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修行
苦手
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「おぉ。賑わっているなぁ」
「…………早く行こう、出よう。今すぐだ」
「あれ、靖弥って人込み苦手だったっけ?」
「今まで避けて生活をしていたんだ、苦手にもなる」
「へぇ…………」
今俺達は、馬車で三十分くらいの所にある市場に来ている。市場というだけあって、結構人が多い。しかも、お店の人もめっちゃ声を張り上げているから耳が痛い。
紅音も夏楓も、この人込みは慣れていないのか、周りを忙しなく見回し、お互い肩を寄せ合っている。そんなに怖いのか。
でも、夏楓は巫女の仕事として買い出しとかしていたのでは? なんで、そんなに怯えているの?
『そもそも、賑わっている所に夏楓達巫女を生かせるわけがないでしょ。しっかりと人がいない場所や時間帯を指定して行かせていたに決まっているじゃん』
「そうなんだ、震えながら教えてくれてありがとう」
『だまれ』
魔魅ちゃんが震えて俺の腰に抱き着いて来ているのは仕方がないけど、まさか俺以外の人が全員人込み恐怖症だったなんて。
これはどうすればいいんだろうか。こんな、震えているみんなを引き連れて人込みを抜けて、かつ欲しい物を見つけて買うなんて無理だろ。
市場の中をよーく見てみると、周りには屋台みたいな店が沢山通路に沿って並び、テーブルも置かれていた。
その上に魚や野菜、果物まで、色んな種類がある。普通に買い物を楽しみたい気がするんだけど。
「……………………琴葉さんでも連れてくるんだった」
絶対にあの人はこういう人込み慣れているだろうし、うまい切り抜け方とかも知っていそう。今、どこにいるかわからないから呼べないけど。
「……………………はぁああ」
「およ?? 何やら見覚えのある人がため息をついておるのぉ。ほれ、飴でも舐めるかい?」
……………………ん? 口元近くに赤色の棒に刺さった飴が突然差し出された。
上を向くと、そこには目元を般若の面で隠した一人の男性が立っていた。腰を曲げて、俺と視線を合わせて来る。なんなんだろう、というか誰。
「およ? もしかして忘れたかい?」
「え、あの…………」
右肩に乗っている闇命君に目線を向けるけど、わかっていないみたいで目の前にいる男性を見上げている。鼻をヒクヒクと動かし、怪しんでいた。
「あの、本当に分からないのですが。一体誰ですか?」
「およよ…………。ワシの事を忘れたのかい? それはあまりに酷すぎないかい、煌命よ」
・・・・・・・・・・・・。
はいぃぃぃいいいいい??????
いやいやいや、今確実に”煌命”と名前を呼んでいた。煌命は、闇命君の父親。つまり、今の俺の姿が、この人には煌命という成人男性に見えているの?! ありえないだろ、ありえないだろ!!!
「魕様!! まったく、一人で行動しないでください。私の目の届く範囲に居ていただかなければ困ります!!」
「司、そう固い事を言うでないぞ。ワシは楽しみたいだけじゃ」
「それで他人に迷惑かけないでください…………あ」
あ、側近的な人が俺達に気づいたのか声をかけてきた。
ぱっちり二重に、短い黒髪。大きな丸縁眼鏡から覗く、揺れている水色の瞳が俺を映しだしていた。
服は袴、腰には刀。体が細く、小さいからよわよわしく見えるな。
「申し訳ありません!! 魕様が迷惑かけましたよね…………すいません…………」
「い、いえ、特に迷惑は…………」
「あ、そうなんですね。それならよかったです。では、私達はこれで」
そのまま側近の人は、その場から動こうとしない男性の腕を引っ張ろうとしている。
この人達、もしかしたらこの市場の常連さんなのでは?? それだったらここで捕まえておきたい!!!
「あの、すいません!! もしよかったら、道案内などお願いできませんか?」
☆
「なるほど、確かにそれでは難しいのぉ」
「そうなんですよ。俺一人ではさすがにこの人込みを、震えている人達を連れて歩く勇気がなかったです」
「ワシもそれはないのぉ」
今は人込みの中をうまく搔い潜りながら、魕様と歩いている。あと、後ろに靖弥。魕様で人除けしながら歩いているけど、俺の袖を掴んでいるから逆に歩きにくそう。
「まずは反物屋じゃな? 後ろの青年のを探しておるで間違いはないな」
「大丈夫です。どこか良い所ありますか?」
「そうじゃのぉ」
おっと、おい。道の真ん中でいきなり止まると、周りの人に迷惑だって。
「…………ふむ」
後に居た靖弥の格好を下から上までまじまじと見て、顎に手を当て考えてる。そんな真剣に考えなくても、俺達と行動するうえで違和感がなければそれでいいんだけど。
「――よし、決まった」
「…………早く行こう、出よう。今すぐだ」
「あれ、靖弥って人込み苦手だったっけ?」
「今まで避けて生活をしていたんだ、苦手にもなる」
「へぇ…………」
今俺達は、馬車で三十分くらいの所にある市場に来ている。市場というだけあって、結構人が多い。しかも、お店の人もめっちゃ声を張り上げているから耳が痛い。
紅音も夏楓も、この人込みは慣れていないのか、周りを忙しなく見回し、お互い肩を寄せ合っている。そんなに怖いのか。
でも、夏楓は巫女の仕事として買い出しとかしていたのでは? なんで、そんなに怯えているの?
『そもそも、賑わっている所に夏楓達巫女を生かせるわけがないでしょ。しっかりと人がいない場所や時間帯を指定して行かせていたに決まっているじゃん』
「そうなんだ、震えながら教えてくれてありがとう」
『だまれ』
魔魅ちゃんが震えて俺の腰に抱き着いて来ているのは仕方がないけど、まさか俺以外の人が全員人込み恐怖症だったなんて。
これはどうすればいいんだろうか。こんな、震えているみんなを引き連れて人込みを抜けて、かつ欲しい物を見つけて買うなんて無理だろ。
市場の中をよーく見てみると、周りには屋台みたいな店が沢山通路に沿って並び、テーブルも置かれていた。
その上に魚や野菜、果物まで、色んな種類がある。普通に買い物を楽しみたい気がするんだけど。
「……………………琴葉さんでも連れてくるんだった」
絶対にあの人はこういう人込み慣れているだろうし、うまい切り抜け方とかも知っていそう。今、どこにいるかわからないから呼べないけど。
「……………………はぁああ」
「およ?? 何やら見覚えのある人がため息をついておるのぉ。ほれ、飴でも舐めるかい?」
……………………ん? 口元近くに赤色の棒に刺さった飴が突然差し出された。
上を向くと、そこには目元を般若の面で隠した一人の男性が立っていた。腰を曲げて、俺と視線を合わせて来る。なんなんだろう、というか誰。
「およ? もしかして忘れたかい?」
「え、あの…………」
右肩に乗っている闇命君に目線を向けるけど、わかっていないみたいで目の前にいる男性を見上げている。鼻をヒクヒクと動かし、怪しんでいた。
「あの、本当に分からないのですが。一体誰ですか?」
「およよ…………。ワシの事を忘れたのかい? それはあまりに酷すぎないかい、煌命よ」
・・・・・・・・・・・・。
はいぃぃぃいいいいい??????
いやいやいや、今確実に”煌命”と名前を呼んでいた。煌命は、闇命君の父親。つまり、今の俺の姿が、この人には煌命という成人男性に見えているの?! ありえないだろ、ありえないだろ!!!
「魕様!! まったく、一人で行動しないでください。私の目の届く範囲に居ていただかなければ困ります!!」
「司、そう固い事を言うでないぞ。ワシは楽しみたいだけじゃ」
「それで他人に迷惑かけないでください…………あ」
あ、側近的な人が俺達に気づいたのか声をかけてきた。
ぱっちり二重に、短い黒髪。大きな丸縁眼鏡から覗く、揺れている水色の瞳が俺を映しだしていた。
服は袴、腰には刀。体が細く、小さいからよわよわしく見えるな。
「申し訳ありません!! 魕様が迷惑かけましたよね…………すいません…………」
「い、いえ、特に迷惑は…………」
「あ、そうなんですね。それならよかったです。では、私達はこれで」
そのまま側近の人は、その場から動こうとしない男性の腕を引っ張ろうとしている。
この人達、もしかしたらこの市場の常連さんなのでは?? それだったらここで捕まえておきたい!!!
「あの、すいません!! もしよかったら、道案内などお願いできませんか?」
☆
「なるほど、確かにそれでは難しいのぉ」
「そうなんですよ。俺一人ではさすがにこの人込みを、震えている人達を連れて歩く勇気がなかったです」
「ワシもそれはないのぉ」
今は人込みの中をうまく搔い潜りながら、魕様と歩いている。あと、後ろに靖弥。魕様で人除けしながら歩いているけど、俺の袖を掴んでいるから逆に歩きにくそう。
「まずは反物屋じゃな? 後ろの青年のを探しておるで間違いはないな」
「大丈夫です。どこか良い所ありますか?」
「そうじゃのぉ」
おっと、おい。道の真ん中でいきなり止まると、周りの人に迷惑だって。
「…………ふむ」
後に居た靖弥の格好を下から上までまじまじと見て、顎に手を当て考えてる。そんな真剣に考えなくても、俺達と行動するうえで違和感がなければそれでいいんだけど。
「――よし、決まった」
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