164 / 246
修行
信頼関係
しおりを挟む
ついて行く事数十分、目的地に辿り着いた。
「わぁ、やっぱり綺麗だねぇ」
「ここは俺達、水仙家が時代を超えてずっと守ってきた湖だからな。そう言ってもらえると先祖も喜ぶ」
目の前に広がる、光り輝く湖。森の中に広がっているから、周りに立ち並んでいる緑の木々が透き通っている湖に反射している。
魚とか泳いでいないのか、風でのみ、波紋が広がっている。本当に、綺麗。
「あまり近づき過ぎない方がいいぞ、引きずり込まれる」
「何に!?」
「何かに。もしかしたら人ならざるものが住んでいる――水神が住んでいる時点で、もう人ならざるモノが住んでいるいわく付きの湖だったな」
「なんて罰当たりな事を!? 今もこの会話を聞いていたらどうするんですか!?」
この人には怖いものはないのか!!! 頼むから変な事を言わないで!! 俺はまだこの世界でやらないといけないことがあるんだ、殺されたくないよ!!
「まぁ、その湖を使って修行するんだけどな」
「え?」
「俺が手本を見せるから、同じことをしてもらう。その前に準備するから少し待て」
「お、おう…………」
湖を使ってって、一体どんなことをするんだろうか。
水分さんは咳払いをして、湖について行く。
カサカサと自然の音が響き、鳥のさえずりも水分さんを歓迎しているように聞こえる。
いや、本当に水神様が水仙家の陰陽頭であるあの人を受け入れ、歓迎しているのかもしれない。
「『水神よ、水歌村に危険を及ぼした者の討伐の為、幾分力を貸していただきたい』」
右手の人差し指と中指を立て、口元近くで構える。目を閉じ、ゆっくりと息を吐いた。すると、先ほどまで静かだった湖に浮かぶ波紋が震え始める。
ぶくぶくと何かが出てくる気配を感じ始めた。
なんだ、あれ。湖から何かが出てくる?
白いと泡が弾け、どんどん水が盛り上がり始めた。
「闇命君、これって…………」
『さすがに予想外だね。まさか、ここで出会えるなんて。今までずっと、この村付近を守っていた神、水神!』
闇命君が名前を呼ぶのと同時に、大きな音と共に水しぶきが舞う。
思わず目を閉じ、手で抑えてしまった。冷たい!! 湖の水がものすごく冷たい!!
「…………―――え」
『うわぁ、これは、さすがの僕も相手にはしたくないな」
「するな!!」
目の前に姿を現した水の神は、竜の姿をしていた。
周りの光を反射する鱗、研ぎ澄まされた赤い瞳。太陽をも覆い隠してしまう程の大きさはある竜。見下ろされただけで体が動かなくなる。
これが本物の、神。
『何かございましたか、現主よ』
頭に直接届くような、低く、響く声。脳が、鼓膜が。いや、全ての感覚が揺れる声。
耳鳴りがする、これは慣れていないとちときつい。
「お兄ちゃん、大丈夫?」
「魔魅ちゃんは大丈夫なの? 体が重くなったり、耳鳴りとかしていない?」
「私は、大丈夫。お兄ちゃんが、心配」
「ありがとう、大丈夫だよ」
魔魅ちゃんの頭をなでると、まだ少し不安そうに見上げては来るが、水神様にまた目を向けた。夏楓も目を輝かせ、俺の隣で立ち尽くす。
「すごいですね、見ているだけで心が洗われるような感覚になります」
「圧はすごいけど、確かにそうだね」
闇命君も目を輝かせ、前にいる水神を見上げてる。やっぱり、こういうのには興味を持つのか。いや、興味を持たないわけがないか、生で神様を見れているんだから。
「水神、少しの間ここで修業がしたい。湖の水を使ってもいいか?」
『現主なのなら、聞き入れよう』
「ありがとう」
『また何かあれば、なんなりと』
「おう、ありがとな。必ず、お前が何千の時を守ってきた水歌村を復旧させてやるから。絶対に、平和な時を実現させる。それまで、待っていてくれ」
水分が手を伸ばすと、水神様が頭を下ろし近づかせた。優しく頬の部分を水分さんが撫で、おでこ同士をくっつける。
二人とも、なんか、幸せそう。お互いを大事にしているのがわかる。式神になんて恐れ多くてできないだろうけど、そのくらいの信頼関係とかありそうだもんね。
俺の式神達は、俺の事を信じてくれていたのだろうか。いや、最初は主である闇命君が口寄せした俺を信じていたかもしれない。でも、今はどうだろう。おそらく、俺の事は信じていないだろう。
当たり前だな、今まで何度失敗した。何度選択を間違えた、何度式神達に無理をさせてしまった。
――――待っていてほしい、俺が強くなるのを。今後、絶対に無理なんてさせない。もう、殺させないから。
また、一緒に戦ってほしいから、俺も強く――……
「わぁ、やっぱり綺麗だねぇ」
「ここは俺達、水仙家が時代を超えてずっと守ってきた湖だからな。そう言ってもらえると先祖も喜ぶ」
目の前に広がる、光り輝く湖。森の中に広がっているから、周りに立ち並んでいる緑の木々が透き通っている湖に反射している。
魚とか泳いでいないのか、風でのみ、波紋が広がっている。本当に、綺麗。
「あまり近づき過ぎない方がいいぞ、引きずり込まれる」
「何に!?」
「何かに。もしかしたら人ならざるものが住んでいる――水神が住んでいる時点で、もう人ならざるモノが住んでいるいわく付きの湖だったな」
「なんて罰当たりな事を!? 今もこの会話を聞いていたらどうするんですか!?」
この人には怖いものはないのか!!! 頼むから変な事を言わないで!! 俺はまだこの世界でやらないといけないことがあるんだ、殺されたくないよ!!
「まぁ、その湖を使って修行するんだけどな」
「え?」
「俺が手本を見せるから、同じことをしてもらう。その前に準備するから少し待て」
「お、おう…………」
湖を使ってって、一体どんなことをするんだろうか。
水分さんは咳払いをして、湖について行く。
カサカサと自然の音が響き、鳥のさえずりも水分さんを歓迎しているように聞こえる。
いや、本当に水神様が水仙家の陰陽頭であるあの人を受け入れ、歓迎しているのかもしれない。
「『水神よ、水歌村に危険を及ぼした者の討伐の為、幾分力を貸していただきたい』」
右手の人差し指と中指を立て、口元近くで構える。目を閉じ、ゆっくりと息を吐いた。すると、先ほどまで静かだった湖に浮かぶ波紋が震え始める。
ぶくぶくと何かが出てくる気配を感じ始めた。
なんだ、あれ。湖から何かが出てくる?
白いと泡が弾け、どんどん水が盛り上がり始めた。
「闇命君、これって…………」
『さすがに予想外だね。まさか、ここで出会えるなんて。今までずっと、この村付近を守っていた神、水神!』
闇命君が名前を呼ぶのと同時に、大きな音と共に水しぶきが舞う。
思わず目を閉じ、手で抑えてしまった。冷たい!! 湖の水がものすごく冷たい!!
「…………―――え」
『うわぁ、これは、さすがの僕も相手にはしたくないな」
「するな!!」
目の前に姿を現した水の神は、竜の姿をしていた。
周りの光を反射する鱗、研ぎ澄まされた赤い瞳。太陽をも覆い隠してしまう程の大きさはある竜。見下ろされただけで体が動かなくなる。
これが本物の、神。
『何かございましたか、現主よ』
頭に直接届くような、低く、響く声。脳が、鼓膜が。いや、全ての感覚が揺れる声。
耳鳴りがする、これは慣れていないとちときつい。
「お兄ちゃん、大丈夫?」
「魔魅ちゃんは大丈夫なの? 体が重くなったり、耳鳴りとかしていない?」
「私は、大丈夫。お兄ちゃんが、心配」
「ありがとう、大丈夫だよ」
魔魅ちゃんの頭をなでると、まだ少し不安そうに見上げては来るが、水神様にまた目を向けた。夏楓も目を輝かせ、俺の隣で立ち尽くす。
「すごいですね、見ているだけで心が洗われるような感覚になります」
「圧はすごいけど、確かにそうだね」
闇命君も目を輝かせ、前にいる水神を見上げてる。やっぱり、こういうのには興味を持つのか。いや、興味を持たないわけがないか、生で神様を見れているんだから。
「水神、少しの間ここで修業がしたい。湖の水を使ってもいいか?」
『現主なのなら、聞き入れよう』
「ありがとう」
『また何かあれば、なんなりと』
「おう、ありがとな。必ず、お前が何千の時を守ってきた水歌村を復旧させてやるから。絶対に、平和な時を実現させる。それまで、待っていてくれ」
水分が手を伸ばすと、水神様が頭を下ろし近づかせた。優しく頬の部分を水分さんが撫で、おでこ同士をくっつける。
二人とも、なんか、幸せそう。お互いを大事にしているのがわかる。式神になんて恐れ多くてできないだろうけど、そのくらいの信頼関係とかありそうだもんね。
俺の式神達は、俺の事を信じてくれていたのだろうか。いや、最初は主である闇命君が口寄せした俺を信じていたかもしれない。でも、今はどうだろう。おそらく、俺の事は信じていないだろう。
当たり前だな、今まで何度失敗した。何度選択を間違えた、何度式神達に無理をさせてしまった。
――――待っていてほしい、俺が強くなるのを。今後、絶対に無理なんてさせない。もう、殺させないから。
また、一緒に戦ってほしいから、俺も強く――……
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【魔女ローゼマリー伝説】~5歳で存在を忘れられた元王女の私だけど、自称美少女天才魔女として世界を救うために冒険したいと思います!~
ハムえっぐ
ファンタジー
かつて魔族が降臨し、7人の英雄によって平和がもたらされた大陸。その一国、ベルガー王国で物語は始まる。
王国の第一王女ローゼマリーは、5歳の誕生日の夜、幸せな時間のさなかに王宮を襲撃され、目の前で両親である国王夫妻を「漆黒の剣を持つ謎の黒髪の女」に殺害される。母が最後の力で放った転移魔法と「魔女ディルを頼れ」という遺言によりローゼマリーは辛くも死地を脱した。
15歳になったローゼは師ディルと別れ、両親の仇である黒髪の女を探し出すため、そして悪政により荒廃しつつある祖国の現状を確かめるため旅立つ。
国境の街ビオレールで冒険者として活動を始めたローゼは、運命的な出会いを果たす。因縁の仇と同じ黒髪と漆黒の剣を持つ少年傭兵リョウ。自由奔放で可愛いが、何か秘密を抱えていそうなエルフの美少女ベレニス。クセの強い仲間たちと共にローゼの新たな人生が動き出す。
これは王女の身分を失った最強天才魔女ローゼが、復讐の誓いを胸に仲間たちとの絆を育みながら、王国の闇や自らの運命に立ち向かう物語。友情、復讐、恋愛、魔法、剣戟、謀略が織りなす、ダークファンタジー英雄譚が、今、幕を開ける。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
ギャルい女神と超絶チート同盟〜女神に贔屓されまくった結果、主人公クラスなチート持ち達の同盟リーダーとなってしまったんだが〜
平明神
ファンタジー
ユーゴ・タカトー。
それは、女神の「推し」になった男。
見た目ギャルな女神ユーラウリアの色仕掛けに負け、何度も異世界を救ってきた彼に新たに下った女神のお願いは、転生や転移した者達を探すこと。
彼が出会っていく者たちは、アニメやラノベの主人公を張れるほど強くて魅力的。だけど、みんなチート的な能力や武器を持つ濃いキャラで、なかなか一筋縄ではいかない者ばかり。
彼らと仲間になって同盟を組んだユーゴは、やがて彼らと共に様々な異世界を巻き込む大きな事件に関わっていく。
その過程で、彼はリーダーシップを発揮し、新たな力を開花させていくのだった!
女神から貰ったバラエティー豊かなチート能力とチートアイテムを駆使するユーゴは、どこへ行ってもみんなの度肝を抜きまくる!
さらに、彼にはもともと特殊な能力があるようで……?
英雄、聖女、魔王、人魚、侍、巫女、お嬢様、変身ヒーロー、巨大ロボット、歌姫、メイド、追放、ざまあ───
なんでもありの異世界アベンジャーズ!
女神の使徒と異世界チートな英雄たちとの絆が紡ぐ、運命の物語、ここに開幕!
※不定期更新。
※感想やお気に入り登録をして頂けますと、作者のモチベーションがあがり、エタることなくもっと面白い話が作れます。
転生したら領主の息子だったので快適な暮らしのために知識チートを実践しました
SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
不摂生が祟ったのか浴槽で溺死したブラック企業務めの社畜は、ステップド騎士家の長男エルに転生する。
不便な異世界で生活環境を改善するためにエルは知恵を絞る。
14万文字執筆済み。2025年8月25日~9月30日まで毎日7:10、12:10の一日二回更新。
バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します
namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。
マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。
その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。
「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。
しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。
「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」
公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。
前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。
これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。
悪役皇子、ざまぁされたので反省する ~ 馬鹿は死ななきゃ治らないって… 一度、死んだからな、同じ轍(てつ)は踏まんよ ~
shiba
ファンタジー
魂だけの存在となり、邯鄲(かんたん)の夢にて
無名の英雄
愛を知らぬ商人
気狂いの賢者など
様々な英霊達の人生を追体験した凡愚な皇子は自身の無能さを痛感する。
それゆえに悪徳貴族の嫡男に生まれ変わった後、謎の強迫観念に背中を押されるまま
幼い頃から努力を積み上げていた彼は、図らずも超越者への道を歩み出す。
ブラック国家を制裁する方法は、性癖全開のハーレムを作ることでした。
タカハシヨウ
ファンタジー
ヴァン・スナキアはたった一人で世界を圧倒できる強さを誇り、母国ウィルクトリアを守る使命を背負っていた。
しかし国民たちはヴァンの威を借りて他国から財産を搾取し、その金でろくに働かずに暮らしている害悪ばかり。さらにはその歪んだ体制を維持するためにヴァンの魔力を受け継ぐ後継を求め、ヴァンに一夫多妻制まで用意する始末。
ヴァンは国を叩き直すため、あえてヴァンとは子どもを作れない異種族とばかり八人と結婚した。もし後継が生まれなければウィルクトリアは世界中から報復を受けて滅亡するだろう。生き残りたければ心を入れ替えてまともな国になるしかない。
激しく抵抗する国民を圧倒的な力でギャフンと言わせながら、ヴァンは愛する妻たちと甘々イチャイチャ暮らしていく。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる