憑依転生した先はクソ生意気な安倍晴明の子孫

桜桃-サクランボ-

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三人修行

謝罪と困惑

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「で、でた!!」

 百目が出てくれた!! やった、やった。

『今までの主の努力、しっかりと見届けさせていただいておりました』
「え、そうなの? なんか、恥ずかしいな」
『努力を恥じるなどおかしな話かと』
「ありがとう。でも、体の方は大丈夫? どこか痛いとか、苦しいとか。今までと感覚が違う所があれば教えてほしい。もし、気がかりなことがあれば、多分百目も本気で戦えないだろうから」

 目の前に立ち、見上げながら問いかける。すると、百目は目をぱちくりと瞬かせた後、小さく頷いた。

『問題はありません。今までの違いを上げますと、法力が零れることなく体の中に納まっているような感覚があります。悪い感覚ではないため、気にしなくてもよろしいかと』

 自身の手を見つめ、強く握る。真っすぐ黒い瞳を俺に向け、力強く頷いてくれた。嘘偽りなどはない。それは、百目の表情から見て取れる。

「百目、今まで本当にごめんなさい。不安な思いや痛い思いをさせてしまって。こんな頼りない奴が、大事な主の体の中に入ってしまって、本当は従いたくなかっただろ? 本当、ごめんさい」

 腰を折り、頭を下げて謝罪。さすがに驚いたのか、百目が慌てているような気配を感じる。

 今回は、俺の気持ちを汲み取ってか、闇命君は何も言わない。それが逆に、百目を困らせる結果となっているのか『え、あの、これは…………』と。困惑の声がずっと聞こえてくる。

 少しだけ顔を上げると、眉を下げどうすればいいのか悩んでいる百目の姿。まさか、こんな百目を見る事が出来るなんて思いもしなかったな。
 いつも冷静で、闇命君を侮辱や傷つけられなければ慌てるなんてこともなかったのに。これは本当に珍しい、ニヤニヤしてしまうよ。不謹慎だけど。

『主、もしかして私を馬鹿にしておられるのでしょうか』
「え、そ、そんなことはないよ。少し珍しいなって思ってさ。琴平みたいにいつも冷静で慌てる事なんて闇命君がらみでなければなかった百目が、今、慌ててる。困惑の声を上げている、さすがに珍しいなって思ってしまうよ」
『なるほど、これは私を陥れるための芝居だったという事ですね』
「違う違う違う!!!!」

 眉を顰めている百目、少し怒っているっぽい。いや、表情は特に変化がないけど。俺が怒っていると思っているから、脳が勝手に百目の表情を怒りの表情に変化させているんだな。

「えっと、ひとまず百目」
『はい』
「これから水分さんの式神と模擬戦するんだ。今まで一番お世話になって、信頼している式神を一体選んでと言われたから、百目にお願いしようと思ったんだけど、いいかな?」
『了解いたしました。私は戦闘に特化した式神よりかは劣りますが、全力を出させていただきます』

 今度は百目が腰を折り、敬意を見せる。よし、これならいける。

「それじゃ、百目。水分さんの式神である水妖を退治せよ!!」
『主の仰せのままに』

 言うと、百目は俺に背中を見せ水妖の前まで移動。腰に差している刀に左手を乗せ肩幅に両足を広げた。

「準備は整ったか。まさか、戦闘専用の式神ではなく、偵察を得意とする百目をこの場面で出すなんてな。少しばかり驚いたが、雰囲気的にこういう場も慣れているみたいだし、問題はないか」
『よろしくお願いします。主の顔に泥を塗らぬように務めさせていただきたいと思います』
「礼儀はしっかりとなっているみたいで安心したぞ。それじゃ、準備はいいか?」
『問題はありません、参ります』

 百目の準備も完了し、水分さんも札を持ち直し、戦闘がいつ始まってもおかしくない空気に。
 百目は腰を折り、右手で刀の柄を握り。水妖は今までの態勢から動かず空中に漂っている。俺も今流れている、緊張の糸が伸び切っている圧に負けないように札を握り直し、法力も指先に集め適度な量を送る。

 今、伸び切っている糸が切れたら、戦闘が始まる。
 集中を切らさず、いつでも百目を助けられるようにしておかないと。百目も腰を落とし、刀を握り直した。


 ――――――――ダンッ!!


 先に動き出したのは、風のごとき速さで地面を蹴った百目だった。瞬きする一瞬で水妖の目の前まで移動。

「水妖!!」

 水分さんが名前を呼ぶと、水妖は右手を頭の上まで振り上げた。すると、百目の足元が急にぬかるみ始める。すぐさま反応した百目は、まだ地面を蹴れる状態の時に上へと跳びそのまま刀を”カチン”と、音を鳴らしながら引き抜いた。
 体を空中で捻り、態勢を整え頭の上まで刀を振り上げる。水妖の頭上を取った百目は、狙いを定め刀を水妖の頭に振り下ろした。
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