憑依転生した先はクソ生意気な安倍晴明の子孫

桜桃-サクランボ-

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最終決戦

地獄からの地獄

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「応援要請の問題はこれで解決しましたね。次は何か気がかりはありますか?」
『その言葉は、僕達に手を貸してくれるって事でいいの?』
「えぇ、もちろん。だって―――」

 闇命君の質問に答えようとしているんだけど、なんか、目が、怪しい。ものすごく、怪しい。目がきらーんと輝いたような気がする。
 それは闇命君も感じたらしく、めっちゃ顔色が悪くなってるなぁ。

「この事件が終わったら、蘆屋道満について詳しく教えていただいたり、異世界についてや貴女がなぜ今二人なのか。先ほどよりもっと詳しく教えていただく為なので」
『…………ちなみになんだけど、仮にその申し出を断ったらどうなるの?』
「手を貸す事はしませんし、冷菓にも伝えておきます」
『…………わかったよ』

 闇命君でもさすがに勝てないみたいだね。当然か。

「約束していただけたようで何よりです。では、氷鬼家も全力を尽くしましょう。冷菓にもこの場に来ていただいた方が色々話が進みそうですね」

 パンパン!!

 いいながら月卯歌さんが唐突に手を叩いた。これで冷菓さんを呼んでいるの? いや、まさか、そんなことあるわけないか。


 ――――――――ガラッ


「まじで来たっ――え?」

 本当に今の拍手で冷菓さんが来たのかと思ったけど、どうやら違ったらしい。
 入ってきたのは、何か特徴があるわけではない普通の陰陽師。黒髪黒目の、普通の成人男性だ。

「いかがいたしましたか、月卯歌様」
「冷菓をここに連れてきてくれるかい?」
「かしこまりました」

 腰を深く折り、男性は俺達にも礼をして部屋を出て行った。

「今のは?」
「陰陽師ですよ。僕の監視をしている」
「監視されているんですか?」
「うまく潜り抜けることは出来ますがね。今回はあえてそのままにしてみたですよ。数分前からずっと襖の前にいたみたいですよ」

 紅音達もびっくりな事をサラッと言われてしまった。
 まったく気配に気づかなかったんだけど、まさか、そんなことある?

『だからこその、監視役ね』
「僕には意味ないですがね」
『気配消すの本当にうまいのにね、君が化け物なんじゃない?』
「よく言われますよ。僕にとっては褒め言葉、ありがとうございます」

 淡々と言っているけど、それは本心なのだろうか。いや、本心なのは表情を見ればわかる。先ほどと表情変わらないし、空気の変化もない。

『…………なんで、そんなこと言えるの?』

 闇命君の表情が硬くなった。同じ境遇なのに、考えが百八十度違うことへの疑問かな。

 闇命君は力を利用されて、自由がない環境だったから、自分がなんで天才なんだろうと言う考えが過っていたはず。
 口では”天才だから”と言っているけど、”普通”に憧れがあったはず。

 それが当たり前と思っていたからこそ、月卯歌さんの今の言葉が理解出来ないのだろう。

「ん? 当たり前でしょう。弱ければ誰も守れず、何もできない。そんな、自身が無力と感じる瞬間があるのは耐えられません。でしたら、周りに利用されようとも、自由が無かろうとも。力を使い数多くの命を救った方がいいと思っただけです。無力な自分に気づくのが、なによりも辛い事だと思いますので」


 ――――――――ドクンッ


 心臓が大きく波打つ。これは俺の感情じゃないな、闇命君のが流れ込んでいる。

 ということは、闇命君も同じ気持ちになったことがあるって事か? 無力だと、感じた事があるという事だろうか。

『…………そう、まぁ今はどうでもいいな』
「聞いて来たのはそっちじゃないですか」
『時間稼ぎだよ』

 ん? あ、廊下の方から人の気配。足音はしないけど、気配は近づいて来ている。
 さっきの監視役の人が冷菓さんを連れてきたみたいだな、はやぁ。

「お待たせいたしました」
「うん、ありがとう。冷菓もいきなり呼んでしまってごめんね。仕事中だったかな」

 腰を折り、部屋を後にした男性の後ろ。袴を身に纏い、背中に弓を背負っている冷菓さんが足音を立てずに入って来て、襖を閉じた。

「いきなり呼ばないでよ月卯歌、仕事中だったのわかっているでしょう」
「ごめんね。少々、事態が大きく動き出したみたいでね。我々も重い腰を上げないといけないみたいだよ」
「…………報酬は?」
「情報提供」
「あぁ、なるほど。君達、今回の件が終わったら、またしても地獄が始まるみたいですね。頑張ってください」

 …………今回の件が終わったら、どさくさに紛れて居なくなろうかな。そんなことを言われたら普通に怖いし、嫌だよ。
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