嘘つきクソ野郎だと追放され続けた幻影魔法使い、落ちこぼれクラスの教師となって全員〝騙〟らせる

フオツグ

文字の大きさ
16 / 63
これが新任教師の挨拶か?

「ちゃんと授業してるのか」

しおりを挟む
 ドロップ魔法学園の職員室。
 シャルルルカのデスクには様々な魔道具が広げられていた。
 そうしたのはシャルルルカ本人だ。
 彼は演習場から持ってきた的当て用の的に、魔道具を使って何やら細工をしているようだった。

「シャルルルカ先生」

 アーヒナヒナはシャルルルカに話しかける。
 シャルルルカは横目でアーヒナヒナを確認すると、直ぐに視線を下に落とした。

「お、アーヒナちゃん。歩く気になったんだね」
「ちゃんづけで呼ぶな」

 アーヒナヒナはじろりとシャルルルカを睨みつけた。

「まあ、騎士のときの感覚を取り戻すにはまだ時間がかかるが……。貴様には感謝してるよ。歩く感覚を思い出させてくれて」

「同時に恨んでもいるがな」と彼女は付け足した。

「そう。ところで、あの気味の悪いデスクは誰の?」

 シャルルルカは通路を挟んで向かいのデスクを指差す。
 そこには、大魔法使いシャルルルカの肖像画が飾ってあった。
 それも、一枚どころではなかった。
 まるで祭壇のように、様々な大魔法使いシャルルルカの肖像画が、デスクの上を占領している。

「ああ、あれはピエーロ先生のデスクだ。彼は大魔法使いシャルルルカの熱狂的なファンだからな……」
「へえ。私の」
「絶対に貴様ではない」

 アーヒナヒナはため息をついた。

「貴様は朝からずっと職員室にいるが、ちゃんと授業をしてるのか?」
「今、授業中だ」
「は?」
「シャルルルカ先生!」

 エイダン達D組の生徒が、息を切らせながら職員室に飛び込んできた。

「シャルルルカだ。三度目はないぞ」
「全員終わったで! 腕立て伏せ千回! 約束通り、授業して貰おうやないか!」
「ふうん。じゃあ、次はスクワット千回」
「はあ!? 授業するって言うてたやん!?」
「言ってない。『授業してやっても良い』と言ったんだ」
「屁理屈や!」
「次は授業してやる。ほら、今日の授業が終わっちゃうぞ」

 シャルルルカはしっしっと手を振った。
 エイダンは顔を真っ赤にして怒り狂う。

「ぐあああああ! あんた、いつか必ずギャフンと言わせ──ぐう……」

 エイダンが言葉の途中で眠りに落ち、後ろに倒れる。
 偶々後ろにいたレイが、エイダンの体を受け止めた。
 マジョアンヌは「あらあら」と困ったように笑う。

「またプッツンしてしまいましたわねぇ」
「私の前で居眠りとは良い度胸だ」
「申し訳ありませんわぁ、シャルルルカ先生。また出直しますわぁ」

 マジョアンヌはスカートの裾をちょんと掴んで、膝を軽く曲げた。

「ところで」

 彼女は続けて言う。

「次こそは、授業をして下さるんですわよねぇ」

 マジョアンヌの顔は微笑んでいたが、目は笑っていなかった。
 シャルルルカは微笑みを返す。

「ああ、勿論。私は嘘をつかない」

 D組の生徒達はすごすごと職員室を出て行った。

「子供は騒がしいな」
「……シャルルルカ先生、一体、何の授業をしてるんだ?」
「ここは魔法学園だぞ。魔法以外にあるか?」

 シャルルルカは何事もなかったかのように作業を続けた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

Sランクパーティを追放されたヒーラーの俺、禁忌スキル【完全蘇生】に覚醒する。俺を捨てたパーティがボスに全滅させられ泣きついてきたが、もう遅い

夏見ナイ
ファンタジー
Sランクパーティ【熾天の剣】で《ヒール》しか使えないアレンは、「無能」と蔑まれ追放された。絶望の淵で彼が覚醒したのは、死者さえ完全に蘇らせる禁忌のユニークスキル【完全蘇生】だった。 故郷の辺境で、心に傷を負ったエルフの少女や元女騎士といった“真の仲間”と出会ったアレンは、新パーティ【黎明の翼】を結成。回復魔法の常識を覆す戦術で「死なないパーティ」として名を馳せていく。 一方、アレンを失った元パーティは急速に凋落し、高難易度ダンジョンで全滅。泣きながら戻ってきてくれと懇願する彼らに、アレンは冷たく言い放つ。 「もう遅い」と。 これは、無能と蔑まれたヒーラーが最強の英雄となる、痛快な逆転ファンタジー!

【本編45話にて完結】『追放された荷物持ちの俺を「必要だ」と言ってくれたのは、落ちこぼれヒーラーの彼女だけだった。』

ブヒ太郎
ファンタジー
「お前はもう用済みだ」――荷物持ちとして命懸けで尽くしてきた高ランクパーティから、ゼロスは無能の烙印を押され、なんの手切れ金もなく追放された。彼のスキルは【筋力強化(微)】。誰もが最弱と嘲笑う、あまりにも地味な能力。仲間たちは彼の本当の価値に気づくことなく、その存在をゴミのように切り捨てた。 全てを失い、絶望の淵をさまよう彼に手を差し伸べたのは、一人の不遇なヒーラー、アリシアだった。彼女もまた、治癒の力が弱いと誰からも相手にされず、教会からも冒険者仲間からも居場所を奪われ、孤独に耐えてきた。だからこそ、彼女だけはゼロスの瞳の奥に宿る、静かで、しかし折れない闘志の光を見抜いていたのだ。 「私と、パーティを組んでくれませんか?」 これは、社会の評価軸から外れた二人が出会い、互いの傷を癒しながらどん底から這い上がり、やがて世界を驚かせる伝説となるまでの物語。見捨てられた最強の荷物持ちによる、静かで、しかし痛快な逆襲劇が今、幕を開ける!

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

最弱弓術士、全距離支配で最強へ

Y.
ファンタジー
「弓術士? ああ、あの器用貧乏な最弱職のことか」 剣と魔法が全てを決める世界において、弓は「射程は魔法に及ばず、威力は剣に劣る」不遇の武器と蔑まれていた。 若き冒険者リアンは、亡き叔父から譲り受けた一振りの弓「ストーム・ウィスパー」を手に、冒険者の門を叩く。周囲の嘲笑を余所に、彼が秘めていたのは、世界をナノ単位で解析する「化け物じみた集中力」だった。 リアンの放つ一矢は、もはや単なる遠距離攻撃ではない。 風を読み、空間を計算し、敵の急所をミリ単位で射抜く精密射撃。 弓本体に仕込まれたブレードを操り、剣士を圧倒する近接弓術。 そして、魔力の波長を読み取り、呪文そのものを撃ち落とす対魔法技術。 「近距離、中距離、遠距離……俺の射程に逃げ場はない」 孤独な修行の末に辿り着いた「全距離対応型弓術」は、次第に王道パーティやエリート冒険者たちの常識を塗り替えていく。 しかし、その弓には叔父が命を懸けて守り抜いた**「世界の理(ことわり)」を揺るがす秘密**が隠されていた――。 最弱と笑われた少年が、一張の弓で最強へと駆け上がる、至高の異世界アクションファンタジー、開幕!

冤罪で辺境に幽閉された第4王子

satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。 「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。 辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。

後日譚追加【完結】冤罪で追放された俺、真実の魔法で無実を証明したら手のひら返しの嵐!! でももう遅い、王都ごと見捨てて自由に生きます

なみゆき
ファンタジー
魔王を討ったはずの俺は、冤罪で追放された。 功績は奪われ、婚約は破棄され、裏切り者の烙印を押された。 信じてくれる者は、誰一人いない——そう思っていた。 だが、辺境で出会った古代魔導と、ただ一人俺を信じてくれた彼女が、すべてを変えた。 婚礼と処刑が重なるその日、真実をつきつけ、俺は、王都に“ざまぁ”を叩きつける。 ……でも、もう復讐には興味がない。 俺が欲しかったのは、名誉でも地位でもなく、信じてくれる人だった。 これは、ざまぁの果てに静かな勝利を選んだ、元英雄の物語。

大器晩成エンチャンター~Sランク冒険者パーティから追放されてしまったが、追放後の成長度合いが凄くて世界最強になる

遠野紫
ファンタジー
「な、なんでだよ……今まで一緒に頑張って来たろ……?」 「頑張って来たのは俺たちだよ……お前はお荷物だ。サザン、お前にはパーティから抜けてもらう」 S級冒険者パーティのエンチャンターであるサザンは或る時、パーティリーダーから追放を言い渡されてしまう。 村の仲良し四人で結成したパーティだったが、サザンだけはなぜか実力が伸びなかったのだ。他のメンバーに追いつくために日々努力を重ねたサザンだったが結局報われることは無く追放されてしまった。 しかしサザンはレアスキル『大器晩成』を持っていたため、ある時突然その強さが解放されたのだった。 とてつもない成長率を手にしたサザンの最強エンチャンターへの道が今始まる。

処理中です...