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大天狗
氷鬼先輩と鬼の血のお守り
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「ユキ」
『はい!! ごしゅじんじゃま!!』
すぐに司のもとにかけ寄る。
頭をなでてあげ、ユキを連れながら詩織と湊の元に近付いた。
「湊さん。詩織の鬼の血をいただいてもいいですか?」
「どうするつもりだい?」
「今、予想以上にヒョウリが絶好調なので、この機を逃したくないんですよ。なので、少々氷に細工をしようかなと思っています」
ニコッと笑い、手を差し出す。
詩織は自分の手を押さえ、司を見上げた。
「…………あの、司先輩」
「なんでしょう?」
「無理、しないでくださいね」
司がつるに巻き取られた時、次に落ちた時。詩織は、胸が締め付けられ怖かった。
自分の手の届かないところまで行ってしまうんじゃないかと、恐怖で体がふるえた。
今も、このまま手を伸ばさなければ、もう詩織のもとに戻って来てくれないんじゃないか。
もう、姿を見ることが出来ないんじゃないか。そう思ってしまい、思わず声をかけてしまった。
引き留めたい、行ってほしくない。
でも、ここで止まるわけにもいかない。ここで、止めるわけにもいかない。
(わかってる、これしか言えないのは、わかってる。わかっているけど、やっぱり、行ってほしくない…………)
顔をうつむかせていると、頭に温もりを感じた。
視線を上げると、司が優しそうな笑みを浮かべ、詩織を見ていた。
ドキッと心臓が高鳴り、ほんのり頬が赤くなる。
何も言えずにいると、司が口を開いた。
「心配してくれてありがとう。行ってくるよ。お守りを持ってね」
(え、お守り?)
頭から温もりが消え、バッと顔を上げると、司はもう背中を向け戦場に向かっていた。
その手には、鬼の血が混ざっている詩織の血が入っている小瓶がにぎられていた。
「お守りねぇ。確かに、お守りかもしれないな」
翔が面白そうにニヤニヤと司を見る。
何を言いたいのかわからない詩織は、翔を見た。
「君の血が、今の司にとって一番のお守りってこと」
ウインクをし、伝える。
最初はよくわからないと言いたげにまばたきをくり返したが、やっと理解できて、顔がりんごより真っ赤になってしまった。
「~~~~~~もう!!!!!」
「あはははっ!!」
後ろから聞こえる笑い声を聞きながら、司は大天狗を相手にしているヒョウリを見た。
隣に凜が近寄ってくる。
「どうするつもりなの?」
「ヒョウリをじくにこれを大天狗の口の中に入れ込みます。もちろん、凍らせて。攻撃に混ぜるのもいいかもしれませんね」
「なら、輪入道と鬼火は、ヒョウリの手伝い…………出来るのかなぁ」
「…………善処するだけでも大丈夫です、よろしくお願いします」
上を見るけど、ヒョウリが暴走している姿に二人はげんなりとしてしまった。
大天狗がくり出す突風や黑い羽などもすべて凍らせ、こわしていた。
大天狗がかすかに酔っているのもあり、互角に見える攻防を繰り返していた。
でも、互角では駄目。一手を取らなければならない。
「――あれ」
「あー……。また、輪入道の炎をヒョウリが凍らせちゃった。もう、なんでそんに敵視されてるの?」
凛の言葉に司は「あれ、使えるかも」と、ニヤリと笑う。
楽しそうにしている司を横目に、凜は首をかしげた。
「あの、輪入道の炎で大天狗を包み込むことって出来ますか?」
「出来なくはないと思うけど、燃えつくすのは無理よ? そこまでの力は、申し訳ないけど私たちにはないわ」
「大丈夫です、そこまでは求めていません。私も無理ですので。でも、ヒョウリがいれば、出来ます。そに、これもありますので」
司は凛に、赤い血が入っている小瓶を見せつけた。
これが鬼の血が含まれている詩織の血であることはすぐにわかった。
作戦を聞いた凜は、迷うことなく頷いた。
「では、やりましょうか」
二人は気を引き締め、見上げた。
ヒョウリが押され始めており、輪入道と鬼火がなんとか大天狗を抑え込んでいる状態だった。
これ以上は、持たない。早く手を打たなければならない。
「ヒョウリ!!」
「輪入道! 鬼火!」
それぞれが呼びかけると、式神達は自身の主を見た。
大天狗は『動き出したか』と警戒を高める。
それでも、攻撃方法は変わらない。
突風と黒い羽で式神を切りつける。
だが、本気で倒そうとしているようには見えず、司は舌打ちをこぼす。
「あそばれているような気がしますね」
「めっちゃむかつく」
退治屋としてのプライドもあり、凜は怒りをあらわにした。
「輪入道!! 大天狗を炎で燃やし尽くせ。鬼火は、火力を最大にしろ!!」
『『了解!!』』
ヒョウリも負けないように動き出そうとしたが、下からの殺気に近い視線を感じ、見る。
司と目が合ったかと思えば、体を大きくふるわせた。
顔を真っ青にして、『お、仰せのままに』と、大天狗を見た。
凛が隣を見るが狐面を付けているため、表情が見えない。
だが、暴走していたヒョウリが一目見ただけで怯え、動きを止めたところを見るに、知らない方がいいのだろうと思い、これ以上は深く考えないようにした。
輪入道たちが炎を大きく巻きあがらせ、大天狗を包み込む。
すぐに突風を吹き荒らし、抵抗した。
「ユキ」
『あい!!』
手を上げ元気に返事をすると、ユキは小さな手を頭の上まで上げ、つららをいくつも上空に作った。
『せいや!!』
と、大きな声と共に、つららが大天狗に降り注ぐ。
流石に避けないとまずいと思い、大天狗は大きな黒い翼を広げ、羽ばたかせた。
後ろに移動し、つららを避ける。
しゃくじょうをならし、つるを伸ばす。それは鬼火が炎で焼き尽くした。
次に、黒い翼から羽を大量に放つ。それは、ヒョウリが自ら動き凍らせ、こわした。
次から次とくり出される大天狗からの攻撃。一つ一つの範囲が広く、強大。かわすだけで精一杯だった。
そんな中で、ユキを自身へ引き戻した司は、小瓶を渡した。
「――――凍らせろ」
『はい!! ごしゅじんじゃま!!』
すぐに司のもとにかけ寄る。
頭をなでてあげ、ユキを連れながら詩織と湊の元に近付いた。
「湊さん。詩織の鬼の血をいただいてもいいですか?」
「どうするつもりだい?」
「今、予想以上にヒョウリが絶好調なので、この機を逃したくないんですよ。なので、少々氷に細工をしようかなと思っています」
ニコッと笑い、手を差し出す。
詩織は自分の手を押さえ、司を見上げた。
「…………あの、司先輩」
「なんでしょう?」
「無理、しないでくださいね」
司がつるに巻き取られた時、次に落ちた時。詩織は、胸が締め付けられ怖かった。
自分の手の届かないところまで行ってしまうんじゃないかと、恐怖で体がふるえた。
今も、このまま手を伸ばさなければ、もう詩織のもとに戻って来てくれないんじゃないか。
もう、姿を見ることが出来ないんじゃないか。そう思ってしまい、思わず声をかけてしまった。
引き留めたい、行ってほしくない。
でも、ここで止まるわけにもいかない。ここで、止めるわけにもいかない。
(わかってる、これしか言えないのは、わかってる。わかっているけど、やっぱり、行ってほしくない…………)
顔をうつむかせていると、頭に温もりを感じた。
視線を上げると、司が優しそうな笑みを浮かべ、詩織を見ていた。
ドキッと心臓が高鳴り、ほんのり頬が赤くなる。
何も言えずにいると、司が口を開いた。
「心配してくれてありがとう。行ってくるよ。お守りを持ってね」
(え、お守り?)
頭から温もりが消え、バッと顔を上げると、司はもう背中を向け戦場に向かっていた。
その手には、鬼の血が混ざっている詩織の血が入っている小瓶がにぎられていた。
「お守りねぇ。確かに、お守りかもしれないな」
翔が面白そうにニヤニヤと司を見る。
何を言いたいのかわからない詩織は、翔を見た。
「君の血が、今の司にとって一番のお守りってこと」
ウインクをし、伝える。
最初はよくわからないと言いたげにまばたきをくり返したが、やっと理解できて、顔がりんごより真っ赤になってしまった。
「~~~~~~もう!!!!!」
「あはははっ!!」
後ろから聞こえる笑い声を聞きながら、司は大天狗を相手にしているヒョウリを見た。
隣に凜が近寄ってくる。
「どうするつもりなの?」
「ヒョウリをじくにこれを大天狗の口の中に入れ込みます。もちろん、凍らせて。攻撃に混ぜるのもいいかもしれませんね」
「なら、輪入道と鬼火は、ヒョウリの手伝い…………出来るのかなぁ」
「…………善処するだけでも大丈夫です、よろしくお願いします」
上を見るけど、ヒョウリが暴走している姿に二人はげんなりとしてしまった。
大天狗がくり出す突風や黑い羽などもすべて凍らせ、こわしていた。
大天狗がかすかに酔っているのもあり、互角に見える攻防を繰り返していた。
でも、互角では駄目。一手を取らなければならない。
「――あれ」
「あー……。また、輪入道の炎をヒョウリが凍らせちゃった。もう、なんでそんに敵視されてるの?」
凛の言葉に司は「あれ、使えるかも」と、ニヤリと笑う。
楽しそうにしている司を横目に、凜は首をかしげた。
「あの、輪入道の炎で大天狗を包み込むことって出来ますか?」
「出来なくはないと思うけど、燃えつくすのは無理よ? そこまでの力は、申し訳ないけど私たちにはないわ」
「大丈夫です、そこまでは求めていません。私も無理ですので。でも、ヒョウリがいれば、出来ます。そに、これもありますので」
司は凛に、赤い血が入っている小瓶を見せつけた。
これが鬼の血が含まれている詩織の血であることはすぐにわかった。
作戦を聞いた凜は、迷うことなく頷いた。
「では、やりましょうか」
二人は気を引き締め、見上げた。
ヒョウリが押され始めており、輪入道と鬼火がなんとか大天狗を抑え込んでいる状態だった。
これ以上は、持たない。早く手を打たなければならない。
「ヒョウリ!!」
「輪入道! 鬼火!」
それぞれが呼びかけると、式神達は自身の主を見た。
大天狗は『動き出したか』と警戒を高める。
それでも、攻撃方法は変わらない。
突風と黒い羽で式神を切りつける。
だが、本気で倒そうとしているようには見えず、司は舌打ちをこぼす。
「あそばれているような気がしますね」
「めっちゃむかつく」
退治屋としてのプライドもあり、凜は怒りをあらわにした。
「輪入道!! 大天狗を炎で燃やし尽くせ。鬼火は、火力を最大にしろ!!」
『『了解!!』』
ヒョウリも負けないように動き出そうとしたが、下からの殺気に近い視線を感じ、見る。
司と目が合ったかと思えば、体を大きくふるわせた。
顔を真っ青にして、『お、仰せのままに』と、大天狗を見た。
凛が隣を見るが狐面を付けているため、表情が見えない。
だが、暴走していたヒョウリが一目見ただけで怯え、動きを止めたところを見るに、知らない方がいいのだろうと思い、これ以上は深く考えないようにした。
輪入道たちが炎を大きく巻きあがらせ、大天狗を包み込む。
すぐに突風を吹き荒らし、抵抗した。
「ユキ」
『あい!!』
手を上げ元気に返事をすると、ユキは小さな手を頭の上まで上げ、つららをいくつも上空に作った。
『せいや!!』
と、大きな声と共に、つららが大天狗に降り注ぐ。
流石に避けないとまずいと思い、大天狗は大きな黒い翼を広げ、羽ばたかせた。
後ろに移動し、つららを避ける。
しゃくじょうをならし、つるを伸ばす。それは鬼火が炎で焼き尽くした。
次に、黒い翼から羽を大量に放つ。それは、ヒョウリが自ら動き凍らせ、こわした。
次から次とくり出される大天狗からの攻撃。一つ一つの範囲が広く、強大。かわすだけで精一杯だった。
そんな中で、ユキを自身へ引き戻した司は、小瓶を渡した。
「――――凍らせろ」
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