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パッシブスキル:威圧
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レオポルトはそんなネメシス側の心の動きを見逃さなかった。間を開けずにこう叫ぶ。
「死にたくない者は退がれ! よく考えろよ、お前たち程度の兵がたった三百でこのレオポルト・バッセルに勝てるのかどうかをな!」
レオポルトは自分自身の名前の効果を知っていた。それが敵であるとなれば怯まない者などいない。本来そのような戦い方を好みはしないのだが、そうすることで少しでも犠牲を減らすことができるなら。倉野ならそうするのでは無いかと考えての行動だった。
レオポルトの狙い通り、ネメシス側の動揺はさらに大きくなる。
「レオポルト・バッセルって血煙の獅子じゃねぇか?」
「聞いてねぇよ、そんなやつがエスエ帝国側についてるなんて」
「けどよ、血煙の獅子はビスタ国の獣人だろ。偽物だろ」
「いや、あの風貌と魔法の威力は本物だぜ」
その場で足を止め、口々に弱気な言葉を漏らす加勢の兵たち。だがレオポルトはそんな兵たちに向かって走り続けた。
足を止めた程度では足りない。恐れなど戦いの場では一瞬で消えてしまうだろう。恐れていたとしても心を奮い立たせなければならない、それが戦いというものだ。それを知っているレオポルトはさらに自分の力を見せつける。
「誰も退かぬことは褒めてやろう! それほど腹の据わった兵だとは思っておらんかったわ!」
猛スピードで近づいてくる百獣の王。その姿はネメシスの兵たちに絶望的なまでの恐怖を与えた。頭の中は警鐘が鳴り響き、心臓はかつて無いほどの速度で鼓動する。
そんなネメシス側の兵にレオポルトは余裕の笑みを見せた。
「楽しもうか?」
脅しながら兵に向かっていくレオポルトを見ていたレインは苦笑する。
「えっげつないね、血煙の獅子」
「本当に敵じゃなくて良かったって思ってるわよ」
ノエルもそう言いながら顔を痙攣らせた。
既にネメシス側の戦意は喪失していると察したレインとノエルはその場で足を止める。その予想通りネメシスの加勢は情けない悲鳴を上げ、数十人単位で逃げ始めた。
「うわあああああ!」
「か、勝てるわけねぇだろ!」
一気に離脱していく兵たち。そして怯えは伝染していくもの。
味方の人数がどんどんと減る中、戦う意思を持続するのは容易ではない。自分だけ残ったとしても敵う相手ではないということ。多くの者が逃げ、逃げることが正当化される状況。それに飲み込まれたネメシスの兵は一人また一人と逃げ出し、遂には誰もいなくなった。
「やれやれ、誰一人向かってこんとはな」
バタバタと足音を鳴らしながら逃げていく多くの背中を見送りながらため息をつくレオポルト。
そんなレオポルトに歩み寄りながらレインが微笑みかけた。
「戦い方を心得すぎじゃないですかレオポルトさん」
「まぁ、クラノならば相手を殺すことなく解決すると思ってな。だが、あの兵たちの正体は暴き、エスエ帝国の法に則って処分は下す。事件の芽は摘んでおかねばならん」
そう答えるレオポルトは少し不満そうである。戦いたがりのレオポルトにとって消化不良なのだろうと、ノエルが笑みを浮かべた。
「戦いたかったって思いが顔に出てるわよ。ともかくこれでこの戦いの結末は彼に託されたわね」
「死にたくない者は退がれ! よく考えろよ、お前たち程度の兵がたった三百でこのレオポルト・バッセルに勝てるのかどうかをな!」
レオポルトは自分自身の名前の効果を知っていた。それが敵であるとなれば怯まない者などいない。本来そのような戦い方を好みはしないのだが、そうすることで少しでも犠牲を減らすことができるなら。倉野ならそうするのでは無いかと考えての行動だった。
レオポルトの狙い通り、ネメシス側の動揺はさらに大きくなる。
「レオポルト・バッセルって血煙の獅子じゃねぇか?」
「聞いてねぇよ、そんなやつがエスエ帝国側についてるなんて」
「けどよ、血煙の獅子はビスタ国の獣人だろ。偽物だろ」
「いや、あの風貌と魔法の威力は本物だぜ」
その場で足を止め、口々に弱気な言葉を漏らす加勢の兵たち。だがレオポルトはそんな兵たちに向かって走り続けた。
足を止めた程度では足りない。恐れなど戦いの場では一瞬で消えてしまうだろう。恐れていたとしても心を奮い立たせなければならない、それが戦いというものだ。それを知っているレオポルトはさらに自分の力を見せつける。
「誰も退かぬことは褒めてやろう! それほど腹の据わった兵だとは思っておらんかったわ!」
猛スピードで近づいてくる百獣の王。その姿はネメシスの兵たちに絶望的なまでの恐怖を与えた。頭の中は警鐘が鳴り響き、心臓はかつて無いほどの速度で鼓動する。
そんなネメシス側の兵にレオポルトは余裕の笑みを見せた。
「楽しもうか?」
脅しながら兵に向かっていくレオポルトを見ていたレインは苦笑する。
「えっげつないね、血煙の獅子」
「本当に敵じゃなくて良かったって思ってるわよ」
ノエルもそう言いながら顔を痙攣らせた。
既にネメシス側の戦意は喪失していると察したレインとノエルはその場で足を止める。その予想通りネメシスの加勢は情けない悲鳴を上げ、数十人単位で逃げ始めた。
「うわあああああ!」
「か、勝てるわけねぇだろ!」
一気に離脱していく兵たち。そして怯えは伝染していくもの。
味方の人数がどんどんと減る中、戦う意思を持続するのは容易ではない。自分だけ残ったとしても敵う相手ではないということ。多くの者が逃げ、逃げることが正当化される状況。それに飲み込まれたネメシスの兵は一人また一人と逃げ出し、遂には誰もいなくなった。
「やれやれ、誰一人向かってこんとはな」
バタバタと足音を鳴らしながら逃げていく多くの背中を見送りながらため息をつくレオポルト。
そんなレオポルトに歩み寄りながらレインが微笑みかけた。
「戦い方を心得すぎじゃないですかレオポルトさん」
「まぁ、クラノならば相手を殺すことなく解決すると思ってな。だが、あの兵たちの正体は暴き、エスエ帝国の法に則って処分は下す。事件の芽は摘んでおかねばならん」
そう答えるレオポルトは少し不満そうである。戦いたがりのレオポルトにとって消化不良なのだろうと、ノエルが笑みを浮かべた。
「戦いたかったって思いが顔に出てるわよ。ともかくこれでこの戦いの結末は彼に託されたわね」
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