20 / 130
凛
「お話をお聞かせ願えますか?」
しおりを挟む
部活中、凛はいつも通り星をターゲットにして憂さ晴らしをしている。
コート内にあるベンチの近くで、星はストレッチをしていたのだが、なぜか凛がわざわざ近付き言い放った。
「ちょっと、そこ邪魔なんだけど」
「す、すいません……」
星はそれに対して、何も言い返さずに素直に避け、違う所でストレッチを再開。
入部してからずっとこんな感じなため、星も気が滅入っており言い返す力すら無い。
目には隈ができており、夜もしっかり寝れていないのが分かる。
部活の時間は進み、今は自由練習の時間。
星は凛の練習風景を眺めながら険しい顔を浮かべている。
眉間には深い皺が刻まれており、彼女の練習風景に対し不審に思っているところがあった。
凛は取り巻きの一人と共にラリーの練習をしていた。
凛がサーブをし、佳恋はそれを綺麗に打ち返す。それをずっと続けている。
普通の練習風景に、何か違和感がありずっと見続けていた。
「…………あ! 私が入部した時から格段にラリーが長く続いているんだ……」
毎日練習をしていればそれは当たり前の事なのだが、凛が真剣に練習をしている所など見た事が無い。
いつも適当に練習しているし、真面目にやろうとしないため、自主練もする訳が無い。
なら、何故こんなにも上達しているのか。
星は壁打ちをしている真珠の所に行き、この疑問を聞いてみた。
「──確かに。どうして真面目に練習をやっていないのにあんなに上達しているの?」
真珠も不思議に思い凛と佳恋を見続けていた。
すると、視線に気付いたのか、凛がいきなり二人の方を向き笑みを浮かべた。
それは勝ち誇ったような表情で、星と真珠は困惑してしまい、どうする事も出来なかった。
※
学校の教室で星と真珠は凛達について話していた。
「絶対おかしいわよ! 顧問がいる時にしか真面目に練習しないのにあんなに上達するなんて」
「そうだけど………。でも、それを聞いたところで何も答えてくれないと思うよ?」
「ん~……」
二人で頭を悩ませるが、今の状況を打開する策が出てこない。
「どうすればいいんだろう……」
「直接言っても意味無いしね……。それにしても、なんで星ばかり狙うんだろう。私は星と一緒にいる時しか狙われないよ?」
「それは、わかんないけど……」
二人は溜息をつき、星はそのまま項垂れた。
「ほんと、最悪」
「星………」
頭を抱える星を見て、真珠は悲しそうな表情を向け、難しい顔を浮かべる。
その時、何かを思いつき、少し明るい声で星に問いかけた。
「ねぇ、もしかして羽彩先輩、噂の小屋に行ったんじゃない?」
「噂の小屋?」
顔を上げ、星は真珠に顔を向けた。聞き覚えがなく、首を傾げている。
「聞いた事ない? なんか、『どんなに固く閉じられた箱でも開けてくれる』って噂」
「なにそれ……。箱を開けたからって何か変わんの?」
「まぁ、だよね……」
星の苛立ちの声に、真珠はこれ以上何も言えなかった。
彼女の様子を見ればわかる。このままほっといてしまうと、今後どうなるか分からない。
今の段階で、凛のはもう"イタズラ"では済まされない。あれはもう"虐め"になっている。
真珠は星を見ながら、机に置いていた自身の手を、強く握った。
※
部活の終わりに真珠は、一人で林の前に立っていた。
空を見上げると月が顔を覗かせ、周りはもう暗くなり始めている。
不安げに林の中を覗き込むと、深い闇が広がっており入るのに躊躇してしまう。だが、ここまで来て引き返すのも嫌な真珠は、意を決して足を踏み出し、林の中へと入って行った。
外から見た通り中は暗く、月明かりが届いていない。
震える体を誤魔化すように携帯を片手に持ち、灯りをつけ歩いていた。
「やっぱり、こんな暗いと無理か」
携帯を確認すると、画面には"20:26"と表記されている。
「このまま進むと道に迷いそうだし、今日は諦めよう……」
時間的にももう遅いため、真珠は引き返そうと後ろを向く。だが、なぜかその場から動こうとはしない。
忙しなく周りを見回し、何度か片足を踏み出すがそれ以上進む事はなく、また違う所に目を向ける。
汗が一粒流れ落ち、恐怖という感情が瞳に宿っていた。
「……あれ、どっちに行けばいいんだっけ」
周りは緑で覆われており、どこを見ても同じ風景な。目印になる様な物も一切何も無い。
「ど、どうしよう……」
暗い林の中。真珠はとうとうその場にしゃがみこんでしまった。
とりあえず親に連絡しようと画面が暗くなってしまった携帯を開こうとするが──
「うそ。さっきまでちゃんと繋がってたのに!」
携帯には"圏外"と表示されていた。
これでは、誰とも連絡が取れない。
──────バサバサバサ
「ひっ!?」
静かな空間に鳥の羽ばたく音が響く。
それだけではなく、風が吹く度枝同士が重なる音や、虫の声などが耳に入り、それがまた不安感を煽る。
「どうしよう、怖い……」
体を震わせ、真珠がその場で縮こまっていると前の方から足音が聞こえた。
真珠は足音の方にゆっくりと顔を向けると、成人男性が彼女に手を差し伸べ立っている姿を見つける。
「こんな所に居ては風邪を引きますよ。とりあえず、私の小屋へどうぞ」
「あ……あなた……は……」
周りが暗く、逆光になってしまっているため男性がどのような表情をしているのか分からない。だが、声はすごく優しく心地よい。
真珠は戸惑いながらもその手を取り、立ち上がった。
「では、行きましょう。気をつけて付いてきてください」
男性は真珠が立ち上がった事を確認すると、先導して歩き出した。
置いていかれないように彼女は、怪訝そうな瞳を向けながら歩き出した。
男性に付いて行く事数分後、古い小屋が見えてきた。
「小屋だ……」
「さぁ、こちらへ」
男性は当たり前のように小屋のドアを開け、真珠を中へと促す。
「え、ここ……」
「貴方の悩み、閉じ込めてしまっている想い。私でよければ聞きますよ」
その言葉で、真珠は目を見開いた。
「うそ……」
その場に立ち止まっていると男性、明人は「どうぞ」と再度声をかけた。
真珠は促されるまま、小屋の中へと入る。
小屋の中はシンプルで、真ん中にテーブルとソファー、向かいに木製の椅子。
壁側には本棚が並べられており、奥の方にはドアがあり部屋はここだけでは無い事が分かる。
「では、こちらの方にお座り下さい」
言われるがまま、真珠は鞄を隣に置きソファーに腰を下ろす。
明人も向かいに置いてある椅子に座り、自己紹介を始めた。
「自己紹介をお先に失礼しますね。私は筺鍵明人と言います。ここで私は、『想いを閉じ込めてしまっている匣』をお持ちの方を待っているのです」
「あの、私は──」
「貴方は加々谷真珠さん。ですよね?」
真珠の言葉を遮り彼は言った。
その目は何もかもわかっているようで、黒い瞳が真珠の瞳を見通しているように感じる。
「まさか、貴方が来るとは思っていませんでしたが………。さて、お話をお聞かせ願えますか?」
明人の優しく美しい微笑みに魅了されながら、彼女は今までの出来事を話し始めた。
コート内にあるベンチの近くで、星はストレッチをしていたのだが、なぜか凛がわざわざ近付き言い放った。
「ちょっと、そこ邪魔なんだけど」
「す、すいません……」
星はそれに対して、何も言い返さずに素直に避け、違う所でストレッチを再開。
入部してからずっとこんな感じなため、星も気が滅入っており言い返す力すら無い。
目には隈ができており、夜もしっかり寝れていないのが分かる。
部活の時間は進み、今は自由練習の時間。
星は凛の練習風景を眺めながら険しい顔を浮かべている。
眉間には深い皺が刻まれており、彼女の練習風景に対し不審に思っているところがあった。
凛は取り巻きの一人と共にラリーの練習をしていた。
凛がサーブをし、佳恋はそれを綺麗に打ち返す。それをずっと続けている。
普通の練習風景に、何か違和感がありずっと見続けていた。
「…………あ! 私が入部した時から格段にラリーが長く続いているんだ……」
毎日練習をしていればそれは当たり前の事なのだが、凛が真剣に練習をしている所など見た事が無い。
いつも適当に練習しているし、真面目にやろうとしないため、自主練もする訳が無い。
なら、何故こんなにも上達しているのか。
星は壁打ちをしている真珠の所に行き、この疑問を聞いてみた。
「──確かに。どうして真面目に練習をやっていないのにあんなに上達しているの?」
真珠も不思議に思い凛と佳恋を見続けていた。
すると、視線に気付いたのか、凛がいきなり二人の方を向き笑みを浮かべた。
それは勝ち誇ったような表情で、星と真珠は困惑してしまい、どうする事も出来なかった。
※
学校の教室で星と真珠は凛達について話していた。
「絶対おかしいわよ! 顧問がいる時にしか真面目に練習しないのにあんなに上達するなんて」
「そうだけど………。でも、それを聞いたところで何も答えてくれないと思うよ?」
「ん~……」
二人で頭を悩ませるが、今の状況を打開する策が出てこない。
「どうすればいいんだろう……」
「直接言っても意味無いしね……。それにしても、なんで星ばかり狙うんだろう。私は星と一緒にいる時しか狙われないよ?」
「それは、わかんないけど……」
二人は溜息をつき、星はそのまま項垂れた。
「ほんと、最悪」
「星………」
頭を抱える星を見て、真珠は悲しそうな表情を向け、難しい顔を浮かべる。
その時、何かを思いつき、少し明るい声で星に問いかけた。
「ねぇ、もしかして羽彩先輩、噂の小屋に行ったんじゃない?」
「噂の小屋?」
顔を上げ、星は真珠に顔を向けた。聞き覚えがなく、首を傾げている。
「聞いた事ない? なんか、『どんなに固く閉じられた箱でも開けてくれる』って噂」
「なにそれ……。箱を開けたからって何か変わんの?」
「まぁ、だよね……」
星の苛立ちの声に、真珠はこれ以上何も言えなかった。
彼女の様子を見ればわかる。このままほっといてしまうと、今後どうなるか分からない。
今の段階で、凛のはもう"イタズラ"では済まされない。あれはもう"虐め"になっている。
真珠は星を見ながら、机に置いていた自身の手を、強く握った。
※
部活の終わりに真珠は、一人で林の前に立っていた。
空を見上げると月が顔を覗かせ、周りはもう暗くなり始めている。
不安げに林の中を覗き込むと、深い闇が広がっており入るのに躊躇してしまう。だが、ここまで来て引き返すのも嫌な真珠は、意を決して足を踏み出し、林の中へと入って行った。
外から見た通り中は暗く、月明かりが届いていない。
震える体を誤魔化すように携帯を片手に持ち、灯りをつけ歩いていた。
「やっぱり、こんな暗いと無理か」
携帯を確認すると、画面には"20:26"と表記されている。
「このまま進むと道に迷いそうだし、今日は諦めよう……」
時間的にももう遅いため、真珠は引き返そうと後ろを向く。だが、なぜかその場から動こうとはしない。
忙しなく周りを見回し、何度か片足を踏み出すがそれ以上進む事はなく、また違う所に目を向ける。
汗が一粒流れ落ち、恐怖という感情が瞳に宿っていた。
「……あれ、どっちに行けばいいんだっけ」
周りは緑で覆われており、どこを見ても同じ風景な。目印になる様な物も一切何も無い。
「ど、どうしよう……」
暗い林の中。真珠はとうとうその場にしゃがみこんでしまった。
とりあえず親に連絡しようと画面が暗くなってしまった携帯を開こうとするが──
「うそ。さっきまでちゃんと繋がってたのに!」
携帯には"圏外"と表示されていた。
これでは、誰とも連絡が取れない。
──────バサバサバサ
「ひっ!?」
静かな空間に鳥の羽ばたく音が響く。
それだけではなく、風が吹く度枝同士が重なる音や、虫の声などが耳に入り、それがまた不安感を煽る。
「どうしよう、怖い……」
体を震わせ、真珠がその場で縮こまっていると前の方から足音が聞こえた。
真珠は足音の方にゆっくりと顔を向けると、成人男性が彼女に手を差し伸べ立っている姿を見つける。
「こんな所に居ては風邪を引きますよ。とりあえず、私の小屋へどうぞ」
「あ……あなた……は……」
周りが暗く、逆光になってしまっているため男性がどのような表情をしているのか分からない。だが、声はすごく優しく心地よい。
真珠は戸惑いながらもその手を取り、立ち上がった。
「では、行きましょう。気をつけて付いてきてください」
男性は真珠が立ち上がった事を確認すると、先導して歩き出した。
置いていかれないように彼女は、怪訝そうな瞳を向けながら歩き出した。
男性に付いて行く事数分後、古い小屋が見えてきた。
「小屋だ……」
「さぁ、こちらへ」
男性は当たり前のように小屋のドアを開け、真珠を中へと促す。
「え、ここ……」
「貴方の悩み、閉じ込めてしまっている想い。私でよければ聞きますよ」
その言葉で、真珠は目を見開いた。
「うそ……」
その場に立ち止まっていると男性、明人は「どうぞ」と再度声をかけた。
真珠は促されるまま、小屋の中へと入る。
小屋の中はシンプルで、真ん中にテーブルとソファー、向かいに木製の椅子。
壁側には本棚が並べられており、奥の方にはドアがあり部屋はここだけでは無い事が分かる。
「では、こちらの方にお座り下さい」
言われるがまま、真珠は鞄を隣に置きソファーに腰を下ろす。
明人も向かいに置いてある椅子に座り、自己紹介を始めた。
「自己紹介をお先に失礼しますね。私は筺鍵明人と言います。ここで私は、『想いを閉じ込めてしまっている匣』をお持ちの方を待っているのです」
「あの、私は──」
「貴方は加々谷真珠さん。ですよね?」
真珠の言葉を遮り彼は言った。
その目は何もかもわかっているようで、黒い瞳が真珠の瞳を見通しているように感じる。
「まさか、貴方が来るとは思っていませんでしたが………。さて、お話をお聞かせ願えますか?」
明人の優しく美しい微笑みに魅了されながら、彼女は今までの出来事を話し始めた。
0
あなたにおすすめの小説
番を拒み続けるΩと、執着を隠しきれないαが同じ学園で再会したら逃げ場がなくなった話 ――優等生αの過保護な束縛は恋か支配か
雪兎
BL
第二性が存在する世界。
Ωであることを隠し、平穏な学園生活を送ろうと決めていた転校生・湊。
しかし入学初日、彼の前に現れたのは――
幼い頃に「番になろう」と言ってきた幼馴染のα・蓮だった。
成績優秀、容姿端麗、生徒から絶大な信頼を集める完璧なα。
だが湊だけが知っている。
彼が異常なほど執着深いことを。
「大丈夫、全部管理してあげる」
「君が困らないようにしてるだけだよ」
座席、時間割、交友関係、体調管理。
いつの間にか整えられていく環境。
逃げ場のない距離。
番を拒みたいΩと、手放す気のないα。
これは保護か、それとも束縛か。
閉じた学園の中で、二人の関係は静かに歪み始める――。
大根令嬢の雑学無双、王弟殿下を添えて。~ 前世を思い出したので、許婚をほったらかして人助けしまくります!!
古森真朝
恋愛
気弱な伯爵令嬢のカレンは、自分勝手な婚約者レナートに振り回されていた。耐え続けていたある日、舞踏会で何者かに突き飛ばされ、階段から落ちてしまう。
その傷が元で儚く……なるかと思いきや。衝撃で前世を思い出したカレンは一転、かの『ド根性大根』みたいな超・ポジティブ人間になっていた。
『モラハラ婚約者の思惑なんぞ知るか!! 今度こそ好きなことやって、目いっぱい幸せに長生きするんだから!!!』
昔ひたすら読書に耽って身に着けた『雑学』を武器に、うっかり採れ過ぎた作物や、開墾しようとすると不幸に見舞われる土地、不治の病にかかった王族、等々の問題をどんどん解決。
領地の内外で心強い友人が出来たり、いつの間にかものすごく有名になっていたり、何かと協力してくれる王弟ヴィクトルから好意を寄せられたり(注:気付いてない)する中、温かい家族と共に仕事に励んでいく。
一方、前世から因縁のある人々もまた、こちらに転生していて――
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
火輪の花嫁 ~男装姫は孤高の王の夢をみる~
秦朱音|はたあかね
キャラ文芸
王を中心に五家が支配する、綺羅ノ国。
五家に覡(かんなぎ)として仕える十六夜家の娘、久遠(くおん)は、幼い頃から男として育てられてきた。
都では陽を司る日紫喜家の王が崩御し、素行の悪さで有名な新王・燦(さん)が即位する。燦の后選びに戦々恐々とする五家だったが、燦は十六夜家の才である「夢見」を聞いて后を選ぶと言い始めた。そして、その夢見を行う覡に、燦は男装した久遠を指名する。
見習いの僕がこの国の后を選ぶなんて、荷が重すぎる――!
久遠の苦悩を知ってか知らずか、燦は強引に久遠を寝室に呼んで夢見を命じる。しかし、初めて出会ったはずの久遠と燦の夢には、とある共通点があって――?
謎に包まれた過去を持ち身分を隠す男装姫と、孤独な王の恋と因縁を描く、和風王宮ファンタジー。
※カクヨムにも先行で投稿しています
忘れ去られた婚約者
かべうち右近
恋愛
『僕はレベッカしか選ばない』
甘い声音でそう話したはずの王太子サイラスは、レベッカを忘れてしまった。
レベッカは、王太子サイラスと付き合っていることを、ある事情により隠していた。舞踏会で関係を公表し、婚約者に指名される予定だったのに、舞踊会の夜にサイラスは薬を盛られて倒れ、記憶喪失になってしまう。
恋人が誰なのかわからないのをいいことに、偽の恋人が次々と名乗りをあげ王太子の婚約者の座を狙ってくる。おかげで不信に陥ったサイラスに、レベッカは自分が恋人だと名乗り出せなくなってしまった。
サイラスの記憶喪失を解消するため、薬師兼魔女であるレベッカは恋人であることを隠しながら、事件調査を協力することになった。そうして記憶が戻らないまま二人の距離は再び近づいていく。だが、そんなおりにサイラスの偽の恋人を名乗りでた令嬢たちが、次々と襲われる事件も起き始めて……!?
※他のサイトにも掲載しています。
毎日更新です。
『魔力ゼロの欠陥品』と蔑まれた伯爵令嬢、卒業パーティーで婚約破棄された瞬間に古代魔法が覚醒する ~虐げられ続けた三年間、倍返しでは足りない~
スカッと文庫
恋愛
「貴様のような無能、我が国の王妃には相応しくない。婚約を破棄し、学園から追放する!」
王立魔道学園の卒業パーティー。きらびやかなシャンデリアの下、王太子エドワードの声が冷酷に響いた。彼の隣には、愛くるしい表情で私を嵌めた男爵令嬢、ミナが勝ち誇ったように寄り添っている。
伯爵令嬢のリリアーヌは、入学以来三年間、「魔力ゼロの欠陥品」として学園中の嘲笑を浴び続けてきた。
婚約者であるエドワードからは一度も顧みられず、同級生からはゴミのように扱われ、ミナの自作自演による「いじめ」の濡れ衣まで着せられ……。
それでも、父との「力を隠せ」という約束を守るため、泥を啜るような屈辱に耐え抜いてきた。
――だが、国からも学園からも捨てられた今、もうその約束を守る必要はない。
「さようなら、皆様。……私が消えた後、この国がどうなろうと知ったことではありませんわ」
リリアーヌが身につけていた「魔力封印の首飾り」を自ら引き千切った瞬間、会場は漆黒の魔力に包まれた。
彼女は無能などではない。失われた「古代魔法」をその身に宿す、真の魔道の主だったのだ。
絶望する王太子たちを余目に、隣国の伝説の魔術師アルベルトに拾われたリリアーヌ。
彼女の、残酷で、甘美な復讐劇が今、幕を開ける――。
【大賞・完結】地味スキル《お片付け》は最強です!社畜OL、異世界でうっかり国を改革しちゃったら、騎士団長と皇帝陛下に溺愛されてるんですが!?
旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
【第18回ファンタジー小説大賞で大賞をいただきました】→【規約変更で書籍化&コミカライズ「確約」は取り消しになりました。】
佐藤美佳子(サトウ・ミカコ)、享年28歳。死因は、過労。連日の徹夜と休日出勤の果てに、ブラック企業のオフィスで静かに息を引き取った彼女が次に目覚めたのは、剣と魔法のファンタジー世界だった。
新たな生を受けたのは、田舎のしがない貧乏貴族の娘、ミカ・アシュフィールド、16歳。神様がくれた転生特典は、なんと《完璧なる整理整頓》という、とんでもなく地味なスキルだった。
「せめて回復魔法とかが良かった……」
戦闘にも生産にも役立たないスキルに落胆し、今度こそは静かに、穏やかに生きたいと願うミカ。しかし、そんな彼女のささやかな望みは、王家からの突然の徴収命令によって打ち砕かれる。
「特殊技能持ちは、王宮へ出仕せよ」
家族を守るため、どうせ役立たずと追い返されるだろうと高をくくって王都へ向かったミカに与えられた任務は、あまりにも無謀なものだった。
「この『開かずの倉庫』を、整理せよ」
そこは、数百年分の備品や資材が山と積まれ、あまりの混沌ぶりに探検隊が遭難したとまで噂される、王家最大の禁足地。
絶望的な光景を前に、ミカが覚悟を決めてスキルを発動した瞬間――世界は、彼女の「お片付け」が持つ真の力に震撼することになる。
これは、地味スキルでうっかり国のすべてを最適化してしまった元社畜令嬢が、カタブツな騎士団長や有能すぎる皇帝陛下にその価値を見出され、なぜか過保護に甘やかされてしまう、お仕事改革ファンタジー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる