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復讐
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義父「そうか、お前ももう二十歳か。おめでとう」
青年「ありがとう。父さんが僕を引き取ってここまで育ててくれたおかげだよ」
義父「あれから十年になるのか」
青年「そうだね。あっという間だったよ」
義父「そうか?長かったようにも感じるし、つい昨日のようにも感じるな」
青年「なんだか年寄りくさいセリフだね」
義父「ふっ、年寄りだからな」
青年「そんな歳じゃないでしょ。それより父さん、こういう時って大切な話をするものじゃないの?」
義父「ん?どういうことだ?」
青年「ほらほら、よくドラマとかであるやつだよ。実は父さんは本当のお父さんじゃないんだ的な」
義父「いや、私が本当の父親ではないことは知っているだろう」
青年「そうだけどさ。なんか、こう驚くような話が聞きたいな、と思ってさ」
義父「驚くような話か。そうだな、驚くかはわからないが、私がお前を引き取った時の話をしようか」
青年「思い出話って余計に年寄りくさいね」
義父「そう言うな。そうだ折角二十歳になったんだから、酒でも飲もうか。ちょっと待ってろ」
青年「うん、そうだね。折角だから一緒に飲もう」
義父「ほら、いいウイスキーだからな氷が溶け切る前に飲むんだぞ」
青年「ありがとういただきます。・・・・・・ん!なんかクセのある味だ」
義父「それがウイスキーだ」
青年「大人の味だねぇ。それで引き取った時の話ってなんだい?」
義父「おお、そうだったな。お前を引き取った理由を話したことはあったかな?」
青年「えっと、僕の本当の父親と知り合いだったんだよね?」
義父「ああ、そうだ。元々知り合いだったからな、当時、家族を失くしたお前を引き取ったんだ」
青年「うん、感謝してる。天涯孤独になった僕を引き取ってくれたんだよね」
義父「お前の本当の父親には世話になったからな」
青年「本当に救われたのを覚えてるよ。家族を亡くした時は絶望のどん底にいたから」
義父「そりゃそうだろうな。家族を失った悲しみはわかる。それにお前は元々、いい生活をしていただろ?何せお前の父親は大企業の社長だったからな」
青年「そうだね。だけど、社長だったせいで父さんも家族も命を落としてしまった。だったらお金も立場もいらないよ。生きててくれたほうが何倍も幸せだ。あ、もちろん今も幸せだよ」
義父「そう気を使わなくていいさ」
青年「本当に幸せだと思ってるよ」
義父「辛い話だが、お前は本当の家族がどうして命を落としたのか知っているのか?」
青年「ああ、僕なりにあの事件のことを調べたよ」
義父「そうか。さぞ悔しく憎いだろうな」
青年「そうだね。許せないと思ってる。復讐したいとも思ってるよ」
義父「その気持ちはわかるぞ。私も同じ気持ちだ」
青年「そこまで思ってくれてるんだね」
義父「当たり前じゃないか。お前の本当の父親は裏切られて全てを失い、一家心中を図った。そしてお前だけ生き残った。そんなお前の気持ちを聞いておきたいと思ったんだ」
青年「裏切った部下たちを許せないよ。本当の父さんは部下たちに裏切られ会社を追い出された。仕事に命をかけていた父さんは全てを失って絶望したんだ。そして心は壊れ、最悪の手段を選んだ。いや選ぶしかなかったんだ。当時の部下たちに全てを壊された。当時の部下たちが僕の家族を殺したんだ」
義父「ああ、その通りだ。人間にはそうするしかないという状況があり、その状況に追い込んだのならそれは殺したのと変わらない」
青年「まだ、当時裏切った部下が誰なのかわかっていないんだけど、調べて復讐しようと思ってる」
義父「そうか・・・・・・私もな、復讐したいと思っている」
青年「父さんも?」
義父「ああ。私も家族を失っているんだ」
青年「その話は聞いたことがあるよ。僕を引き取ってくれる前に結婚していて娘もいたんだよね」
義父「そうだ。命よりも大切な家族だ。だからこそお前の気持ちはよくわかる」
青年「聞いていいのかわからないけど・・・・・・どうして家族を失ったの?」
義父「私も裏切られたのだ。信じていた人にな」
青年「信じていた人?」
義父「ああ、そうだ。その人のためなら何でもできると思っていた。心酔していた。だが、その人にとって私はただの捨て駒でしかなかった」
青年「何があったの?」
義父「つまらない話さ。その人は金を稼ぐために法を犯していた。そしてそれが暴かれてしまい、その罪を私に被せた」
青年「父さんに罪を?」
義父「そして私は逮捕された。犯罪者として報道され、私の家族は周囲の人間に追い詰められた」
青年「報道とかってこと?」
義父「それだけじゃない。親族や友人、職場全ての人間が犯罪者の家族として扱ってくる。そして追い詰められた妻は心を病み、娘と共に命を絶った。その時私がいたのは塀の中だ。無力さと怒りで狂いそうだった。だが、復讐を誓い、ここまで生きてきたのだ」
青年「そっか・・・・・・あれ?でもそれって復讐する相手がわかってるんじゃないの?」
義父「ああ、そうだ。だが、そいつはすでに死んでいたんだ」
青年「それじゃあ、復讐できずに終わってしまったってこと?」
義父「その時はそう思った。だが、復讐する方法が残っていたんだよ」
青年「どういうこと?」
義父「いや、もういいんだよ」
青年「父さん?」
義父「気づかないか?」
青年「何が・・・・・・うっ・・・・・・体が痺れ・・・・・・」
義父「動けないだろう。酒には動けなくなる程度の毒を仕込んである」
青年「ど、どうし・・・・・・て」
義父「私の家族を殺したのがお前の父親だからだよ」
青年「な・・・・・・どういうこと」
義父「私はお前の父親の部下だった。この人にならついていけると思っていた。だがな、お前の父親は私を裏切ったのだよ。私に全ての罪を被せた。そして私は捕まり家族を失った。その後、他の部下に裏切られ全てを失ったようだがな!因果応報とはこのことだ」
青年「くっ・・・・・・」
義父「復讐相手を失い生きる意味をなくした私はお前に出会った。これは復讐だ。あいつのせいで家族を失ったのだ。あいつの家族をこの手で・・・・・・殺す」
青年「やめて」
義父「恨むならば父親を恨め。お前を殺したのは義理の父親であり本当の父親だ」
青年「ぐああああ」
義父「これがお前の求めていた驚く話さ」
青年「ありがとう。父さんが僕を引き取ってここまで育ててくれたおかげだよ」
義父「あれから十年になるのか」
青年「そうだね。あっという間だったよ」
義父「そうか?長かったようにも感じるし、つい昨日のようにも感じるな」
青年「なんだか年寄りくさいセリフだね」
義父「ふっ、年寄りだからな」
青年「そんな歳じゃないでしょ。それより父さん、こういう時って大切な話をするものじゃないの?」
義父「ん?どういうことだ?」
青年「ほらほら、よくドラマとかであるやつだよ。実は父さんは本当のお父さんじゃないんだ的な」
義父「いや、私が本当の父親ではないことは知っているだろう」
青年「そうだけどさ。なんか、こう驚くような話が聞きたいな、と思ってさ」
義父「驚くような話か。そうだな、驚くかはわからないが、私がお前を引き取った時の話をしようか」
青年「思い出話って余計に年寄りくさいね」
義父「そう言うな。そうだ折角二十歳になったんだから、酒でも飲もうか。ちょっと待ってろ」
青年「うん、そうだね。折角だから一緒に飲もう」
義父「ほら、いいウイスキーだからな氷が溶け切る前に飲むんだぞ」
青年「ありがとういただきます。・・・・・・ん!なんかクセのある味だ」
義父「それがウイスキーだ」
青年「大人の味だねぇ。それで引き取った時の話ってなんだい?」
義父「おお、そうだったな。お前を引き取った理由を話したことはあったかな?」
青年「えっと、僕の本当の父親と知り合いだったんだよね?」
義父「ああ、そうだ。元々知り合いだったからな、当時、家族を失くしたお前を引き取ったんだ」
青年「うん、感謝してる。天涯孤独になった僕を引き取ってくれたんだよね」
義父「お前の本当の父親には世話になったからな」
青年「本当に救われたのを覚えてるよ。家族を亡くした時は絶望のどん底にいたから」
義父「そりゃそうだろうな。家族を失った悲しみはわかる。それにお前は元々、いい生活をしていただろ?何せお前の父親は大企業の社長だったからな」
青年「そうだね。だけど、社長だったせいで父さんも家族も命を落としてしまった。だったらお金も立場もいらないよ。生きててくれたほうが何倍も幸せだ。あ、もちろん今も幸せだよ」
義父「そう気を使わなくていいさ」
青年「本当に幸せだと思ってるよ」
義父「辛い話だが、お前は本当の家族がどうして命を落としたのか知っているのか?」
青年「ああ、僕なりにあの事件のことを調べたよ」
義父「そうか。さぞ悔しく憎いだろうな」
青年「そうだね。許せないと思ってる。復讐したいとも思ってるよ」
義父「その気持ちはわかるぞ。私も同じ気持ちだ」
青年「そこまで思ってくれてるんだね」
義父「当たり前じゃないか。お前の本当の父親は裏切られて全てを失い、一家心中を図った。そしてお前だけ生き残った。そんなお前の気持ちを聞いておきたいと思ったんだ」
青年「裏切った部下たちを許せないよ。本当の父さんは部下たちに裏切られ会社を追い出された。仕事に命をかけていた父さんは全てを失って絶望したんだ。そして心は壊れ、最悪の手段を選んだ。いや選ぶしかなかったんだ。当時の部下たちに全てを壊された。当時の部下たちが僕の家族を殺したんだ」
義父「ああ、その通りだ。人間にはそうするしかないという状況があり、その状況に追い込んだのならそれは殺したのと変わらない」
青年「まだ、当時裏切った部下が誰なのかわかっていないんだけど、調べて復讐しようと思ってる」
義父「そうか・・・・・・私もな、復讐したいと思っている」
青年「父さんも?」
義父「ああ。私も家族を失っているんだ」
青年「その話は聞いたことがあるよ。僕を引き取ってくれる前に結婚していて娘もいたんだよね」
義父「そうだ。命よりも大切な家族だ。だからこそお前の気持ちはよくわかる」
青年「聞いていいのかわからないけど・・・・・・どうして家族を失ったの?」
義父「私も裏切られたのだ。信じていた人にな」
青年「信じていた人?」
義父「ああ、そうだ。その人のためなら何でもできると思っていた。心酔していた。だが、その人にとって私はただの捨て駒でしかなかった」
青年「何があったの?」
義父「つまらない話さ。その人は金を稼ぐために法を犯していた。そしてそれが暴かれてしまい、その罪を私に被せた」
青年「父さんに罪を?」
義父「そして私は逮捕された。犯罪者として報道され、私の家族は周囲の人間に追い詰められた」
青年「報道とかってこと?」
義父「それだけじゃない。親族や友人、職場全ての人間が犯罪者の家族として扱ってくる。そして追い詰められた妻は心を病み、娘と共に命を絶った。その時私がいたのは塀の中だ。無力さと怒りで狂いそうだった。だが、復讐を誓い、ここまで生きてきたのだ」
青年「そっか・・・・・・あれ?でもそれって復讐する相手がわかってるんじゃないの?」
義父「ああ、そうだ。だが、そいつはすでに死んでいたんだ」
青年「それじゃあ、復讐できずに終わってしまったってこと?」
義父「その時はそう思った。だが、復讐する方法が残っていたんだよ」
青年「どういうこと?」
義父「いや、もういいんだよ」
青年「父さん?」
義父「気づかないか?」
青年「何が・・・・・・うっ・・・・・・体が痺れ・・・・・・」
義父「動けないだろう。酒には動けなくなる程度の毒を仕込んである」
青年「ど、どうし・・・・・・て」
義父「私の家族を殺したのがお前の父親だからだよ」
青年「な・・・・・・どういうこと」
義父「私はお前の父親の部下だった。この人にならついていけると思っていた。だがな、お前の父親は私を裏切ったのだよ。私に全ての罪を被せた。そして私は捕まり家族を失った。その後、他の部下に裏切られ全てを失ったようだがな!因果応報とはこのことだ」
青年「くっ・・・・・・」
義父「復讐相手を失い生きる意味をなくした私はお前に出会った。これは復讐だ。あいつのせいで家族を失ったのだ。あいつの家族をこの手で・・・・・・殺す」
青年「やめて」
義父「恨むならば父親を恨め。お前を殺したのは義理の父親であり本当の父親だ」
青年「ぐああああ」
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