嘘つきクソ野郎だと追放され続けた幻影魔法使い、落ちこぼれクラスの教師となって全員〝騙〟らせる

フオツグ

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恋せよタゲツくん!

「イケメンに作って欲しいと」

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「は!? タゲツくんがマジョ子はんに恋!?」

 エイダンは驚きの声を上げた。
 放課後、図画工作室に呼ばれたかと思うと、レイにタゲツくんの話を聞かされたからだ。

「はい! そうみたいなんです!」

 レイは笑顔で頷いた。

「だから、マジョ子さんにサプライズで、タゲツくんの体を作ろうってなったんです」
『協力 要請』

 タゲツくんが車輪を動かして、エイダン達の前に姿を見せた。
 エイダンはそれにも驚いた。

「おわ! 罵倒以外にも喋れるようになったんか、タゲツくん!」
『肯定』
「だから、協力して欲しいんです。エイダンくん、キョーマくん!」

 椅子に座っていたキョーマは頬杖をついて言った。

「先生様の要望なら応えるけどよ……。体って、どうやって作るんだ?」

 レイは「フフン」と鼻を鳴らした。

「ズバリ! ゴーレム作成です!」

 ゴーレム作成とは、ゴーレムを作る用の土で体を形成し、最後に魔力を注いで、自律式ゴーレムにするものだ。
 体を形成する工程にて、人間のような体つきにすれば、人間の体が手に入る、という寸法だ。

「なるほど。だから、ここにゴーレム用の土があんだな……」

 キョーマの目線の先には、ゴーレム用の土の詰まった袋が机に積み上げられていた。

「シャルル先生の帽子の中からこれがドサドサ出て来たときはビビりましたよ」
「流石、先生様だぜ」

 キョーマは腕を組んで、うんうんと頷いた。

「まずは設計図を作ります! 出来たらシャルル先生に確認して貰って、オーケーが出たら土を捏ねて作っていきます!」

 レイはタゲツくんを見た。

「タゲツくん、何か要望はありますか?」
『イケメン』
「イケメンに作って欲しいと」
「好きな人の前ではかっこつけたいもんよな」

 エイダンがうんうんと頷く。

「というか、辞典に載ってるんですね。イケメンって言葉」
『超高身長』
「それも載ってるんだ……」

 タゲツくんの要望に擦り合わせていった。

 □

「進捗はどうだ?」

 シャルルルカが様子を見に顔を出した。

「はい! 今丁度、出来上がったところです!」
「見せてみろ」

 レイは出来た設計図をシャルルルカに手渡した。
 シャルルルカが設計図を見て、顔を顰めた。

「……なんだ、これは」

 設計図には、『身長二メートル』『筋肉質』『顔はイケメン』と書かれていた。

「〝ぼくのかんがえたさいきょうのいけめん〟か?」
「いえ、タゲツくんの新しい体の設計図です」
「私が用意したゴーレム用の土で作れるような設計にしろと言ったよな?」
「タゲツくんの要望で……。どうにか出来ませんか?」
「お前が追加で土を買うなら構わないが?」
「それなら……」
「れ、レイはんレイはん」

 エイダンがレイに声をかけた。

「ゴーレム用の土は結構高いんやで……」
「え。そうなんですか?」
「この量が、こんくらいのお値段や……」

 エイダンが紙に値段を書いてみせる。

「たっ……!」

 レイは驚いて目が飛び出るかと思った。
 くるりとシャルルルカの方を向くと、しょんぼりとした顔で言う。

「すみません、先生。設計図、書き直します……」
「そうしろ」
「タゲツくんもすみません」
『否定。自分 謝罪』

 タゲツくんも心なしが残念そうだった。

「私が用意したゴーレム用の土では、レイぐらいの体の大きさぐらいしか作れないぞ」
「そうなると、高身長や筋肉質には出来ませんね……」
「ゴーレムに身長や筋肉はいらん。重いだけだ。イケメンは……まあ、センスと技量次第だな」
「センスと技量……」

 シャルルルカはゴーレム用の土を一袋取り、机の上に置いた。

「試しに作ってみろ。イケメンにな」

 レイが頷き、ゴーレム用の土が入った袋を開けた。

 □

 暫くして、タゲツくんの顔が出来上がった。
 エイダンとキョーマが出来上がった顔をまじまじと見て言う。

「……なんか」
「先生様にそっくりじゃね?」

 シャルルルカはニヤニヤと笑った。

「わかってるじゃあないか。私がイケメンだと」
「あたし、人物画はシャルル先生しか描けなくて……。幻影も先生のしか出せないし」

 エイダンは「こりゃ、やり直しやな」と言った。

「声も先生やし、顔も先生なのはあかんな」
「何があかんのだ?」
「ほぼあんたやと腹立つやろが」

 エイダンは呆れた。

「じゃあ、次は……」

 レイはチラリと、協力者の二人に目を向ける。
 エイダンは首をブンブンと横に振った。

「わし、センスないで!?」
「俺も美術は苦手」

 キョーマも否定する。

「こういうのは女子が好きなイケメンにした方が良いだろ。クラスの女子に協力を仰げよ。友達いんだろ?」
「でも、誰が美術品上手いかなんて……あ!」

 レイはエイダンに目を向ける。

「り、リリさん! リリさんはメイクとかしますし、上手そうですけど、どうですか!?」
「リリはんはなぁ、ああ見えて結構……その、絵心がないんよ」
「い、意外……」
「美術に強い子、ウチのクラスにおるっちゃあおるけど……」
「本当ですか!? その子に頼みましょう!」
「……協力してくれるかはわからへんけどな」
「え? どうしてです?」

 エイダンは渋い顔で言った。

「かなり気難しいんや」
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