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三人修行
合わせ技
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また、緊張の空気が走る。
物理は効かない、百目の体力的に持久戦も不可能。どうすれば……。
あっ、そういえば、式神と一技之長を組み合わせる技があったはず。確か、妙技とか呼ばれる技だったはずだ。
闇命君の一技之長は”闇”。物理ではなく、属性魔法なら少しでもダメージを与える事が出来ないかな。
でも、どうやって?
妙技って、今まで出会った人の中では安部家の陰陽頭しか使っていなかったはず。やり方はわからないし、実力を持っている人しか出来ないという高度な技。今すぐやろうとして、出来るものではない。
俺に、出来るのか。いや、出来なければ水妖に勝てない。これは訓練だ、今やるべきだろう。
陰陽頭、どうやって行っていたのか。思い出さなければ……。
「考える時間は与えんぞ、行け、水妖」
「嘘だろ!?」
考える時間くらい頂戴よ! 本当の戦闘なら確かに時間なんて与えられないだろうけれども!
水妖が水分さんの指示により、空中を泳ぐように百目へと近付いて行った。
目の前まで来ると、百目は刀を振り上げ切ろうとしたが、刀が相手の体を切ってもすぐに再生してしまい意味はない。
右手を伸ばしてきた水妖から逃げるように百目は距離を取り、後ろに下がった。
まずいまずいまずい! 早く指示を出さないと! 闇命君みたいな、的確な指示。今後に繋がる、無駄のない指示を早く考えないと!!
『主、こちらは問題ないです!! 何かをお考えでしょう。そちらに集中してください』
っ、気づいていたのか。
水妖から放たれる水の攻撃や、地面から突き出す水の柱を受け流しながら百目が俺の心配をしてくれる。
やっぱり、俺には闇命君みたいに的確な指示とかは無理なんだ。結局、式神である百目に無理をかけてしまう。
闇命君みたいに、出来ないのなら。百目や他の式神に迷惑をかける結果となってしまうのなら。仕方がないな。
「――――百目」
『っ、はい』
確かに、俺は闇命君じゃないし、紅音や琴平みたいに振舞うなんて不可能。人それぞれ違うんだ、やり方や考え、すべてが違う。人はみんな自分に合ったやり方で生活をしているし、戦闘を行っているはず。
式神達には二人の思考を押し付ける結果となってしまうが、闇命君の信じてきた式神だ。多分、俺の無茶ぶりにも答えてくれるはず。百目なら特に、答えてくれるだろう。
よし、俺のやり方で戦おう。もう、色々気にするのは諦めた。
「百目、俺は的確な指示を諦めた。だから、普通に俺なりの指示を出す。俺が考えている間、水妖を何とかしてくれ」
『っ、ふっ。主の、仰せのままに』
う、なんか心苦しい――と、思ったけど。百目、さっきより楽そう?
『主には、指一本触れさせません』
刀を構え直し、百目が言い切った。なんか、生き生きしているなぁ。こんな指示の出し方でもいいのか。まぁ、百目なら問題ないだろうし任せよう。
俺は俺で、この模擬戦を有効活用してやるよ。
「妙技、やってみるか」
今は式神も無事に出す事が出来たし、一技之長も、刀があれば出す事が出来た。
ん-、これを組み合わせるのかぁ。
俺の手には今、人差し指と中指で挟まれている一枚のお札。このお札が、今の俺の武器となる。これに、精神力を纏わせる感覚でいいのかな。
いや、考えるよりやってみよう。このような事は感覚が大事だから、やってみないとわからない。
「百目、今から新しい事を試すから、少し体に変な感覚が流れるかもしれない。大丈夫?」
『了解、問題ありません』
水妖の攻撃を全て避けながら、俺の言葉に答えてくれる。百目の周りは水浸しで、すべての攻撃を避けきることが出来なかったのか、少し袴が濡れていた。
体力も少なくなってきているみたいで、息が荒い。
うぅ、ごめんなさい。変な指示を出して、百目にまたしても無理をかけてしまった。
いや、今はそんなことを考えている時間はない、やるか。
「すぅ~、はぁ~」
よし、肺を大きくして、空気を新しい物へと入れ替える。気持ちを落ち着かせて、お札に集中。今回は、法力だけに集中する訳にはいかない。法力と、精神力をうまく制御して、分配して。百目のお札に、一技之長を纏わせる。
体の内側に意識、表にゆっくり出すような感覚。それを、右手に持っているお札に集中。送りすぎてしまうと百目に影響が出てしまうのも考えゆっくり。法力と精神力をうまくバランスよく分配して……。
バランス、バランス…………
――――バタッ
「っ、百目!?」
嘘!? なんで百目がうつぶせに倒れたの!? もしかして相手の攻撃をまともに食らってしまったとか!? いやいやいや、百目に限ってそれはないはず!!
「百目ぇぇぇぇぇぇええええ!?!」
『あ、主、あの…………』
「え、何!?」
良かった、意識はある!! 震えたような声だけど、本当に何があったの!?
『法力を、送ってください…………。あの、力が、入りません』
「え、あ。ごめんねぇぇぇぇえええ!?!?!?」
急いで百目のお札に法力を送ると、百目は何事もなかったかのように立ち上がり袴の埃を払っている。
「うぅ、百目ぇぇぇえ、ごめんよぉぉおお」
『お気になさらず。さすがに少々驚きましたが、体に力が入らなくなっただけなので。一瞬、猛攻が途切れた時の奇跡な時でしたが…………』
「本当にごめんねぇぇぇええ」
そうだよね!! 普通に百目は戦闘中だったんだから、いきなり力が抜けて動けなくなったら命に係わる。普通に攻撃されている途中だったら百目は倒されていたよ、確実に。
「何をしようとしたんだ?」
「えっと、新しい事に挑戦しようと思いまして…………」
「それがなんだと聞いているんだが?」
それならもっと詳しく言ってくださいよ。
「妙技を、試そうと思いまして…………」
「あー、なるほどな。確かに、妙技を扱えるようになれば、戦闘はだいぶ楽になる。その分、扱えるようになるのは難しいけどな」
「ですよね…………」
まぁ、そうだよなぁ。簡単に出来る技なら、みんなが試しているか。
『ねぇ、少し考えてみたんだけど。それを試してみてもいい?』
「え、闇命君?」
いきなり闇命君が俺の隣まで移動してきて、そんなことを言った。
「別に俺は構わん。お前の考えは少し気になるしな、やってみろ」
『まぁ、出来るかわからないけどね。変な期待はしないで』
あれ、俺は置いてけぼり?
『百目、今回も力が抜けたり、感覚がおかしくなるかもしれないけど、耐えられる? もし難しそうだったら、無理しなくていい』
『いえ、問題ありません』
『わかった、それじゃよろしくね』
『仰せのままに』
え、ちょ、え? 俺を置いて行かないでほしんだけど? 俺は何をすればいいの?
『そんな不安がる必要はないよ。君は精神力の方。つまり、一技之長に集中していい。僕が、法力の方を負担する』
「え、そんなことできるの? というか、それだと俺が法力を扱えるようになった意味がないんだけど…………」
『今後何があっても対処できるようにの意味も込めて習得したでしょ。意味がないわけがない』
あ、それもそっか。闇命君との繋がりが切れてしまった時でも、戦闘が行えるようにの意味もあったか。
「えっと、それじゃ、俺は本当に一技之長だけに集中するだけでいいんだね? 法力に集中しなくなると、百目がまた倒れたりしない?」
『今すぐに切らすと倒れるよ。僕とまだ繋がっていないからね、だから今は切らさないでよ? 百目にこれ以上迷惑かけないで』
「はい」
闇命君が俺を睨みながら圧と共に言い放ってきた。本気度がうかがえるなぁ、俺もこれ以上百目に迷惑かけたくないからしないけど。
『繋げるからね』
「わかった」
闇命君と手を重ねると、繋がった感覚が体を伝った。これで、法力の共有は完了。
これから行うのは、闇命君と俺の合わせ技──だよな。一人でダメなら二人で妙技を行うって事か。
『そういう事。出来るかわからないけど、やってみる価値はあるかなって』
「確かに、俺一人では難しい。でも、闇命君が法力を制御してくれるのなら百人力だよ!!」
『黙れ』
「なんで!?!?」
素直な意見を言ったら怒られました。なんなんだよこんちくしょう!!
物理は効かない、百目の体力的に持久戦も不可能。どうすれば……。
あっ、そういえば、式神と一技之長を組み合わせる技があったはず。確か、妙技とか呼ばれる技だったはずだ。
闇命君の一技之長は”闇”。物理ではなく、属性魔法なら少しでもダメージを与える事が出来ないかな。
でも、どうやって?
妙技って、今まで出会った人の中では安部家の陰陽頭しか使っていなかったはず。やり方はわからないし、実力を持っている人しか出来ないという高度な技。今すぐやろうとして、出来るものではない。
俺に、出来るのか。いや、出来なければ水妖に勝てない。これは訓練だ、今やるべきだろう。
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「考える時間は与えんぞ、行け、水妖」
「嘘だろ!?」
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目の前まで来ると、百目は刀を振り上げ切ろうとしたが、刀が相手の体を切ってもすぐに再生してしまい意味はない。
右手を伸ばしてきた水妖から逃げるように百目は距離を取り、後ろに下がった。
まずいまずいまずい! 早く指示を出さないと! 闇命君みたいな、的確な指示。今後に繋がる、無駄のない指示を早く考えないと!!
『主、こちらは問題ないです!! 何かをお考えでしょう。そちらに集中してください』
っ、気づいていたのか。
水妖から放たれる水の攻撃や、地面から突き出す水の柱を受け流しながら百目が俺の心配をしてくれる。
やっぱり、俺には闇命君みたいに的確な指示とかは無理なんだ。結局、式神である百目に無理をかけてしまう。
闇命君みたいに、出来ないのなら。百目や他の式神に迷惑をかける結果となってしまうのなら。仕方がないな。
「――――百目」
『っ、はい』
確かに、俺は闇命君じゃないし、紅音や琴平みたいに振舞うなんて不可能。人それぞれ違うんだ、やり方や考え、すべてが違う。人はみんな自分に合ったやり方で生活をしているし、戦闘を行っているはず。
式神達には二人の思考を押し付ける結果となってしまうが、闇命君の信じてきた式神だ。多分、俺の無茶ぶりにも答えてくれるはず。百目なら特に、答えてくれるだろう。
よし、俺のやり方で戦おう。もう、色々気にするのは諦めた。
「百目、俺は的確な指示を諦めた。だから、普通に俺なりの指示を出す。俺が考えている間、水妖を何とかしてくれ」
『っ、ふっ。主の、仰せのままに』
う、なんか心苦しい――と、思ったけど。百目、さっきより楽そう?
『主には、指一本触れさせません』
刀を構え直し、百目が言い切った。なんか、生き生きしているなぁ。こんな指示の出し方でもいいのか。まぁ、百目なら問題ないだろうし任せよう。
俺は俺で、この模擬戦を有効活用してやるよ。
「妙技、やってみるか」
今は式神も無事に出す事が出来たし、一技之長も、刀があれば出す事が出来た。
ん-、これを組み合わせるのかぁ。
俺の手には今、人差し指と中指で挟まれている一枚のお札。このお札が、今の俺の武器となる。これに、精神力を纏わせる感覚でいいのかな。
いや、考えるよりやってみよう。このような事は感覚が大事だから、やってみないとわからない。
「百目、今から新しい事を試すから、少し体に変な感覚が流れるかもしれない。大丈夫?」
『了解、問題ありません』
水妖の攻撃を全て避けながら、俺の言葉に答えてくれる。百目の周りは水浸しで、すべての攻撃を避けきることが出来なかったのか、少し袴が濡れていた。
体力も少なくなってきているみたいで、息が荒い。
うぅ、ごめんなさい。変な指示を出して、百目にまたしても無理をかけてしまった。
いや、今はそんなことを考えている時間はない、やるか。
「すぅ~、はぁ~」
よし、肺を大きくして、空気を新しい物へと入れ替える。気持ちを落ち着かせて、お札に集中。今回は、法力だけに集中する訳にはいかない。法力と、精神力をうまく制御して、分配して。百目のお札に、一技之長を纏わせる。
体の内側に意識、表にゆっくり出すような感覚。それを、右手に持っているお札に集中。送りすぎてしまうと百目に影響が出てしまうのも考えゆっくり。法力と精神力をうまくバランスよく分配して……。
バランス、バランス…………
――――バタッ
「っ、百目!?」
嘘!? なんで百目がうつぶせに倒れたの!? もしかして相手の攻撃をまともに食らってしまったとか!? いやいやいや、百目に限ってそれはないはず!!
「百目ぇぇぇぇぇぇええええ!?!」
『あ、主、あの…………』
「え、何!?」
良かった、意識はある!! 震えたような声だけど、本当に何があったの!?
『法力を、送ってください…………。あの、力が、入りません』
「え、あ。ごめんねぇぇぇぇえええ!?!?!?」
急いで百目のお札に法力を送ると、百目は何事もなかったかのように立ち上がり袴の埃を払っている。
「うぅ、百目ぇぇぇえ、ごめんよぉぉおお」
『お気になさらず。さすがに少々驚きましたが、体に力が入らなくなっただけなので。一瞬、猛攻が途切れた時の奇跡な時でしたが…………』
「本当にごめんねぇぇぇええ」
そうだよね!! 普通に百目は戦闘中だったんだから、いきなり力が抜けて動けなくなったら命に係わる。普通に攻撃されている途中だったら百目は倒されていたよ、確実に。
「何をしようとしたんだ?」
「えっと、新しい事に挑戦しようと思いまして…………」
「それがなんだと聞いているんだが?」
それならもっと詳しく言ってくださいよ。
「妙技を、試そうと思いまして…………」
「あー、なるほどな。確かに、妙技を扱えるようになれば、戦闘はだいぶ楽になる。その分、扱えるようになるのは難しいけどな」
「ですよね…………」
まぁ、そうだよなぁ。簡単に出来る技なら、みんなが試しているか。
『ねぇ、少し考えてみたんだけど。それを試してみてもいい?』
「え、闇命君?」
いきなり闇命君が俺の隣まで移動してきて、そんなことを言った。
「別に俺は構わん。お前の考えは少し気になるしな、やってみろ」
『まぁ、出来るかわからないけどね。変な期待はしないで』
あれ、俺は置いてけぼり?
『百目、今回も力が抜けたり、感覚がおかしくなるかもしれないけど、耐えられる? もし難しそうだったら、無理しなくていい』
『いえ、問題ありません』
『わかった、それじゃよろしくね』
『仰せのままに』
え、ちょ、え? 俺を置いて行かないでほしんだけど? 俺は何をすればいいの?
『そんな不安がる必要はないよ。君は精神力の方。つまり、一技之長に集中していい。僕が、法力の方を負担する』
「え、そんなことできるの? というか、それだと俺が法力を扱えるようになった意味がないんだけど…………」
『今後何があっても対処できるようにの意味も込めて習得したでしょ。意味がないわけがない』
あ、それもそっか。闇命君との繋がりが切れてしまった時でも、戦闘が行えるようにの意味もあったか。
「えっと、それじゃ、俺は本当に一技之長だけに集中するだけでいいんだね? 法力に集中しなくなると、百目がまた倒れたりしない?」
『今すぐに切らすと倒れるよ。僕とまだ繋がっていないからね、だから今は切らさないでよ? 百目にこれ以上迷惑かけないで』
「はい」
闇命君が俺を睨みながら圧と共に言い放ってきた。本気度がうかがえるなぁ、俺もこれ以上百目に迷惑かけたくないからしないけど。
『繋げるからね』
「わかった」
闇命君と手を重ねると、繋がった感覚が体を伝った。これで、法力の共有は完了。
これから行うのは、闇命君と俺の合わせ技──だよな。一人でダメなら二人で妙技を行うって事か。
『そういう事。出来るかわからないけど、やってみる価値はあるかなって』
「確かに、俺一人では難しい。でも、闇命君が法力を制御してくれるのなら百人力だよ!!」
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