71 / 130
音禰
「記憶を返せ」
しおりを挟む
明人は無言のまま歩き続け、看護師が口にしていた『神霧音禰』と書かれたプレートが付いているドアの前で立ち止まった。
「ここかい?」
「らしいな」
ドアを開けようと右手を添えると、中から魔蛭の声が聞こえ止めた。
『今日は遅くなってごめん。道が混んでてさ』
今まで明人に向けていた怒りと憎しみに満ちた声とは違い、相手を思い合っているような優しげな声。でも、その声は沈んでおり、悲しげにも聞こえる。そんな声に対し、何も返答はない。
『早く諦めてくれればいいものの。そうすれば、音禰は目を覚ます事が出来るのに……』
優しげな声から憎しみの籠った声に変わる。苦し気で、我慢しているような声。それを聞き、明人はドアから手を離し立ち尽くす。
『音禰が目を覚まさなくなってから約四年。俺は早く、君の声が聞きたいよ』
明人は今の言葉に肩眉を上げる。
「四年。俺が記憶を失った時に音禰とやらは倒れたのか? そして、魔蛭の何かしらの関係。恋人、友達、家族。………いや、どれでもない気がするな」
「なぜだ?」
「なんとなくだ」
顎に手を当て考え込み、彼はそのまま黙ってしまった。カクリも同じく口を閉じ、部屋の中の声に集中する。
『俺は君に早く目覚めて欲しい。でも、その前に必ずあいつを殺さなければならない。荒木相思を……』
憎しみの籠った声で聞き覚えのある名前を口にした。だが、明人はそのまま何も反応を見せない。
『必ず相思を殺し、お前を俺のモノにする。もう、苦しまなくていい。俺が幸せにしてみせる。だから、俺を見てくれないか。相思も、それを願っている』
魔蛭の最後の言葉に、明人は下げていた目線を上げドアに鋭い目線を向けた。
「勝手な事、言ってんじゃねぇよ」
嫌悪や憎悪といった感情が明人の言葉に含まれている。腕を組み、音を立てないように気をつけながら、ドアに背中を付け寄りかかる。
『必ず、相思からお前を奪う。そして、俺だけのモノにする。誰にも──例え元幼馴染が相手だとしても。俺は、お前を諦めない』
今の言葉に、明人は驚きの表情を浮かべた。それはカクリも同じで、ドアの方を凝視する。
「幼馴染……。相思とは明人の事では無いのかい?」
「…………知らん」
明人が吐き捨てると、ドアに預けていた背中を動かし立ち直す。振り向き、右手をドアに添えた。すると、なんもためらいもせず、ガラッっと。勢いよくドアを開けた。
中には驚きの表情を浮かべた魔蛭が明人を凝視し、ベットには綺麗な女性が横になっていた。
「なっ、んで……。お前らがここに……」
「お前が居たから後を追いかけた。病気なのかと期待したがまさかの見舞いなんてな。ちゃんと人の心はあるみたいじゃねぇか。俺は安心したぜ、マヒルさん?」
中へ堂々と入り、魔蛭の向かいに立つ。目線は彼の後ろ、ベットで横になっている女性に目を向けられていた。
茶髪の長い髪に、透き通るような白い肌。誰が見ても『綺麗』と答えるような容姿をしている女性が瞳を閉じ、そこにいた。
「こいつが神霧音禰か。お前となんの関係性なんだよ。それに、相思を殺す。それは俺に殺人予告してるって事か? それとも他の奴?」
「それを直接聞くのは明人ぐらいだと思うぞ……」
明人は躊躇う事なく直接魔蛭に問いかけてる。どう返せばいいのかわからず、彼は目を泳がせるだけで返答はない。
「いつまでアホ面晒しているつもりだ。気持ちわりぃな」
げんなりとしているような、心底嫌そうな表情を魔蛭へ向け吐き捨てた。
「いや……。いやいやいや。なにお前堂々とそれを俺に聞くんだ?! つーか、なぜ普通でいられる?! なんでここにいんだよ?!」
「質問は一つずつゆっくり言えや。そんな一気に質問して答えられると思ってんのか? 相手の気持ちになって物事を考えろよ。それだから無駄に争いが増え面倒な人間になって最終的にはハブられるんだよ。あと、最後の質問はさっき答えたからそのハエなみの脳みそで思い出してろニワトリが」
明人の言葉に魔蛭は怒りが込み上げ、拳を握り震わせる。カクリも、今回は魔蛭に同感し小さく頷いていた。
「この女。あの新聞の──」
「新聞? 何の話だクズ男」
「うるせぇ。最低限の会話以外は認めねぇよニワトリ」
相手の悪口は必ず会話に混ぜこみながらも、しっかりと会話を続け二人を見て、カクリは小さく「似た者同士」と呟いていた。
「んで、俺を恨んでいるようだが。記憶がなければ謝罪も何も出来ねぇだろうがグズ蛭君」
「どうせ謝罪もクソもする気ねぇだろうが。社会の常識や相手の思考、感情その他もろもろを全く考えないアホ人君は」
「なぜ普通に会話が出来ぬ……」
カクリの呆れ声に、真顔のままそちらを見る二人。
「御託はどうでもいいわ。本題に入らせてもらう」
「断る」
明人の言葉を即答で拒否する魔蛭だが、そのような事を気にする彼ではなかったため、そのまま話が続いた。
「この女とお前はどんな関係だ? それで、俺はお前らとどんな接点がある。いや──記憶を返せ。その方が手っ取り早い」
「俺が奪った証拠あんのかよ」
「今までの言葉とさっきの独り言から察するにそういう事だろ」
「盗み聞きか? 最低だな」
「人の想いを簡単にドブに捨てる奴に言われたくねぇわ」
淡々と話が進んでいるように見えるが、内容は全く進んでいない。
カクリは溜息をつきながら、音禰の手を握り何かを確認し始めた。
「ここかい?」
「らしいな」
ドアを開けようと右手を添えると、中から魔蛭の声が聞こえ止めた。
『今日は遅くなってごめん。道が混んでてさ』
今まで明人に向けていた怒りと憎しみに満ちた声とは違い、相手を思い合っているような優しげな声。でも、その声は沈んでおり、悲しげにも聞こえる。そんな声に対し、何も返答はない。
『早く諦めてくれればいいものの。そうすれば、音禰は目を覚ます事が出来るのに……』
優しげな声から憎しみの籠った声に変わる。苦し気で、我慢しているような声。それを聞き、明人はドアから手を離し立ち尽くす。
『音禰が目を覚まさなくなってから約四年。俺は早く、君の声が聞きたいよ』
明人は今の言葉に肩眉を上げる。
「四年。俺が記憶を失った時に音禰とやらは倒れたのか? そして、魔蛭の何かしらの関係。恋人、友達、家族。………いや、どれでもない気がするな」
「なぜだ?」
「なんとなくだ」
顎に手を当て考え込み、彼はそのまま黙ってしまった。カクリも同じく口を閉じ、部屋の中の声に集中する。
『俺は君に早く目覚めて欲しい。でも、その前に必ずあいつを殺さなければならない。荒木相思を……』
憎しみの籠った声で聞き覚えのある名前を口にした。だが、明人はそのまま何も反応を見せない。
『必ず相思を殺し、お前を俺のモノにする。もう、苦しまなくていい。俺が幸せにしてみせる。だから、俺を見てくれないか。相思も、それを願っている』
魔蛭の最後の言葉に、明人は下げていた目線を上げドアに鋭い目線を向けた。
「勝手な事、言ってんじゃねぇよ」
嫌悪や憎悪といった感情が明人の言葉に含まれている。腕を組み、音を立てないように気をつけながら、ドアに背中を付け寄りかかる。
『必ず、相思からお前を奪う。そして、俺だけのモノにする。誰にも──例え元幼馴染が相手だとしても。俺は、お前を諦めない』
今の言葉に、明人は驚きの表情を浮かべた。それはカクリも同じで、ドアの方を凝視する。
「幼馴染……。相思とは明人の事では無いのかい?」
「…………知らん」
明人が吐き捨てると、ドアに預けていた背中を動かし立ち直す。振り向き、右手をドアに添えた。すると、なんもためらいもせず、ガラッっと。勢いよくドアを開けた。
中には驚きの表情を浮かべた魔蛭が明人を凝視し、ベットには綺麗な女性が横になっていた。
「なっ、んで……。お前らがここに……」
「お前が居たから後を追いかけた。病気なのかと期待したがまさかの見舞いなんてな。ちゃんと人の心はあるみたいじゃねぇか。俺は安心したぜ、マヒルさん?」
中へ堂々と入り、魔蛭の向かいに立つ。目線は彼の後ろ、ベットで横になっている女性に目を向けられていた。
茶髪の長い髪に、透き通るような白い肌。誰が見ても『綺麗』と答えるような容姿をしている女性が瞳を閉じ、そこにいた。
「こいつが神霧音禰か。お前となんの関係性なんだよ。それに、相思を殺す。それは俺に殺人予告してるって事か? それとも他の奴?」
「それを直接聞くのは明人ぐらいだと思うぞ……」
明人は躊躇う事なく直接魔蛭に問いかけてる。どう返せばいいのかわからず、彼は目を泳がせるだけで返答はない。
「いつまでアホ面晒しているつもりだ。気持ちわりぃな」
げんなりとしているような、心底嫌そうな表情を魔蛭へ向け吐き捨てた。
「いや……。いやいやいや。なにお前堂々とそれを俺に聞くんだ?! つーか、なぜ普通でいられる?! なんでここにいんだよ?!」
「質問は一つずつゆっくり言えや。そんな一気に質問して答えられると思ってんのか? 相手の気持ちになって物事を考えろよ。それだから無駄に争いが増え面倒な人間になって最終的にはハブられるんだよ。あと、最後の質問はさっき答えたからそのハエなみの脳みそで思い出してろニワトリが」
明人の言葉に魔蛭は怒りが込み上げ、拳を握り震わせる。カクリも、今回は魔蛭に同感し小さく頷いていた。
「この女。あの新聞の──」
「新聞? 何の話だクズ男」
「うるせぇ。最低限の会話以外は認めねぇよニワトリ」
相手の悪口は必ず会話に混ぜこみながらも、しっかりと会話を続け二人を見て、カクリは小さく「似た者同士」と呟いていた。
「んで、俺を恨んでいるようだが。記憶がなければ謝罪も何も出来ねぇだろうがグズ蛭君」
「どうせ謝罪もクソもする気ねぇだろうが。社会の常識や相手の思考、感情その他もろもろを全く考えないアホ人君は」
「なぜ普通に会話が出来ぬ……」
カクリの呆れ声に、真顔のままそちらを見る二人。
「御託はどうでもいいわ。本題に入らせてもらう」
「断る」
明人の言葉を即答で拒否する魔蛭だが、そのような事を気にする彼ではなかったため、そのまま話が続いた。
「この女とお前はどんな関係だ? それで、俺はお前らとどんな接点がある。いや──記憶を返せ。その方が手っ取り早い」
「俺が奪った証拠あんのかよ」
「今までの言葉とさっきの独り言から察するにそういう事だろ」
「盗み聞きか? 最低だな」
「人の想いを簡単にドブに捨てる奴に言われたくねぇわ」
淡々と話が進んでいるように見えるが、内容は全く進んでいない。
カクリは溜息をつきながら、音禰の手を握り何かを確認し始めた。
0
あなたにおすすめの小説
番を拒み続けるΩと、執着を隠しきれないαが同じ学園で再会したら逃げ場がなくなった話 ――優等生αの過保護な束縛は恋か支配か
雪兎
BL
第二性が存在する世界。
Ωであることを隠し、平穏な学園生活を送ろうと決めていた転校生・湊。
しかし入学初日、彼の前に現れたのは――
幼い頃に「番になろう」と言ってきた幼馴染のα・蓮だった。
成績優秀、容姿端麗、生徒から絶大な信頼を集める完璧なα。
だが湊だけが知っている。
彼が異常なほど執着深いことを。
「大丈夫、全部管理してあげる」
「君が困らないようにしてるだけだよ」
座席、時間割、交友関係、体調管理。
いつの間にか整えられていく環境。
逃げ場のない距離。
番を拒みたいΩと、手放す気のないα。
これは保護か、それとも束縛か。
閉じた学園の中で、二人の関係は静かに歪み始める――。
大根令嬢の雑学無双、王弟殿下を添えて。~ 前世を思い出したので、許婚をほったらかして人助けしまくります!!
古森真朝
恋愛
気弱な伯爵令嬢のカレンは、自分勝手な婚約者レナートに振り回されていた。耐え続けていたある日、舞踏会で何者かに突き飛ばされ、階段から落ちてしまう。
その傷が元で儚く……なるかと思いきや。衝撃で前世を思い出したカレンは一転、かの『ド根性大根』みたいな超・ポジティブ人間になっていた。
『モラハラ婚約者の思惑なんぞ知るか!! 今度こそ好きなことやって、目いっぱい幸せに長生きするんだから!!!』
昔ひたすら読書に耽って身に着けた『雑学』を武器に、うっかり採れ過ぎた作物や、開墾しようとすると不幸に見舞われる土地、不治の病にかかった王族、等々の問題をどんどん解決。
領地の内外で心強い友人が出来たり、いつの間にかものすごく有名になっていたり、何かと協力してくれる王弟ヴィクトルから好意を寄せられたり(注:気付いてない)する中、温かい家族と共に仕事に励んでいく。
一方、前世から因縁のある人々もまた、こちらに転生していて――
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
火輪の花嫁 ~男装姫は孤高の王の夢をみる~
秦朱音|はたあかね
キャラ文芸
王を中心に五家が支配する、綺羅ノ国。
五家に覡(かんなぎ)として仕える十六夜家の娘、久遠(くおん)は、幼い頃から男として育てられてきた。
都では陽を司る日紫喜家の王が崩御し、素行の悪さで有名な新王・燦(さん)が即位する。燦の后選びに戦々恐々とする五家だったが、燦は十六夜家の才である「夢見」を聞いて后を選ぶと言い始めた。そして、その夢見を行う覡に、燦は男装した久遠を指名する。
見習いの僕がこの国の后を選ぶなんて、荷が重すぎる――!
久遠の苦悩を知ってか知らずか、燦は強引に久遠を寝室に呼んで夢見を命じる。しかし、初めて出会ったはずの久遠と燦の夢には、とある共通点があって――?
謎に包まれた過去を持ち身分を隠す男装姫と、孤独な王の恋と因縁を描く、和風王宮ファンタジー。
※カクヨムにも先行で投稿しています
忘れ去られた婚約者
かべうち右近
恋愛
『僕はレベッカしか選ばない』
甘い声音でそう話したはずの王太子サイラスは、レベッカを忘れてしまった。
レベッカは、王太子サイラスと付き合っていることを、ある事情により隠していた。舞踏会で関係を公表し、婚約者に指名される予定だったのに、舞踊会の夜にサイラスは薬を盛られて倒れ、記憶喪失になってしまう。
恋人が誰なのかわからないのをいいことに、偽の恋人が次々と名乗りをあげ王太子の婚約者の座を狙ってくる。おかげで不信に陥ったサイラスに、レベッカは自分が恋人だと名乗り出せなくなってしまった。
サイラスの記憶喪失を解消するため、薬師兼魔女であるレベッカは恋人であることを隠しながら、事件調査を協力することになった。そうして記憶が戻らないまま二人の距離は再び近づいていく。だが、そんなおりにサイラスの偽の恋人を名乗りでた令嬢たちが、次々と襲われる事件も起き始めて……!?
※他のサイトにも掲載しています。
毎日更新です。
『魔力ゼロの欠陥品』と蔑まれた伯爵令嬢、卒業パーティーで婚約破棄された瞬間に古代魔法が覚醒する ~虐げられ続けた三年間、倍返しでは足りない~
スカッと文庫
恋愛
「貴様のような無能、我が国の王妃には相応しくない。婚約を破棄し、学園から追放する!」
王立魔道学園の卒業パーティー。きらびやかなシャンデリアの下、王太子エドワードの声が冷酷に響いた。彼の隣には、愛くるしい表情で私を嵌めた男爵令嬢、ミナが勝ち誇ったように寄り添っている。
伯爵令嬢のリリアーヌは、入学以来三年間、「魔力ゼロの欠陥品」として学園中の嘲笑を浴び続けてきた。
婚約者であるエドワードからは一度も顧みられず、同級生からはゴミのように扱われ、ミナの自作自演による「いじめ」の濡れ衣まで着せられ……。
それでも、父との「力を隠せ」という約束を守るため、泥を啜るような屈辱に耐え抜いてきた。
――だが、国からも学園からも捨てられた今、もうその約束を守る必要はない。
「さようなら、皆様。……私が消えた後、この国がどうなろうと知ったことではありませんわ」
リリアーヌが身につけていた「魔力封印の首飾り」を自ら引き千切った瞬間、会場は漆黒の魔力に包まれた。
彼女は無能などではない。失われた「古代魔法」をその身に宿す、真の魔道の主だったのだ。
絶望する王太子たちを余目に、隣国の伝説の魔術師アルベルトに拾われたリリアーヌ。
彼女の、残酷で、甘美な復讐劇が今、幕を開ける――。
【大賞・完結】地味スキル《お片付け》は最強です!社畜OL、異世界でうっかり国を改革しちゃったら、騎士団長と皇帝陛下に溺愛されてるんですが!?
旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
【第18回ファンタジー小説大賞で大賞をいただきました】→【規約変更で書籍化&コミカライズ「確約」は取り消しになりました。】
佐藤美佳子(サトウ・ミカコ)、享年28歳。死因は、過労。連日の徹夜と休日出勤の果てに、ブラック企業のオフィスで静かに息を引き取った彼女が次に目覚めたのは、剣と魔法のファンタジー世界だった。
新たな生を受けたのは、田舎のしがない貧乏貴族の娘、ミカ・アシュフィールド、16歳。神様がくれた転生特典は、なんと《完璧なる整理整頓》という、とんでもなく地味なスキルだった。
「せめて回復魔法とかが良かった……」
戦闘にも生産にも役立たないスキルに落胆し、今度こそは静かに、穏やかに生きたいと願うミカ。しかし、そんな彼女のささやかな望みは、王家からの突然の徴収命令によって打ち砕かれる。
「特殊技能持ちは、王宮へ出仕せよ」
家族を守るため、どうせ役立たずと追い返されるだろうと高をくくって王都へ向かったミカに与えられた任務は、あまりにも無謀なものだった。
「この『開かずの倉庫』を、整理せよ」
そこは、数百年分の備品や資材が山と積まれ、あまりの混沌ぶりに探検隊が遭難したとまで噂される、王家最大の禁足地。
絶望的な光景を前に、ミカが覚悟を決めてスキルを発動した瞬間――世界は、彼女の「お片付け」が持つ真の力に震撼することになる。
これは、地味スキルでうっかり国のすべてを最適化してしまった元社畜令嬢が、カタブツな騎士団長や有能すぎる皇帝陛下にその価値を見出され、なぜか過保護に甘やかされてしまう、お仕事改革ファンタジー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる