95 / 130
真陽留
「まだ相想は生きてる!!」
しおりを挟む
ベルゼがいつの間にか明人の隣に立っており、血塗られになった彼を楽しげに見下ろしている。
カクリの方は、動けないように黒い霧のようなもので手足が縛られていた。
「明人、明人!!!」
カクリが何度も名前を呼ぶが、それが気に触り、ベルゼが彼の首筋に鋭く尖った影を添えた。
「大人しくした方が身のためだ。死ぬ訳にはいかないだろう」
動けないカクリは歯を食いしばる事しか出来ず、ベルゼを憎しみの籠った血走った目で睨んでいる。
「な、んで。お前──」
「貴様には絶望した。今ここで、お前への契約を解除する。そうすれば、貴様はこの男に記憶を戻す事など出来なくなる。まぁ、この男はもう時期死ぬだろう。人間は脆い生き物だからな。面白い余興を見られて楽しかったぞ」
ベルゼはそれだけを言い残し、用は済んだというようにドアから出ようと、床をコツ……コツ……と鳴らし歩き出した。
「おっと、そう言えば。これはもう要らんな」
ベルゼはベストの中から見覚えのある狐の面を取り出した。
カクリはそれ見ると、目を見開き顔を青くする。口をわなわなと震わせ、悲観している。
「力を失った神など、我にとって赤子当然だ。それに、この面がなければあやつはただの化け狐。せいぜい足掻いてもらおうか」
「それじゃ行こう」とベルゼはカクリに巻きついている影を操り始め、連れて行こうとする。突然の事に反応ができず、カクリはそのまま影の中に沈み、姿を消してしまった。
「ククッ。それじゃ、貴様にももう用はない。さっきの言葉通り、契約を解除する」
ベルゼは真陽留に手を伸ばし「いい夜を過ごせ」と口にし、手を力強く握った。それにより、真陽留は何かに気づき自身の右手を見る。
刻まれていた契約の証である六芒星が徐々に消えていく。
「なっ、ま、待てよベルゼ!! なんでこんな事をするんだよ!! お前の目的はなんだよ!!」
「我の目的は、子狐の力を我のものにする事。それ以外には何も無い」
「なら、なんで僕と契約をした!! 関係ないだろ!!」
「それは、貴様の恨む相手の近くに、我の目的の人物が居たからだ」
「そ、そんな。なら、お前は僕を利用して──」
真陽留はベルゼと会話を交わしているうちに、自身の立場を理解してしまい、どんどん声を小さくし、絶望したような表情を浮かべた。
「当たり前だろう。お主の事など最初からどうでも良い。だが、流石の我も、今まで共にした相棒を此処で殺すのは心が痛い。契約解除だけで済ましてやるのだ、安いものだろう?」
話している途中で、六芒星は完全に消えてしまった。真陽留は全てに絶望し、力なく膝から崩れ落ち俯いてしまう。
「悪魔を信じた自分を恨むんだな。クククッ、アハハハハハッ!!!!」
ベルゼは笑い声と共に、その場から影の中に入り姿を消してしまった。
取り残された真陽留は動く事が出来ず、ゆっくりと顔を上げ、ベルゼが居た場所を生気を失った瞳で見続けた。
───なんで、こんな事に
真陽留は虚ろな瞳を明人に向ける。彼は、先程呪いを解くのに体力を使い果たしてしまった。それから追い打ちをかけるように、ベルゼからの攻撃。腹部からの出血もいまだ止まっていない。ソファーや床を赤く染め続けている。このままでは、出血多量で死んでしまう。
──何が、間違いだった
──どこで道を間違えた
頭の中を疑問が埋め尽くす。今までの光景、やってしまった事実。放ってしまった罵詈雑言。後悔が真陽留の思考を鈍らせた。
──いや、違う
──全てが、間違えていたんだ
真陽留はもう全てに諦めてしまい、小屋の天井を仰ぎ、涙を堪えているように顔を歪ませる。
「僕は、一つの過ちで、全てを失った──」
懺悔のように真陽留は小さな声で呟く。その声には、悲しみや怒りなど。負の感情が混ざり合っており、堪えていた涙が溢れ、自暴自棄になり大きく口を開け笑い始めた。
「終わりだ、全て、全てが……。は、ははは、あははははは!!!!」
小屋の中には彼の悲しみに満ちた笑い声が響き渡る。
自分が犯してしまった一つの過ち。その過ちによって三人の人生を狂わせてしまった。その事実が彼の心に深く刺さり、心にひびが入った。
ひとしきり笑ったあと、真陽留は床に手を付き床を涙で濡らす。
「僕は、本当に馬鹿だ。悪魔なんて信じるからこうなるんだ。馬鹿が、大馬鹿だ」
今更後悔しても遅い。時間は戻ってくれない。それでも、真陽留は後悔ばかりを口にする。
「ごめん、ごめん相想。ごめん、音禰。僕が、僕が間違ってた……。ごめん、ごめん──」
何度も何度も謝罪を口にする。しゃくりあげ、肩を震わせながら懺悔を口にし続ける。
そうしたところで、失った物は戻らない。自分の手で失ってしまった大事な者は、もう──戻らない。
その場に蹲り、何度も、何度も。謝罪を繰り返す。
真陽留の泣き声。後悔の言葉と共に、草木が踏まれているような音が聞こえ始めた。それは走っているようで早い。音は一人分。
人の息遣いがどんどん近づいてきた。
真陽留が失望していると、ドアの方から女性の妖艶な声と、慌てたような息遣いが聞こえた。
「 真陽留!!! まだ相想は生きてる!! 諦めるな!!」
その声には怒りと悲しみ、それと同時に決意が含まれた声が、絶望に包まれた部屋に響き渡った。真陽留はその声に反応するようにゆっくりと体を起こし、ドア付近に目を向ける。
そこに立っていた人物を目にして、彼は止めどなく流れていた涙が止まり、口を開けたまま何も話さなくなった。
「お、とね?」
茶髪のロングヘアを風で靡かせ、病院の服を身にまとっていた音禰。肩で息をしながら眉を吊り上げ立っていた。そして、その隣には楽しげに真陽留と明人を見る、ファルシーの姿も、確認出来た。
カクリの方は、動けないように黒い霧のようなもので手足が縛られていた。
「明人、明人!!!」
カクリが何度も名前を呼ぶが、それが気に触り、ベルゼが彼の首筋に鋭く尖った影を添えた。
「大人しくした方が身のためだ。死ぬ訳にはいかないだろう」
動けないカクリは歯を食いしばる事しか出来ず、ベルゼを憎しみの籠った血走った目で睨んでいる。
「な、んで。お前──」
「貴様には絶望した。今ここで、お前への契約を解除する。そうすれば、貴様はこの男に記憶を戻す事など出来なくなる。まぁ、この男はもう時期死ぬだろう。人間は脆い生き物だからな。面白い余興を見られて楽しかったぞ」
ベルゼはそれだけを言い残し、用は済んだというようにドアから出ようと、床をコツ……コツ……と鳴らし歩き出した。
「おっと、そう言えば。これはもう要らんな」
ベルゼはベストの中から見覚えのある狐の面を取り出した。
カクリはそれ見ると、目を見開き顔を青くする。口をわなわなと震わせ、悲観している。
「力を失った神など、我にとって赤子当然だ。それに、この面がなければあやつはただの化け狐。せいぜい足掻いてもらおうか」
「それじゃ行こう」とベルゼはカクリに巻きついている影を操り始め、連れて行こうとする。突然の事に反応ができず、カクリはそのまま影の中に沈み、姿を消してしまった。
「ククッ。それじゃ、貴様にももう用はない。さっきの言葉通り、契約を解除する」
ベルゼは真陽留に手を伸ばし「いい夜を過ごせ」と口にし、手を力強く握った。それにより、真陽留は何かに気づき自身の右手を見る。
刻まれていた契約の証である六芒星が徐々に消えていく。
「なっ、ま、待てよベルゼ!! なんでこんな事をするんだよ!! お前の目的はなんだよ!!」
「我の目的は、子狐の力を我のものにする事。それ以外には何も無い」
「なら、なんで僕と契約をした!! 関係ないだろ!!」
「それは、貴様の恨む相手の近くに、我の目的の人物が居たからだ」
「そ、そんな。なら、お前は僕を利用して──」
真陽留はベルゼと会話を交わしているうちに、自身の立場を理解してしまい、どんどん声を小さくし、絶望したような表情を浮かべた。
「当たり前だろう。お主の事など最初からどうでも良い。だが、流石の我も、今まで共にした相棒を此処で殺すのは心が痛い。契約解除だけで済ましてやるのだ、安いものだろう?」
話している途中で、六芒星は完全に消えてしまった。真陽留は全てに絶望し、力なく膝から崩れ落ち俯いてしまう。
「悪魔を信じた自分を恨むんだな。クククッ、アハハハハハッ!!!!」
ベルゼは笑い声と共に、その場から影の中に入り姿を消してしまった。
取り残された真陽留は動く事が出来ず、ゆっくりと顔を上げ、ベルゼが居た場所を生気を失った瞳で見続けた。
───なんで、こんな事に
真陽留は虚ろな瞳を明人に向ける。彼は、先程呪いを解くのに体力を使い果たしてしまった。それから追い打ちをかけるように、ベルゼからの攻撃。腹部からの出血もいまだ止まっていない。ソファーや床を赤く染め続けている。このままでは、出血多量で死んでしまう。
──何が、間違いだった
──どこで道を間違えた
頭の中を疑問が埋め尽くす。今までの光景、やってしまった事実。放ってしまった罵詈雑言。後悔が真陽留の思考を鈍らせた。
──いや、違う
──全てが、間違えていたんだ
真陽留はもう全てに諦めてしまい、小屋の天井を仰ぎ、涙を堪えているように顔を歪ませる。
「僕は、一つの過ちで、全てを失った──」
懺悔のように真陽留は小さな声で呟く。その声には、悲しみや怒りなど。負の感情が混ざり合っており、堪えていた涙が溢れ、自暴自棄になり大きく口を開け笑い始めた。
「終わりだ、全て、全てが……。は、ははは、あははははは!!!!」
小屋の中には彼の悲しみに満ちた笑い声が響き渡る。
自分が犯してしまった一つの過ち。その過ちによって三人の人生を狂わせてしまった。その事実が彼の心に深く刺さり、心にひびが入った。
ひとしきり笑ったあと、真陽留は床に手を付き床を涙で濡らす。
「僕は、本当に馬鹿だ。悪魔なんて信じるからこうなるんだ。馬鹿が、大馬鹿だ」
今更後悔しても遅い。時間は戻ってくれない。それでも、真陽留は後悔ばかりを口にする。
「ごめん、ごめん相想。ごめん、音禰。僕が、僕が間違ってた……。ごめん、ごめん──」
何度も何度も謝罪を口にする。しゃくりあげ、肩を震わせながら懺悔を口にし続ける。
そうしたところで、失った物は戻らない。自分の手で失ってしまった大事な者は、もう──戻らない。
その場に蹲り、何度も、何度も。謝罪を繰り返す。
真陽留の泣き声。後悔の言葉と共に、草木が踏まれているような音が聞こえ始めた。それは走っているようで早い。音は一人分。
人の息遣いがどんどん近づいてきた。
真陽留が失望していると、ドアの方から女性の妖艶な声と、慌てたような息遣いが聞こえた。
「 真陽留!!! まだ相想は生きてる!! 諦めるな!!」
その声には怒りと悲しみ、それと同時に決意が含まれた声が、絶望に包まれた部屋に響き渡った。真陽留はその声に反応するようにゆっくりと体を起こし、ドア付近に目を向ける。
そこに立っていた人物を目にして、彼は止めどなく流れていた涙が止まり、口を開けたまま何も話さなくなった。
「お、とね?」
茶髪のロングヘアを風で靡かせ、病院の服を身にまとっていた音禰。肩で息をしながら眉を吊り上げ立っていた。そして、その隣には楽しげに真陽留と明人を見る、ファルシーの姿も、確認出来た。
0
あなたにおすすめの小説
番を拒み続けるΩと、執着を隠しきれないαが同じ学園で再会したら逃げ場がなくなった話 ――優等生αの過保護な束縛は恋か支配か
雪兎
BL
第二性が存在する世界。
Ωであることを隠し、平穏な学園生活を送ろうと決めていた転校生・湊。
しかし入学初日、彼の前に現れたのは――
幼い頃に「番になろう」と言ってきた幼馴染のα・蓮だった。
成績優秀、容姿端麗、生徒から絶大な信頼を集める完璧なα。
だが湊だけが知っている。
彼が異常なほど執着深いことを。
「大丈夫、全部管理してあげる」
「君が困らないようにしてるだけだよ」
座席、時間割、交友関係、体調管理。
いつの間にか整えられていく環境。
逃げ場のない距離。
番を拒みたいΩと、手放す気のないα。
これは保護か、それとも束縛か。
閉じた学園の中で、二人の関係は静かに歪み始める――。
大根令嬢の雑学無双、王弟殿下を添えて。~ 前世を思い出したので、許婚をほったらかして人助けしまくります!!
古森真朝
恋愛
気弱な伯爵令嬢のカレンは、自分勝手な婚約者レナートに振り回されていた。耐え続けていたある日、舞踏会で何者かに突き飛ばされ、階段から落ちてしまう。
その傷が元で儚く……なるかと思いきや。衝撃で前世を思い出したカレンは一転、かの『ド根性大根』みたいな超・ポジティブ人間になっていた。
『モラハラ婚約者の思惑なんぞ知るか!! 今度こそ好きなことやって、目いっぱい幸せに長生きするんだから!!!』
昔ひたすら読書に耽って身に着けた『雑学』を武器に、うっかり採れ過ぎた作物や、開墾しようとすると不幸に見舞われる土地、不治の病にかかった王族、等々の問題をどんどん解決。
領地の内外で心強い友人が出来たり、いつの間にかものすごく有名になっていたり、何かと協力してくれる王弟ヴィクトルから好意を寄せられたり(注:気付いてない)する中、温かい家族と共に仕事に励んでいく。
一方、前世から因縁のある人々もまた、こちらに転生していて――
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
火輪の花嫁 ~男装姫は孤高の王の夢をみる~
秦朱音|はたあかね
キャラ文芸
王を中心に五家が支配する、綺羅ノ国。
五家に覡(かんなぎ)として仕える十六夜家の娘、久遠(くおん)は、幼い頃から男として育てられてきた。
都では陽を司る日紫喜家の王が崩御し、素行の悪さで有名な新王・燦(さん)が即位する。燦の后選びに戦々恐々とする五家だったが、燦は十六夜家の才である「夢見」を聞いて后を選ぶと言い始めた。そして、その夢見を行う覡に、燦は男装した久遠を指名する。
見習いの僕がこの国の后を選ぶなんて、荷が重すぎる――!
久遠の苦悩を知ってか知らずか、燦は強引に久遠を寝室に呼んで夢見を命じる。しかし、初めて出会ったはずの久遠と燦の夢には、とある共通点があって――?
謎に包まれた過去を持ち身分を隠す男装姫と、孤独な王の恋と因縁を描く、和風王宮ファンタジー。
※カクヨムにも先行で投稿しています
忘れ去られた婚約者
かべうち右近
恋愛
『僕はレベッカしか選ばない』
甘い声音でそう話したはずの王太子サイラスは、レベッカを忘れてしまった。
レベッカは、王太子サイラスと付き合っていることを、ある事情により隠していた。舞踏会で関係を公表し、婚約者に指名される予定だったのに、舞踊会の夜にサイラスは薬を盛られて倒れ、記憶喪失になってしまう。
恋人が誰なのかわからないのをいいことに、偽の恋人が次々と名乗りをあげ王太子の婚約者の座を狙ってくる。おかげで不信に陥ったサイラスに、レベッカは自分が恋人だと名乗り出せなくなってしまった。
サイラスの記憶喪失を解消するため、薬師兼魔女であるレベッカは恋人であることを隠しながら、事件調査を協力することになった。そうして記憶が戻らないまま二人の距離は再び近づいていく。だが、そんなおりにサイラスの偽の恋人を名乗りでた令嬢たちが、次々と襲われる事件も起き始めて……!?
※他のサイトにも掲載しています。
毎日更新です。
『魔力ゼロの欠陥品』と蔑まれた伯爵令嬢、卒業パーティーで婚約破棄された瞬間に古代魔法が覚醒する ~虐げられ続けた三年間、倍返しでは足りない~
スカッと文庫
恋愛
「貴様のような無能、我が国の王妃には相応しくない。婚約を破棄し、学園から追放する!」
王立魔道学園の卒業パーティー。きらびやかなシャンデリアの下、王太子エドワードの声が冷酷に響いた。彼の隣には、愛くるしい表情で私を嵌めた男爵令嬢、ミナが勝ち誇ったように寄り添っている。
伯爵令嬢のリリアーヌは、入学以来三年間、「魔力ゼロの欠陥品」として学園中の嘲笑を浴び続けてきた。
婚約者であるエドワードからは一度も顧みられず、同級生からはゴミのように扱われ、ミナの自作自演による「いじめ」の濡れ衣まで着せられ……。
それでも、父との「力を隠せ」という約束を守るため、泥を啜るような屈辱に耐え抜いてきた。
――だが、国からも学園からも捨てられた今、もうその約束を守る必要はない。
「さようなら、皆様。……私が消えた後、この国がどうなろうと知ったことではありませんわ」
リリアーヌが身につけていた「魔力封印の首飾り」を自ら引き千切った瞬間、会場は漆黒の魔力に包まれた。
彼女は無能などではない。失われた「古代魔法」をその身に宿す、真の魔道の主だったのだ。
絶望する王太子たちを余目に、隣国の伝説の魔術師アルベルトに拾われたリリアーヌ。
彼女の、残酷で、甘美な復讐劇が今、幕を開ける――。
【大賞・完結】地味スキル《お片付け》は最強です!社畜OL、異世界でうっかり国を改革しちゃったら、騎士団長と皇帝陛下に溺愛されてるんですが!?
旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
【第18回ファンタジー小説大賞で大賞をいただきました】→【規約変更で書籍化&コミカライズ「確約」は取り消しになりました。】
佐藤美佳子(サトウ・ミカコ)、享年28歳。死因は、過労。連日の徹夜と休日出勤の果てに、ブラック企業のオフィスで静かに息を引き取った彼女が次に目覚めたのは、剣と魔法のファンタジー世界だった。
新たな生を受けたのは、田舎のしがない貧乏貴族の娘、ミカ・アシュフィールド、16歳。神様がくれた転生特典は、なんと《完璧なる整理整頓》という、とんでもなく地味なスキルだった。
「せめて回復魔法とかが良かった……」
戦闘にも生産にも役立たないスキルに落胆し、今度こそは静かに、穏やかに生きたいと願うミカ。しかし、そんな彼女のささやかな望みは、王家からの突然の徴収命令によって打ち砕かれる。
「特殊技能持ちは、王宮へ出仕せよ」
家族を守るため、どうせ役立たずと追い返されるだろうと高をくくって王都へ向かったミカに与えられた任務は、あまりにも無謀なものだった。
「この『開かずの倉庫』を、整理せよ」
そこは、数百年分の備品や資材が山と積まれ、あまりの混沌ぶりに探検隊が遭難したとまで噂される、王家最大の禁足地。
絶望的な光景を前に、ミカが覚悟を決めてスキルを発動した瞬間――世界は、彼女の「お片付け」が持つ真の力に震撼することになる。
これは、地味スキルでうっかり国のすべてを最適化してしまった元社畜令嬢が、カタブツな騎士団長や有能すぎる皇帝陛下にその価値を見出され、なぜか過保護に甘やかされてしまう、お仕事改革ファンタジー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる