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甲高い声
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そう、訪ねたのは協力の約束をしてくれていたジョンである。
ディートが死亡した部屋で会った乗組員ジョン・デヴィットだ。
突然扉を開けて入ってきたノエルに驚いたジョンは甲高い声で返事をする。
「ヒャイッ!」
その部屋にはジョン以外はおらず、机が二つ並んでいるだけの小さな空間だった。ジョンは書類作業をしていたらしく、動揺のあまり筆ペンを落とす。
そんなジョンの姿に笑いそうになりながらもノエルが話しかけた。
「どうしたのよ、追い詰められた獣みたいな声を出して」
「そりゃ驚きますよ。もう、ノックくらいしてくださいよ」
言いながらジョンは落とした筆ペンを拾う。
その様子を見ていたリオネはジョンに近づきながら優しく微笑んだ。
「すみません、ジョンさん。驚かせてしまいましたね」
「い、いえ、大丈夫です。あの、どうかされましたか?」
リオネの微笑みに頬を赤くしながらジョンが問いかける。
その瞬間にアルダリンの姿が見えたのかジョンは背筋を伸ばし挨拶をした。
「あ、あの、ノーベンバー商会のアルダリンさんですよね。ジョン・デヴィットと申します」
「ほっほっほ、私のことをご存知でしたか」
「もちろんですよ。お会いできて光栄です」
憧れの人に会ったかのような表情で目を輝かせるジョン。
アルダリンも満更では無い様子で微笑んでいた。
そんな二人の間に割って入るようにノエルが口を開く。
「そろそろいいかしら。お願いしたいことがあるんだけど」
「お願いしたいこと、ですか?」
「ええ、ブラッドって乗組員に話が聞きたいの」
聞き返すジョンにノエルがそう話した。するとジョンは考えることなく即座に答える。
「ああ、ブラッドさんでしたら今回の航海には乗船していませんよ。ちょうど休みだったんです」
「それ、本当?」
勢いよく距離を詰めながら聞き返すノエル。
その近さに驚きながらもジョンは頷いた。
「え、ええ。乗組員は航海ごとに交代制で休みを取っているのですが、今回はブラッドさんが休みだったんです。いつもなら私と一緒にこの部屋で乗客対応などをしていますが」
ジョンの話を聞いた三人は顔を見合わせ、困った表情を浮かべる。
ブラッドの話さえ聞ければ真相に近づけるだろうと期待していた分、落胆は大きかった。
垂らされていた蜘蛛の糸が切れたかように真相から遠かったのである。
「いないんじゃあ仕方ないわよね」
ブラッドに話を聞くことは諦めたかのようにノエルがそう話すとアルダリンが頷いた。
「そうですな」
「そうですよ。立ち止まっている時間が惜しいですから、残る四名に話を聞きにいきましょう」
続けてリオネもそう話す。
一つの可能性が潰えたからといって諦めるわけにはいかない。自分たちの双肩にはこの船に乗る全ての命がかかっている。落胆している時間などないのだと改めて自分たちに言い聞かせた。
そんな三人の姿を見ていたジョンが声をかける。
「あの?」
声に反応したリオネが微笑んで返した。
「いきなりすみませんでした。どうしてもブラッドさんに話を聞きたかったんです。でもいないなら仕方ないですよね」
「お力になれず申し訳ないです」
「いえ、こちらこそですよ。じゃあ、私たちはこれで」
そう言ってから三人は乗組員室を出る。
ディートが死亡した部屋で会った乗組員ジョン・デヴィットだ。
突然扉を開けて入ってきたノエルに驚いたジョンは甲高い声で返事をする。
「ヒャイッ!」
その部屋にはジョン以外はおらず、机が二つ並んでいるだけの小さな空間だった。ジョンは書類作業をしていたらしく、動揺のあまり筆ペンを落とす。
そんなジョンの姿に笑いそうになりながらもノエルが話しかけた。
「どうしたのよ、追い詰められた獣みたいな声を出して」
「そりゃ驚きますよ。もう、ノックくらいしてくださいよ」
言いながらジョンは落とした筆ペンを拾う。
その様子を見ていたリオネはジョンに近づきながら優しく微笑んだ。
「すみません、ジョンさん。驚かせてしまいましたね」
「い、いえ、大丈夫です。あの、どうかされましたか?」
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その瞬間にアルダリンの姿が見えたのかジョンは背筋を伸ばし挨拶をした。
「あ、あの、ノーベンバー商会のアルダリンさんですよね。ジョン・デヴィットと申します」
「ほっほっほ、私のことをご存知でしたか」
「もちろんですよ。お会いできて光栄です」
憧れの人に会ったかのような表情で目を輝かせるジョン。
アルダリンも満更では無い様子で微笑んでいた。
そんな二人の間に割って入るようにノエルが口を開く。
「そろそろいいかしら。お願いしたいことがあるんだけど」
「お願いしたいこと、ですか?」
「ええ、ブラッドって乗組員に話が聞きたいの」
聞き返すジョンにノエルがそう話した。するとジョンは考えることなく即座に答える。
「ああ、ブラッドさんでしたら今回の航海には乗船していませんよ。ちょうど休みだったんです」
「それ、本当?」
勢いよく距離を詰めながら聞き返すノエル。
その近さに驚きながらもジョンは頷いた。
「え、ええ。乗組員は航海ごとに交代制で休みを取っているのですが、今回はブラッドさんが休みだったんです。いつもなら私と一緒にこの部屋で乗客対応などをしていますが」
ジョンの話を聞いた三人は顔を見合わせ、困った表情を浮かべる。
ブラッドの話さえ聞ければ真相に近づけるだろうと期待していた分、落胆は大きかった。
垂らされていた蜘蛛の糸が切れたかように真相から遠かったのである。
「いないんじゃあ仕方ないわよね」
ブラッドに話を聞くことは諦めたかのようにノエルがそう話すとアルダリンが頷いた。
「そうですな」
「そうですよ。立ち止まっている時間が惜しいですから、残る四名に話を聞きにいきましょう」
続けてリオネもそう話す。
一つの可能性が潰えたからといって諦めるわけにはいかない。自分たちの双肩にはこの船に乗る全ての命がかかっている。落胆している時間などないのだと改めて自分たちに言い聞かせた。
そんな三人の姿を見ていたジョンが声をかける。
「あの?」
声に反応したリオネが微笑んで返した。
「いきなりすみませんでした。どうしてもブラッドさんに話を聞きたかったんです。でもいないなら仕方ないですよね」
「お力になれず申し訳ないです」
「いえ、こちらこそですよ。じゃあ、私たちはこれで」
そう言ってから三人は乗組員室を出る。
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