異世界で俺だけレベルが上がらない! だけど努力したら最強になれるらしいです?

澤檸檬

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胸中の違和感

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 王が決まってしまえば王位継承権争いは終わる。オランディで起きた悲劇の幕を下ろすことができるのだ。

「じゃあ、これで王子たちは安全になる・・・・・・ルージュ家、ノワール家が王位を手に入れれば今までのオランディとは変わってしまうかもしれないって話でしたが、状況的にはそうすることがが最善策。ルージュ家が王位を手に入れた後、どうやって変わらない平和なオランディを守っていくのかは、オランディの人たちに任せることにしましょう。本当にこれでいいんですよね?」

 身体中の痛み、疲れを感じながら倉野はそう問いかける。
 けれどその胸中には何か違和感のようなものが残っていた。
 倉野の言葉に迷いを感じたノエルが首を傾げる。

「何か気になっていることでもあるの?」
「いえ・・・・・・ただ、本当にこれで良かったのかなって」
「どういうことよ。確かに当初の作戦とは違ってしまったわよ。ルシアルを守るためにオランディにまで来た・・・・・・けれど、一歩間に合わずに失ってしまったわ。そりゃ、良い結末とはいえないかもしれない。でも最悪の事態は避けることができた。ノワール家が王位継承権を取り戻すっていう最悪のシナリオをね」

 ノエルは倉野の迷いにそう答えた。
 確かに倉野たちがオランディに転移してこなければ。いや、この件を知らなければ、このままノワール家が全ての王子を殺害し王位継承権を手に入れていただろう。
 大前提として、王子でないものが王になることはできない。そして、スクレットが病である以上、他の王子たちがいなくならなければノワール家は王位継承権を手に入れることができない。
 そうなれば手段を選ばないだろうことは明白であった。
 しかし、ノエルの話を聞いた今でも倉野の胸中にある違和感は消えてない。

「まだ、何か気になることがあるの?」

 倉野の表情から察したノエルが再び問いかけた。
 すると倉野は少し考えてから、心にある違和感をなんとか言葉にする。

「いくつかの小さな疑問が大きな違和感になっているのかもしれません。例えば、ノワール家がフォルテを自由に動かすことができるのなら、バジル・インフェルノをわざわざエスエ帝国から呼び寄せるのはどうしてでしょうか。フォルテがスキル読心によって心を読むことができるから、王子の命を狙う者が近づけない。そのためにスキル無効化を持っているバジルを呼び寄せたんですよね。だったら、フォルテが暗殺者を見逃してしまえばいいじゃないですか」

 そんな疑問を口にした倉野。
 いきなり問いかけられたノエルは少し困った表情を浮かべて答えた。

「どうしてって、それはフォルテの存在を隠しておきたかったからじゃないのかな。フォルテの裏切りって一度きりに最強のカードでしょ?」
「確かにそう考えることもできます。でも、一度きりの最強のカードだからこそ、この王位継承権争いはカードを切ってもいい場面だったと思いませんか」

 そう倉野が話を続けるとノエルは何かを察したように目を細める。

「随分と何かに繋げようとしているわね。もしかして、何か気づいたことがあるっていうの?」
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