異世界で俺だけレベルが上がらない！ だけど努力したら最強になれるらしいです？

連載

幹部クラス１・２・３

　エクレールが問いかけるとレオポルトは「もちろんです」と答えた。
　作戦を練る上で重要だったのは倉野たちが相手をする『幹部クラス』の数と能力である。
　スキル『説明』が通用する時点で、情報戦はこちら側に軍配が上がる。既に倉野が調べ、全員に知らせていた。
　ゼット商会に与する闇の傭兵。その中でも他とは圧倒的な武力を有するのが四人。全員が世界的に名を轟かせるほどの傭兵だった。
　闇の傭兵として世界中で暗躍する男たちであり、詳しい情報は調べてもわからない。だが、倉野のスキル『説明』の前では機密性や秘匿性は消え去る。
　まるでキャラクター紹介でもするかのように、プロフィールが露わになった。
　
　ゼット商会にて幹部扱いされている闇の傭兵四人。
　一人目は魔法と格闘技を組み合わせた『魔法闘技』の第一人者と言われているダズウェル。強烈な炎熱系の魔法と独特な格闘技を使う男だ。本来魔法は魔法、格闘技は格闘技と分けて使う。魔法には発動までに要する集中力と時間があるからである。しかし、ダズウェルは諦めなかった。至高の強さを求めて闇の傭兵に身を落とし、戦いを重ねることで作り上げたのが『魔法闘技』だ。
　ダズウェルの相手をするのはレオポルトである。

「ワシの相手はダズウェルという男。元々優秀な傭兵であったと聞いたことがある。戦いのスタイルを考えれば、近接戦闘向きのワシが相手をするのが妥当でしょうな」

　エクレールに理解している、と言わんばかりに説明するレオポルト。
　それに続き、レインも口を開く。

「俺の相手はビゼラードという男。魔法を主軸とした中距離戦闘で名を馳せている男だね」

　二人目はビゼラード。彼は世界最高クラスの魔力を保有しており、放つ魔法の全てが強大かつ強力。一撃でも喰らえば即致命傷になりかねないような魔法を自在に操る男だ。
　そのため、あまりにも敵との距離が近ければ自分自身の魔法で傷つきかねない。中距離で魔法合戦を行えば勝機は薄いが、近距離戦闘に持ち込めば強烈な魔法を封じることができる。魔法と剣術のバランスが取れているレインならば、臨機応変に対応できるだろうという選出だった。
　三人目はミミーという若い女。彼女は幼い頃から闇の傭兵部隊に育てられ、世界中で暗殺を請け負っている。
　若いながらに弓の名手として名高く、遠距離から一気にターゲットを殺す、という戦い方をする。
　ミミーと戦うのは同じく弓を使うリオネだ。近距離戦に持ち込もうとしても、ミミーを捉えることはできない。
　それは過去に戦いを挑み敗れた者たちの屍が語ってくれた。速度や強さなどでは越えられない距離だったのだろう。誰もミミーの姿を見ることなく散っていった。全てはスキル『説明』で得た情報である。
　近距離に持ち込めないのならば、同じく遠距離で戦う、とリオネ自信が名乗りを挙げた。