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強者の押し付けと投石
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さらにレインはピース・リンクと世界連盟の説明を続ける。
オランディ以外にビスタ国も支援及び加盟を決定していること。現在、エスエ帝国に土地の譲渡と支援を願い出ていること。
世界連盟によって戦争を回避できるということ。
世界連盟に加盟している国同士では戦争を禁じ、互いに支援しあっていくという独自の法を制定する。それによって多くの命を失う戦争や飢餓、貧困が減っていくだろうということ。
レインの説明を聞いたオネットは少し考えてから口を開いた。
「なるほど・・・・・・確かにそれが成されれば、世界の戦争や飢餓は減るでしょうね。しかし、今の話では問題点だらけだ」
オネットが放った言葉に倉野たち三人は身構える。
同じく話を聞いていたアルダリンは自分の髭を撫でながら、オネットよりも先に問題点を言葉にした。
「一言にまとめるならば、強者の押し付け・・・・・・というところでしょうかな」
「ええ、そうですね。アルダリンの言う通りだ。世界連盟に加盟しなければ自国以外の全てを敵に回すことになる、他国を支援しなければ敵に回すことになる。いわゆる同調圧力というやつです。それではあまりに自由がないではないですか。国に限らず組織というものは競争することで大きく強くなるものです。それを横一線にしてしまえば成長がない、甘えるだけになってしまう。そうは思いませんか?」
オネットは真剣な表情でそう言い放つ。
世界に名を轟かすマッティーノ商会を立ち上げた彼の言葉は芯を捉えていた。
そう問いかけられたレインは言葉を返せずに黙ってしまう。
そんなレインの反応を見たオネットはこう付け足した。
「おや、世界平和を掲げれば誰もが賛同すると思いましたか? 戦争や飢餓がなくなれば喜ぶ者ばかりだと思いましたか?」
彼の言葉はもっともである。
それに返答したのは倉野だった。
「確かにそうです。誰もが世界平和や安定を求めているわけじゃない。施しを押し付けているように感じる人もいるでしょう。けれど・・・・・・」
「けれど?」
オネットは言葉を引き出すように聞き返す。
彼に乗せられるように倉野は心の奥底にある言葉を口にした。
それは世界平和なんて大きなものじゃない。戦争や飢餓はそれを象徴するというだけだ。
そして倉野がこの世界に転移してずっと感じてきたことへの反抗でもある。
「失わずに済む命よりも優先すべきことなんてありません」
「それがエゴだとしても・・・・・・ですか? 現実は・・・・・・生きていくことは容易ではない。死んだ方がマシだと思える人生だってあるはずです。命を語るにはクラノさんはあまりに若い」
「だから変えるんです、この世界で生きていきたいと思えるように。ピース・リンクや世界連盟はそのきっかけになればいいんです。一石を投じれば水面は必ず揺れる。たとえピース・リンクに賛同しなかったとしても生きていきたいと思える世界に変えたいという意識は生まれるはずです」
この世界で過ごしてきた時間、見てきた悲しみ、そんなものを言葉に含ませる倉野。
オランディ以外にビスタ国も支援及び加盟を決定していること。現在、エスエ帝国に土地の譲渡と支援を願い出ていること。
世界連盟によって戦争を回避できるということ。
世界連盟に加盟している国同士では戦争を禁じ、互いに支援しあっていくという独自の法を制定する。それによって多くの命を失う戦争や飢餓、貧困が減っていくだろうということ。
レインの説明を聞いたオネットは少し考えてから口を開いた。
「なるほど・・・・・・確かにそれが成されれば、世界の戦争や飢餓は減るでしょうね。しかし、今の話では問題点だらけだ」
オネットが放った言葉に倉野たち三人は身構える。
同じく話を聞いていたアルダリンは自分の髭を撫でながら、オネットよりも先に問題点を言葉にした。
「一言にまとめるならば、強者の押し付け・・・・・・というところでしょうかな」
「ええ、そうですね。アルダリンの言う通りだ。世界連盟に加盟しなければ自国以外の全てを敵に回すことになる、他国を支援しなければ敵に回すことになる。いわゆる同調圧力というやつです。それではあまりに自由がないではないですか。国に限らず組織というものは競争することで大きく強くなるものです。それを横一線にしてしまえば成長がない、甘えるだけになってしまう。そうは思いませんか?」
オネットは真剣な表情でそう言い放つ。
世界に名を轟かすマッティーノ商会を立ち上げた彼の言葉は芯を捉えていた。
そう問いかけられたレインは言葉を返せずに黙ってしまう。
そんなレインの反応を見たオネットはこう付け足した。
「おや、世界平和を掲げれば誰もが賛同すると思いましたか? 戦争や飢餓がなくなれば喜ぶ者ばかりだと思いましたか?」
彼の言葉はもっともである。
それに返答したのは倉野だった。
「確かにそうです。誰もが世界平和や安定を求めているわけじゃない。施しを押し付けているように感じる人もいるでしょう。けれど・・・・・・」
「けれど?」
オネットは言葉を引き出すように聞き返す。
彼に乗せられるように倉野は心の奥底にある言葉を口にした。
それは世界平和なんて大きなものじゃない。戦争や飢餓はそれを象徴するというだけだ。
そして倉野がこの世界に転移してずっと感じてきたことへの反抗でもある。
「失わずに済む命よりも優先すべきことなんてありません」
「それがエゴだとしても・・・・・・ですか? 現実は・・・・・・生きていくことは容易ではない。死んだ方がマシだと思える人生だってあるはずです。命を語るにはクラノさんはあまりに若い」
「だから変えるんです、この世界で生きていきたいと思えるように。ピース・リンクや世界連盟はそのきっかけになればいいんです。一石を投じれば水面は必ず揺れる。たとえピース・リンクに賛同しなかったとしても生きていきたいと思える世界に変えたいという意識は生まれるはずです」
この世界で過ごしてきた時間、見てきた悲しみ、そんなものを言葉に含ませる倉野。
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