146 / 729
連載
胸中の違和感
しおりを挟む
王が決まってしまえば王位継承権争いは終わる。オランディで起きた悲劇の幕を下ろすことができるのだ。
「じゃあ、これで王子たちは安全になる・・・・・・ルージュ家、ノワール家が王位を手に入れれば今までのオランディとは変わってしまうかもしれないって話でしたが、状況的にはそうすることがが最善策。ルージュ家が王位を手に入れた後、どうやって変わらない平和なオランディを守っていくのかは、オランディの人たちに任せることにしましょう。本当にこれでいいんですよね?」
身体中の痛み、疲れを感じながら倉野はそう問いかける。
けれどその胸中には何か違和感のようなものが残っていた。
倉野の言葉に迷いを感じたノエルが首を傾げる。
「何か気になっていることでもあるの?」
「いえ・・・・・・ただ、本当にこれで良かったのかなって」
「どういうことよ。確かに当初の作戦とは違ってしまったわよ。ルシアルを守るためにオランディにまで来た・・・・・・けれど、一歩間に合わずに失ってしまったわ。そりゃ、良い結末とはいえないかもしれない。でも最悪の事態は避けることができた。ノワール家が王位継承権を取り戻すっていう最悪のシナリオをね」
ノエルは倉野の迷いにそう答えた。
確かに倉野たちがオランディに転移してこなければ。いや、この件を知らなければ、このままノワール家が全ての王子を殺害し王位継承権を手に入れていただろう。
大前提として、王子でないものが王になることはできない。そして、スクレットが病である以上、他の王子たちがいなくならなければノワール家は王位継承権を手に入れることができない。
そうなれば手段を選ばないだろうことは明白であった。
しかし、ノエルの話を聞いた今でも倉野の胸中にある違和感は消えてない。
「まだ、何か気になることがあるの?」
倉野の表情から察したノエルが再び問いかけた。
すると倉野は少し考えてから、心にある違和感をなんとか言葉にする。
「いくつかの小さな疑問が大きな違和感になっているのかもしれません。例えば、ノワール家がフォルテを自由に動かすことができるのなら、バジル・インフェルノをわざわざエスエ帝国から呼び寄せるのはどうしてでしょうか。フォルテがスキル読心によって心を読むことができるから、王子の命を狙う者が近づけない。そのためにスキル無効化を持っているバジルを呼び寄せたんですよね。だったら、フォルテが暗殺者を見逃してしまえばいいじゃないですか」
そんな疑問を口にした倉野。
いきなり問いかけられたノエルは少し困った表情を浮かべて答えた。
「どうしてって、それはフォルテの存在を隠しておきたかったからじゃないのかな。フォルテの裏切りって一度きりに最強のカードでしょ?」
「確かにそう考えることもできます。でも、一度きりの最強のカードだからこそ、この王位継承権争いはカードを切ってもいい場面だったと思いませんか」
そう倉野が話を続けるとノエルは何かを察したように目を細める。
「随分と何かに繋げようとしているわね。もしかして、何か気づいたことがあるっていうの?」
「じゃあ、これで王子たちは安全になる・・・・・・ルージュ家、ノワール家が王位を手に入れれば今までのオランディとは変わってしまうかもしれないって話でしたが、状況的にはそうすることがが最善策。ルージュ家が王位を手に入れた後、どうやって変わらない平和なオランディを守っていくのかは、オランディの人たちに任せることにしましょう。本当にこれでいいんですよね?」
身体中の痛み、疲れを感じながら倉野はそう問いかける。
けれどその胸中には何か違和感のようなものが残っていた。
倉野の言葉に迷いを感じたノエルが首を傾げる。
「何か気になっていることでもあるの?」
「いえ・・・・・・ただ、本当にこれで良かったのかなって」
「どういうことよ。確かに当初の作戦とは違ってしまったわよ。ルシアルを守るためにオランディにまで来た・・・・・・けれど、一歩間に合わずに失ってしまったわ。そりゃ、良い結末とはいえないかもしれない。でも最悪の事態は避けることができた。ノワール家が王位継承権を取り戻すっていう最悪のシナリオをね」
ノエルは倉野の迷いにそう答えた。
確かに倉野たちがオランディに転移してこなければ。いや、この件を知らなければ、このままノワール家が全ての王子を殺害し王位継承権を手に入れていただろう。
大前提として、王子でないものが王になることはできない。そして、スクレットが病である以上、他の王子たちがいなくならなければノワール家は王位継承権を手に入れることができない。
そうなれば手段を選ばないだろうことは明白であった。
しかし、ノエルの話を聞いた今でも倉野の胸中にある違和感は消えてない。
「まだ、何か気になることがあるの?」
倉野の表情から察したノエルが再び問いかけた。
すると倉野は少し考えてから、心にある違和感をなんとか言葉にする。
「いくつかの小さな疑問が大きな違和感になっているのかもしれません。例えば、ノワール家がフォルテを自由に動かすことができるのなら、バジル・インフェルノをわざわざエスエ帝国から呼び寄せるのはどうしてでしょうか。フォルテがスキル読心によって心を読むことができるから、王子の命を狙う者が近づけない。そのためにスキル無効化を持っているバジルを呼び寄せたんですよね。だったら、フォルテが暗殺者を見逃してしまえばいいじゃないですか」
そんな疑問を口にした倉野。
いきなり問いかけられたノエルは少し困った表情を浮かべて答えた。
「どうしてって、それはフォルテの存在を隠しておきたかったからじゃないのかな。フォルテの裏切りって一度きりに最強のカードでしょ?」
「確かにそう考えることもできます。でも、一度きりの最強のカードだからこそ、この王位継承権争いはカードを切ってもいい場面だったと思いませんか」
そう倉野が話を続けるとノエルは何かを察したように目を細める。
「随分と何かに繋げようとしているわね。もしかして、何か気づいたことがあるっていうの?」
1
あなたにおすすめの小説
異世界へ誤召喚されちゃいました 女神の加護でほのぼのスローライフ送ります
モーリー
ファンタジー
⭐︎第4回次世代ファンタジーカップ16位⭐︎
飛行機事故で両親が他界してしまい、社会人の長男、高校生の長女、幼稚園児の次女で生きることになった御剣家。
保険金目当てで寄ってくる奴らに嫌気がさしながらも、3人で支え合いながら生活を送る日々。
そんな矢先に、3人揃って異世界に召喚されてしまった。
召喚特典として女神たちが加護やチート能力を与え、異世界でも生き抜けるようにしてくれた。
強制的に放り込まれた異世界。
知らない土地、知らない人、知らない世界。
不安をはねのけながら、時に怖い目に遭いながら、3人で異世界を生き抜き、平穏なスローライフを送る。
そんなほのぼのとした物語。
辺境貴族ののんびり三男は魔道具作って自由に暮らします
雪月夜狐
ファンタジー
書籍化決定しました!
(書籍化にあわせて、タイトルが変更になりました。旧題は『辺境伯家ののんびり発明家 ~異世界でマイペースに魔道具開発を楽しむ日々~』です)
壮年まで生きた前世の記憶を持ちながら、気がつくと辺境伯家の三男坊として5歳の姿で異世界に転生していたエルヴィン。彼はもともと物作りが大好きな性格で、前世の知識とこの世界の魔道具技術を組み合わせて、次々とユニークな発明を生み出していく。
辺境の地で、家族や使用人たちに役立つ便利な道具や、妹のための可愛いおもちゃ、さらには人々の生活を豊かにする新しい魔道具を作り上げていくエルヴィン。やがてその才能は周囲の人々にも認められ、彼は王都や商会での取引を通じて新しい人々と出会い、仲間とともに成長していく。
しかし、彼の心にはただの「発明家」以上の夢があった。この世界で、誰も見たことがないような道具を作り、貴族としての責任を果たしながら、人々に笑顔と便利さを届けたい——そんな野望が、彼を新たな冒険へと誘う。
薬師だからってポイ捨てされました~異世界の薬師なめんなよ。神様の弟子は無双する~
黄色いひよこ
ファンタジー
薬師のロベルト・シルベスタは偉大な師匠(神様)の教えを終えて自領に戻ろうとした所、異世界勇者召喚に巻き込まれて、周りにいた数人の男女と共に、何処とも知れない世界に落とされた。
─── からの~数年後 ────
俺が此処に来て幾日が過ぎただろう。
ここは俺が生まれ育った場所とは全く違う、環境が全然違った世界だった。
「ロブ、申し訳無いがお前、明日から来なくていいから。急な事で済まねえが、俺もちっせえパーティーの長だ。より良きパーティーの運営の為、泣く泣くお前を切らなきゃならなくなった。ただ、俺も薄情な奴じゃねぇつもりだ。今日までの給料に、迷惑料としてちと上乗せして払っておくから、穏便に頼む。断れば上乗せは無しでクビにする」
そう言われて俺に何が言えよう、これで何回目か?
まぁ、薬師の扱いなどこんなものかもな。
この世界の薬師は、ただポーションを造るだけの職業。
多岐に亘った薬を作るが、僧侶とは違い瞬時に体を癒す事は出来ない。
普通は……。
異世界勇者巻き込まれ召喚から数年、ロベルトはこの異世界で逞しく生きていた。
勇者?そんな物ロベルトには関係無い。
魔王が居ようが居まいが、世界は変わらず巡っている。
とんでもなく普通じゃないお師匠様に薬師の業を仕込まれた弟子ロベルトの、危難、災難、巻き込まれ痛快世直し異世界道中。
はてさて一体どうなるの?
と、言う話。ここに開幕!
● ロベルトの独り言の多い作品です。ご了承お願いします。
● 世界観はひよこの想像力全開の世界です。
間違い召喚! 追い出されたけど上位互換スキルでらくらく生活
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕は20歳独身、名は小日向 連(こひなた れん)うだつの上がらないダメ男だ
ひょんなことから異世界に召喚されてしまいました。
間違いで召喚された為にステータスは最初見えない状態だったけどネットのネタバレ防止のように背景をぼかせば見えるようになりました。
多分不具合だとおもう。
召喚した女と王様っぽいのは何も持っていないと言って僕をポイ捨て、なんて世界だ。それも元の世界には戻せないらしい、というか戻さないみたいだ。
そんな僕はこの世界で苦労すると思ったら大間違い、王シリーズのスキルでウハウハ、製作で人助け生活していきます
◇
四巻が販売されました!
今日から四巻の範囲がレンタルとなります
書籍化に伴い一部ウェブ版と違う箇所がございます
追加場面もあります
よろしくお願いします!
一応191話で終わりとなります
最後まで見ていただきありがとうございました
コミカライズもスタートしています
毎月最初の金曜日に更新です
お楽しみください!
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私
とうとうキレてしまいました
なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが
飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした……
スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます
祝・定年退職!? 10歳からの異世界生活
空の雲
ファンタジー
中田 祐一郎(なかたゆういちろう)60歳。長年勤めた会社を退職。
最後の勤めを終え、通い慣れた電車で帰宅途中、突然の衝撃をうける。
――気付けば、幼い子供の姿で見覚えのない森の中に……
どうすればいいのか困惑する中、冒険者バルトジャンと出会う。
顔はいかついが気のいいバルトジャンは、行き場のない子供――中田祐一郎(ユーチ)の保護を申し出る。
魔法や魔物の存在する、この世界の知識がないユーチは、迷いながらもその言葉に甘えることにした。
こうして始まったユーチの異世界生活は、愛用の腕時計から、なぜか地球の道具が取り出せたり、彼の使う魔法が他人とちょっと違っていたりと、出会った人たちを驚かせつつ、ゆっくり動き出す――
※2月25日、書籍部分がレンタルになりました。
ひっそり静かに生きていきたい 神様に同情されて異世界へ。頼みの綱はアイテムボックス
於田縫紀
ファンタジー
雨宿りで立ち寄った神社の神様に境遇を同情され、私は異世界へと転移。
場所は山の中で周囲に村等の気配はない。あるのは木と草と崖、土と空気だけ。でもこれでいい。私は他人が怖いから。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。