼ばれる物かな。昨日の今日だし、逆に自分がここまで早く冷静になれたのも不思議なくらいだ。
…………虚無だ。
「虚無だよ、闇命君」
『口に出したらいいと思っているの? 馬鹿なの?』
「今なら闇命君の毒舌も流せるくらいの虚無感だよ」
『本当に馬鹿な思考しか出来ないんだね。いや、もうそれは思考と呼ばれるものではなく愚昧とでも言えばいいのかな。いつも考えてから言葉を発してと言っていると思うんだけど、何を学んでいるの? あぁ、学ぶ頭が無いから同じことを言われても気にしないのか。いや、それ以前に人の言葉を覚えている事すら出来ない程頭がよわっ――……』
「もういいですもういいです!!! やっぱり腹立つわ!! ここぞとばかりに言いやがって!!」
『事実を言っているだけだけど? 忍耐もなくなって――そもそもなかったか』
「呆れたような顔を向けないでよ!!」
はぁぁぁぁぁあああ、まったく。
…………こうやって喧嘩していても、止めてくれる人はもういないのか。いつもは助け船をいいタイミングで出してくれていたんだもんなぁ。
『琴葉について、どうするの?』
「あぁ、仲間にするかどうか、だよね」
『うん』
「それなら、仲間にするつもりだよ」
『理由は?』
「あの人は、正直わかんない。いい人なのか、悪い人なのか。感情も思考も読めない。でも、力は本物な気がするの」
『確かにそうかもしれないね。纏っている気配は普通ではないし、あの若さで陰陽助になれるのなら、力に関しては信憑性はあるかな』
「……………………ソーネー」
『なに?』
「ナンデモアリマセン」
……………………お前が言うな!!!!!!
目を覚ました時、何故か琴葉さんに抱きしめられていて流石にビビった。本当のお兄さんみたいで、思わず今の温かさに二度寝をするところだったよ。
頭の上辺りには鼠姿の闇命君が、鼻提灯を膨らませて寝ている。鼠姿でもわかるくらい、目元が腫れているな。俺の目元もおそらく腫れている。喉が痛い、体も重たい。
「…………う、動けない」
琴葉さんが俺の事を腕でがっちりと掴まれているから、動くに動けない。動こうとすれば隣から唸り声。起こしてしまっても申し訳ないし、マジでこの体制どうすればいいんだろうか。
「優夏」
「あ、紅音。おはよう」
「おはよう」
「これ、どうにかしてくれると嬉しんだけど…………」
「わかった」
「…………あ、なるべく起こさないようにっ――……」
―――――ゴスッ
「ぐふっ!!!」
「琴葉さぁぁぁぁぁぁあああん!!!!!!」
紅音が冷たい瞳で見下ろしながら、琴葉さんの背中を蹴って起こしてしまった。威力も結構強そうだし、琴葉さんは体を震わせている。
「あ、紅音。これはさすがにないのでは……??」
「こうでもしなければこやつは永遠に寝る。一番手っ取り早い方法だと、琴平が言っていたような言っていなかったような」
確実に言ってねぇだろそれ。逆に今の方が永眠しそうなんですが? 琴葉さん、大丈夫ですか……。
「あぁ、朝から女性の蹴りで起きられるなんて、これはこれで幸せだね……いたたた……」
「…………心配しても意味ないんだと思い始めてしまったんですが……。一応社交辞令として聞きます、大丈夫ですか?」
「大丈夫だよ息子君。俺は、こんなことでは……しなっ………」
あ、布団に倒れ込んだ。死んでんじゃねぇか、手を合わせてやろうか。
「はぁ……」
壁側を見ると、まだ琴平が顔に布をかぶせ横になっていた。
横まで移動して、顔に乗せられている布を取り顔をのぞき込む。そこには、生前と変わらない綺麗な顔。少し顔色が薄くなってきたかな、早く供養してあげないと。このままでは、琴平の体が腐敗してしまう。
「水分さんってどこにいるか分かる?」
「調べ物があると、出て行った」
どこにいるか分からないってことか。調べ物ってことは調書室だと思うんだけど、その調書室が分からない。
弥来さんがいたら案内をお願いできるんだけど、今は地下牢。聞くに聞けないし、聞いたところで期待している返答は望めないだろう。
水分さんに、ここから一番近い墓地とか葬式場とかを教えてもらおうと思ったのに。
いや、この世界にそもそもお葬式場とかあるのか? 供養の方法が分からない。
俺がいた世界でも供養方法が分からないのに、この世界についてわかるはずなかったんや。
「優夏、準備はいいか?」
「え、なんの?」
「琴平との、最後の別れだ」
☆
……………………あっという間だった。
今は火葬まで終わり、水分さんと琴葉さんが墓所を考えてくれている最中。この時代では、陰陽師がそういう事もお願いされていたみたい。
闇命君も目を覚ましており、鼠姿のまま火葬している時間を過ごしていた。
俺は今、水仙家で待機。廊下を歩いていると庭園らしき場所があったため、足を投げ出す形で座ってぼぉっとしていた。
今日はものすごく天気が良くて、風も肌を優しく撫でるように吹いている。
靖弥は一室で夏楓と紅音、魔魅ちゃんが一緒になって監視。
俺は火葬の時に、遠目でしか靖弥を見ることしか出来なかったけど、やつれていたのは明らか。何も発する事はしておらず、ただただ水分さんのいう事を聞いていたみたい。
「…………闇命君、起きてる?」
『なに』
「今日はずっと鼠の姿なの?」
『なんで』
「なんとなく」
『…………特に理由はないよ。なんとなくこっちでいるだけだし』
「そう。なら、少し話さない? 顔を見ながら」
頭の上で寛いでいた闇命君に声をかけると、数秒後に半透明の姿へと変わった闇命君が隣に座った。
『何か話す事でもあるの?』
「いや、特別に何か話題があるわけではないんだけど。なんとなく、話したくて」
『話題もないのに、なにを話せと言うんだか』
「そ、そうなんだけどさぁ…………」
確かに、話題もなければ互い無言になるだけかぁ。でも、何か話していないと落ち着かないというか、考えてしまうというか。
今は琴葉さんのおかげでだいぶ気持ち的には落ち着いたけど、まだ少し残る、引っかかり。虚無感とでも呼ばれる物かな。昨日の今日だし、逆に自分がここまで早く冷静になれたのも不思議なくらいだ。
…………虚無だ。
「虚無だよ、闇命君」
『口に出したらいいと思っているの? 馬鹿なの?』
「今なら闇命君の毒舌も流せるくらいの虚無感だよ」
『本当に馬鹿な思考しか出来ないんだね。いや、もうそれは思考と呼ばれるものではなく愚昧とでも言えばいいのかな。いつも考えてから言葉を発してと言っていると思うんだけど、何を学んでいるの? あぁ、学ぶ頭が無いから同じことを言われても気にしないのか。いや、それ以前に人の言葉を覚えている事すら出来ない程頭がよわっ――……』
「もういいですもういいです!!! やっぱり腹立つわ!! ここぞとばかりに言いやがって!!」
『事実を言っているだけだけど? 忍耐もなくなって――そもそもなかったか』
「呆れたような顔を向けないでよ!!」
はぁぁぁぁぁあああ、まったく。
…………こうやって喧嘩していても、止めてくれる人はもういないのか。いつもは助け船をいいタイミングで出してくれていたんだもんなぁ。
『琴葉について、どうするの?』
「あぁ、仲間にするかどうか、だよね」
『うん』
「それなら、仲間にするつもりだよ」
『理由は?』
「あの人は、正直わかんない。いい人なのか、悪い人なのか。感情も思考も読めない。でも、力は本物な気がするの」
『確かにそうかもしれないね。纏っている気配は普通ではないし、あの若さで陰陽助になれるのなら、力に関しては信憑性はあるかな』
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