憑依転生した先はクソ生意気な安倍晴明の子孫

桜桃-サクランボ-

文字の大きさ
183 / 246
三人修行

合わせ技

しおりを挟む
 また、緊張の空気が走る。

 物理は効かない、百目の体力的に持久戦も不可能。どうすれば……。

 あっ、そういえば、式神と一技之長いちぎのちょうを組み合わせる技があったはず。確か、妙技みょうぎとか呼ばれる技だったはずだ。
 闇命君の一技之長は”闇”。物理ではなく、属性魔法なら少しでもダメージを与える事が出来ないかな。

 でも、どうやって? 

 妙技って、今まで出会った人の中では安部家の陰陽頭しか使っていなかったはず。やり方はわからないし、実力を持っている人しか出来ないという高度な技。今すぐやろうとして、出来るものではない。

 俺に、出来るのか。いや、出来なければ水妖に勝てない。これは訓練だ、今やるべきだろう。

 陰陽頭、どうやって行っていたのか。思い出さなければ……。

「考える時間は与えんぞ、行け、水妖」
「嘘だろ!?」

 考える時間くらい頂戴よ! 本当の戦闘なら確かに時間なんて与えられないだろうけれども!

 水妖が水分さんの指示により、空中を泳ぐように百目へと近付いて行った。
 目の前まで来ると、百目は刀を振り上げ切ろうとしたが、刀が相手の体を切ってもすぐに再生してしまい意味はない。
 右手を伸ばしてきた水妖から逃げるように百目は距離を取り、後ろに下がった。

 まずいまずいまずい! 早く指示を出さないと! 闇命君みたいな、的確な指示。今後に繋がる、無駄のない指示を早く考えないと!!

『主、こちらは問題ないです!! 何かをお考えでしょう。そちらに集中してください』

 っ、気づいていたのか。

 水妖から放たれる水の攻撃や、地面から突き出す水の柱を受け流しながら百目が俺の心配をしてくれる。
 やっぱり、俺には闇命君みたいに的確な指示とかは無理なんだ。結局、式神である百目に無理をかけてしまう。

 闇命君みたいに、出来ないのなら。百目や他の式神に迷惑をかける結果となってしまうのなら。仕方がないな。

「――――百目」
『っ、はい』

 確かに、俺は闇命君じゃないし、紅音や琴平みたいに振舞うなんて不可能。人それぞれ違うんだ、やり方や考え、すべてが違う。人はみんな自分に合ったやり方で生活をしているし、戦闘を行っているはず。
 式神達には二人の思考を押し付ける結果となってしまうが、闇命君の信じてきた式神だ。多分、俺の無茶ぶりにも答えてくれるはず。百目なら特に、答えてくれるだろう。

 よし、俺のやり方で戦おう。もう、色々気にするのは諦めた。

「百目、俺は的確な指示を諦めた。だから、普通に俺なりの指示を出す。俺が考えている間、水妖を
『っ、ふっ。主の、仰せのままに』

 う、なんか心苦しい――と、思ったけど。百目、さっきより楽そう?

『主には、指一本触れさせません』

 刀を構え直し、百目が言い切った。なんか、生き生きしているなぁ。こんな指示の出し方でもいいのか。まぁ、百目なら問題ないだろうし任せよう。

 俺は俺で、この模擬戦を有効活用してやるよ。

「妙技、やってみるか」

 今は式神も無事に出す事が出来たし、一技之長いちぎのちょうも、刀があれば出す事が出来た。

 ん-、これを組み合わせるのかぁ。

 俺の手には今、人差し指と中指で挟まれている一枚のお札。このお札が、今の俺の武器となる。これに、精神力を纏わせる感覚でいいのかな。

 いや、考えるよりやってみよう。このような事は感覚が大事だから、やってみないとわからない。

「百目、今から新しい事を試すから、少し体に変な感覚が流れるかもしれない。大丈夫?」
『了解、問題ありません』

 水妖の攻撃を全て避けながら、俺の言葉に答えてくれる。百目の周りは水浸しで、すべての攻撃を避けきることが出来なかったのか、少し袴が濡れていた。
 体力も少なくなってきているみたいで、息が荒い。

 うぅ、ごめんなさい。変な指示を出して、百目にまたしても無理をかけてしまった。

 いや、今はそんなことを考えている時間はない、やるか。

「すぅ~、はぁ~」

 よし、肺を大きくして、空気を新しい物へと入れ替える。気持ちを落ち着かせて、お札に集中。今回は、法力だけに集中する訳にはいかない。法力と、精神力をうまく制御して、分配して。百目のお札に、一技之長いちぎのちょうを纏わせる。

 体の内側に意識、表にゆっくり出すような感覚。それを、右手に持っているお札に集中。送りすぎてしまうと百目に影響が出てしまうのも考えゆっくり。法力と精神力をうまくバランスよく分配して……。


 バランス、バランス…………


 ――――バタッ


「っ、百目!?」

 嘘!? なんで百目がうつぶせに倒れたの!? もしかして相手の攻撃をまともに食らってしまったとか!? いやいやいや、百目に限ってそれはないはず!! 

「百目ぇぇぇぇぇぇええええ!?!」
『あ、主、あの…………』
「え、何!?」

 良かった、意識はある!! 震えたような声だけど、本当に何があったの!?

『法力を、送ってください…………。あの、力が、入りません』
「え、あ。ごめんねぇぇぇぇえええ!?!?!?」

 急いで百目のお札に法力を送ると、百目は何事もなかったかのように立ち上がり袴の埃を払っている。

「うぅ、百目ぇぇぇえ、ごめんよぉぉおお」
『お気になさらず。さすがに少々驚きましたが、体に力が入らなくなっただけなので。一瞬、猛攻が途切れた時の奇跡な時でしたが…………』
「本当にごめんねぇぇぇええ」

 そうだよね!! 普通に百目は戦闘中だったんだから、いきなり力が抜けて動けなくなったら命に係わる。普通に攻撃されている途中だったら百目は倒されていたよ、確実に。

「何をしようとしたんだ?」
「えっと、新しい事に挑戦しようと思いまして…………」
「それがなんだと聞いているんだが?」

 それならもっと詳しく言ってくださいよ。

「妙技を、試そうと思いまして…………」
「あー、なるほどな。確かに、妙技を扱えるようになれば、戦闘はだいぶ楽になる。その分、扱えるようになるのは難しいけどな」
「ですよね…………」

 まぁ、そうだよなぁ。簡単に出来る技なら、みんなが試しているか。

『ねぇ、少し考えてみたんだけど。それを試してみてもいい?』
「え、闇命君?」

 いきなり闇命君が俺の隣まで移動してきて、そんなことを言った。

「別に俺は構わん。お前の考えは少し気になるしな、やってみろ」
『まぁ、出来るかわからないけどね。変な期待はしないで』

 あれ、俺は置いてけぼり?

『百目、今回も力が抜けたり、感覚がおかしくなるかもしれないけど、耐えられる? もし難しそうだったら、無理しなくていい』
『いえ、問題ありません』
『わかった、それじゃよろしくね』
『仰せのままに』

 え、ちょ、え? 俺を置いて行かないでほしんだけど? 俺は何をすればいいの?

『そんな不安がる必要はないよ。君は精神力の方。つまり、一技之長に集中していい。僕が、法力の方を負担する』
「え、そんなことできるの? というか、それだと俺が法力を扱えるようになった意味がないんだけど…………」
『今後何があっても対処できるようにの意味も込めて習得したでしょ。意味がないわけがない』

 あ、それもそっか。闇命君との繋がりが切れてしまった時でも、戦闘が行えるようにの意味もあったか。

「えっと、それじゃ、俺は本当に一技之長だけに集中するだけでいいんだね? 法力に集中しなくなると、百目がまた倒れたりしない?」
『今すぐに切らすと倒れるよ。僕とまだ繋がっていないからね、だから今は切らさないでよ? 百目にこれ以上迷惑かけないで』
「はい」

 闇命君が俺を睨みながら圧と共に言い放ってきた。本気度がうかがえるなぁ、俺もこれ以上百目に迷惑かけたくないからしないけど。

『繋げるからね』
「わかった」

 闇命君と手を重ねると、繋がった感覚が体を伝った。これで、法力の共有は完了。

 これから行うのは、闇命君と俺の合わせ技──だよな。一人でダメなら二人で妙技を行うって事か。

『そういう事。出来るかわからないけど、やってみる価値はあるかなって』
「確かに、俺一人では難しい。でも、闇命君が法力を制御してくれるのなら百人力だよ!!」
『黙れ』
「なんで!?!?」

 素直な意見を言ったら怒られました。なんなんだよこんちくしょう!!
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【魔女ローゼマリー伝説】~5歳で存在を忘れられた元王女の私だけど、自称美少女天才魔女として世界を救うために冒険したいと思います!~

ハムえっぐ
ファンタジー
かつて魔族が降臨し、7人の英雄によって平和がもたらされた大陸。その一国、ベルガー王国で物語は始まる。 王国の第一王女ローゼマリーは、5歳の誕生日の夜、幸せな時間のさなかに王宮を襲撃され、目の前で両親である国王夫妻を「漆黒の剣を持つ謎の黒髪の女」に殺害される。母が最後の力で放った転移魔法と「魔女ディルを頼れ」という遺言によりローゼマリーは辛くも死地を脱した。 15歳になったローゼは師ディルと別れ、両親の仇である黒髪の女を探し出すため、そして悪政により荒廃しつつある祖国の現状を確かめるため旅立つ。 国境の街ビオレールで冒険者として活動を始めたローゼは、運命的な出会いを果たす。因縁の仇と同じ黒髪と漆黒の剣を持つ少年傭兵リョウ。自由奔放で可愛いが、何か秘密を抱えていそうなエルフの美少女ベレニス。クセの強い仲間たちと共にローゼの新たな人生が動き出す。 これは王女の身分を失った最強天才魔女ローゼが、復讐の誓いを胸に仲間たちとの絆を育みながら、王国の闇や自らの運命に立ち向かう物語。友情、復讐、恋愛、魔法、剣戟、謀略が織りなす、ダークファンタジー英雄譚が、今、幕を開ける。  

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

ギャルい女神と超絶チート同盟〜女神に贔屓されまくった結果、主人公クラスなチート持ち達の同盟リーダーとなってしまったんだが〜

平明神
ファンタジー
 ユーゴ・タカトー。  それは、女神の「推し」になった男。  見た目ギャルな女神ユーラウリアの色仕掛けに負け、何度も異世界を救ってきた彼に新たに下った女神のお願いは、転生や転移した者達を探すこと。  彼が出会っていく者たちは、アニメやラノベの主人公を張れるほど強くて魅力的。だけど、みんなチート的な能力や武器を持つ濃いキャラで、なかなか一筋縄ではいかない者ばかり。  彼らと仲間になって同盟を組んだユーゴは、やがて彼らと共に様々な異世界を巻き込む大きな事件に関わっていく。  その過程で、彼はリーダーシップを発揮し、新たな力を開花させていくのだった!  女神から貰ったバラエティー豊かなチート能力とチートアイテムを駆使するユーゴは、どこへ行ってもみんなの度肝を抜きまくる!  さらに、彼にはもともと特殊な能力があるようで……?  英雄、聖女、魔王、人魚、侍、巫女、お嬢様、変身ヒーロー、巨大ロボット、歌姫、メイド、追放、ざまあ───  なんでもありの異世界アベンジャーズ!  女神の使徒と異世界チートな英雄たちとの絆が紡ぐ、運命の物語、ここに開幕! ※不定期更新。 ※感想やお気に入り登録をして頂けますと、作者のモチベーションがあがり、エタることなくもっと面白い話が作れます。

転生したら領主の息子だったので快適な暮らしのために知識チートを実践しました

SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
不摂生が祟ったのか浴槽で溺死したブラック企業務めの社畜は、ステップド騎士家の長男エルに転生する。 不便な異世界で生活環境を改善するためにエルは知恵を絞る。 14万文字執筆済み。2025年8月25日~9月30日まで毎日7:10、12:10の一日二回更新。

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

悪役皇子、ざまぁされたので反省する ~ 馬鹿は死ななきゃ治らないって… 一度、死んだからな、同じ轍(てつ)は踏まんよ ~

shiba
ファンタジー
魂だけの存在となり、邯鄲(かんたん)の夢にて 無名の英雄 愛を知らぬ商人 気狂いの賢者など 様々な英霊達の人生を追体験した凡愚な皇子は自身の無能さを痛感する。 それゆえに悪徳貴族の嫡男に生まれ変わった後、謎の強迫観念に背中を押されるまま 幼い頃から努力を積み上げていた彼は、図らずも超越者への道を歩み出す。

ブラック国家を制裁する方法は、性癖全開のハーレムを作ることでした。

タカハシヨウ
ファンタジー
ヴァン・スナキアはたった一人で世界を圧倒できる強さを誇り、母国ウィルクトリアを守る使命を背負っていた。 しかし国民たちはヴァンの威を借りて他国から財産を搾取し、その金でろくに働かずに暮らしている害悪ばかり。さらにはその歪んだ体制を維持するためにヴァンの魔力を受け継ぐ後継を求め、ヴァンに一夫多妻制まで用意する始末。 ヴァンは国を叩き直すため、あえてヴァンとは子どもを作れない異種族とばかり八人と結婚した。もし後継が生まれなければウィルクトリアは世界中から報復を受けて滅亡するだろう。生き残りたければ心を入れ替えてまともな国になるしかない。 激しく抵抗する国民を圧倒的な力でギャフンと言わせながら、ヴァンは愛する妻たちと甘々イチャイチャ暮らしていく。

処理中です...